心臓のリズム

怖い話が嫌いな方はあまり読まない方が良いでしょう。
皆さんは、長い階段を降りるときに途中で、「え!? 次どっちの足出すんだっけ」って不安になる事ありませんか? 交互に足を出すという単純な連続作業は、小脳という脳を使っています。 小脳はある程度決まったパターンの複雑な一塊の運動シリーズをコントロールする脳で、大脳で意識せずに、全身の筋肉を動かしてゆきます。 なので、「転倒するのではないか」といった、恐怖心が出現して大脳で意識して足を動かそうとすると、逆に足がもつれてうまく歩けなくなるという様な事がおこります。 私は運動音痴なので、特に意識してしまって、もつれてしまう方です。 なのでスポーツをやっている方の運動を見ていると、人間が自動で行っている多くの動作は本当に良く出来ているなーと感心してしまいます。

人間の心臓の心拍は、やはりある一握りの細胞の単調なリズム作製によって動いています。 場所は、右心房の上の方、上大静脈とくっついている部分周囲に、洞結節という特殊な心臓の筋肉の細胞の集まりがあります。 このリズムを作っている細胞の事をペースメーカーと言います。 このペースメーカーはほんの一握りであるために、例えば病気や、年齢とともに変成して少なくなってしまう事もあります。 リズムは基本的に細胞膜の電位の揺らぎが増幅して出来た物なので、そうですねちょうど、波の様な物でしょうか? 海にいけば普通に波はありますが、その本質は液面の振動です。 心拍もそういった振動の一種なのです。 その振動がやんでしまえば、心臓は止まってしまいます。 突き詰めて考えてみればそんな不確かな物で人間は生きているわけです。 ちょっと怖くありませんか? でも安心してくださいそう簡単に心拍は止まりません。 ペースメーカーは何百というこういった特殊な細胞が寄り集まってできているため、一つの細胞が振動を止めても、別の細胞が振動しているとそれでリズムが維持されます。 また、洞結節以外にも、何カ所か弱いながらもペースメーカーとなりうる細胞があり、それらが常にバックアップをしてくれているのです。
ただ、ペースメーカーが衰えてくると、心拍数が徐々に低下して行き、患者さんとしては、足が浮腫んだり、息切れしたり、疲れやすくなってきたりと言った症状が出始めます。 心電図を取ると、診断が出来ます。こういった場合、薬の内服で効果がある場合もありますが、ほとんどの場合、機械型のペースメーカーを植え込む事になります。
最近では携帯電話の小型化で切磋琢磨したおかげか、レアアースのおかげか知りませんが、電池の性能が良くなり、だいぶ小型化され、一度植え込めば電池も長期間持続します。 以前よりは目立たなくなっていますが、小柄のやせた方ですと、やはり少し目立つと思います。 入れる場所は通常、左肩の部分、鎖骨の下当たりに入れます。 小型化だけでなく、不整脈を監視したり、心臓の機能を監視したり、運動したりすると自動的に感知して心拍数を上げてくれたりする様な機能が付いている物もあります。
三好クリニックではペースメーカーの挿入は行いませんが、ペースメーカー挿入後の経過観察や、薬物治療等を行います。 ペースメーカー挿入が必要な患者様は、ご希望があれば慶應大学や提携している大学病院にご紹介致します。
三好クリニック(内科)
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