糖濃度(血糖)が高すぎるとインスリンが効きにくくなる


細胞の中に糖が入らないのならば、もっとたくさん糖分を食べてやれば、糖分が細胞の中に入るのではないかと考える人も多いでしょう。しかし皮肉なことに、血液の中の糖分濃度が高いと、インスリンの効果が弱くなり、さらに血液中の糖濃度が高くなるという悪循環に陥ります(インスリン抵抗性)。 患者様の中には自己判断で「尿の中に糖が漏れているのだから糖をたくさん取れば良い」と考え、高カロリー食を取られる方もおられますが、これは逆効果で、インスリンの効果をさらに弱め細胞を窒息させる原因になります。 インスリン抵抗性をみる指標として血液中のアディポネクチンを測定します。 アディポネクチンが低いとインスリン抵抗性が高い場合が多いです。

高インスリン血症が怖い


血糖値が高いと、血糖値を下げようとして膵臓からインスリンが大量に分泌されます。 もちろんこのインスリンは上記のインスリン抵抗性のため、効果はあまり無いかもしれません。 このように効果の乏しいインスリンの大量分泌を続けていると、2つの悪いことが起こります。 まずは過剰なインスリンは体の細胞に負担をかけ、肥満が進み、血管の動脈硬化が進行すると考えられています。 脳梗塞や心筋梗塞などの血管病の原因になる訳です。 もう一つは、インスリンを分泌している膵臓のランゲルハンス島細胞の疲弊です。 インスリンを分泌しすぎて玉切れの状況になっていると考えれば良いと思います。 そうなってしまうと、インスリンの注射が必要となってきます。

食事制限が重要


軽症の糖尿病患者さんの治療は、体脂肪を減らすことでほとんど解決します。 体脂肪が多くなると、インスリンの効果は極端に悪くなり、糖尿病を悪化させます。 体脂肪の量は正確にはかることができませんので、体重を一つの目安としています。 体重は朝と晩、そして日々 1kg~2kgぐらいの変動幅で変化しています。 体重の変動の最も大きな原因は、水分と塩分です。 塩分と水分の制限をすれば体重は簡単に低下します。 体重を減らそうと、極端な飲水制限をされる方がおられますが、これは糖尿病患者さんに取っては非常に危険なのでやめてください。 体液量が減少し、血液が濃縮すると、血液が固まりやすくなり(いわゆるドロドロ血)、脳梗塞や心筋梗塞の原因となり得ます。 また脱水自体が糖尿病を悪化させ、悪くすると意識を失い(糖尿病性昏睡・ケトアシドーシス)そのまま死亡されることも有ります。
体重ではなく体脂肪を減らすことが重要なのです。 

目安は一週間で体重0.5Kgから1kgの減少


食事の制限をされると、はじめの数日で2-3Kg減量される方がいます。 それは食事量の減少とともに塩分・水分摂取も減るために、体液量(水分)が減少することによって生じる体重減少です。 体脂肪が減少している訳ではないのです。 「これならいつでもダイエットできる」と勘違いしないことが重要です。
本当に難しいのはこの後です。 適切なダイエットをされておられる方は、体重の減少は先ほどの変動幅を平均して、一週間に0.5Kgから1kg程度です。あまり減らないからといって、イライラしないでゆっくりダイエットに取り組んでください。 絶食などの過激なダイエットも禁物です。

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