脈が運動もしないのに急に早くなって、
急に普通の脈拍に戻る





運動をきっかけにして早くなる事もありますが、急に脈が速くなり、速く規則正しい心拍が続き、急に普通の脈に戻る場合、以下の疾患である可能性が有ります。発作中の心電図記録が診断と治療方針決定に重要でありますので、発作が生じたら心電図を素早く記録する事が重要です。
あるいは1年に4回持続時間15分程度しかない場合、患者様がその不整脈をご不自由だとお考えであれば、入院の上心臓カテーテル検査を行い、検査中に発作を誘発して診断し、同時にカテーテルアブレーションによって根治術を行う選択もあります。



こんな病気が考えられます


房室回帰性頻拍:

WPW症候群と呼ばれる事もあります。患者さんによっては、幼少期の心電図で診断が付いている事がありますが発作の無い時の心電図で明らかでない事もあります。通常心房と心室の間は完全に絶縁されていて、唯一心臓の中心にある房室結節という部分で電気的につながっていて同期しています。
心臓の電気信号は一度電気が流れると、その後しばらく(0.2秒から0.3秒)電気が流れない構造になっています。 そのため電気信号は心房から心室へ一方通行で、一回の電気信号が心室から心房に逆に戻ってくる事はありません。
WPW症候群の患者さんは、この房室結節以外に余分に心房と心室をつなぐ電気回路が付いています(側副伝導路;Kent束と呼びます)。そのため心拍一回分の電気信号が、最中目的地の心室で消滅するはずであるのに、再びこの余分なKent束を介して心房に戻り、その戻った電気信号が再び心室へ戻るという、永遠に繰り返す回路が成立する事があります。この現象を房室回帰性頻拍と呼びます。

房室結節回帰性頻拍:

心房と心室の間は完全に絶縁されています。 唯一心臓の中心にある房室結節という部分で電気的につながって同期しています。 この房室結節という部分は、心臓全体の機能を安全にそして最大限に活用するため、複雑な構造をしています。 房室結節内には元々大まかに2本の回路が存在し、一つは素早く電気信号を通すけれど一定時間あたり頻回に信号が来ると休んでしまう回路と(Fast fiber)、もう一つは一つ一つの電気信号を伝えるのはゆっくりだけど、頻回の信号にも安定して信号を伝える事が出来る回路(slow fiber)が存在しています。 普通は、この二本の回路に心房からの電気信号が同時に伝わるのですが、何かの拍子に、心房からの電気信号でFast fiberが休み、Slow fiberをゆっくり電気信号が伝わって来てしまうため、遅れて伝わった分だけ、Fast fiberが十分休む事が出来て、電気信号を伝える事が出来る様になっている事があります。 そうなると、slow fiberを通して伝わって来た電気信号がFast fiberを通して心房に逆戻りしてしまい。またSlow fiberを通して興奮が戻ってくるという、永遠に繰り返す回路が成立する事があります。 これを房室結節回帰性頻拍と呼びます

診断するためには


この病気の診断は、治療方法の選択に非常に重要です。 診断には発作の際の心電図記録が非常に重要になってきます。 しかし皆様は毎日心電図を携帯しているわけではありませんので(
携帯型心電計は個人で購入出来ます)、クリニックに来院された際に偶然不整脈が出ていれば良いですが、そうでなければ診断がつかないことが多いです。 そのため、三好クリニックでは、不整脈の診断のために、「不整脈が出ていて、今すぐ心電図を取りたい」と言っていただければ、予約に関係なく、検査させていただきます。いつでもいらしてください。
またWPW症候群の場合、別に心臓の奇形が合併している場合があります。 心臓の超音波検査を行い、そのような可能性がないことを、確認させていただく事があります。

治療法


両者とも生命に関わるほどの発作を起こす事は通常有りませんが、薬剤による治療が困難であったり、患者様のご希望が有る様でしたら、いずれもカテーテルアブレーションによる心臓内でのカテーテル手術を行う事によって根治可能です(部位によっては治療困難な場合があります)。 しかし頻度が少なかったり、症状がそれほどでもなければ、生活上の注意や、発作時に抗不整脈薬を内服するだけで、患者さんの生活に支障無い程度でコントロール出来る事が多いです。 外来で御相談させてください。
カテーテルアブレーションをご希望される場合、手術は、患者様のご希望に合わせて、大学病院をご紹介致します。

注意;上記は典型的な症状の一例です。個々の患者様に必ずしも当てはまるものでは有りません。必ず症状は主治医にご相談下さい。
三好クリニック(内科)
〜青山・表参道〜