最近だるく、少し動いただけでも息切れします・脈が遅い




慢性的な疲労感というのは慢性炎症性疾患や癌、貧血などで生じたりする事が一般的です。 しかし時に、脈が極端に遅くなってこのような症状が出現する事が有ります。

人間の心拍数は安静時、毎分5090拍程度有る事が普通ですが、安静時50拍以下になったり、運動時に心拍数が十分増加しない病気が有ります。このような状態を徐脈と呼びます。また10秒間近く、心拍が呈しした場合、脳貧血を起こしたり、意識を失ったりする場合が有ります。 また、急に体重が増加したり、足が腫れて(むくみ)靴が入らなくなったりする事もあります。


こんな病気が考えられます


洞不全症候群:


心臓のリズムは、右心房の上大静脈の接合部に存在する洞結節で作られます。そのリズムが極端に遅くなる事があり、それを洞不全症候群と呼びます。

完全房室解離:


洞結節が付着していて心臓の補助ポンプをしている心房と言う部屋と、メインポンプである心室の間の連絡が途切れる事が有ります。そのため心室の収縮が洞結節のリズムで収縮せず、心室固有の遅いリズムでしか収縮できなくなります。

薬剤による徐脈:


高血圧治療薬(β遮断薬、Caチャネル阻害薬)やジギタリス製剤の使用によって徐脈が生じる事があります。しかし、それぞれのお薬は患者様の治療薬として投与されておりますので、それぞれの薬剤と投与している医師に相談する必要があります。(危険ですので患者様の判断で中止しないでください)

治療法はありますか?


心拍数が遅くなる事が病気の本態ですので心拍数を増加させる薬剤の内服などで症状が改善する場合があります。 症状があり、内科的な治療に反応しない場合、人工ペースメーカー植込み手術が必要となる場合があります。  この治療法はこの不整脈の決定的な治療法ですが、電池の容量に限りがあるため約10年〜15年に一度電池の交換のために、皮下手術が必要になる事があります。 こういった手術時期になりましたら、提携している大学病院にご紹介致します。 人工ペースメーカーの手術は1時間程度の局所麻酔で行う簡単な手術ですが、機械をいれる手術になりますので、患者様に取って敷居が高いのも事実です。 出来るだけ、内科的な治療を継続し、どうしてもコントロールが出来なくなった場合の最後の手段と考えていただいた方が宜しいかと思います。

器質的心疾患の除外


これら徐脈性不整脈の原因は、一般的には生まれつきであったり、スポーツ心、あるいは老化現象の一種でありますが、希に心臓の筋肉の病気(器質的心疾患に伴う徐脈性不整脈)である事があり、いくつかの検査が必要となる場合があります。 簡単な検査としては、当院で行える胸部レントゲン検査や心臓超音波検査等があります。 また心臓MRI検査や心筋シンチグラムと言った、特殊な検査が必要となる場合もあり、その場合大学病院へ検査のためご紹介する事もあります(器質的心疾患の除外診断)。
また病気の初めの頃はあまり明確でなくとも、経過を追っていくうちに検査所見が大きく明瞭になる場合もあり、主治医の判断で定期的な検査が必要となる場合があります。

注意;上記は典型的な症状の一例です。個々の患者様に必ずしも当てはまるものでは有りません。必ず症状は主治医にご相談下さい。
三好クリニック(内科)
〜青山・表参道〜