三好クリニック 青山・表参道

内科・循環器・高血圧・不整脈

心臓の形ー4

脳は糖を使い、心臓は油を使う


人間の3大栄養素って知っておられますか? 糖分と脂肪とタンパク質ですね。 ざっくりというと、タンパク質は体の構造を作るのに重要です。 脂肪はエネルギーの貯蔵 糖分は即座に使われる利用効率の高いエネルギー源です。 じゃあ、タンパク質と糖分だけ食べていればいいんじゃないかと思われる方も多いかもしれませんが、油には油の役割があります。 動物はこの3大栄養素をすべて活動のためのエネルギーにする事が出来ます。 体を構成するあらゆる細胞はこの3つの要素を取り込んで、活動を繰り返しています。 しかし、脳と心臓だけは例外です。
脳がその活動のほとんどを糖に頼っているのは意外によく知られているかもしれませんね。 逆に心臓は脂肪酸だけを原料として活動しています。 脳と心臓というとても重要な臓器がなぜ、一種類の栄養素でしか活動出来ないという生命活動に不利な条件で生存しているのか、あまりよくわかってはいませんが、そうなのだから仕方ないということの様です。

ちょっとここで脱線して、脳が必要とする糖について説明してみます。


糖分は主に肝臓に蓄えられていて、食事から得られる糖分が少なくなると、肝臓に蓄えられた糖分が血液の中に分泌され始め、糖分を常に 90mg/dlから 110mg/dlの濃度に厳密に保とうとします。もちろん食事などの後には一時的に140mg/dl程度の濃度まで上昇することはありますが、それ以上にはならないように厳密に調整されています。 肝臓は体の中で一番重い臓器だと言われていますが、それでも蓄えられる糖分には限りがあります。 なので肝臓の中に蓄えられている糖質がなくなってしまうと、脂肪やタンパク質が分解されて、糖を作ろうとします。 こういった糖を他の栄養素から合成することを糖新生と言います。 「でんぷんや糖分をとらなければ脳細胞が死んでしまう!!」というのは大きな間違いですので、糖質の摂りすぎにはご注意ください。 何が言いたいかというと、3大栄養素は時間をかけさえすれば、お互いやり取り出来る栄養素だと言う事です。 不必要に取り込んだ糖質は脂肪として蓄積され、逆に糖がなくなれば脂肪が分解されて糖ができます。 もっと脱線してダイエットの話になりますが、脂肪で10キロを減らそうとすると、だいたい7万カロリーになりますので、35日間絶食してようやくなくなるぐらいです(極端なダイエットは危険なのでやめてくださいね)。 もっとも脂肪が分解される前に、筋肉などのタンパク質が分解されますので、現実にはもっと大変なわけなのですが、いずれにせよ大事なのは、肥満気味の人はちょっとお腹が空いたぐらいでは人は死なないということです。

心臓は油を使って動いている


一方で心臓は脂肪酸だけをエネルギー源として収縮しています。 その理由は大学にいるときに研究に携わった際にいろいろ勉強したのですが、よくわかりませんでした。 確かに糖分に比べて、安定して供給されるという利点はあるでしょうが・・。 なぜ他の栄養素を受け付けないのかはよくわかりませんね。 ただ例外として極端に元気が無くなった心臓の筋肉は糖分を使い始めるのですが、その際にその心臓の筋肉は収縮しなくなります。 心臓の役割を考えると、とても正常とは言えない状態です。
脂肪の話になりますが、脂肪を食べると皮下脂肪が増えると思っておられる方の中で、脂肪を全く食べない方がおられますが、それはあまり意味がありません。 まず根本的な間違いは、脂肪を食べなくても、糖やタンパク質からも脂肪は作られます(さっき述べましたね、3大栄養素は時間をかけさえすれば、お互いやり取り出来る栄養素という事です)。 そして脂肪を含む食材の中にはいろいろな栄養素が含まれていることが多いです。 例えばビタミンAやビタミンEなどの脂溶性ビタミン、こう言ったビタミンは皮膚の状態を落ち着かせたりする作用があったりします。 また体の中では作ることができない、必須脂肪酸と言われるリノール酸やリノレイン酸という脂肪酸が欠乏することがあります。 また脳は糖で活動していますが、8割は脂肪でできています。 すでに痩せている人が、極端に脂肪を避け、摂取カロリーを減らすことは、こう言った生物の機能の根本を揺るがします(例えば拒食症の方の大脳の前頭葉が小さくなってしまうという例が有名ですね)。 そういった現象は、とてもストイックに薬を飲むのを嫌うあまり、コレステロールを下げるために極端な食事療法に依存してしまう方にも見られます。 そういった方は、しばしば、必要な油の成分やビタミン等も取らない傾向があり、肌がかさかさになったり、とてもやせ細ってやつれたりする事もあります。 時々それをコレステロールを下げたためだと勘違されているような気がしますが・・。 悪玉コレステロール値の高いやせ形の患者さんは、あまり無理に食事療法にだけ固執しないで、きちんと内服された方が良いのになと思いながら、三好クリニックでは一応患者さんが納得するまで、1年でも2年でもつきあっておりますが・・・。 脂肪の中にはやっぱりある程度、体に必要な他の要素も含まれているのですから・・。 あ!、でも太っている人はちゃんと脂の摂取は控えてくださいね・・・。 もう十分栄養素とってますから。

これでしばらく心臓の形編を終わろうと思います。 まだまだ心臓の形や、リズムの出来方等、いろいろ興味あることはあるのですが、それはまた別の機会に。