三好クリニック 青山・表参道

内科・循環器・高血圧・不整脈

『体重が減らないんですが・・・』5

今回が最終回です。 ダイエットで最も難しく、最も自分自身が注意していることです。 それは減量した体重で維持すると言うことです。 
ダイエットに成功した。 10kgやせた。 その後、ダイエット成功記念に馬鹿食いして、体重が戻ってしまった経験ありませんか? 今までの体重との差を、「まだ貯金があるから食べて良い!」と考えて、食べ続けたりしませんか? なんとなく、外来で拝見していて、ダイエットに成功する患者さん結構いらっしゃるのですが、私も含めて結構多くの方が、また元の体重に戻ってしまう様です。 少しの理性と少しの忍耐さえあれば、実は体重を減らすのは誰にでも出来る簡単な事です。 たた食べなければ良いのですから。 でもその後目標体重を維持するのは本当に難しく、そしてそれが肥満の方に最も必要な事なのだと思います。 ここでは、その最終奥義(?)を伝授しておきます。 
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『体重が減らないんですが・・・』4

今回は第4弾です。  
ダイエットをするときに、たとえばこれをしたら後は何やっても大丈夫みたいな方法はありません。 体重がきちんと下がってくることがすべてです。 体重が下がらないダイエットはいくらやっても無駄だと思います(ただし体重の減少は10日で1kg程度しか下がりません)。 なので実践して、体重を毎日測定して今のダイエットが正しいかどうかを確認して、継続することが必要です。 ダイエットしているうちに、2-3週間するととてもひどい便秘になります。 これは皆さん避けることが出来ないと思います。 

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『体重が減らないんですが・・・』3

今回は第3弾、もう少し具体的な減量の極意を語ってみます。 
肥満気味の方に、一日1200kcalの食事をお話すると、たいていの場合、無理だと思われるようです(絶望されますね)。 まあ考えてみたら、一日菓子パン2個と牛乳瓶1本の生活、 一日ポテトチップ2袋と牛乳瓶1本の生活ですから、元気なくなったり強烈な空腹になるのではないかと思われるのが当然だと思います。 でもこれは空腹がなんなのかを理解してコントロールするとそんなに大変な事では無い事がわかります。そうすれば、ダイエットはほぼ成功したのと同じです。 
何度も申し上げますが、この方法は肥満気味の患者さんを対象としていますので、特に女性の痩身目的の方は絶対にこの後の記載はまねしないでください。

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『体重が減らないんですが・・・』2

今回は第2弾です。 ちなみに三好クリニックは肥満外来ではありませんので、肥満を治したいと言う方は糖尿病や内分泌外来にある肥満外来を受診してください。 このコメントはあくまで病気の治療として肥満の緩和が必要な患者さんに対する記載ですので、病気が無ければどれだけ肥満があっても「そのままで良いんじゃ無いですか?」と申し上げると思います。 
また、美容のためのダイエット目的ではありませんので(体に負担がでるほどに太っていることが前提の治療ですので)絶対にまねしないようにお願いします。 
今回は実際に体重を減らすのに、どのぐらいの食事のカロリー制限や体重の管理が必要となってくるかを説明してみます。


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『体重が減らないんですが・・・』1

BMI = 体重(kg)÷(身長(m)x身長) これが25を超えているようなら、皆さんの体重は標準体重を超えています。 平たく言うと太りすぎです。
肥満は、糖尿病・高血圧・高コレステロール血症・腰痛や変形性膝関節痛などの病気を悪化させます。 なので、こういった病気をお持ちの方には、できるだけ減量をおすすめします。
私もコレステロールが高かったり、以前膝を痛めたことがあって、体重が増えると膝が痛かったり、コレステロール値が高くなるので、患者さんに指導する関係もあって、自分でもダイエットしています。 ここでは私のやっているダイエット方法をちょっと紹介して見ます。
またダイエットと称して、BMIが18.5未満で痩せすぎなのに体重を減らそうとする方がおられます。 申し訳ないですが、そういった方はこれ以降決してお読みにならないようにしてください。 できれば、医師に減量を勧められたけれども、どうしても体重が減らない患者さんのみが対象となります。

減量って大変ですよね。 20代の頃はいくら食べても太らなかった方も、中年になるにつれて、仕事の質も肉体労働から頭脳労働になり、どれだけ運動をしているといっても、日頃補充に必要なカロリーは年々少なくなります。 少し食べ過ぎるとすぐ太るくせに、痩せるのはとても大変です。 三好クリニックでも患者さんに良くこの体重を減らしましょうという指導をします。 毎日2人ぐらい?? 私が指導する患者さんの多くは、もうすでにかなり状況が切迫していて、10kg以上体重を落としてほしい患者さんがほとんどなので、ここでは1ヶ月で3kg落としてもらう方法で説明してみます。
患者さんへの復習もかねて、ちょっとここにまとめてみたいと思います。
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慶應医学部の学生実習があります

2017年9月4日月曜日から、8日金曜日までの間、慶應大学の医学部の学生さんが地域医療の実習で見学にいらっしゃいます。
その間、診察室の横、心電図や採血、心エコー検査などの見学をされると思います。 時々聴診などさせていただくかもしれません。 ご迷惑をおかけしますが、ご協力よろしくお願いいたします。

三好クリニックの夏期休暇

三好クリニックは8月9日(火曜日)〜8月15日(月曜日)までの1週間、夏季休暇をいただきます。
三好クリニックは8月9日(水曜日)〜8月15日(火曜日)までの1週間、夏季休暇をいただきます。 申し訳ありませんが、この期間の診察は行っておりませんので悪しからず。 
8月16日水曜日から通常通り診療を行っております。 

また8月24日木曜日は保健所の研修に出席するため誠に勝手ながら18:00に業務終了とさせていただきます。 申し訳ありませんが公務ですのでご理解とご協力のほどお願いいたします。

心拍のゆらめき

人の心拍数はいつも一定ではありません。 安静にしていると一分間に60回ぐらい心臓は動いていますが、運動したり怖い物を見たり体温が上がったりすると心拍数は上昇します。 特に緊張などしていなくても、喋っていたりするだけで心拍は早まります。 心臓が口から飛び出そうなんて表現がありますが、運動したり全速力で走ったり、重い物をもって歩いたり走ったりすると、負荷に相応の心拍数の上昇があります。 すごく激しい運動をすると一分間に 180回とか200回近い心臓の鼓動があることもあります。 もっと増やせばもっと運動能力が上がるんじゃないかと思われるかもしれませんが、心拍数が早すぎると、有効な収縮にならないため、あまり運動能力が上がることはありません。

こういった心臓の心拍数の変化は皆さん日常生活で良く自覚されていると思います。 実はそれ以外にも皆さんの心拍は周期的に変化しています。心拍の揺らぎ、揺らめきと表現するほうが文学的ですかね。 人の心拍の揺らめきで最も目立つのは呼吸のサイクルにより心拍の揺らぎです。 人は息を吸ったときに心拍数が遅くなり、吐いたときに心拍数が早くなります(正確にはやや異なるのですが)。 ですので心電図を見慣れてくると、あまりに一定の心拍リズムだと不自然に感じたりします。 ペースメーカーなどの機械による調律ではこういった揺らぎが無く、心電図の心拍の揺らぎからそういった人工的な心拍かどうかを診断する事もあります。

こういった心拍の揺らぎが強い方は、若い人、胸板の薄い人、肥満気味で内臓脂肪の多い人によく見られるように思います。 呼吸を止めてお腹に力を入れたり(いきむと言います)すると息を止めていると心拍数が早くなり、息を再開すると急激に心拍数が落ちたりします。 入浴で浴槽に入るときや、急に体を横に倒して寝たりしたときにも、この反応があります。 この心拍の変化を、ほとんどの方は自覚されないのですが、前述の様な患者さんの中にはとても敏感にこの脈拍の変化を自覚される方がおられます。 何か命に関わる様な不整脈なのではないか、あるいは心臓の大きな異常なのではないかと不安になる方が時々おられて、その不安のために気分が興奮し、心拍数が更にあがって、更に不安になり、更に心拍数があがって・・・。 と繰り返し、どうにも苦しくなって救急病院に駆け込まれたりされる患者さんもいらっしゃいます。 呼吸の周期で心拍が揺れることを自覚されて、心拍が揺れないように呼吸を止めてしまったりする人もいらっしゃいます。 そういった患者さんの中には、本当に不整脈がある患者さんもいらっしゃるでしょうけれど、ほとんどの場合こういった脈の乱れは、まず一度気持ちを落ち着けて、別の少し楽しい事を考えたりすると自然に良くなってきたりする事が多いです。 この心拍の揺らぎは元々心臓が持っている、自動的に循環する血液の量を調整する機能の一つなのです。 
 

「ちょっとちくっとしますよ」2

前回は、皮膚の表面を貫通するときの痛みの話をしました。 今回は、もう少し深いところ、静脈の壁にある感覚神経を刺激して起こる痛みについて説明しましょう。

患者さんの中には「血管の壁が固いですね」と言われることありませんか? 結構採血の頻度が多いと思います。 これは正確には血管の壁が固いのでは無く、何度も血管の周りに出血し、それが治る際に、少し固めの繊維のような物や、石灰(カルシウム)が含まれた物で修復されてしまうため、血管の周囲が堅く分厚い物で覆われてしまうことによります。 なので高血圧などで問題となる動脈硬化とは全く違う現象です。 安心してください。 この堅い部分を貫通するときに、静脈の感覚神経を刺激して痛みが出たり、壁のところの抵抗が強すぎて、針が血管の中にきちんと入りきらず、採血するときに周囲に血液が漏れ出してしまい、それが痛みにつながることがあります。 もう何度も採血していて、そうなってしまっている人は仕方ないのですが、こうならないようにするには、前回の採血時にきちんと血を止めておくことが大事です。 ここのクリニックでは、皆様の処置の時間をある程度とっていますので、採血したあと、きちんとスタッフが血液を指で止めていると思います。 しかし、大学病院だと血を止めるのを患者さんに任せっきりにしたり、バンドみたいな物で止めたりしているんじゃ無いでしょうか? 血液を止めるのに患者さん任せになってしまうことが多いのです。  イメージ的には、小さな「かさぶた」で血管の穴をふさいだ方が良いというところでしょうか? 血液が止まらず、どんどん大きなかさぶたになって止まってしまうと、表面のかさぶたなら直ったときに「ぽろっ」ととれますが、皮膚と血管の間に出来たかさぶたは、そのまま繊維とか石灰に置き換わってしまうのですね。 

よく患者さんに見られる止血の間違いを説明して見ましょう。
1,すぐ肘を曲げちゃうのは良くないです: 患者さんでよくお見かけするのは、採血したあと、消毒のための綿を肘の内側に挟んで、肘を曲げて綿を落とさないようにして。 反対側の手で、鞄を持って歩いていたり、スマホに夢中になっている人いますよね。 それをするとたいていの場合2-3日すると、肘のところが真っ青になって、大きな内出血を起こしてしまうことが多いです。 肘は伸ばして、反対側の手の指先の腹の部分で押さえてください。 それほど力を入れなくても止まります。
2,指の先っぽで力一杯押し込むのは良くないです: 出血するのが怖くて、指の先端でぐいぐい押し込んじゃったりしている人を見かけることがあります(指を立て押してはいけません)。 指の先端は力が加わりますが、面積が狭く、強く押と、肝心の血管の穴の開いた部分が、指先からずれてしまっていることが多いです。 押さえるのは指の腹で押さえるのが良いでしょう(指を寝かせて)。 それほど力一杯押さなくても、ピアノの鍵盤を軽く沈めるぐらいの圧力で3分ぐらい押さえると必ず止まります。
3,止血用のバンドを過信しないで: 最近止血用のゴムのバンドを着けてくれるところもありますね。 ただあのバンドつけた状態でも肘を曲げたりすると、上の方にずれたりしてしまい、知らない間にバンドが血管の穴を外れてしまうことがあります。 バンドを着けているからといって、あまり安心しないで、きっちり肘は3分ぐらいは伸ばして動かさないようにしておいた方が良いです。
4,血液をさらさらにする薬や、鎮痛剤などを連量している患者さんだと、血が少し止まりにくくなります。 その場合は我々スタッフに任せてください。 
こうやって採血の時にきちんと血液を止めていると、採血の時に何度も刺されにくくなりますし、採血の時の痛みも和らぐ傾向にあります。  採血の時痛いより、痛くない方が良いですよね・・。

「ちょっとちくっとしますよ」1

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採血とか注射とかって痛いですよね。 私も時々採血されますが、平気そうな顔しながら、痛そうだななんて考えながら、足の指をもぞもぞさせてたりします。 大人になったら我慢するもんだって教わりましたから・・・。 
今は違いますが、我々が若い研修医の頃は慶応大学病院の内科外来の患者さん全員の採血をまとめて採血するドクターが決まっていて、 毎週交代で4時間ぐらいの間、ただただ採血するということをさせられてました。 その当時は、いやでいやでしょうがなかったですが、今にして思えば、多くの患者さんで採血のトレーニングができたという面と、外来で見せる患者さんの顔と違う、どちらかというと、とても率直な、厳しい意見を捨て台詞のようにおっしゃられたりして・・。 それで自分たちの立場を理解できるという意味でもよかったのだろうと思います。 患者さんはそういったビギナーが担当するのでいやだったかもしれませんね・・。 今更ですが、すいませんでした。 
私の同級生で一緒に処置室当番(採血当番)に当たっていた人は、少し採血が苦手だったみたいで、よく「へたくそ」とか「今までで一番痛かったよ!」と言われていたのを聞いた覚えています。 私も、言われていたんでしょうけど、なんだかよく思い出せないですね。 きっと自分の傷口を見ない様に忘れているだけなんだろうと思います・・・。 よく当番が終わったと、みんなで昼飯を食べながら、愚痴を言い合っていました。
医者が診察して得られる所見と違って、採血で得られるデーターはとても客観的です。 現在の医療は一人の医者が一人で考え診察するというものではありません。 我々の様な小さなクリニックでも、データーを開示の希望があればすぐいたしますし、ほかの大病院の医者にデータを見せていただいても、多くの医者が同じような意見に達する、そういった治療をしてゆく必要があります。 そういった点で我々医者の治療のよりどころであり、患者さんと病状を確認しあうために必要な検査でもあります。 例えるなら、方位磁石とか車のスピードメーターとかでしょうかね。 磁石やスピードメーターと違って、一度見るたびに痛むのが難点ですが・・。

今、僕は採血するときに、おそらく「ちょっとちくっとしますよ」って申し上げていると思います。 実は、口でしゃべりながら、採血の場所(針の刺位置とか角度とか)を考えているので、自分で何言っているのかあまり覚えていません・・。 でも研修医の頃、先輩の先生が言っているのを聞いて、みんないろんなことを言っていたのを覚えています。 正直どういうのがいいのかって、迷いますよね。 特に子供さんとかだと・・・。
医者:「痛くしないからね」
子供:・・・・(無言)。
医者:「あ!、あそこにアンパ○マンがいるよ!」 チク
子供: 痛ーい! 先生の嘘つき!!

本当はどんなことを言っても痛いのは痛いのです。 ただ、どうしたらより痛くないのか、痛くない方法をいろいろ考えながら採血しています。

ではどうして、針を刺すと痛いのでしょうか? もしかしたら、これを読んでいる人は「馬鹿なんじゃないの、針刺すんだから痛くて当然だよね」と思っている人多いんじゃないでしょうか? でもそんな当然のことを、理詰めで考えていくのが医学なのです。 

針を刺すときに痛みがあるポイントは2つあります。 まずは皮膚の表面の感覚神経です。 皮膚の表面には感覚神経がたくさん分布してます。 でもそれは均一に存在しているわけではありません。 感覚神経のネットワークは、皮膚の表面の「表皮」といわれる、細胞が積み重なった部分の真下あります。 なので痛みの第一ポイントはその表面を貫通するときにあります。 その表皮のネットワークを針で圧迫する、あるいは直接切断して神経が電気信号を出すことで、脳が痛みとして感じとります。 その刺激が弱ければ、人は、それを「かゆい」ぐらいに感じるでしょうし、強ければ、痛みや、あるいはもっと強ければ、熱いという感覚として感じることになります。 その感覚神経は面ではなく、点で感じています。 ですので運良くその点を刺激しなければ、痛みを感じない訳です。 そのネットワークの密度が多いところは痛みを感じやすく、ネットワークの密度が薄いところだと感じにくくなります。 しかしいくら密度の薄いところで針をさしても神経に当たってしまえば、痛みを感じることに変わりありません。 なので患者さんが採血の時に痛かったり、痛くなかったりする原因の一つは、ほんの些細な偶然によって決まっています(なんだか書いてていいわけがましい気がしてきました)。 
脱線しますがこのネットワークの密度ですが、皆さんも簡単にチェックすることができます。 たとえばコンパスや、両方とも針になってるコンパス(デバイダーといいます)で、手や足を触ってみてください。 大きさを狭めていって、針先を2つに感じる距離られる最小の距離、 これを「2点識別閾」というのですが、これが小さいほど感覚神経の密度が高く、痛みに敏感ということになります。 小さいのは、やはり指先とか、手のひらとか手の裏ですね。 肘や二の腕の外側などはそれが大きく比較的鈍感ということになります。 なので通常皆さんの採血をされるときには、肘から採血することが多いわけです。  
皮膚の表皮の厚みや堅さ、そして針の先端の力が加わる面積によっても痛みの強さは決まってきます。 具体的には太い針の方が、針先の面積が大きいので痛みも大きくなります。 そして先端が表皮に当たってから表皮を貫通する時間、皮膚にかかる圧力は同心円状に周囲に広がり、より広い周囲の感覚神経を刺激しますので、針があたってから表面の表皮が貫通して表皮が引っ張られている時間が短いほど、もっと簡単に言うと、「迷いなく、ざくっ」と刺した方が痛みが少ないのです。 これはよく剣豪小説などで、あまりに切れ味がよすぎて、切られたことがわからない、といった表現がありますよね。 また日常では、紙の端とかで皮膚が切れたりしたときに(かまいたちとかっていいますね)、切れた瞬間はわからなくても、後から結構ぱっくり大きく切れてたりすることありますよね。 それは感覚神経が表皮の真下に集中しているので、その部分を抵抗なく切ってしまうと、痛みの神経を刺激する数が減り、痛が感じにくいという原理なのでしょう。 もうちょっと具体的に言うと、「他人の痛みをあまり躊躇しないで、針を迷いなくブッ刺すひと」のほうが、痛みを感じにくくすることができる訳です。 ちょっと術者にとっては複雑なのです。 そしてもう少し踏み込んで言うと、患者さん側が明らかに痛そうにしていると、刺す方も痛いかもという迷いがでて針刺しのスピードが遅くなり、その分痛くなるという悪魔のような法則が成立します。 なので僕自身は、心を鬼にして、指すときは血管を貫通させで奥まで貫かないように手加減しながら、勢いよく皮膚を貫通させるようにしてます。 

さて、だいぶんボリュームが大きくなってしまったので、 採血の時に痛みを感じる理由その2はまた後日掲載します。

続き

人は例外が好き

人は例外が好きだと思います。
物語の英雄や主人公は平凡ではありません。 何か特殊な能力を持っていたり、とてもラッキーだったりします。 そしてそれを平凡な自分たちの人生に直接当てはめようとする大人はいないでしょう。 ダイハードのジョン・マクレーン刑事や、スターウォーズのルーク・スカイウォーカーの様な人生を実現しようとする人はいませんよね。 もしかしたらどこかにいらっしゃるかもしれませんが、それはやはり例外だと思います。 ただ、その中の主人公たちが直面する問題を解決してゆく時の葛藤や心や意志は、形を変えてきっと平凡な我々の生活のなかでも生きてくるものだと思います。

人は例外が好きだと思います。
戦争の英雄や、企業などの成功談は、例外だと思います。 戦場で死んでいった人たちは物を言いませんし、うまくいかなかった発明や没になった企画はそれこそ普通に何万・何億とありそれらは決して語り継がれないからです。なのでそういった英雄や成功談は、無限にある失敗のなかの偶然にもうまくいっただけ、ただ運良く生き残っただけのお話が語り継がれているのだと思います。そしてそれらの成功談や英雄の話を聞くのが我々はとても好きです。 秀吉や信長、松下幸之助やエジソン、スティーブ・ジョブスなど。 彼らの話はとてもドラマティックで、我々を勇気づけてくれることは確かですが、あくまでも例外であって、平凡な我々が彼らのまねをして振る舞ってみても、決して彼らのようにはならないはずです。 

人は例外が好きだと思います。
自分がよく知っている事柄を他人に説明するとき、多くの人は例外の話から始めます。 たとえば、「奥さん知ってました? 私はねそんなこと思ってないんだけど、誰とはいわないけど、周りの人ねみんなあなたのことXXXって言ってるんですよ、やーぁね。」。 たとえば、古文の授業などで覚えさせられた「あり・をり・はべり・いまぞがり」とかを聞いて、なんとなく、「これで古文は完璧」などと思って油断して本試験で玉砕したり。 知っている人間が教える際、間違えを恐れるあまり、例外から教え始めます。 そして教わる人は、例外から覚え、例外を知ってすべてを知った気になる傾向があります。 医者の病気や手術の説明なども、多くの医者は短時間ですべての事項を説明するために、手術という治療の上での例外である合併症の話を延々します。 そのため時々、患者さん側は、「この治療は事故ばかり起こる手術なんだな」と感じてしまうことがあります。 それは、それを説明する人間も、そしてそれを聞く側の人も、例外がとても好きであり、例外こそが印象に残るからなのでしょう。

医学はなんの面白みもない平凡を追求します
医学の仕事は、平凡がどういうものかを客観的に知り、それを皆に伝える仕事です。 平凡に命を長らえる方法、健康な状態を維持する方法を伝えるための物なので本来とてもつまらないものです。 現代の刺激に満ちた世界にどっぷり浸かっている皆様にとって、これは本当につまらないですし、無視されることもしばしばです。 でも最近になって、マスメディアは医学も娯楽にしようとしています。 患者さんへの病気に対する知識や啓蒙は大事だとおもいますが、それをショウやクイズの様に提示して娯楽にするのはとても危険な行為だと思います。 医学はつまらない平凡な物であって、視聴率をとる事や雑誌の売り上げを上げるために無理に楽しく面白くする物ではないのですから。 
去年過熱気味だった週刊現代などに見られる薬の副作用の記事などもそういった物の一つだと思います。 彼らの報道で、彼らの本来の顧客である読者の命を危険にさらしているという事に、彼らが気づいていたかどうか知りませんが。もしも何らかの主義主張があっての記事なのならば、記者自身がきちんと実名を出して報道すべきだし、一般の方でも医療の専門雑誌の情報(MEDLINE 医薬文献検索)は簡単に手に入りますので、記者なのだからきちんと取材して裏付けをとってから記事を書くべきだったのではないかと思います。 

お薬を飲まない選択
私自身、薬を飲むのがあまり好きではありませんので、私の外来では何か理由が無ければあまりお薬処方いたしません。 しかし、処方された薬を飲みたくないとおっしゃる方も多いです。 人工物だから口にいれたくないとおっしゃる方も多いです。 薬の副作用が怖くてとおっしゃられる患者さんもいらっしゃいますね。でも薬の副作用は珍しい例外なのです。 ですが全く無いわけではなので、注意してお薬を使用する必要があるのには変わりありません。
病気があるという事は、戦場に派兵されたと言うことと似ていると思います。 戦場に送られる皆さんに、医者は、「防弾チョッキあげますよ(薬投与します)」と言っています。 しかし患者さんは、「防弾チョッキは重いから着けたくないんだよね」とおっしゃられます。 医者は皆さんに「防弾チョッキの中には時々内側に小さなとげが出ている物があります(薬の副作用)、また材質によってはかぶれたりすることがあるので、そのときは別の物と交換しますのでおっしゃってください。 ただ汗などで蒸れたりするのはこれは我慢していただくしかないでしょうね」とおつたえしてチョッキを渡します。 中には「チョッキからとげが出てたら痛いじゃない、そんな物つけられないよ!(副作用が怖くてお薬飲めません)」とおっしゃられて、防弾チョッキをはじめからつけようとしないで戦場に出る人もいます。「弾など当たらなければどうということはない」とか、「動きが遅くなる分戦闘には不向き」とかおっしゃられる事もあるでしょう。 確かに達人ならそういうこともあるかもしれませんが、それは例外であって、多くの方は重要臓器のある部分をカバーすることで、戦闘で死ぬ確率はずいぶん減るはずです。 あなたは、赤い彗星ではないのですから、身の丈にあった平凡な事をされた方が良いと思います。 「防弾チョッキを着けないほうが良い」という可能性に命をかけるのは皆さんの選択の自由でもありますのであまり多くを申し上げませんが、個人的には「あなたが命をかける場所はそんなところではないのではないかな〜」と思うわけです。

酒は百薬の長ならず

もうそろそろお花見の季節は終わりですね。 夜桜見ながら、酒を飲む・・。 なかなかに魅力的ですよね。 ただ、なんとなく私はそのあと桜の木の周りに捨てられたゴミの量をみて、とても残念な気分になる方です。 やはり桜に敬意をはらって、ゴミは持ち帰りましょうね皆さん。

私自身は大学をやめてからほとんど飲酒しなくなりました。 お酒は嫌いではないですが、特にどうしても飲みたいという訳では無いのでしょうね。 昔から「お酒は百薬の長」という言葉があります。 お酒飲んでると年いっても元気とか、おそらくそういう意味あいにとられるんでしょうね。 確かに、高齢になっても元気にお酒を飲んでいる人を見ると、目立ちますし、元気そうに見えますが、だから飲んだ方が「元気で長生き」できるかというとそういうわけではなさそうです。 
海外の医学専門雑誌に今年掲載された研究では、一日あたりのアルコール摂取量が 12.5g以下の方が、認知症になりにくいという事が報告されています。 12.5gというと、ビールだと310cc 、チューハイだと150cc、日本酒だと100cc、ワインだと110cc程度だそうです。 なので毎日これ以上の飲酒をされている人は、そのお酒は薬ではないと思った方がよいでしょう。 
それ以下しか飲んでいない人も毎日このぐらいのんだ方がよいかというと、そうでは無いだろうと私は思います。  飲酒をされる方の多くは、友人や知人、気の合う人と会話をしながら飲酒される方がほとんどですよね。 元々そういった飲酒の機会の多い、人とのつながりのある方は、認知症になりにくいという事を観察しただけなのではないかなと思います。 

なので私の意見は、やはり飲酒はほどほどに。 しかし、飲み会に誘われたらビールのいっぱいぐらいは飲んでつきあった方がよいかもしれませんね。 人とのつながりというものは、やはり大事なのだろうなと思います。 

※Xu W, et al. Eur J Epidemiol. 2017 Jan 17.

10年後の皆様へ

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医者「だいぶ血圧高いですね。 減塩してもらったり、運動とかしてもらいまいしたが、あんまり効果無いみたいですので、やっぱりちゃんと薬飲んだほうが元気で長生きできますよ」
患者「いや〜、でもお薬飲むと一生飲み続けないといけないんでしょう?・・・。」
医者「・・・」

血圧やコレステロールのお薬を処方開始するときに、1割ぐらいの患者さんとこういうやりとりになります。 そういう時毎回説明するのですが、私の説明があまりうまく無いのか、結局おくすりを処方するのはそいう話題になっても1割ぐらいでしょうかね・・・・。  

患者さんの心理としては、お薬を一生飲み続けるということは、病院に縛られるということでもありますね。 ティーンエージャーの頃は、そういったお薬をのみ続けることが必要なかったはずで、そういう若い頃の健康な体の感覚が抜けないのでしょうね。

ただ医者の立場から客観的に申し上げると、こういったお話になる患者さんは、ご自身の体の重大な現実を無視しているように思います。
1,まずは患者様は、もう若くないということです。
2,そして、現在の患者さんは薬を飲まなくても困りませんが、10年後の患者さん本人が被害を被るということなのです。
3,生活習慣を改善すること(体重を標準体重にして、一日1時間弱の少し汗ばむぐらいの運動と、塩分摂取量を一日10g以下にすること)、ほとんどの患者さんは薬を飲まなくても良くなります。 でもそれを実行するにはとても強い精神力が必要です。 それができないので、お薬を飲んだほうが良わけです。 きちんと、生活習慣の改善が出来れば、一生飲み続ける必要は無いこともあります。
治療に抵抗される患者さんの多くは、こういう現実を無視する傾向にあります。 すべてを無視して現状を維持しようとされるのですね。 しかし、年齢は決して維持できないのです。もう少し現実を見たほうが良いと思います。

10年後のあなたは具体的にどんなふうな被害を被るのでしょうか?
一人の医師として、血圧の治療を拒絶される患者さんと、きちんと血圧のコントロールができている患者さんを10年ぐらい見比べてみると、治療されていない患者さんは、心筋梗塞や脳梗塞になって半身不随や痴呆になられたりするリスクが高くなります。 もちろん全員がそうなるわけでは有りませんが、ほとんどの患者さんは、70台の半ばにさしかかると、耳の聞こえが悪くなり、皮膚の肌ツヤが悪くなり早く老け込みますし、お話も迂遠になったり、物忘れがひどくなってきたりされていきます。 そして通院することができなくなり、おつきあいがそこで終わってしまいます。 これは歳だからしょうがないと思われるかもしれませんが、きちんと血圧やコレステロールのコントロールができている患者さんは、80歳の後半になっても、元気で若々しいです。 

10年後のあなたは現在のあなたと違う意見を持っているかもしれません。 ぜひ10年後の自分自身の意見に耳を傾けてあげてほしいです。 もっと元気で、もっとはつらつと生きていけるはずです。

クリニック6年目に入ります

三好クリニックのビルの前にある街路樹が、寒さでそろそろ茶色になり落葉をはじめました。ここの街路樹が植えられたのがちょうどクリニックを始めた年の夏だったと思います。 始めの頃は、細い苗木でしたが、今では葉っぱも多くなり、2階のクリニックの窓の前はほぼ半分ぐらい、この街路樹で埋め尽くされてき始めました。 ちょうど高さも2階ぐらいでしょうか? 反対に、はじめの頃は、クリニックの処置室においておいた草花が、光を浴びてとてもよく育っていましたが、去年と今年になって、だんだん日照が遮られて育ちが悪くなりつつあります。 10年も経つと、ほとんど街路樹の影になりだいぶ暗くなるかもしれませんが、夏は少し過ごしやすくなるかもしれません。 仕方ないので、植物が育ちやすくなる波長のLED電球を購入して、クリニック内の植栽が長持ちするようにし始めました。 三好クリニックもこの街路樹とともに、おそらくこれからも続いていくのだと思います。 きっと私のほうが先に引退するでしょうね。 私がこのクリニックをたたむときには、きっと馬鹿デカい街路樹に育っているのだろうと思います。 朝この街路樹を見るたびに、ああこれだけ続けて来たんだなとちょっとだけ木に挨拶して建物に入ります。

お陰様で三好クリニックは今月の16日で5周年をむかえ、6年目に入りました。 開院時にはもしかしたらあまり患者さんいらっしゃらなくて、2-3年でたたまなくちゃいけないかもと思いながらやっていましたが、患者さんも増えて、5年経ってもなんとか続けさせていただいております。 最近は不整脈だけじゃなく、風邪で近所の患者さんも結構いらっしゃって頂いています。 クリニックは11月と12月は、ワクチン接種や風邪等の患者さんが多くなり、どうしても予約が取りにくい状況が続いています。 ご迷惑をおかけします。 今後も精進いたしますので、皆様よろしくお願い致します。

学会出張のため臨時休業します

三好クリニックは8月9日(火曜日)〜8月15日(月曜日)までの1週間、夏季休暇をいただきます。
突然ではございますが、明日 2016年10月29日土曜日 誠に勝手ながら、学会出張のため休診致します。

インフルエンザワクチン接種開始

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最近めっきり冷え込んで、風邪の患者さんも少し多くなってきたような気がします。 まだ大人のインフルエンザの流行には早いようですが、12月頃になると少しずつ増えてくるので注意が必要でしょうね。
今年(2016年から2017年の春)も、去年と同じ税込みで¥3,600とさせていただきます。
予約無しでもワクチンの接種は致しますが、午前や午後の終了間際に来院されるのは危険(副作用が出た場合)ですので遠慮ください。 
できましたら事前にご一報いただけると、ワクチンの準備をしてお待ちできますのでありがたいです。

慶應医学部の学生実習があります

毎年秋になると1名から2名ほど、慶應の学生さんが地域医療の実習にいらっしゃいますが、 今年も来週10月3日から7日までの間、学生さんがいらっしゃいます。 診察のときに心電図を取ったり、採血の見学をしたりすると思います。 申し訳ありませんがご協力いただければと存じます。 
医学部の6年生ですので、もうほとんどお医者さんといったところでしょうか? 皆さん医学部を卒業すると医師免許をとったらすぐに一人前のお医者さんになると思っておられると思いますが、一人で仕事を任せられるようになるのにだいたい卒業後6年から10年ぐらいかかります。 彼らが学生のうちに学んでいるのは、簡単な病気の原理原則とそれと経験のある医師と会話して学ぶ機会を得るための言葉(医学用語)ぐらいのものなので、まだ治療に関わったりすることはできません。 ですので見学といっても、開業医がどういった仕事をしているのかということを実際に見てもらったり、まだ右も左もわからないお医者さんの卵に医者の心得というものを学んでもらう場所なのだろうと思っています。 そしてそういったお医者さんの卵も10年もすると、きっと私なんか足元に及ばないぐらいの活躍をされるのだと思います。 

「動悸があるんですが・・・」「具体的にはどんな感じですか?」

「動悸」って言葉、みなさんも聞いたことがあるのでは無いでしょうかね。あまり日常で使われる言葉ではないですよね。もともとは、平常時には感じない心臓の脈打つ感じを感じるという意味なのですが、その動悸のパターンにもいろいろなものがあります。 このクリニックは一応、不整脈を専門にしているクリニックなので、この動悸という症状で来院される方が多いです。

日常に見られる正常な動悸


全力疾走した後に、ゴールの後ハーハーしている時に、心臓が「どんどんどんどん」と強く早く動いているのを感じたり、胸の壁を内側から打ち鳴らすみたいに感じることってありますよね。 後は急に驚いたり、びっくりした時の後にしばらく、心拍数が早くなり、心臓が動いているのをリアルに感じる。 こういう現象は人間の通常の反応でみなさん特に疑問を感じることは無いでしょうね。 この状態は動悸を感じる状態です。 こういったことがあるからと言って、医者にかかろうとは思わないですよね。  こういったことを調整しているのは、アドレナリンというホルモンです。 アドレナリンが分泌されると、心拍数が上がり、血圧が上がり、心臓が打ち出す血液の量は平常時の5倍ぐらいまで上がります。 アドレナリンの効果についてはまた別の機会に紹介するとして、こういった心臓の活動を動悸として自覚するわけです。

動悸のパターン1「脈がドクンと急に一拍大きく感じる」「時々心拍が止まることがある」


みなさんの心拍数は規則正しく一定のリズムで刻まれています。 しかし時々、そのリズムが途切れる場合があります。 一度途切れた後、また元のリズムに戻る。 こういう脈の不整を「結滞」「期外収縮」と呼びます。 平易な言葉で言うと「心臓のしゃっくり」のようなものだと考えてもらえると良いでしょう。 しゃっくりは横隔膜の痙攣です。 普通に呼吸をしていてい、呼吸のリズムと全く関係なく、突然横隔膜が収縮するので、違和感を感じるわけです。  一般的なしゃっくりは、一つの呼吸サイクルに対して1回以上起こることはあまりありませんね。 心臓についても同様で、一回の呼吸サイクルに関して1回だけ別のタイミングで収縮が起こる。 これを期外収縮と呼びます。 こういった不整脈の場合、基本的には患者さんがその不愉快な症状を我慢できるならばあまり危険な不整脈ではありません。 しかしその不整脈が心臓の他の病気の警鐘であったりすることがあります。 例えば、心臓の筋肉の病気、心筋梗塞などに付随する症状などです。 ですので、やはり一度は医者に判断してもらったほうが良いことは確かですが、大多数の方は全く問題がない場合が多いです。 患者さんによっては、脈が飛ぶという感じより、心臓の動きが急に変化するために心臓が横にある肺に強くぶち当り、胸膜という肺を取り囲んでいる膜を刺激するため、「咳は出ないんだけど、咳が出るような感じ」とおっしゃられる方もおられます。

動悸のパターン2「心拍が規則正しく早くなります」


心拍が、思い当たる理由がなく早くなります。 そしてそのリズムは規則正しい。 そういった動悸のパターンがあります。  そういった脈が数秒で収まることもあれば、1−2時間続いたり、長い人だと半年ぐらい続いたりすることもあります。 こういった動悸の中にも正常な心拍がただ早くなっているだけという方もいらっしゃいます。 むしろ外来で拝見しているとそちらの方のほうが多いでしょうかね・・。 その区別はやはり動悸の症状がある時に心電図をとってみないと最終的な診断ができません。 しかし、1) 毎分150回以上の心拍がある患者さん 2) 心拍が突然早くなり、 自分でもわかるぐらいに突然元に戻る患者さん 3) 動悸がした後に目の前がかすんだり、意識が遠のくような感じがある 場合は何らかの不整脈があることが多いでしょう。 しかし頻度が少ないとなかなか検査することが難しいです。 今最も多く用いられる心電図検査は、24時間連続で記録するホルター心電図といった検査か、あるいはご自身で購入いただく、携帯型心電計(例えばOMRON 携帯型心電計 HG-801などでしょうかね)、などになります。 いずれも週に一回しかおこらないとか、あるいは起こっても数秒で止まってしまうようなものだと、なかなか偶然にその時に心電図と当てていないと記録するのは難しいです。 あまりに症状が強かったり、あるいは、症状から不整脈を強く疑わせる点があったり、患者さんが完全に不整脈を根絶することを希望されている場合、体に埋め込むような形の心電計を入れてずっとモニターしたり(今だと車のドライブレコーダーのようなものでしょうか? 一世代まえのUSBメモリースティックのようなものを皮膚の下に埋め込みます)、あるいは入院してもらって心臓の中に電極を入れた状態で、電気刺激を行って不整脈を誘発したりすることで検査を行うことがあります(臨床電気生理学的検査)。

動悸のパターン3「心拍が全く一拍ごとがバラバラで」


心拍のリズムが一拍ずつ全く間隔が異なる状態です。 この場合、この不整脈のほとんどは心房細動という不整脈であることがわかります。 もちろん、このバラバラという表現がなかなか患者さんには理解してもらえないことがあって、難しいのですが・・・。 全部の心拍が全く規則性の無い、無秩序(ランダム)なタイミングで感じる。 というのが適切ですかね。 もちろん心電図での診断はその治療をどうやって組み立てるかという点でも重要になります。  まずは循環器内科に受診されて、心電図をとることをお勧めします。 多くの場合、心房細動は高齢者や高血圧の患者さんの病気です。 ですので、若いうちにこの不整脈が出られる方は、遺伝的な素因がある珍しいケースか、それとも心房細動を起こすような何らかの心臓の構造上の問題点があったり、ホルモンやミネラルバランスの異常が大本の原因だったりすることがあります。 心房細動自体は命に関わるような危険な不整脈では無い場合が多いですが、心房細動に関連した脳梗塞(血栓塞栓症)や、心臓の構造上の異常の発見につながったり、あるいはホルモン異常が見つかってその治療が必要だったりする場合があります。 なので幾つかの検査をさせていただくことになります。

動悸のパターン4「心拍がゆっくりで、一拍一拍が大きい」


基本的にこの動悸のパターンは不整脈でないことが多いです。
では何かというと、人は強い痛みや内臓の圧迫や引き攣れなどを起こすと、副交感神経(迷走神経)という神経が働いて、心拍数を落とすホルモン、アセチルコリンというホルモンが分泌されて心拍数が急激に低下することがあります。 例えば大きく息を吸った瞬間とか、思いっきりトイレで気張ったりした時とか、急にベットにバタンと横になった直後とか、特に体が地面に固定されている寝転がっている時が多いですが、そういった時に心拍が遅くなり、代わりに一回の心臓が送り出す血液の量が多くなるため、一拍一拍の心拍が大きく強く、そしてゆっくりになることがあります。 これは、内臓反射(迷走神経反射)によって起こる人体の正常の反応の一部ですのであまり心配されることはありません。
ただ、時々先程のパターン1、期外収縮が一つの正常な心拍に対して、規則正しく一回ずつ起こる方がおられたり(2段脈と言いますが)、心拍のリズムを作っている部分やそのリズムを心臓全体に伝える回路がうまく動作しなくなる病気があることがあります。 ただそのような場合、その異常はいつでも見られることが多いため、来院されて心電図をとってみるとわかることが多いのですが、とても珍しいですが一過性にそういった不整脈が見られ、通常は全く正常で、心電図ととってもわからない場合もあります。 そういった場合でも、実はその症状の直後に採血するとある程度のことが予想できる場合があります。

動悸といってもいろいろなパターンがあるのですね。 なので不整脈のドクターを受診すると、まずは根掘り葉堀り聞かれると思いますが、ご協力お願いいたします。 あと、その時動悸の症状がなくても、心電図をつけた瞬間に偶然その時に不整脈が出たりすることもありますので、ご面倒ですが毎回心電図とらせてください。 不整脈の無い時に心電図をとっても全く意味は無いのですが、患者さんに動悸がないことが不整脈が無いこととも限りませんので・・・。

心エコーの左手法

心臓の超音波検査、心エコーという検査があります。 私が研修医になった1990年代には、洗濯機3台分ぐらいの大きさがあって、その中に電子器機が詰め込まれてしました。 それを患者さんのところまで運んで行って、心臓の動きを観察するのですが、VHSのビデオテープに記録していました。 今ではそれより性能の良い機械が少し大きめのノートパソコンぐらいの大きさになっていて、記録もメモリー上に電子的に記録されていますから、本当にすごいものです。 確かその頃のパソコンはハードディスクが入っていることは珍しく、入っていても 40メガバイトぐらい。 今ならRAMでもそんな小さいメモリーないですね。

私の研修を受けた慶応大学は左手法といって、左手でエコーの先端を患者さんに当てて、右手で機械の操作をするという方法を取ってます。 後になって知ったのですが、この方法は実は少数派らしいです。 よその病院から来た看護師はちょっとギョッとするみたいです。

患者さんにとって、右手でも左手でもあんまり変わり無いじゃ無いかと思うでしょう? 実は患者さんとって大きな違いがあります。 左手でとると、患者さんと検査をする人は向かい合って検査を受けることができます。 なので検査の映像を見ながら検査をすることになり、検査中に心臓の様子を説明することができます。 右手法だと、患者さんは検査している医師の顔を見れず、なんだか後でゴソゴソやっているなという風になります。 あと、右手法だと、患者さんの背中から右手を回し、患者さんを脇の下に抱えるようにして検査します。 なのでちょっと密着感があります。 冬ならまあ暖かい程度で良いでしょうが、夏だとちょっと、暑苦しいですね。 あと、とても体の大っきなかただとちょっと手の長さが足りなくて、心臓まで手が届かないかも・・(絵でも書ければよいのですが、下手くそなので失礼します)。

エコー検査は超音波を発射してその反射してきた超音波を拾い上げて画像にする検査です。 魚群探知機や潜水艦のソナーと同じ原理です。なので超音波が伝わりにくい肺とか、あるいは超音波がその裏側に到達しない骨とかシリコンが苦手です。 心臓は肺に囲まれてしますし、肋骨に囲まれていますので、両方ともとても苦手なのです。 ちゃんと心臓を観察するためには、患者さんの左側を下にして、顔を横向きに横になって寝てもらう必要があります。 左胸を下にすると血液の重みで心臓が少し左側に移動し、胸骨という胸の真ん中にある骨から少し左側に顔を出してくれて、それで心臓が観察できるようになります。 ほとんとの方は心臓が左にありますので、右手で検査をすると、どうしても患者さんにお尻を向けなくてはなりませんし(ちょっと恥ずかしい)、患者さんの左手が邪魔になってうまく検査出来ないので、どうしても背中から抱え込む姿勢に落ち着くわけなのです。

検査技師がとても美人で、密着する右手方の方が良いよとおっしゃる患者さんもいらっしゃるかもしれませんが・・・。 白髪混じりの中年のおっさんの私としては、やっぱり対面しながら、病状を眼の前で説明しながら検査をできる左手法を覚えてよかったなと思っています。 ただどうしても左手は利き腕じゃないので、力が弱かったりして、エコーの先端がきちんと患者さんの身体と密着出来ないため、綺麗な像が取れないという欠点もあります。 本当かどうかわかりませんが、慶応のエコー検査の技師さんは、左手の筋肉トレーニングをしていたとお聞きしてます・・。 なので本当に綺麗な心臓の画像を記録できる技師さんのエコー検査は痛いです。 ぐいぐい押し当てられますので。

息を大きく吸い込むと肺が膨らんで心臓に肺が覆いかぶさってしまってよく見えなくなってしまうので、呼吸を吐いたところで止めてもらったりします。 研修医の頃よく、患者さんに息を止めてもらって、検査に寝中しすぎて、呼吸を普通に戻して良いことを指示し忘れて、苦しい思いをさせたりしたこともありました。  「少し吐いた状態で、細かく小さく息をしてください。 大きく息を吸い込まない!」なんて、ちょっと普通じゃ理解できそうに無い指示を出しているドクターも見受けますが、そんなの無理ですから・・・、一度自分でやってみたら良いと思います。

三好クリニックは大学病院ではないので、画像のデータをみんなで見直して検査の精度を上げるということをしていないので、患者さんにはあまり息止めしてもらってはいませんが、どうしてもよく見えない時だけ、呼吸を止めてもらうことをお願いしています。 それは患者さんとまさに「呼吸を合わせる」というやつで・・、実は結構難しいのです。 息を止めている間に短時間に綺麗に画像を出さなくてはなりませんし、呼吸を止めるタイミングが狂うと、超音波の先端を微妙に移動させないといけません。 あとせっかくよく心臓が見える位置で息を止めてもらっても、息を止めた瞬間に横隔膜の緊張がとけて、心臓が少し元の位置に戻ってしまい、記録しようとすると肺に隠れて見えなくなるなんてことがあります。 慶応にいる頃に同僚が、「息止めてっていったら止めてください」、なんて喧嘩腰になっている先生も時々拝見しましたが・・。 口で息を止めてお腹の緊張を解いてしまうと、少し前の位置に戻ってしまうので、よく見えるようになったタイミングを一度やり過ごしてから呼吸を止めてもらう必要がありますね。 患者さんが悪いのじゃなく、指示を出す医者が悪いのだと思います。

検査自体は上半身をあけてもらいますので、できたらワンピースとかじゃなく、Tシャツとかで来てもらえると助かります。 検査の時間は10分〜15分ほどかかりますが、初回の患者さんは説明の時間も必要なので30分ほど時間を見てもらったほうが良いでしょう。

最近、検診で心雑音を指摘されて、私のクリニックにいらっしゃる患者さんが意外に多いので、ちょっとエコー検査について触れてみました。

ウエブベージの変更

WEBページをセキュリティーで保護されたサイトSSLに対応させました。
今Macのサーバーを使っているのですが、Macのサーバーで認証局の登録を行う方法がどこにも見当たらなくて、試行錯誤の繰り返しでした。
保護されたサイトと言うのはインターネットのアドレス(URL)がhttps:で始まるのですが、ブラウザーで見ると画面のどこかに鍵マークが見えると思います。このサービスにしてみて変わってしまったのは、FC2などで対応してくれていた無料のアクセスカウンターが使えなくなって、それに変わるカウンターを自分で用意しなくてはならなくなってしまったことでしょうか・・。 あと、faviconといって、ブラウザーのうえで今までクローバーのマークがURLの小窓に表示されていたと思うのですが(PCのブラウザーだけ)、それが見えなくなってしまってます・・。 なんか方法があるのかもしれませんが、ちょっと時間をかけて直してみるつもりです。 
ちなみに、もうすぐ閲覧数60万件になるみたいです。 最近心臓病のことについてあまり書いていないのが少々気が引けますが・・、見てくださってありがとうございます。

サーバ一時停止のお知らせ

今週2016年6月11日(土曜日)から12日(日曜日)までの間、三好クリニックではサーバの保守作業のために一時的にサーバを断続的に停止いたします。 ご予約の確保やメールの送付などが一時的に不安定になることが予想されます。 皆様方にはご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご容赦ください。

もうすぐ梅雨ですね

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いつの間にか、五月晴れの日も少なくなり、暑くてジメジメした梅雨のかほりがしますね。 すぐそばまで梅雨がやってきているのでしょうね。 眠りにつく時にはまだ暑く寝苦しく、かといって窓を開けているとまだ朝方は寒くて、ちゃんとふとんを手繰り寄せておかないと、風邪ひいてしまいそうな天気です。
ここ数日雨の日が多く、もう梅雨入りなんじゃないかって思っているのは私だけかもしれませんが、傘のお忘れ物も多くなっていますので気をつけてください。 ちなみに今日、焦げ茶色いホネのいっぱい入った男物の傘をお忘れになった方がおられます。 午後の患者さんですかね? 2−3日傘立てに置いておきますが、盗まれてしまっても申し訳ないので、ロッカーに入れておきますね。 お気づきの方は是非受付に一声かけてください。 お返ししますので。
暑くなってきてますが、最近咳の風邪が流行っています。 この時期には流行する咳が連発する風邪は結構長引きますので、注意くださいね。 

重力に負ける人 4

歩いているだけで酔ってしまい、怖くて出歩けない

前回良性発作性頭位めまい症の話をしましたが、三半規管の異常一時的なもので長時間持続することはありません。 しかし時々何ヶ月もの間フラつきのため、出歩けなくなってしまう方がいらっしゃいます。 足腰の弱っておられる高齢者だけでなく若い方の中にも、そういった回転型のめまいの後、転倒の恐怖から歩けなくなってしまう方がいらっしゃったりします。 長期化する原因は何なのでしょうか?

転倒の恐怖が平衡感覚を惑わせる
立ち上がれなくなる最も大きな原因は、転倒に対する恐怖感だと思われます。 赤ちゃんの頃は、立ち上がって転んでも、体重が小さいですし、皮下脂肪も多いので、あまり大きな怪我をすることはありませんが、大人になってから転ぶと当たりどころが悪ければ死にますし、骨をおったり、出血したり、服をダメにしてしまうかもしれません。 そういった恐怖感は前回の章のように平衡感覚を混乱させ、より歩行を困難にします。 回復するためには、転んでも良さそうな格好で実際に歩いたりして、慣れていく以外にありません。

意外に早く起こる足腰の筋力低下がふらつきを増強する
次に問題となるのは、足腰の筋力低下です。 人は寝ている時間が長く続くと立つために必要な筋肉が減ってきます。 特に太ももとおしりの筋肉が減ると歩行が不安定になりふらつきます。 人は4−5日寝たきりの生活をすると筋力の低下から歩行に違和感を感じ始め、1週間も寝たきりが続くと、立ち上がるのも一苦労となります。 筋力低下は意外なほど早く起こります。回復するためには、片足立ちでもも上げなどの筋力トレーニングを机とか椅子等に捕まるようにして、一日20回〜40回ほど行うことで歩行のための筋力はゆっくりですが回復してきます。 一度安定して歩けるようになると、その後は自身がついてフラつきから回復できるようになることが多いです。

怖がって下を見て歩くことで酔が起こる
転倒に対する恐怖があまりに強いと、歩行時に倒れないように下を向いてしまう方がいらっしゃいます。 前章で車酔い等で下を向いていると、頭がシェークされてより酔の状態に近づくというお話をいたしました。 下を向いて歩くことは酔や違和感を増強し、それが更に恐怖感を増強するという悪循環に入ります。 また頭を下げてしまうと、体の重心が大きく狂ってしまいますし、背骨も変な形になってしまって、バランスが取りにくい状態になります。 回復するにはやはり、倒れても良い服を着て(あるいは杖など持って)、できるだけ足の底の感覚がわかる底の平らな靴を履いて(足元を見ないでも足もとの歪みや硬さを深部感覚を使って感じることができます)、比較的広いところで、遠く(水平方向)を見ながら歩いて慣れる以外ありません。

実はみなさん、時々ふらついたりすることはありますが、ほとんどの方はその後すぐに元の生活に戻ってそういったことを忘れてしまっています。 ただ一度不安に取り憑かれると、その後「めまい感」に敏感になり、めまいが起こるたびに記憶し、その行動をとらなくなります。 しかしこの回避行動は一部の例外を除いて逆効果となることが多いです。 
その例外に当たる病気はやはり医師の診断が必要となりますが、もしも医者に大丈夫ですと言われたのでしたら、やはりその言葉を信じて後は自分の力で克服してゆく必要があります。 それが危険な兆候出ないと医師の診断があるようなら、「めまい感」は立って生活するために必要なセンサーの誤差修正なのだと思って慣れることも大事なのです。

重力に負ける人 3

目が回って、立ち上がれない
バットまわりといって、頭を垂直に立てたバットの柄に頭を付けて、バットの周りをぐるぐる一定時間回転して、頭を外して走りだすと、まっすぐ走っているつもりでもあらぬ方向に走っていってしまうという遊びを知っておられるでしょうか? 回転椅子に乗ってぐるぐる回って、ピタット止まると、周囲の景色が止まった後もぐるぐる回って見える現象で遊んだことみなさんあるんじゃないでしょうか? この原因は三半規管といって頭の中で耳の近くに付いている器官の誤作動が原因です。 この三半規管が一時的に妙な信号を脳に送り始めることがあります。 三半規管のリンパ液の中に存在する耳石という石が原因とも言われていますが、中年以降の患者さんに多い病気です。 「良性発作性頭位めまい症」と言いますが、頭がある方向を向くと地面がせり上がってくるように感じたり天井が回るように感じたりして気分が悪く、吐いたりしてしまうことがあります。 こういう頭の方向がきっかけとなって出現するめまいは、基本的に良性で放置していても2週間ぐらいで自然に回復してくるようです。 一方で、頭の方向に関係なく、常に世界が回っているみたいに動いてしまう場合は、脳の病気であることがありますのでやはりすぐに病院を受診されたほうが良いでしょう。

こういった良性の回転性めまいは通常1-2日ほどで自然に軽快しますが、その後もめまいがするような感じや、まっすぐ立っていても、後ろに引っ張られるような感じがして立つのが怖くなってしまって、それが何ヶ月も続く患者さんが時々いらっしゃいます。あまりこういった症状が長期間続く場合には、脳内の病気の可能性もありますので、一度頭部のMRI検査等を受けてもらうことになりますが、MRI検査で異常がなければ、酔(よい)という現象と診断できます。 船酔い、乗り物酔い、宇宙酔い、ゲーム酔い、酔にもいろいろありますが、今回はこの酔という現象についてちょっと説明してみます。

体の体勢を感知している3つのセンサー
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人間は自分の体勢を、主に3つのセンサーで感知しています。 視覚と三半規管と関節や骨格に付属している深部感覚というシステムです。
その3つのセンサーがうまく組み合わさって自分の体勢を確認しているのですが、それらにズレが生じると「酔」という状態になり、気分が悪くなり嘔吐します。 この現象は不愉快な場所から逃げるための自己防衛機能の一つとも考えられているようです。

連動している三半規管と眼球の運動
特に視覚と三半規管は密接につながっています。 歩行等などの複雑な振動や回転等をした時に、眼球を一つの方向に固定して網膜の上に映る像を安定させることができます。 カメラの手ブレ補正みたいなものと考えて貰えると良いでしょう。 みなさんビデオカメラを歩きながら(きちんととったつもりで)撮影した影像を、テレビで見ると絵がぶれて全く見るに耐えない絵が取れてしまう経験があると思います。 眼球もこういった三半規管がなければ、このビデオカメラと同じ像が脳に送られ、歩いているだけで酔ってしまいます。 眼球の周囲の筋肉と頭蓋骨の後ろの小さな筋肉を巧妙に操り、動いている時も眼球を一定方向に保ち、ブレの無い画像を脳が見ているのです。 たとえば、鏡で自分の目を見ながら首を左右に振ってみるとよくわかると思います。 皆さんの眼球は気持ちが悪いぐらい固定されて、顔だけ動いているように見えるでしょう。 眼球の動きにズレが生じないように、三半規管からの情報は眼球の筋肉とほとんど直結されているのです。

酔いが起こるメカニズム
「ゲーム酔」
  • 例えばゲーム酔いといって、First Person Shooter (FPS)ゲームプレイヤーの初心者が、ゲームをやっているだけで気持ちが悪くなることがあります。 FPSゲームではリアリティを出すために、歩行時に像が上下に揺れます。 またコントローラーやマウスを急激に動かすと、絵が急激に変化します。 視覚情報が大きく動くのに三半規管からの信号が無く、2つのセンサーに誤差が生じるため気分が悪くなり「酔い」が発生するのです。
「良性発作性頭位めまい症」
  • 良性発作性頭位めまい症等では、三半規管が誤作動を起こして「頭が回転している」という誤情報を発信するとそれに合わせて眼球が自動で動きます。 患者さんは眼球が動いているとは認識せず、世界の方が回転し始めたと感じます。 その時に起こる恐怖感は、交感神経を刺激して興奮状態となります。 この興奮が全身のセンサーを敏感にし、よりズレを認識しやすくし、さらに酔いを加速させます。
「車酔い」
  • 車酔いや乗り物酔いはどうでしょうか? 三半規管は3方向の回転を認識します。 垂直方向の回転、これは頷く動作ですね。 もう一つは横方向の回転、これは左右に頭を水平方向に回転させる動きですね、いわゆる「いやいや」と首を横に振る動作です。 もう一つの回転ってみなさん解りますか? これは少々説明が難しいです。 これも横方向の回転です。 これは頭を左右に傾ける動作、「はてな?」という動きですね。 この向きを冠状面方向といいます。 冠状面方向に左回転や右回転をする動作になります。 はじめの2つはみなさんよくやりますが、左回転や右回転は実はあまり日常に行っている動作では無いです。 体育などで側転等を行うときに使っていますかね・・。 でも大人になって毎日側転をしている人は少ないですよね。 眼球の筋肉で前者2つの動きを補正できますが、冠状面の回転に相当する眼球の筋肉はありません。 その補正は(頭蓋骨の後ろについている筋肉を使って)首を傾けることで行っているわけです。 頭蓋骨を動かすので眼球を動かすのと比べて時間がかかりますし、補正には限界があります。 車酔い、乗り物酔いはこういった、冠状面での回転、ローリング振動で、視覚の情報が大きく揺らぐことがきっかけで始まります。 一つには吐いてみんなに迷惑かけてしまうかもという緊張から更に感覚が鋭敏になりますし、吐く準備として本能的にうつむき加減になります。 うつむき加減になると車の加速や減速の時の動きや左右に曲がる際の強い動きが、悪いことに眼球が苦手な冠状面の動きになってしまいます。 また首が動く方向が限定され、ローリングによる画像のブレを処理できなくなり、「酔い」が加速してしまうのです。 そして人の眼球は垂直方向の運動が苦手です。 眼球とともにマブタを一緒に動かす必要がある分横方向の動きよりも少し時間がかかります。 うつむいてしまうと、車の減速や加速は、縦方向の振動となるため、更に視覚情報とのズレを増強してしまいます。 ですのでよく言われることですが、景色の見える前の方の座席に座って、顔を上げて前の景色を見たり、吐いても大丈夫なように時々外に出て緊張をほぐしたり、歌を歌ったり友人とおしゃべりして緊張をほぐすことで感覚を鈍感にすることで乗り物酔いをある程度予防できるようになります。
「船酔い」
  • 船酔いはどうでしょうか? 私は船酔いしたことが無いので本当はよくわからないのですが、船酔いは船室にいても甲板など外の景色が見える場所にいても起こると聞いたことがあります。 なので、バスや車などの乗り物酔いとは少々異なるのかなと思います。 皆さん回転椅子等でぐるぐる回った後に、突然停止するとしばらく景色が回転するのを体験したことがあると思います。 これは液体特有の慣性によると言われています。 環状の三半規管の中のリンパ液の流から回転の方向とスピードを感知していますが、突然停止してもしばらくはリンパの慣性のため流れが止まらず、だらだらと回転しているかのような信号を発信しつづけてしまいます。 この慣性は頭の方向を変えるぐらいの短い動作でも生じているはずですが、通常は慣性による余韻だと自動的に無視しています。 ただ恐怖や不安、興奮や寝不足等でセンサー感度が敏感になるとこの余韻を無視できなくなり、急な動作のあとにグラっときたりするのだと考えられます。 海の波の振動はあまり始点や終点がなく連続的です。 なので三半規管に入る回転の信号が、本当に移動に伴う信号なのか慣性による偽の信号なのか判断することが難しくなります。 その場合人体はおおまかに2つの対応をします。 一つはすべての信号を本物の信号だと考えてセンサー感度を上げるか、逆にすべてを偽の信号だと考えてセンサー感度を下げてしまうかです。 三半規管のセンサー感度を下げてしまっても、視覚の情報や深部感覚の情報だけで、ある程度船上でも行動が可能ですし、船酔いになりません。 逆にセンサー感度を上げてしまうと、船上で動くたびに、行動に伴う信号と慣性による誤信号を感知するために視覚情報と三半規管との情報に誤差が生じて船酔いしてしまうのだと考えられます。 陸地に戻ったあとも暫くの間、三半規管が慣性による誤信号も本当の情報だと誤認してしまうため、酔の状態が続くのだと考えら得ます。
「地震酔い」
  • 地震によって余震が続くと、同じように地震酔いという状態が生じることがあります。 これはやはり地震による恐怖と、生存本能から地震に対して敏感になり、頭の移動時の慣性に伴う三半規管の余韻に伴う誤信号を感知してしまったり、それまで感じていなかった微妙な体の動き(まっすぐ立っているつもりでも人は微妙に揺れていますので)を感知して地震による揺れがあるように錯覚してしまう現象なのでしょう。

酔が起こるメカニズムのまとめ
いろいろ「酔い」について解説してみましたが、要するに(1)人はうつむいていると振動や揺れに弱くなる。 (2)興奮や緊張、不安はセンサー感度を上げてしまい、通常無視している不必要な三半規管の信号を感知してしまい、めまいを感じやすくなる。 (3)ひとは左右回転(冠状面)の揺れに弱く、ついで縦方向の揺れに弱い、といったところでしょうか。 一言で言うと酔わないためには慣れが大事です。 慣れることで不安が取り除かれ、視野のブレやセンサー同士の誤差に強くなり、異常が起こっているセンサーを無視できるようになります。 そのためには、めまいがあってもそれが危険な病気では無いということがわかったら、平常通りの生活を心がけることが大事になります。 そうしているうちに必ず普通通りの生活に戻ることができるようになります。 

次回は
「歩いているだけで酔ってしまい、怖くて出歩けない」です。

重力に負ける人 2

怖くて立ち上がれない
人間は1歳になる前から2本の足で立ち上がり、その後ほとんど死ぬまで立った姿勢を基本にして生活しています。 これは皆当たり前と思っているかもしれませんが、生物のあり方としては重力の方向に逆らっていて明らかに不自然な姿勢です。 立ち上がって生活することの難しさは大きく分けて2つあります。 一つは上の方にある脳へ血液を送る難しさと、もう一つは重力の方向にまっすぐ立っていることの難しさです。 今回は脳へ血液を送ることの難しさ、「脳貧血で立つのが怖い」という状態の説明をしてみます。

脳貧血の症状
患者さんと会話していて、患者さんがおっしゃられる「貧血」という症状は脳貧血のことであることが多いです。 実は医学的な意味の「貧血」とはまた異なるのですが、その説明はまた別の機会にでも。 脳貧血は、おそらくみなさん一生のうちに必ず一度は経験されておられるでしょう。 寝ていたり、座っていたり、蹲踞の姿勢から、急に立ち上がって歩き始めたり、高いところにあるものを取ったりしようとして手を伸ばしたりした時とかに発生します。 頭の芯がじんじんして、目がかすみ、耳鳴りがして、心臓がドキドキして、冷や汗が出てきます。 そのまま我慢して立っていると意識を失って倒れてしまったりすることもあります。
脳貧血という現象は、空腹時とか水分量が少なく体液量が少ない時に起こりやすいです。 また病気の後とかで長期間寝ていたりした後に起こりやすいです。 「病み上がり」と言う言葉がそれにあたります。 また満員電車で、足の位置が変えられないような状態で、つり革等に手をやっている時とかに症状が出現してしまい、倒れてしまったり、脳貧血のために尿を漏らしてしまったりすることもあります。 こういった脳貧血は立っている時だけでなくても、ふかふかのソファーとかで行儀よく足を揃えて座っている時に横や前に緊張するような人が居たりして身動きが取れないような状態に長時間さらされると、同じようになることがあります。

脳貧血の対処
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脳貧血の時は速やかに脳を心臓と同じ高さにすることが重要です。 簡単に言うと「しゃがんて頭を下げてうずくまる」。そうすればほとんどの場合脳貧血は回復します。 一度それで血圧が回復してしまえば、直後に立ち上がって同じ体勢になっても2回めは脳貧血にならないことが多いです。 最もダメな対応はそのままの姿勢で頑張ってしまうというものです。 倒れてしまったり、意識を失ってしまったりしてしまいます(神経調節性失神といいます)。それは結構な恐怖体験となります。 そして原因や対処がわからないままそのままの状態を長期間繰り返していると、また起こるのではないかという不安感が頭をもたげ、トラウマになってしまい、怖くて電車に乗れない、外出できないという状態になります。 こうならないためにできるだけ早めに医者に相談して大丈夫だということを確認することが大事です。 対処法がわかってそれ以降脳貧血にならなければそれで良いですが、そういったことがわからず不明確なまま長時間放置しておくと、たいていの場合その不安感から脱するのにとても時間がかかるようになります。 また頭を心臓と同じ高さにすれば殆どの場合回復しますので、これをすれば安全だという方法が早めにわかってしまえば、その前兆があった時点でうずくまってしまえば大丈夫なことが多いです。 ほとんどの方は脳貧血を日常的に体験していて、教わらなくてもうずくまってやり過ごしていて、とくに気もとめていません。

脳貧血は医者に邪険にされることがあります
そしてこれは病気とは呼べないものですし、薬ですっきり良くなる病気ではありませんし、忙しい時間帯だと医者のほうも適切な対応を取る時間がなく、なんの論理的な説明もなく「大丈夫ですよ」とか「疲れすぎですかね」とか、「きちんとご飯食べてますか?」といったどうにも納得行かない対応を受け、適切な対処方法を教わることなく診察が終了してしまいがちです。私も慶應大学病院にいて診察している時には、時間的な制約からそういった対応にならざる終えませんでした。

なぜ脳貧血が起こるのか
人間の体の中の血液の70-80%は静脈の中に蓄えられています。 静脈は、みなさんも外から触ってみると、結構柔らかくぷっくっとして押すと凹みますね。 温かいとくっきり出ていても、寒い冬とかになると、細く見えなくなっていたりすることに気づく方も多いでしょう。 実は静脈の太さは外気温や神経等によって微妙に調整されているのです。 人間は立ったり座ったりするたびに、自律神経を介してこの静脈の太さを自律神経を介してめまぐるしく調整しています。 重力にたいして低い足に落ち込んでしまう血液を静脈を細く占めることで心臓に戻そうとしています。 この機能がなくなるとほとんどの血液が足の静脈に溜まったまま、心臓に戻ってこなくなります。
もしも静脈の血液が心臓に戻ってこないと5秒ほどで血圧は速やかに60台を切ります。 さらに5秒から10秒続くと脳に十分酸素が行き渡らなくなり、目がぼやけてかすみ、下がった血圧を上げようとして心拍が早くなったり、手に冷や汗をかいたり、胸がカーっと熱くなったりします。 この血管運動のための自律神経機能は毎日立って生活することで自然に鍛えられ維持されています。 ずっと寝ていて使わなかったり、長時間無重力の環境にいて使わないと、一週間ほどであっという間に消えてなくなります。 また静脈の周囲の筋肉の収縮と弛緩でポンプの機能を果たして、足の静脈の血液を心臓に戻すことができます。 ですので体(の筋肉)が動かせないという状態はあまり脳貧血になりやすくなるのです。
また血液が減少すると心臓に戻る血液量が減ります。 空腹や緊張状態が長時間続くのは良くありません、緊張状態は尿を増やしたり、下痢になったりして、体液量が減ります。 空腹状態で更に体液を失うと、心臓に戻ってくる静脈血液がさらに減少し脳貧血に拍車がかかります。

重篤な病気と関連した脳貧血
そういった機能的な脳貧血以外にも、重篤な糖尿病患者さんや、シャイドレーガー症候群といった脳の病気、後は徐脈性不整脈や、肺血栓塞栓症といった病気などで、似た症状が出ることがあります。 また脊椎の手術のあとや腰髄の痛み止めの麻酔(硬膜外麻酔など)の後等に同じような症状になることがあります。 あまりにもひどい脳貧血はそういった病気を除外する必要があります。 こういった病気の場合再現性がありますが、機能的な脳貧血では体調や日によって同じ動作でも出る時と出ない時があるという違いがあります。

最悪なストーリー
上の病気でない場合でも、立ち上がるとクラクラするので怖くて寝たままで生活を始めてしまう方が時々いらっしゃいます。 実はそういった対応は脳貧血には逆効果になります。 人間の体は使わない機能はいらないものだと勝手にそぎ落としてしまいます。 例えば静脈の収縮や筋肉の収縮も、使っていないとどんどん弱ってしまいます。 そしてさらに症状が悪化して、どんどん立ち上がるのが怖いという悪循環に陥ってしまいます。 これは生物としての重力に対する反応としては自然なことですが、社会生活を営む人間にとっては大きな制約になります。

脳貧血の治療は?
きちんと検査して安心を確保したうえで、適切な対処法を実践することと、不安が消えてゆくまでの時間が必要です。時には抗不安薬を内服することも大事です。 重要なことは医者の安心ではなく、患者さん自身が納得して安心してもらう必要があります。 その安心できる時間が長く続くことが肝要です。一旦悪循環に入ってしまえば、そこから脱出するにはかなりの時間が必要だということをわかっていただければと思います。 また2節前に例示した病気でなければ、脳貧血を起こすたびに次は起こしにくくなっていくということです。 我慢して立っていたりするのは良くありません、前兆があればそれで訓練は終了、一旦うずくまってやり過ごしてくださいね。 それを何度か繰り返しているうちに、ゆっくりですが次第に脳貧血は起こりにくくなってきます。 自分の静脈の筋肉が強くなって適切に心臓に血液を戻すことができるようになります。そして不安は脳貧血を起こしやすくします。 不安も安心できる時間が続くと必ず良くなります。 なので脳貧血をこわがらないでください、周囲の健康そうな人もみな無意識に起こしている生理現象なのですから。

次は「目が回って、立ち上がれない」です。

重力に負ける人 1

患者さんを診察していて、時々病気ではないのだけれど、重力に負けてしまうという表現が的確な患者さんを拝見することがあります。一度重力に負けてしまうと、再び自力で立ち上がることができなくなり、その後ほとんど寝たきりになってしまうということでもあります。

体が大きくなりすぎて重力に負けてしまう
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皆さんの体重はどのぐらいが適正だと思われますか? おそらく、太っていることがその人のアイデンティティーになっている方もいらっしゃいますよね。 そうやって何十年も暮らしておられると、一念発起してダイエットして痩せてしまうと、「大丈夫ですか? どこかお体悪いのですか?」みたいに言われてしまう。 あとは仕事の上でのキャラクター作りとして太っておられる方もいらっしゃるでしょう。 体が大きい方はインパクトがありますし、すぐに覚えていただけます。 また宴席などで、大食家の人々はとても人気があって、飲食関係の仕事をしているとそういう体型になられる方も多いのではないかなと思います。そういう方々にとっては、肥満と言う要素は、何か自分の一つの大切な要素になっておられたりするのかもしれません。

肥満によって生じる可能性のある内臓への負担は、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、下肢静脈血栓症から生じる肺梗塞、睡眠時無呼吸症候群、内臓脂肪の増大による肺の圧迫などでしょうか・・・。 それと膝や腰などの骨格への負担もあります。 ある程度内臓のデータに影響が出ないうちは、私はあまり体重について強く申し上げることはしません。 その理由は外来という限られた時間の間に体重を減らすようにお話ししても、ほとんど効果がないからです。 何十年もやってきた生活のパターンを変えるのはとても大変です。 その大変なことを患者さんにやっていただくためには、患者さん自身が納得のいく理由や目標があること、そしてそれを貫き通す強い意志と目的を持つこと、そして周囲の人たちの協力が不可欠だと思います。 ただ骨格に問題が出始めるとそう悠長なことを言っていられなくなります。

大きな体重を支えるためには、強い骨格が必要になります。 骨は固く少しぐらい体重が増えたぐらいでは折れたりすることはありませんが、関節や軟骨などの動く部分はそうはいきません。体重が大きくなりすぎると、膝や、腰骨(脊椎骨)の軟骨が擦り切れ・変形して神経を圧迫したりして、強い痛みを生じます。 文明が生まれる以前なら、痛みで動けなくなった時点で、食料を確保できなくなり体重が減って結果的に関節への負担も減ったかもしれません。 しかし現代では、家からほとんど出なくても食料の確保は比較的容易です。 いったん痛みに負けて動かなくなってしまうと、その時間が暇になってしまい、手っ取り早い時間つぶしとして間食をしてしまうことも多くなります。 そうするとまた体重が増えてしまい、運動もできなくなるので、さらに体重が増えて、そういった悪循環の結局ほとんど寝たきりになってしまう場合があります。

ダイエットの方法はここでは記載しませんが、やはり骨格に痛みが出始めたら強い意思をもって食事制限をされたほうが良いでしょう。 そうしないといずれ重力に負けて寝たきりになってしましますから。

次は重力に負ける人、「怖くて立ち上がれない」です。

血圧は左手で測るほうがよいの? それとも右手?

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きっちりした先生に言わせると、血圧は右手で測定したほうが良いはずだとおっしゃられる先生がいらっしゃいます。 私も医学生の頃そのように教わった記憶があります。 患者さんの中にも「血圧測定するなら右手だ」と考えておられて、右手を出される方が時々いらっしゃいます。 私のクリニックでは患者さん側の左側に血圧計があるので、右手を出すためには上半身を90度ねじる不自然な姿勢になるのが少々困るところです。
私自身の考えは、血圧は、時々左や、時々右で測ってもらうのが良いと思っています。 そしてできればリラックスできる体勢で測ってもらうのが良いので、あまり体をねじらないで測るのが良いだろうなと内心思います。 前傾姿勢になるのは、腹筋や背筋に力がはいるのであまり好ましくないでしょう。 筋肉に力がはいるということは筋肉に血液を送り出すために血圧が少し上がり気味になります。 背もたれにきちんと背中を預けて、足は折りたたまずに、少し前に伸ばすような感じ、お行儀が悪いですが、電車の中であまり褒められない姿勢(足を通路に投げ出すのはエチケット違反ですね)、車の運転の時のような姿勢といったほうが良いでしょうか? で測定するのが良いでしょう。
右で測るべきたとおっしゃる先生の根拠は、右の腕につながっている動脈血管(右腕頭動脈)のほうが、心臓に近い大動脈から出ているからという理由や、左の腕に繋がる動脈(左腕動脈)と右の腕に繋がる動脈の間に、先天的にくびれがある(大動脈縮窄症)方がまれにおられて、くびれより心臓側で測定しないと正確な血圧が測定できないという理由を挙げられます。 しかし圧力が変化してしまうほどのくびれがある方は稀で、そういった方は小児期にすでに診断と治療されている方がほとんどです、私のクリニックにいらっしゃるほどの年齢になって初めてわかる方はかなり例外的です。 むしろ動脈硬化や動脈炎などで、右腕頭動脈や左腕動脈に狭窄ができることによって起こる血圧の左右差のほうが無視できない頻度であることが予測できます。なので左右どちらが正しい血圧かを重要視するよりも、まず左右差があるのかどうか、そしてその次にもしも左右に差があまりないのならば、一番リラックスできる体勢で測定できる血圧を測るほうが良いということになります。
左右差があるかどうかを確認するには、同時に2台の血圧計を左右の腕に巻き付けて測定するのがよいですが、それは少々やり過ぎでしょう。 簡単に測るのは、まず左で測定し、次に右で測定する。 血圧が20mmHg以上変化あるようならもう一度、左を測定し、次に右を測定してみて、同じような傾向があるか確認してみてください。 測定回数にしたがって常に下がってくるようなら、それは測定前の動作の余韻が解消されているだけで、前のほうの高い血圧はあまり意味がありませんが、何度繰り返しても常に、右が左よりも20mmHg以上高いようなら、やはり主治医の先生にご相談頂いたほうが良いでしょう。 ご家庭での皆さんの血圧測定がきっかけで、狭窄が見つかったりすることのほうが多いのです。
なので私の意見は、「血圧は時々腕を変えて測定してみてください。 いつもきまってどちらかの腕の血圧が20以上高いようなら、主治医に相談ください。」ですね。

心室細動

心拍数は、通常毎分50回から160回程度の収縮を行っています。 猛烈な運動をやったりすると180回近い収縮を伴うことがありますが、そういった運動を長時間続けることはできません。 心拍数が多くなるにつれて血液の流れも多くなり、運動で酸素がたくさん必要な体には有利です。 一心拍で打ち出すことができる血液の量はだいたい決まっているので、血液の流れは心拍数との掛け算になるからです。 しかし、毎分180回を超えると心臓に戻ってくる血液の量が追いつかず(大人の場合)、心臓が空打ちのような状態になり、さらに増えると心臓自身に酸素が行き渡らなくなり、筋肉が窒息し(虚血)心臓の動きは悪くなります。 その結果心拍数が増えても、血液の流れが増えずに頭打ちになります。 餅つきを想像してもらうと良いかもしれません。 餅つきのスピードが早くなると、餅がつき上がるのが早くなりますが、あまりにももちつきのスピードを上げてしまうと、間の手を入れることが難しくなり餅がうまくつけなくなりますね。 そういった限界の心拍のスピードがあるのです。 ただ正常のリズムを作っているペースメーカー細胞は通常毎分200回以上の心拍を打ち出すことはありませんので安心してください。
しかし心室細動あるいは多形性心室頻拍と呼ばれる不整脈は一分間に250回以上の心臓の収縮を起こします。あまりにも早過ぎる心臓の収縮のため、血圧が下がり、脳貧血を起こして意識を失うことがあります。 血圧が下がると酸素が十分行き渡らない心臓の筋肉の中で不整脈が安定化してもっともっと心拍数が増えたり、幾つもの収縮が同時に起こるようになり、不整脈から回復しにくくなります。 その状態が1〜2分以内に回復できなければ、そのまま死んでしまうことが多いです。

心室細動のきっかけは、心臓のしゃっくり(心室性期外収縮)のような収縮から始まることが多いです。 なのでそういった期外収縮が多い方は、細動を引き起こす可能性が多いと想像されています。 ならばそういった心室性期外収縮を止める薬が心室細動による突然死を予防するのではないかと期待された時期があったのですが、現実には薬はあまり良い効果が期待できませんでした。 なので、心室細動が起こりやすく、長時間それが持続しそうな患者さんには、植込み型除細動器という機械を植えこむことで、心臓突然死を予防することになります。
心室細動は長く続けば致命的な不整脈ですが、心臓の構造に異常がなければ、30秒以内に自然に回復してくることが多いです。 この場合の構造の異常とは、心臓の収縮力が低下するような心筋梗塞や心臓弁膜症であったり、心臓の筋肉の病気である肥大型心筋症や拡張型心筋症、不整脈源性右室異型性症候群・心臓サルコイドーシス・心臓アミロイドーシスなどが有名です。 こういった病気は心電図・心臓の超音波検査や採血などである程度判別することができますし、さらに心臓MRI検査や心筋シンチグラムやPET検査が必要な場合もあります。
もう少し具体的に言うと、安静時の心電図に異常がない患者さんですと、心臓の収縮力に異常があったり構造に異常があったりしなければ、基本的には命に関わるような危険な不整脈ではないと言われています。 ただし血縁者に若くして心臓で突然亡くなられた患者さんがおられたり、不整脈で失神(意識がなくなった)した経験があったりするようならば、無症状でももう少し念入りに経過を見たり、入院して検査をしたりしたほうが良い場合があります。 おわかりかもしれませんが、今まで失神したことがなくても、最初の心室細動で亡くなられる患者さんもいるはずで、そういった患者さんは事前に察知することはできないというジレンマを我々不整脈医は常に抱えていることを告白します。 ただその頻度はとてもとても少ないということと、あとは不整脈医の嗅覚に頼る部分で、なかなかそれを体系的に説明するのは難しいところでもあります。 申し訳ないです、そこは経験と勘というとても科学的ではない部分なのです。 不安があるようでしたら、不整脈の専門医にご相談ください。

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。 もう13日ですので、随分遅い挨拶になってしまいましたが、年末休みに予定していた患者さんが休み明けに集中していたのが一山こえて、ようやく一息させていただき、ホームページの更新をしております。 旧年中は大変皆様にはお世話になりました。 今年もよろしくおねがいします。
いつも12月頃、インフルエンザが流行りますが、今年は暖冬ということもあってか、まだあまり患者さんお見かけしませんね。 どちらかと言うと、熱がでなくて消化器症状だけあるといった患者さんが時々いらっしゃいます。 しかしここ数日とても寒くなってきていますので、皆様風邪にご注意ください。

表参道のイルミネーション

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表参道は今年はクリスマスのイルミネーションがあるようです。 去年か一昨年かは確か電気代を支出してくださる企業がなかったとかで中止だったと思います。 白色のLEDの電飾がとても綺麗です。 これ結構大変な電気代らしいですね・・。

私自身はあまりこちらまで回って帰宅することがないですが、ちょっと気になったので写真を撮りに行ってみました。 こういうのを見ると、もうクリスマスなんだなと実感します。 
これが原宿の交差点のとこまであるみたいですね。 もうすでに4時半ごろには暗くなってますので、夕方近くに来院される方は良ければ原宿まで歩いて帰られると良いかもしれませんね。









血圧を120mmHg以下にするべき?

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11月中旬ごろに、2−3名の患者さんから、「高血圧の治療基準がまた下がるのですか?」とお話しを聞かれたことがありました。 どうやら今年の11月に米国心臓病学会での講演の内容の速報をテレビでやっていたようで、その内容を受けてのことのようです。 
この報告はSPRINT試験という名前で、すでに著名な学会誌に論文が同時に掲載されています。 原文を読んで思ったのは、すぐに日本の高血圧治療のガイドラインが変わるというわけではないなということでした。 おそらくこれを導入するためには、コレステロールの治療ガイドラインが変わらないと導入できません。 このホームページは患者さん向けのページなので、詳しいことはお話ししませんが、この治療に当てはまる方は、心臓病になる可能性がかなり高い患者さんだけに当てはまるものです。 大部分の患者さんは今まで通り、血圧上が140以下、下が90以下に、あるいは糖尿病や心臓病を持っている患者さんですと上が130以下で下が80以下にするというのが重要のようです。
ただこの試験結果を元に、次のガイドライン改訂では、高い心臓病のリスクを持った患者さんはにかぎっては、血圧を120以下にしたほうがよいというように変わってくるだろうと思います。
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業務終了間際のインフルエンザワクチンはご遠慮ください。

最近、インフルエンザワクチン接種で来られる患者さんが多いです。 当院を選んでいただけてとても有り難いことです。
当院のワクチン接種は団体さんでなければ予約なしでも対応しておりますが、終了間際に予約無しでいらっしゃるのは危険なのでやめてください。
その理由は、ワクチン接種された後、急性アレルギー反応を起こされて調子が悪くなる場合があります。 ご予約無しで、終了直前に来院される患者さんを最近時々お見かけするのですが、患者様の安全のためワクチン接種後しばらく状況を見なくてはならない場合もあります。 終了間際ですと、そのお時間をお取りすることができません。 是非診療終了30分前までには御来院ください。 
また終了間際の時間帯には、重い心臓病などで通院中の他の患者さんがいらっしゃる場合もあります。 そういった患者さんがいらした場合、終了間際ですと混乱して対応ができない場合もありますので、よろしければご一報いただいて御来院頂いた方がありがたいです。 ご協力お願いします。 

三好クリニックは5年目に入りました

慶應病院を退職してから丸4年経ち、5年目にはいりました。 開院当初から通院してくださった患者さんどうもありがとうございます。 また開院後、私の様な名もない循環器内科医の門戸を叩いて通院してくださっている患者さんに感謝いたします。
はじめは表参道みたいな、家賃の高いところでやっていけるのかなと、ドキドキでしたが、なんとか廃業せずにやってこられました。 これも、通院いただいている患者さんと、一緒に働いていただいているスタッフのおかげだなと思います。
11月に入って、インフルエンザワクチン接種や風邪の患者さんなども多く、外来は混み合っているようで、ご迷惑をおかけしているようです。12月ごろになると少し余裕も出てくるのではないかと思っております。 これからも精進いたしますので、宜しくお願い致します。

慶應大学の医学生が研修に来ます

毎年のことなのですが、 来週9月7日から9月11日まで、慶應大学の医学部の学生さんが、臨床実習にいらっしゃいます。 申し訳ありませんが、診察室の診察時に横にいたり、心電図の記録の手伝い等をすると思います。 ご迷惑をおかけするかと思いますが、よろしくお願いします。 

ちなみに私も、大学生6年生のときに、ポリクリという制度で、地域医療を学ぶという名目で、三重県の伊勢にあった慶應病院の分院に研修に行ってきたのを思い出します。 そのときの内科の先生、とても怖かったです・・。 私が教えてもらったときはもう既にだいぶご年配の先生でしたので、今はやめておられるかもしれませんね。  今にして思えば、伊勢慶應の医局員の方々に毎晩宴席に誘っていただいたことと、伊勢の病院の病院食がとても美味しかったことのほうが印象に残っていますが、そのときの年齢を考えると、結構我々を教えるのも大変だったのじゃないかなと今にして実感します。 体力的な意味で。 そんな中でも、「まずは薬の名前を覚えなさい」と言われたのを今でも覚えています。 これはとても手始めとしてよろしくてとても役に立ちました。 不思議ですよね、医者が処方する薬は、化合式名といって化学構造を示す名前と、一般名といってその構造を示す名前があるのですが、医者として診療する上で、さらに3つ目の市販名(商品名)と言われる、実際に売られている名前を覚えなくてはならないのです。  医学生の頃の薬学では、一般名を覚えるのですが、実際に我々医者が処方して患者さんが目にする名前は、市販名という別の名前なのですね。 市販名は、医学の教育の中では全く教えてくれないです。 医者になって初めて覚えるのですが、診療の実地に出ると、一般名など誰も使わず、難しい論文などを読むときだけ使いますね。 ほとんどが市販名でやりとりされるので、知らないと結構置いてきぼりになってしまいます。 今では、インターネットがあって、結構簡単に検索がかけられますが、20年も前だと、いちいち薬の本を出して、索引から検索してましたからね、一つの薬を覚えるのにとても時間がかかりました。

私はあまり怖がられるような教え方はできませんが、彼ら医者の卵のこれからの長い医者の生活の中で、何か役に立てれば良いなと思います。 申し訳有りませんが、その期間に来院された患者さんにも、少々ご協力いただくことになるかと思います。

夏も終わり

今年の夏はとても暑かったですね。 みなさん体調崩されておられませんか? そして8月21日ぐらいから急激に気温が下がって、一気に秋のような天気でしたね。 寝冷えなどされたのか、結構風邪で来院される患者さんが増えているようです。 夜寝るときに暑くても、窓を開けて寝ると朝方冷え込みますので、タオルケットや布団などはかけて寝てくださいね。
もう今年も9月になり、後残すところ4ヶ月ですね。 
去年は9月とても暑かったですが、今年はどうなんでしょうかね・・。 みなさんもお体大切にしてください。

不整脈 止めるべきか、止めないべきか?

登山家が山を登る理由を聞かれて「そこに山があるから登る」と答える。 登山家のジョージ・マロリー氏の言葉で、どうも誤訳だそうですが、たとえ誤訳であってもなんとなく山を登る人の普遍的な気持ちを代弁しているような気もします。
登山家は自分の命を危険にさらして登山による爽快感を得るのでしょう。 おそらく登ってみなければ解らない景色があって、それを体験することの素晴らしさを、体験していない人に言葉で説明することは不可能なのでしょう。 そこに山があるから、何の答えにもなっていないようだけれど、きっとそれ以外の表現方法がないのかもしれません。

しかし不整脈をなぜ治療するのかと聞かれて、「そこに不整脈があるから」と医者が答えるとすれば、これはちょっと誠意がない気がします。 登山家と何が違うかといえば、命を賭けているのが患者さんであって、医者ではないからなのだと思います。 病気の治療には医者と患者が同じ目的を持っている必要があります。 「そこに不整脈があるから」という理由は、患者さんにとってそう簡単に共有できる目標ないのではないかと思います。 一番共有しやすい目標は「命を長らえることができる。寿命を延長することができる」ということですね。 そしてもう一つは、「症状がつらければそれを止めましょう」というものです。 最近は「元気に長生きしましょう」というものも付け加わった気がします。

元気に長生き
これは、心房細動の際の血栓塞栓症予防の話ですが、少し焦点がずれますのでまた別の機会にお話します。

寿命延長
命に関わるような不整脈は珍しいです。 そういった危険な不整脈の多くは遺伝してゆくような不整脈であったり、心臓に構造的な異常があって収縮機能が低下している患者さんに限られます。 本当に珍しくそういったものに当てはまらない不整脈もありますが、それはまた例外中の例外です。 そのため寿命延長という目的で不整脈の治療をすることはほとんどありません。 特に後者、収縮機能が低下している患者さんにとっては、皮肉なことに不整脈の治療薬の副作用で寿命を短縮する場合があります。 なのでそういった患者さんに対しては、血管内手術(カテーテルアブレーション)や、自動植え込み型除細動器といった、どちらかというと外科的な治療に近い治療を行う傾向があります。

辛い症状を止める
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不整脈の治療は、必ず何らかの代償が必要となります。 薬を飲む手間や、手術のための入院の時間も当然ですが、それ以外に強く効果のはっきりとした抗不整脈薬の多くは、心機能の良い患者さんにとっては無視できる程度ですが、心機能の悪い患者さんにとっては寿命を短縮してしまう副作用があります。 なので「症状の程度」と「副作用の危険度」の大きさが釣り合いが取れているかどうかが重要になるのです。  つまり患者さんの症状がどの程度なのかを推し量ることが、治療するかしないかの分岐点になります。
同じ病名の不整脈でも、その症状は人によって全く異なります。 ある患者は、心電図で指摘されるまで全く気づかなかったりします。 ある患者さんは、一発でも不整脈があると、その日一日全く仕事が手につかなかったりします。 症状の強さがどうして個人差があるのかは解ってはいません。 そして症状の強さは、患者さんにしかわからないところが難しいところです。 医者はそのため、患者さんに症状について根掘り葉堀り聞きます。 患者さんはもしかしたら自分の不整脈が命に関わるものではないかと心配で、自分の不整脈の症状について、詳細に報告される方もいらっしゃいますし、我慢して全く黙っておられる患者さんもいます。 医者としてうっかりすると、この患者さんの症状についての報告時間の長さで、患者さんの困っている程度を誤認することがあります。 外来で長時間症状について説明される患者さんが、症状に困っているものだと誤解してしまうわけです。 実は医者に聞かれるから克明に話されているだけで、よくお話を聞くと実は全く困ってはいなかったことが、カテーテル手術直前に解ったりすることもあります。 これはもしかしたら、医者側が長時間患者さんの自覚症状を聞く辛さを、患者さんの辛さとすりかえているだけなのかもしれませんね。 
では副作用の危険度がどのぐらいあるのかと考えてみるとこれも実はあまりよくわかっていないのです。 心機能の保たれた患者さんで、抗不整脈薬でどのくらい心事故を増やすかという明確なデータは実はありません。 ただ自分の大学での不整脈治療の経験から言えば、きちんと、採血や心電図を定期的にとっていれば、年間1千人に1人以上ということはないのではないかなと思います(もっと少ないのではないかなと信じてますが)。 ご自身の自覚症状の強さが、その危険度を超えていると思われるなら、お薬を飲んでいただくことになります。 なので、私の外来ではいつも初めに、この不整脈を止めたいと思うかどうかを直接お聞きするようにしています。
命の危険度を比較することはあまり良いこととは思いませんが、治療の際にそれを患者さんに判断していただかなくてはならなくなるので、不謹慎だと言われることを覚悟で、極端でそして身近な例を挙げてみます。 みなさんそれほど意識しないかもしれませんが、1年間に交通事故で死亡する確率は1〜2万人に一人と言われています。 つまり外出すれば確実に死亡率が上がるわけです。 では、みなさんそれを怖がって外出しないで家でじっとしているかというと大部分の方はそうではないはずです。 それは外出しないことによって生じる不利益と、事故死する可能性の程度を無意識に天秤にかけて生活していると言えます。しかし、年間千人に一人が死亡するなら外出するでしょうか?、あるいは100人に一人ならどうでしょう。 年間100人に一人が死ぬという交通事情なら、きっと子供達の外出には大人が送り迎えすることになるでしょうね。 あるいは家庭によっては、子供を外にださないてご家庭で勉強させるというご家庭も出てくるでしょう。 つまり、どのぐらいリスクがあるのか、その数字を見て自分たちの行動を決定して行くことになります。 それと同じことが、不整脈薬を飲むことのリスクについても言えるはずです。しかし交通事故死の確率とは異なり、不整脈薬を飲むことによるリスクがどのぐらいあるのかという具体的な数値はわかっていません。 
反対に患者さんに得られる利益について突き詰めてみると、治療に踏み切るかどうかは、本当は患者さんの不整脈の症状の強さが重要なのではなく、止まることによって得られる患者さんの満足度がどのぐらいかということが大事なのだとわかります。 実はこれも計り知れないものがあります。 序文でお話ししたように、不整脈のない世界を体験しなければそれを想像することは難しく、患者さんの治療によって得られるメリットを、治療の前には小さく見積もってしまうこともあります。 また患者さんの気持ちは一つの言葉で説明できるような単純なものではないことも確かです。 『不整脈止めたいですか?』とお聞きして、YesかNoかで答えるだけでは不十分で、患者さんと結構長い時間お話しして、本当はどのぐらい不整脈を止めたいと思っているのかを想像してゆく必要があります。 
つまり治療すべきか、治療すべきでないか、これは患者さんとお会いしてみないとわからないというのが結論なのでしょう。 でも「そこに不整脈があるから」という理由だけでは決して治療すべきではないと思います。

花粉症の不思議

花粉症って不思議ですね。 高校生の頃に花粉症に悩まされて、医者になったら、花粉症の直し方を教えてくれるのかなと淡い期待を抱いていましたが、私の時代は、授業では教えてくれなかったです。 今の医学教育ではあるのでしょうかね? 花粉症の授業。 今回は医者になっても思い悩む、花粉症の不思議をちょっと話して見たいと思います。 

きっと、涙をだらだら流して、鼻水が止まらないとおっしゃっている患者さんに比べて、私の花粉症はとても弱い物だと思います。 でも、中学生や高校生の頃は辛かったなー・・と思います。 痒さの解らない周囲の人間は、「掻くな、よけいに痒くなるから」と言う理不尽なアドバイスをするだけですし・・。 結局痒くて掻いちゃうんですよね。 私の場合,大学生になってから少なくなった様な気がします。 その頃ちょうど関西から関東に来た頃だったので、花粉が関西と関東で違うのかとか、年々花粉の抗原が変わっているのかとか、年齢や、体調のせいとか、生活習慣の違い、ディーゼルエンジンの粉塵が少なくなっているのだとか・・。 実は寄生虫に感染していて、花粉に対するアレルギーが収まったのだとか、いろいろ考えられる事はあるのですが、今でも完全に収まった訳ではないので、いろいろ自分なりにいろいろ考える訳です。 今日はそんな、医者である私が感じる花粉症の不思議を告白してみます。 何か皆さんに参考になればと思います。 あくまで医学的な根拠は全くなく、個人の独断ですので、あまりみなさまにとって良い話ではないかもしれません。
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心臓の形ー4

脳は糖を使い、心臓は油を使う


人間の3大栄養素って知っておられますか? 糖分と脂肪とタンパク質ですね。 ざっくりというと、タンパク質は体の構造を作るのに重要です。 脂肪はエネルギーの貯蔵 糖分は即座に使われる利用効率の高いエネルギー源です。 じゃあ、タンパク質と糖分だけ食べていればいいんじゃないかと思われる方も多いかもしれませんが、油には油の役割があります。 動物はこの3大栄養素をすべて活動のためのエネルギーにする事が出来ます。 体を構成するあらゆる細胞はこの3つの要素を取り込んで、活動を繰り返しています。 しかし、脳と心臓だけは例外です。
脳がその活動のほとんどを糖に頼っているのは意外によく知られているかもしれませんね。 逆に心臓は脂肪酸だけを原料として活動しています。 脳と心臓というとても重要な臓器がなぜ、一種類の栄養素でしか活動出来ないという生命活動に不利な条件で生存しているのか、あまりよくわかってはいませんが、そうなのだから仕方ないということの様です。

ちょっとここで脱線して、脳が必要とする糖について説明してみます。


糖分は主に肝臓に蓄えられていて、食事から得られる糖分が少なくなると、肝臓に蓄えられた糖分が血液の中に分泌され始め、糖分を常に 90mg/dlから 110mg/dlの濃度に厳密に保とうとします。もちろん食事などの後には一時的に140mg/dl程度の濃度まで上昇することはありますが、それ以上にはならないように厳密に調整されています。 肝臓は体の中で一番重い臓器だと言われていますが、それでも蓄えられる糖分には限りがあります。 なので肝臓の中に蓄えられている糖質がなくなってしまうと、脂肪やタンパク質が分解されて、糖を作ろうとします。 こういった糖を他の栄養素から合成することを糖新生と言います。 「でんぷんや糖分をとらなければ脳細胞が死んでしまう!!」というのは大きな間違いですので、糖質の摂りすぎにはご注意ください。 何が言いたいかというと、3大栄養素は時間をかけさえすれば、お互いやり取り出来る栄養素だと言う事です。 不必要に取り込んだ糖質は脂肪として蓄積され、逆に糖がなくなれば脂肪が分解されて糖ができます。 もっと脱線してダイエットの話になりますが、脂肪で10キロを減らそうとすると、だいたい7万カロリーになりますので、35日間絶食してようやくなくなるぐらいです(極端なダイエットは危険なのでやめてくださいね)。 もっとも脂肪が分解される前に、筋肉などのタンパク質が分解されますので、現実にはもっと大変なわけなのですが、いずれにせよ大事なのは、肥満気味の人はちょっとお腹が空いたぐらいでは人は死なないということです。

心臓は油を使って動いている


一方で心臓は脂肪酸だけをエネルギー源として収縮しています。 その理由は大学にいるときに研究に携わった際にいろいろ勉強したのですが、よくわかりませんでした。 確かに糖分に比べて、安定して供給されるという利点はあるでしょうが・・。 なぜ他の栄養素を受け付けないのかはよくわかりませんね。 ただ例外として極端に元気が無くなった心臓の筋肉は糖分を使い始めるのですが、その際にその心臓の筋肉は収縮しなくなります。 心臓の役割を考えると、とても正常とは言えない状態です。
脂肪の話になりますが、脂肪を食べると皮下脂肪が増えると思っておられる方の中で、脂肪を全く食べない方がおられますが、それはあまり意味がありません。 まず根本的な間違いは、脂肪を食べなくても、糖やタンパク質からも脂肪は作られます(さっき述べましたね、3大栄養素は時間をかけさえすれば、お互いやり取り出来る栄養素という事です)。 そして脂肪を含む食材の中にはいろいろな栄養素が含まれていることが多いです。 例えばビタミンAやビタミンEなどの脂溶性ビタミン、こう言ったビタミンは皮膚の状態を落ち着かせたりする作用があったりします。 また体の中では作ることができない、必須脂肪酸と言われるリノール酸やリノレイン酸という脂肪酸が欠乏することがあります。 また脳は糖で活動していますが、8割は脂肪でできています。 すでに痩せている人が、極端に脂肪を避け、摂取カロリーを減らすことは、こう言った生物の機能の根本を揺るがします(例えば拒食症の方の大脳の前頭葉が小さくなってしまうという例が有名ですね)。 そういった現象は、とてもストイックに薬を飲むのを嫌うあまり、コレステロールを下げるために極端な食事療法に依存してしまう方にも見られます。 そういった方は、しばしば、必要な油の成分やビタミン等も取らない傾向があり、肌がかさかさになったり、とてもやせ細ってやつれたりする事もあります。 時々それをコレステロールを下げたためだと勘違されているような気がしますが・・。 悪玉コレステロール値の高いやせ形の患者さんは、あまり無理に食事療法にだけ固執しないで、きちんと内服された方が良いのになと思いながら、三好クリニックでは一応患者さんが納得するまで、1年でも2年でもつきあっておりますが・・・。 脂肪の中にはやっぱりある程度、体に必要な他の要素も含まれているのですから・・。 あ!、でも太っている人はちゃんと脂の摂取は控えてくださいね・・・。 もう十分栄養素とってますから。

これでしばらく心臓の形編を終わろうと思います。 まだまだ心臓の形や、リズムの出来方等、いろいろ興味あることはあるのですが、それはまた別の機会に。

心臓の形ー3

絶え間なく働いている心臓


心臓はとても単純な構造をした臓器ですが絶え間なく動いている臓器です。 心臓は収縮している時だけでなく、弛緩している時もとても重要なことを行っています。
心臓は血液を全身へ送り出すとともに、収縮するために必要なエネルギーを自分自身に送り出す必要があります。 栄養のある血液が心臓の内側にたっぷりあるのだから特に何もせずとも、酸素や栄養は行き渡るのでは無いかと考える人もいるかもしれませんが、そういった方法(自然拡散)で効果がある範囲は0.2mm程度でそれ以上遠くへは届きません。 心臓の壁の厚みは左心室で10mm程度ありますから、全くもって足りない訳です。 ですので心臓は自分自身に血液を送る必要があります。 心臓には心臓の周りだけをまわっている血管で名前を冠動脈という動脈を使って血液を送り出しています。 冠動脈は心臓から出たすぐの所、大動脈弁のちょっと上当たりから枝分かれしてそのまま心臓全体に血液を送っています。 心臓以外の臓器では、血液が最も多く流れる時間帯は心臓が収縮している時間帯ですが、心臓を栄養している冠動脈に流れている血液は、弛緩しているとき(医学的には拡張期と言います)に流れます。 心臓は収縮して血液を全身の臓器に送り出しているのに、心臓自身は弛緩しているときだけしか血液を受け取れないというのはちょっと変な話ですね。 つまり心臓は収縮している時間も弛緩している時間も両方とも重要なのです。

心臓は無限に早くは打てない


そして心臓が一回に収縮している時間の間隔は、ほぼ一定だと言われています。 運動して心拍が早くなると、少しだけ短くなりますが、それでも 0.35から0.4秒位の間での変化で、ほとんど変化しないと考えても良い位の変化しかありません。 運動したり興奮したりすると、心臓は全身の酸素の要求に応えるため、いっぱい収縮の回数を増やして血液を送り出そうとします。 しかし一回の収縮時間が決まっていると、一秒間に収縮できる回数には限りがあることがわかるでしょうか? つまり一秒間に3回以上の収縮をさせると、心臓は弛緩する時間がなくなり、自分自身に血液を送り出す時間がなくなります。 収縮回数が多くなってたくさんエネルギーが必要なのに、自分自身に必要な血液を送れない。 血液が十分回らないこの状態を「虚血:きょけつ」と言います。 心臓の筋肉はとても単純でタフにできていますが、酸素が行き渡らないと、30秒以内に収縮をやめてしまいます。 つまり人間が全身に血液を送り出すのに最も適した心拍数は、1分間に50回から180回ぐらいの間であるわけです。 それ以上心拍数が増えても、実際には収縮が間に合わなかったり不十分であって、それ以上は循環する血液のスピードは上がらないのです。 

心臓は収縮して全身をいたわり、弛緩して自分をいたわる


つまり、心臓にとって、収縮している時だけでなく、弛緩している時も重要だということです。 心臓の筋肉を守り酸素や栄養を十分行き渡らせるために、この弛緩している時間をできるだけ長くすることが重要で、それは具体的に言うと心拍数を落とすことが必要になります。 そのため、ざっくりとお話しして心拍数が遅くなるタイプの薬は、通常生命予後を良くする。 つまり寿命が長くすることが知られている薬が多いのだろうと言われています。 狭心症などの治療に、心拍を落とす薬を使うのはそういった理由からなのです。

次回に続く

心臓の形ー2

人が立ち上がるという事


人が人以外の動物とが決定的に違う部分はなんだと思いますか? 画期的だった点は、脳の大きさもありますが、常に2本足で生活する事でしょう。 2本足で生活する事は多くのメリットがあるのですが、それはまた機会があれば説明してみましょう。 人間は2本足で生活するようになっても心臓の構造は他のほ乳類の心臓と大きさ以外は変わりありません。 

心臓はぶらぶらしてます


心臓は周囲の肺などに比べて液体が充満した比較的重い臓器なので、重力に強く影響を受けます。 心臓は収縮の邪魔にならないように、それでいてあちこち移動しないように、主に左心房の裏側だけで背中から吊り下がっています。 左右に大きくぶれないように、心(外)膜という薄い皮で囲まれています。 そういった束縛されない構造のため加わる重力の方向によって心臓の位置は大きく変わります。 体の方向によっては、接続部位や、周囲の臓器や骨に当たった部分に強い力が加わり、それが刺激になって心臓が余分に収縮したりする事があります。 これを期外収縮と言います。 こういった期外収縮の発生に、心臓と周囲の臓器の位置関係は結構重要で、体の方向や位置によっては、不整脈が出やすくなったり症状が強く感じられたりする方向があります。ちょっと雑な言い方をすると、どちらかというと四つ足動物と同じうつ伏せの方が、期外収縮の患者さんには良い様です。

位置の変化で不整脈も出ます


人間は立ち上がる事によって、心臓にかかる重力の方向が変わりました。 4足歩行の動物では、重力は背中からお腹方向にかかるのに対して、2足歩行になると、頭から尻方向に重力の方向が変わります。 それによって人間の心臓は、重力によって垂れ下がり、より横隔膜に接するようになっています(横隔膜の上に乗せて重力を軽減している)。 また、もともと4足歩行の動物の胸の骨全体の構造は、重力を効率よく背骨へ逃がすように、前後(背腹方向)に長くなっています。 人間は、重力のかかる方向が変わった事で前後の幅が薄くなり、それにしたがって背骨と胸の前側の骨(前胸部)との間が小さくなる傾向にあります。 特に、都会で生活していて、上半身の筋力があまり必要の無い人々は、背中の筋肉の発達が少なく、背骨も後ろ側への湾曲が少なく、まっすぐのまま成長する傾向が強いです。 そうすると、さらに背中と前胸部の距離が短くなり、周りの臓器に当たらずに動いたりするスペースが無くなります。 そういった方々の多くは、不整脈で心臓がいびつな運動をするときに、症状が出やすい傾向があります。 簡単に言うと痩せていて胸板の薄い方のほうが不整脈の症状は強く出る傾向があります。 私の患者さんで時々、上半身の運動(ラジオ体操第一)とか、マッケンジー体操といって、背筋を鍛える運動をされるようになった後に、不整脈の症状がとても良くなったりする方がいらっしゃいます。 お薬飲むのはいやだなとおっしゃる方、ちょっと試してみてはいかがでしょうか?

とりあえず横隔膜で下から支えられている心臓


人間は立つ事で、心臓の重みを今度は横隔膜でささせるようになりました。 ちょうど横隔膜の上に心臓が乗っている様なイメージでしょうか? そのため心臓の位置は呼吸で変動します。呼吸の息を吸う時だけ不整脈が出られる方や、きついベルトをすると楽になったりする人や、体重を増やすと(他の病気が悪くなる事がありますが)横隔膜の位置が内臓脂肪で持ち上げられて心臓の重量を腹で支えるようになります、そのようになると自覚症状が楽になったりする人がいる様です。 
人間は立ち上がる事によって脳が発達したと言いますが、心臓はあまり最適化されていないのかもしれませんね。 

次回に続く

心臓の形ー1

今日は病気の話では無く、心臓のお話です。

Heart Icon
心臓と言う言葉から解るように、昔の人は心臓に心があると考えていたのでしょう。 
まだ内蔵の機能がよくわからなかった時代に、死んでしまった人と生きている人の違いを観察して、死んだ人の心臓が止まっている事から、心が心臓にあるのだと考えたり。 あるいは興奮して昂ると心拍が上昇し、落ち込んで静かにしていると心拍数は落ちる、こういった感情の変化で起こる鼓動の変化から、心はきっと心臓にあるに違いないと思ったのかもしれません。 英語でも日本語でも心臓(Heart)は心(Heart)と同じ言葉で表されます。 それは漢語の文化圏もラテン語の文化圏も直感的にほぼ同じような事を考えたのだとわかります。
我々の心が、脳の中の単なる電気信号の集合なのか?、それとも本当は心臓にあるのか?、それとも我々が感知出来るこの世界の外にあるのかとても興味はありますが、実際に心の活動を外から客観的に観測する事が出来ないために、現状では答えの出ない問題です。 答えのでない問題はここではちょっと横に置いておきましょう。 ただ現代の日本で見られる多くのジェスチャーやシンボルの中では、心は心臓と同じ物として表されます。 つまりハート形ですね。 トランプ等で見られるハート形は、上の2つの半円状の突出は心房を、下の緩やかにとんがった部分は心室の形をとても良くとらえています。 冷静に考えると、女子高生達が、通学鞄や携帯についているハートマークや、バレンタインのチョコレートのハートマークは、それが心臓だとおもうとちょっとグロテスクな感じがしますね。 つまり現代社会でのハート形は、元の心臓と言う意味から離れて、すでに心そのものをさしているのだと思います。  それぐらいハート型はよくできたシンボルです。 誰が考えたのでしょうかね・・・・。

こういったいわゆるハート形の心臓は魚類には見られず、両生類以降にようやく見られる形です。 心臓の形も進化の過程で人間に近い動物ほど人と似ていて、遠いほど人とは異なっています。 人と同じ様な形、2つの心房と2つの心室が分かれた構造を取るのは、鳥類とほ乳類になります。 ではもっと古代の動物ではどのような形をしていたかというと、弁の付いた血管の様な形だったと考えられています。 静脈には弁が所々にありますので、静脈の形が心臓の原型のような物なのでしょうね。 人間はその胎内での成長の過程で、進化して来た過程を忠実にそして短期間でたどって生まれてきます。 なので、胎児の成長を観察していると、そういった血管の一部が大きくふくれて、強い筋肉が付いて、最終的に心臓が完成してゆきます。

胎児循環

母体の中で活動性している胎児は、生命活動に必要な酸素や栄養素を胎盤から得ています。 人は生まれた瞬間、オギャーと叫んだ瞬間に、急にそれがなくなって、いきなり肺で呼吸を始めるために、ものすごい勢いで心臓の環境を変化させます。 胎児の間の心臓は(胎児循環と言います)、左心室をほとんど使っていません。 胎盤・へその緒から送られてきた血液は、一旦右心房に到達します。 そこで、(1)右心房と左心房の間にある弁(卵円孔と言います)、を通って左心房へ流れ、左心室から全身へ送られる血液と、(2)そのまま右心室・肺動脈から、動脈管といって肺動脈と大動脈を直接繋いでいる血管を通して、全身に母体の栄養の入った血液を送っています。   この血液循環のやり方は、生まれた瞬間に肺が広がることで、右心室から肺への血液が爆発的に増加、先ほどの卵円孔と動脈管が閉じ、右心室中心から急に左心室中心の循環システムに切り替わります。  この変化に心臓が完全に適応するに30年近い年月を要すると言われています。 18ー19歳ごろでほぼ外面的な体は出来上がるのに比べて、心臓の形が完成するのはもっと後なのですね。

次回に続く

次回の予約の付箋

いつも三好クリニックを受診いただきありがとうございます。
再来される方に、今までポストイットの黄色い付箋で、手書きで次回の予約を記載していたのですが、稀に間違って記載したり、文字が読みにくかったりして間違えて来院される患者さんがいらっしゃりました。 また、最近スマートフォンを使用される方が多く、外来の診察室で、次回の予約を入力される方も多くいらっしゃいます。 でもスマートフォンで予定表を登録するのってとても大変ですよね。 私も、時々入力することがあるのですが、スマホの日本語入力が慣れていなくて、タイトルとかを入れるのに結構時間がかかって難渋するのですよね。

そこで、今回QRコードを付けた、着脱可能なシール状の予定メモにすることにしました。 この方が字がしっかりしてますし、財布の中ではがれにくいです。
IMG_0323s
こんな感じです。

これはvCardという形式の、予定表の標準的なフォーマットになっているので、スマートフォンで読み込むことができます。 vCardに対応しているのは QRreader
QRReader
です。 QReaderという似たソフトもあるようですが、試してないです・・・。すいません。
iPhone版Android版の二つあります。
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『次回いつ来院されますか?』

「次回いつ来院されますか?」 診察の時、実は一番気を使うのはこの話題だったりします。
客観的に見てどのぐらいの診察の間隔(インターバル)がよいのでしょうか? 色々な保険診療の決まりごとを考えると、厚生労働省が考えている慢性疾患(高血圧など)の診察の間隔は2週間ぐらいを想定しているのじゃないかなと思われる節があります。 
15年ぐらい前までは保険診療で処方できる最大日数は30日でしたので、患者さんは1ヶ月に1回は通院いただくことが必要でした。 その制限も今はなくなり、現状で私の外来を通院してくださる患者さんの平均通院インターバルは2.8ヶ月弱です。 もちろん2週間に一回通院してくださる患者さんもおられますが、片手の指で数えるぐらいだと思います。
「次回いつ頃ご予約入れましょうか?」とお聞きするとき、例えば「そろそろ血圧も落ち着いてきましたし、お薬2ヶ月とか3ヶ月とか長めに出せますがどうしますか?」と伺うと、患者さんによっては「通院が大変なので助かります!!」とおっしゃる患者さんと、「ちょっと不安なので1ヶ月に一回見てもらえますか?」とおっしゃる患者さんがおられます。 ときには、見放されたんじゃないかと思われる患者さんもいらして・・・。 一応そういう方はカルテにメモを残しておくのですが、時々忘れることがあって、次に来院されたときにも同じように、「3ヶ月ぐらいでも大丈夫ですよ」とお話してしまうと、「会いたくないんかい!」と思われる患者さんもおられるようで・・。 なのでその辺の話題は結構注意が必要だったりします。 あと患者さんによっては、「先の予定がわからないので、来院直前に連絡を入れさせてください」とおっしゃられるかたもおられます。 
おそらくインターバルが長いことと、短いことにはそれぞれメリットとデメリットがあって、直感的に理解していただけるように例えると、車の運転や自転車などのスピード感覚と似ていると思います。 インターバルが長い患者さんは高速でスピードを出している車、短い患者さんは低速でゆっくり走っている車と似ています(車の嫌いな方には申し訳ない例えですが)。

1、診察頻度の高い患者さん


  • 患者さんにとって不利な点は、通院のため社会生活を犠牲にする必要があること、年間を通しての診察の代金がかかること。 あとご希望の予約日程が取りにくくなります。  特に遠方からの通院の患者さんはやはり通院頻度が少なくなります。 また次回の予約を忘れにくいです。
  • 患者さんにとって利点としては、丁寧に診てもらえる。 安心感があるというところでしょうか? それと一回に支払う金額が少なく、金銭的な負担感が少なくなることでしょうか?
  • 医者側から見たデメリットとして、1日診察患者数が増えて外来が混雑する、カルテの記載が長大になりすぎて1~2年前の事を見渡すのが難しくことがあります。 直近の1-2ヶ月のことに集中してしまい、1年〜2年単位で注意が必要な点を見落としがちになります。
  • 反対に医者側から見たメリットは、患者さんの前回の病状をカルテを見ないでも思い出すことができ、診療の連続性が確保できる。 また、大きな異常ではないけれど、少し気になることがあったときに、診察の回数が多いと、対応が早くなり、結果として早く適切な処置ができるようになり、病勢の変化に気付きやすいです。 特に多くの薬を内服している患者さんですと、ちょっとした体調不良によって、薬の悪い面が出ることがあり、きめ細かな対応が必要になる事があります。 
  • 例えば、エンジンや車輪に不調のある車をスピードを出して運転すると危険なように、ご病気の程度によって、例えば、多くの薬を内服している患者さんや採血のデータに異常のある患者さんなどは、診察のインターバルは1ヶ月とかで拝見していた方が無難と思います。 少々車体がゆがんでいても、ゆっくり走る分には問題なくても、高速を出すと妙に振動が出たり壊れたり、コントロールを失ってガードレールにぶつかったり・・・、します。 また診察していると、必要な検査やチェックをうっかり忘れることがあります。 そういったうっかり忘れも、診察頻度が多いと、素早くやり直しが可能になります。

2、診察頻度の低い、インターバルの長い患者さん


  • この場合、診察頻度の低い患者さんの反対になります。 ただ、三好クリニックではほとんどの患者さんの通院インターバルが2ヶ月から3ヶ月ですので、多くの方がこれにあたります。 そういった患者さんのデメリットをなくすため、幾つか注意していることがあります。
  • カルテを見ないと、以前どういうお話をしたか覚えていません。 言い訳がましくなりますが、患者さんにとってお医者さんは1人なので、以前の医者側がしたお話をきちんと覚えておられると思うのですが、医者側は似た病状の患者さんを数多く拝見していて、1ヶ月以上前のお話は、他の患者さんと混同してしまいます。 ですので、クリニックの外で、「あの時はどうもありがとうございました。 おかげで楽になりました。」とお礼を言われても、残念ながらあまり覚えていないことのほうが多いです。 診察の始まる前の早朝と昼の休憩時間の間に、予約患者さんのカルテの古い記載までさかのぼってじっくり見直し、予習しておく必要があります。 そのため、「今日近くまで来たのでやってきました」と来院される患者さんに対して、以前の病状を思い出す時間が不十分になり、診察の連続性が保たれない傾向があります。 大事な情報を見落としたり、必要な検査をやり忘れたりすることがあります。 そういうことが少なくなるように、次回診察時のメモ書きを残していくのですが、極端に忙しい時間帯にいらっしゃると、そういった次回メモを残す時間もなくなり、結局診察のクオリティーが下がる結果に繋がります。できればご予約していらして頂く方がありがたいです。 
  • また診察頻度が低いと、病気などの異常に対して後手後手になる傾向があり、病気の勢いに負けてしまうことがあります。 なので、あらかじめどういうことが起こるのか予想して、先手を打っておかなくてはなりません。 先手を打つということは、患者さんが不調に気づく前に、病状の変化の兆候を知る必要があり、そのためには心電図や採血などのデータを常に参考にする必要があります。 それはちょうどレーサーやパイロット達が計器類のデーターを常に確認しながら高速で車や飛行機を運転するのに似ています。 あらかじめ2手3手先を読んで、様子を見たりせず検査を進めて行くことが必要になります。 そのためどうしても検査が多くなりがちになります。
  • 診察頻度が低いと、次回の診察を忘れてしまわれる患者さんが多いです。 それを防ぐために、患者さんの多くはスケジュール帳をお持ちくださることが多いですが、皆様そんなに几帳面な方ばかりとは限りません。 三好クリニックでは、ご希望があれば、予約前日にメールにて来院を促すメールを自動で発信するサービスをしています。 特に土曜日しか来院することができないような患者さんですと、一度忘れると次回2週間以上先になりますので、このサービスをご利用頂くことが多いように思います。 受付、あるいは三好に直接ご相談ください。

患者さんはなぜコレステロールを下げたくないと思うのか−2

前回の続きです。

8、老化する


どういう理由か解らないのですが、時々「コレステロールの治療をするとしわしわになる」とおっしゃる方がおられます。 なぜそう思われるのかよくわからないので私の見当はずれなのかもしれませんが、コレステロールが細胞膜を作っているからという理由なのかも知れません。 ただ肌のつやを作っているのは皮膚の下の細胞とは関係のないタンパクの組織で、コラーゲンの線維とそこを埋めるリンパ液が皮膚のハリやみずみずしさを作っています。 なのでコレステロールが多くても少なくても皮膚のツヤは変わりません。 ただコレステロールと一緒に油を摂取していると、その余剰の脂分が皮膚に汗と一緒に分泌されて皮膚がツヤツヤになるかもしれませんが・・。 コレステロールを沢山とって動脈硬化が進んでくると、むしろ皮膚の血管の閉塞も進んで、老けてゆくスピードが速くなるのではないかなと思われます。 あと食事制限だけで頑張ろうとする方も、栄養が偏っていたりするのかもしれません。

9、ガンになる


コレステロール値が低いと、ガンになりやすいのではないかという考え方があります。 医者が下げろというコレステロールを下げるとガンになるのではたまらないわけで、こういう話は読者の興味をひき話題になります。  そのため一般の方がそういう内容の話を目にする機会も少なくないでしょう。 しかし、コレステロール値が高い患者さんにコレステロールの治療をしたらガンが増えたということを示した研究結果は実は一つもありません。  ほとんどの研究結果が治療によって総合的に見て死亡率が減少することをしめしていて、この点について疑問をはさむ方は、おそらく後で示す「陰謀説」を信じている方だけでしょう。 
その一方で、コレステロールが低い患者さんの経過を見ていたら、ガンで死ぬ人が多かったという研究結果は結構たくさんあり、低コレステロールと癌が関係があることはわかっています。  しかしそれを示している研究は原因と結果を特定することができないものばかりです。 具体的にいうと、「癌だからコレステロールが低い」のか、 「コレステロールが低いから癌になる」のかを決めることが出来ないのです。  少し話が難しくなりますが、それが統計学で、その詳細をここで説明はいたしません。 ではどうするかというと、どちらが原因であったのか読者の判断に任せられるのです。  ですのでこれは私の私見ですが、臨床で多くの患者さんの治療を経験してきた医師で、きちんと統計学を学び、原典をきちんと読んだ医者であれば、癌が栄養状態を悪くして、その結果コレステロールが低くなっていると考えるでしょう。 もちろん逆である可能性はゼロではありませんが、それが間違っているであろうという間接的な証拠はきちんと記載されています。 なのでもしも私が自分の命をかけるとするならば、癌に恐怖してコレステロールの治療を諦めるより、コレステロールをきちんと下げるほうに命をかけます。

10、コレステロールが高いほど長生きできると聞いたから


100歳以上の超高齢者の研究をして行くと、そういった方々のコレステロール値が比較的高かったという報告があります。 なので長生きしたければ、コレステロールを高くて良いのだということを時々メディアで拝見したことがあります。 もしかしたら本当にそうかもしれません。 ただ、私は100歳まで生きたいとはちょっと思えませんが・・。 
論理的に考えて「100歳以上の高齢者のコレステロール値が高い」という観察結果から、 「コレステロールが高いほど長生きできる」という結果は導き出せません。 その理由は、その方々が50歳-60歳ぐらいの年齢の時に、本当に悪玉コレステロール値が高かったか記載されていないからです。 50-60歳の時の悪玉コレステロール値が高い方が長生きされていたら、表題の結論で間違っていないでしょう。 しかし、100歳になれば、若い頃に比べてほとんど動かなくなり、体重も増えて、悪玉コレステロール値は自然と高くなってくることが予想されます。  そしてもう一つ、100歳以上の方を皆さんご覧になられたことありますか? 私は医者をしていて、拝見したことがあるのは1人だけです。 普通は一生のうちにお会いできない方の方が多いのではないでしょうか? これは申し上げにくいことですが、それぐらい珍しく、医学的には異常な方々です。 その異常な方々の例を、普通の我々にあてはめるのは間違っています。  そして最後に、100歳を超えておられる方々はどんなに長生きされたとしても10年で寿命を迎えます。 つまり10年しか生きていけない方々のデータを、40歳や50歳の方々のデータに当てはめてはいけないとおもいます。 

11、薬屋の陰謀だから


ネットサーフィンをしていると、時々「薬屋が儲かるようにデータを操作しているのではないか」という論調のもの拝見することがあります。 陰謀に立ち向かうヒーロイズムは物語としては面白く、多くの読者の注目を集めるでしょう。 事実データのねつ造等が問題になって科学論文が取り下げられる事もあります。  人を疑い始めると際限なく疑うことができます。 しかし全ての科学論文の結果を疑ってしまうと、迷信や信仰に頼るしかなく、それは医療ではなくなってしまいます。 私も研究を行い論文を書く仕事をしていましたが、科学論文を自分に都合のよい結論にするのは困難です。 論文として出版されるまでに半年から1年以上の期間をかけて、審判をしてくれる複数の中立の科学者と議論をする必要があります。 その際、きちんとデータを提示する必要があり、この段階で不自然なデータ操作やあいまいな個人的な憶測や推測は全て排除されます。 また研究は多くの研究者が集まって研究を行う事が多く、お互いが不正を監視し合うようになります。 また研究は再現性が重視され、複数のグループが追試験をしても同じ結果が出る事が重要で、再現性の少ないデータを発表する研究者は学会では無視される傾向にあります。 また明らかにおかしな結果を出してくるグループがあっても、見る人が見るときちんとおかしい事が解ります。 陰謀もあるのかもしれませんが、それを実行するのは困難で、特に数多くの独立した研究グループの研究がほとんど同じ結果を出しているコレステロール治療の分野では、薬屋の陰謀論は考えにくいと私は考えます。 
むしろ陰謀を考えるなら、一般雑誌や本等で、特にレフリー(審判)がいない状況で出版された文章のほうが怪しいはずです。 より本が売れるように、雑誌が売れるように、読者が求めている結論や、読者に印象に残りやすい結果を憶測や推測で記載してもよいわけで、そこにはなんの歯止めもないからです。 患者さんの中には、そういった本やインターネットでの情報を信じ、論文等に記載されたデータを陰謀だと言って信じられない方もおられて、少々外来診療で険悪な雰囲気になる事もあります。  
自分の身に当てはめてみると、同じぐらい疑わしい結論が2つあると、自分にとって都合の良い結論に飛びつきやすい心理傾向があります。 そういった判断の多くは「そんなことはありえないから」という形で心の中で処理されることが多い気がします。  自分が死ぬなんてありえない、今まで大丈夫だったのだからこれから悪くなるなんてありえない、 薬屋の陰謀なんてありえないというのも一つなのでしょうね。  そして人間は、自分の経験や知識をもとにして、どちらがよりありえないのかを判断して、どちらかを選び行動することになります。  私は、患者さんと接してきた色々な経験や、科学論文や先人の知恵などを総合的に判断して、やはりコレステロールの治療は必要だと判断します。  医者は科学者です。 科学論文の中に何か間違った情報があったり、専門家の判断に誤りがあっても、ある程度それを信じて行動しなければ、迷信や信仰だけが行動原理であった古の時代に逆戻りしてしまうでしょう。  なので、私はやはり現在の高脂血症学会のガイドラインをきちんと守って治療を行うようにしています。 逆に極端な話をすれば、陰謀説を信じるのも悪くはないでしょう。 ただ患者様にはそれに「自分の命」や「人生」を賭けているという覚悟があるかどうかが問題なのだとおもいます。 

患者さんはなぜコレステロールを下げたくないと思うのか−1

コレステロールの高い患者さんとお話ししていて感じるのは、一部の患者さんの中に強く治療に抵抗される患者さんがおられることです。  そういう方々のなぜ治療をされたくないかという理由を分類してみましょう。

1、 今、特に不自由していないから


おそらく、コレステロールが高いといけないことがわかっていても、今なにも体調が悪くないので、治療をされたくないという方が圧倒的に多いのではないでしょうか?  これは医者の独断で要約すると、「将来のいつ頃に、どのような病気になって、どのぐらい不自由されるのか」ということを患者さんがきちんと想像できないのかなと思われます。  
例えば、「将来心筋梗塞や脳梗塞で死ぬかもしれない」というような、漠然としたイメージではなく、「50歳で脳梗塞になり半身が動かなくなる。 左足が全く動かなくなりツッパリ、左手も動かなくなる。  杖をついてゆっくりと動ける程度で、階段の昇降は一人ではできなくなる。 言葉も、片言で、「ウー」とか「アー」としか言えなくなり、トイレにも一人で行けず、紙おむつが必要になる。 今まで勤めていた会社をやめなくてはならなくなり収入が激減、住宅ローンも10年残っていて、住み慣れた家を処分して、出ていかなくてはならなくなり・・・。 その状態が20年30年続くとしたらどうでしょうか?」 といった現実的なイメージを持てるかどうかも、治療をきちんと受ける動機になります。  実際にそういった患者さんが周囲におられたり、身内にいらっしゃると、よりリアルに想像出来るのでしょうね。 今はなにも不自由されておられないかもしれませんが、周りの方々より明らかに早く、脳梗塞や心筋梗塞で不自由な生活を強いられることになります。 10年20年後の自分のために、ぜひコレステロールは適正な値にコントロールしたほうがよろしいでしょう。

2、自然のままでいいじゃないか


薬のような人工物を取るのは自然じゃないし、自然じゃないことは体に良くないだろうと思っておられる方多いのではないでしょうか? ただそういう方々の多くは根本的な事を見落としています。 それは食事です。 先進国での人間の生活は、人間以外の野生の動物と比べると大きく逸脱しています。 特に食事は異常で不自然です。 カロリーの高いもの、砂糖や卵、肉などを、何不自由なく食べて暮らせて、そして、下手をしたらほとんど外出することもなく生活することができるような環境。 これは野生ではあり得ない環境です。 自然な環境で生存している野生動物の悪玉コレステロールの値は 35-70 mg/dlと言います。 これは人間の赤ん坊の悪玉コレステロール値と同じぐらいです。 そしてこれは我々人間の悪玉コレステロールの目標値 140mg/dl以下よりかなり極端に低い値です。 もし本気で自然を追求するのでしたら、まずは食生活を見直べきでしょう。  だた本当に、35-70 mg/dlぐらいの値の患者さんがいらしたら、ほとんどの医者は「ちゃんと食事してますか? 何か病気なんじゃないですか?」と心配になってしまうぐらいの低い値です。 それぐらい野生の動物は過酷な生活をしているわけで、そこまでする必要はないのではないかなと思います。
「自然なほうが良い」と考えておられる方の多くは、自分なりの現状が「自然」で、その自然を変えたくないということなのではないかなと思われます。  薬のように今まで飲んだことがないものを飲みたくないという気持ちはわかりますが、皆さんが日常食べられている食事もそう大した変わりはないのではないかなと、私は個人的におもいます。 普通にみなさんが口にされている食品には、合成着色料・合成甘味料、いろいろなものが入っています。にわとりの卵ですら、黄身を鮮やかにするために親鳥の飼料に色素を加えている時代ですから・・・。 それなら安全性をしっかり検査された薬を内服するのもあまり変わらないのでは無いかなと思ったりします。

3、もうあまり生きることに執着していない


ご高齢の患者さんや、親しい人と死別してしまっているような患者さんの中には、もうあまり生きることに執着しておられない方もいらっしゃいます。 そういう患者さんのなかには、お薬を飲んでまで長く生きたくないと思っておられる患者さんもおられます。 

4、飲むと負けたような気になる。 病院につながれているようで嫌


この気持ちは解りますね。 そういう患者さんには、生活習慣の改善をしていただく事で対応する事があります。 しかし、無理をしても長続きしませんので、長く続ける事が出来る習慣をおすすめしています。 遺伝的に、体質的に高くなっておられる方もおられて、生活習慣だけではコントロール出来ない患者さんもいらっしゃいます。 その場合やはりお薬の内服をお勧めします。 しかしそういった患者さんの中でも、なかなか説明しても薬を飲む事を嫌がられる患者さんもいらっしゃいます。 そういう方々にはやはり薬を飲まないと若死する病気だとご自身の病気を理解していただく必要があります。 薬を飲まないと周囲の方より早く死ぬのだということを考えると、薬を飲んだほうが勝ちのような気がします。

5、実際に飲むと、調子が悪くなるので飲まない


コレステロールの薬の副作用として、肝機能障害と横紋筋融解症といって、筋肉がダメージを受ける事があります。 ただし、こういった副作用は最近の薬では珍しくなりつつあります。 特に治療薬の使用可能な上限ギリギリの量を使っている場合に見られやすく、そのような量の治療薬は、一般的な生活習慣病の患者さんではほとんど使いません。 時々患者さんの中には、「内服中に筋肉が痛くなったから飲むのをやめました。」 とおっしゃる方もいらっしゃいますが、よくお話を聞くと、前日にゴルフをしたとか、子供の運動会にでたとか、慣れない畑仕事をしたとか、「それは普通の筋肉痛なんじゃないかな・・・。」と思うようなことでやめてしまわれて、その後どんなに説得しても飲まないとおっしゃられる方もいらっしゃいます。 筋肉の副作用、横紋筋融解症はとても有名ではありますが、最近のお薬では少ない薬の量で良いコントロールを得られるので、ほとんど見られません。 やはりきちんと、主治医に相談して、薬の副作用かどうか採血を行ってからやめられた方が良いでしょう。 副作用かどうかあやふやな状態でやめてしまうと、もう一度お薬を始めるときもきっと恐ろしくなるでしょうし、やはり冷静にきちんと対応していた方が患者さんにとってよろしいかと思います。
そういった派手な副作用以外にも、怠くなる、やる気がなくなる、鬱の症状が強くなる、下痢になる、といった理由でお薬が飲めない患者さんもおられます。 その場合、コレステロールが高い事によるリスクを承知の上でお薬を中止する事もあります。 また薬の系統を変えるとそういった副作用が見られないこともありますので、きちんと主治医に相談されるのが良いでしょう。 時々患者さんの中で、主治医に気をつかって、薬をもらうけど、飲まずに捨てていたりする患者さんもいらっしゃるようです。 それはお金の無駄でもありますので、きちんと相談されることをお勧めします。 しかし、医者の中には、「だるいぐらいなんだ! 命のほうが大事だろう!」って怒り出したり医者もいますね・・。 そんな時はちょっとお医者さん変えてみたりする方が良いかもしれません。 お薬を飲んでもらうのは命令ではないです。 時には寿命が短くなることよりも副作用のほうが辛いという場合もありますので、そこのところをきちんと医者から説明をうけて、理解した上でお薬をやめるという選択肢もあります。

6、なんとか食事療法だけでやりたい


コレステロールの多い食生活や、食事全体の量を見直す事はとても重要です。 しかし、一時コレステロールを下げるために「それじゃあ続けられないんじゃないかな・・・」と思う様な極端な食事制限をされる方が時々おられます。 確かに一回は目標を達成出来ても、 それが続かないようならあまり意味が無いです。 また、採血の直前だけ、データーが少しでもよくなるようにと油分を取らないでいらっしゃったりする方もおられます。  コレステロール値は学校の試験の採点ではないので、今の患者さんの現状を知ることが重要です。 無理ない範囲での生活習慣の変化でコレステロール値が下がってくれるようなら、お薬は飲まなくても良いでしょうが、そのままの生活を一生続ける事が我慢できないのであれば、薬を飲んだほうがより健全なのではないかなと思います。

7、コレステロールは体に必要なものなんでしょう


前回のコレステロールの役割でも話した様に、コレステロールは体に必要です。 なので「どんどん摂取して良いんですよね」という風に考えておられる方もおられます。 しかし、ほとんどの日本人にとって、コレステロールは不要なほど十分すぎるほどあるというのが現状です。 野生動物の悪玉コレステロールが35-70 mg/dlであっても、十分健康に生活している訳で、それだけあれば本当は十分、140mg/dl以上あるのは多すぎです。 どんな良薬も量が多すぎれば毒になります。 適切なコレステロール量を維持する事が大事なのです。

続きはまた次回

コレステロールは下げた方がよいのか? 下げない方がよいのか?2

コレステロールの役割


コレステロールは体を構成する重要な要素です。しかし多すぎるのが良くないのは確かです。

コレステロールは細胞の膜を構成する要素の一つです。


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動物の細胞は細胞膜という膜に囲まれています。 コレステロールはその膜に一定量含まれています。 最も多く含まれる臓器は脳や神経です。 細胞膜とはちょうどシャボン玉を想像してもらうと良いでしょう。 ちょうどシャボン玉の表面の模様が少しずつ動いているように、細胞膜も少しずつ動いています。 コレステロールが細胞膜に含まれるとこの動き(流動性)が変化するようですが、あまり一定の見解はないようです。 コレステロール以外の分子も似た様な作用を持つ事から、コレステロールが絶対になくてはならないと言う訳では無いようです。 

コレステロールはホルモンの原型になります。


コレステロールは性ホルモンやステロイドホルモン、ビタミンDの原料になります。 生殖器や副腎などで、コレステロールはホルモンの原料になります。 しかしこれらホルモンに必要なコレステロールの量はかなり少なく、コレステロールが増えたからといって、こう言ったホルモンの量が増えるわけではありません。 

コレステロールは消化に必要です


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脂肪の消化に重要な働きをしています。 コレステロールは胆汁酸といって胆嚢から分泌される消化液の原料にもなっています。 胆汁には胆汁酸とその原料になっているコレステロールが含まれています。 そして十二指腸に分泌されたコレステロールの90%は、もう一度小腸で再吸収されます。 こうして腸に出しては再吸収を繰り返しているコレステロールの量は、ほぼ血液中に含まれているコレステロールと同じ位だと言われています。 ですので下痢が続いたり、植物繊維を多く含む食事をすると、腸の中での循環の環が途切れて体外に排泄される量が多くなります。




 

コレステロールはどこから来るのか


コレステロールは肝臓で作られます。 全体のほぼ5割から7割が肝臓で作られると言いますので、食生活の注意だけでは血液中の悪玉コレステロールを下げる事は難しいですが、鶏卵、牛肉・豚肉等の動物性脂肪(レバーにも)に圧倒的に多く含まれているので、それらを取らない様にするだけである程度下がります。  これは私の経験ですが、毎日鶏卵1個を食べていた際に150-160位あった悪玉コレステロールが、鶏卵取るのをやめるだけで120近くまで下がったりしました。 ですので、食事制限はとても大事です。 しかし肝臓で作られるコレステロールも多く生活習慣の改善だけではコントロールが付かない患者さんも多いです。 
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悪玉と善玉の違い


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血液中には悪玉コレステロール(LDLコレステロール)と、善玉コレステロール(HDLコレステロール)が流れています。 誤解を恐れず簡単に申し上げると、悪玉は肝臓から体の各部分(血管の壁など)へコレステロールを送り出すためのもので、善玉は体の各部分で不要になったコレステロールを肝臓に呼び戻すためのコレステロールだと思ってください。 コレステロールが高くて、最も問題になるのは、血管の壁等に過剰なコレステロールが蓄積してしまうことがきっかけになっておこる、動脈硬化、そして動脈が詰まってしまう現象です。 ですので体の各部分に余分なコレステロールを送らない、そして余分なコレステロールを肝臓に戻す、つまりそれを防ぐには悪玉を下げて、善玉を上げると良い訳です。 




コレステロールの低い方の特徴


ここからは医者としての個人的な経験のお話です。 血液中のコレステロール濃度は、その方の肝臓の機能や栄養状態を示している事が多いです。 慢性の感染症でやせ細ってしまっている人や、癌や大手術等で体力を奪われている患者さんや、食事をきちんととれなくなってしまっている様な患者さんの採血のコレステロール値はかなり低いです。 また慢性的に下痢が続いている様な患者さんも低い方が多いです。 また菜食主義者や動物性脂肪をおもに魚類から取られるかたもコレステロールは低いです。 これは魚類や野菜に含まれるコレステロールと似た構造をした物質が含まれていて、これがコレステロールのふりをしてコレステロールの再吸収をブロックします。 そのため、魚や野菜を取る事でコレステロールの濃度が下がります。 

コレステロールの高い方の特徴


コレステロールの高い方の特徴は、食事に豚肉や牛肉、そして、鶏卵等のコレステロールが多い食品を好んで食べる方や、脂ぎっている人(すいません俗っぽい表現で)が多い気がします。 若い方は珍しく年齢が40台以降の患者さんが多い気がします。 体重は肥満気味の方に多い気がしますが、痩せている方でも、悪玉コレステロールが異常に高い方がおられます。 特に家族にコレステロールが高い方にコレステロールが高いことが多く、こういった患者さんの中には、悪玉コレステロール(LDL)を壊す機構が極端に低下している方がおられる様です。 またどちらかというと、運動不足で便秘気味の患者さんにコレステロールが高いように思います。 特に90歳近い高齢者で、足腰が不自由になっておられてほとんど動かれたりする事が無い様な患者さんで、病院に来院できるぐらい栄養状態の良い方はコレステロールが高いように感じます。 運動量の低下とともに、恐らく、腸の蠕動運動が低下して便秘気味となり、コレステロールの小腸での再吸収の効率が良くなりすぎているのかもしれません。

コレステロールは下げた方がよいのか? 下げない方がよいのか?1

結論から言うと、私は、コレステロール治療の専門家ではないので、高脂血症学会の定めるガイドラインに従って治療する事にしています。 つまり適正な値にコントロールした方が良いと思います。下げないで放置するより、きちんと下げた方が良いだろうと考えています。

下げない方が良いだろうという意見は、日本の論文でいくつか見られる様です。 ただその根拠となるデータの解釈が間違っているようです。 マスコミの方々は読者が望むことを書く傾向にあります。 なので辛い食生活の制限を行っている患者さんにとってみて、「それをしなくてよい、好きなように暮らしてよい」と言われるのはとても魅力的で、それに飛びつきたくなる気持ちもわからなくはないです。 ただ、医者としてそれを申し上げるには、あまりにも無責任かなと思われます。 きちんとデーターの解釈が行われた研究論文は、いずれも悪玉コレステロールがきちんと下がっていた方が寿命が長くなることをしめしていて、これは大部分の医者の意見ではないかなと思います。 

ではどうしてこんな混乱が起こったのでしょうか? 一番大きな原因は、10年ぐらい前まで、コレステロールの値は総コレステロールと呼ばれる値で判断していました。 この総コレステロールの中には、善玉コレステロール(HDLコレステロール)と悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が含まれています。 一部中性脂肪にも含まれています。 善玉コレステロールが高い方も、総コレステロールが高く表示されてしまうため、少し古い臨床研究のデーターだと、コレステロールが高い患者さんの中にも、例えば善玉コレステロールがとても高い方も含まれていて、そういった例が、データーを薄めてしまい。 きちんとした結果が出にくくなっていました。 
もう一つは、コレステロールが高くてそれが問題になるのが10年とか20年先になって初めてその結果が出てくるため、なかなか治療行為とその結果が直感的に把握しにくいところにあります。 医者になるための教育で、我々医者は「自分の経験を信じすぎるな」ということを教わります。 一人の医師が診察している患者さんの数は限られています。 その少ない患者さんのなかでも、医者に親切心から良くなっていないのに良くなったとおっしゃられたり、まったく治療がうまく行かないと通院すらされなくなり医者が悪くなった事を知らなかったり、さらに薬を飲んだという安心感から症状が良くなった気がしてしまったり(偽薬効果と言います)・・・。 それらの間違った情報が経験として体験されるため、医者はあまり自分の経験を信じないように教育されるのです。  では何をよりどころに治療をするかというと、臨床の患者さんの治療体験を大量に集めた論文をよりどころにするのです。 そしてその莫大なデーターを読み解くには、実は専門的な統計学という考え方を学んでおく必要があるのです。 実際の論文は、データは正しいですが、そのデータから得られる教訓は、よい医学雑誌でなければ間違った解釈がされていたりすることもあります。 なので、きちんとした教訓を得るには、それぞれのドクターがきちんと統計学を学んでいる必要があるのですが、残念ながら、私の身の回りを見渡してみて統計学をしっかり理解している先生は4人に1人ぐらいではないかと思います。 なので医者によっても、間違った解釈をそのままうのみにしてしまう場合があり、そういった医者の言動がしばしば混乱を引き起こすことがあるのです。 しかしそういった間違いも、何人かの医者や科学者が集まって彼らが合意できる水準を満たしたものは、間違いも少なく、ある程度の水準を確保していると言えます。 それがガイドラインなのです。

次回はコレステロールがどういった物質なのかを書いてみましょう。

iPhoneとヘルスケア

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2年程前まで、パナソニックの二つ折りの携帯を使っていたのですが、壊れてしまって、iPhone5を購入しました。 結構気に入って使っていたのですが、バッテリーに問題のある機種だという事が解って、このまえ、表参道のアップルストアに修理に行きました。 修理のためにケースから外すと、液晶のガラスが浮き上がっていて、ヤバい、これでは修理代全額負担かと思って(使っていて本体が曲がったんじゃないかと思った訳で)、一生懸命、浮き上がって曲がったガラスを押し込んでも戻らず・・。 まあしょうがないなと思ってジニアスバーに行くと、どうも電池の不具合で膨張して、それで内側から液晶が持ち上がっていた様でした。 バッテリーの不具合という事ですぐに新しいiPhone5と交換してもらえました。 交換したら、電池のサイズが戻ってとても薄く感じて(本来の厚みなのですが)、とっても満足、まだ数年はつかえそうな気がしてます。
もう、ちまたは皆iPhone6で大騒ぎなのに、いまさらiPhone5でごめんなさい。  

ちなみに早速iOS8にアップグレードして使っています。 最近、患者さんの中にも気づかれたかたがおられていると思いますが、
ヘルスケアというアプリケーションがあって、おそらく今後、体重とか血圧とかを計ると、無線(bluetooth)でデーターがiPhoneに蓄積され、それを医師に見せたりできる様になるのだろうと思います。 ただ、まだきちんとした対応したアプリケーションが無く、このクリニックではまだ対応出来ていません。 もう既にデータを登録して持って来てくださった患者さんがいるのですが・・・。 残念ながら、すごいですねーと言ったところで、メール等にデータを書き出したりする事が出来ず。 二人で顔をつきあわせて、ちょっと残念な感じになりました。  私の期待も含めてですが、おそらくマックのOSが新しいYosemiteになると、対応出来る様になるのでは無いかなと思っています。 まあもう少々お待ち下さい。 それまでは、iPhoneの画面上の血圧のデータをデジカメで取らせてもらったりするかもしれません。

そのうち、クリニックのカルテ自体が、個人のiPhone上に格納されて、iPhoneをクリニックのクレードルにつなぐとカルテが見れるといったシステムになるんじゃないかな、なんて思ったりします。 

インフルエンザワクチン接種開始しました

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2014年のワクチン接種は終了しました。

睡眠について4

睡眠・自律神経と一日のリズム


2つの具体的な問題提起をしてみますね。 

まず一つは、人間はいつ寝るのが良いのかという点についてです。
一般的に睡眠時間は一日7〜8時間と言われています。 じゃあ、それはいつでも良いのでしょうか? 皆さんの大部分は夜11時とかに寝て、6時とか7時ごろに起床される方が多いでしょう。 学校がそうなっているから? 電気の無い時代の名残? 考えられる理由はいろいろあるでしょう。 物書きやフリーの仕事をされている方、深夜に働く方の中には、5時とか6時位まで起きていて、明るくなってから寝る方もおられるでしょうね。 全く外の世界から孤立した一定の明るさの部屋に人間を一人で生活させると、その人間の生活のリズムは大体25時間おきに睡眠と覚醒を繰り返すと、どこかのテレビでやっていた様に思います。 これは人の生活リズムが普通は25時間周期で繰り返しているという事を意味しています。 その生活周期を24時間に設定しているのは目から入る明るさの刺激だと言われています。 目からある程度以上の強めの光が入る事で(直射日光に当たる必要はなく、日当りの良い縁側位の明るさで良いと言います)、人間は脳内でメラトニンという睡眠に関係する脳内物質を作ると言われていますし、視交叉上核と言う人間の生活リズムを作っている脳の一部のリズムをリセットしていると考えられています。 つまり、起きている時間は、ある程度明るい時間帯が良いという事になります。 ちなみにこの明るさは、一般的な家庭での照明では不十分で、日光ぐらいの明るさが必要なのです。  つまり起きている時間は日中の方がリズムが出来やすい事になります。 一般の人の睡眠時間というのが、意図せず良い時間帯だと言う事になります。

もう一つは、時差体験から考える人体の生活リズムです。
皆さんの中には、時差のある海外に旅行に行かれた方もいらっしゃると思います。 例えば2週間位ヨーロッパに滞在するとすると、その間にヨーロッパの時間になじむ事になります。 2週間たつと、ヨーロッパの時間に普通に生活できていて、全く不自由無くなりますね。 つまり2週間程で時差の調整が出来た事になります。 もう少し細かく観察してみましょう。
まず、飛行機で長距離移動する際に、旅行という疲れもあって、機内で十分寝られる方もおられるでしょうね、あるいは到着してからぐっすり寝て時差を調整したいという事で、機内は寝ない方もおられるでしょうか? しかし多くのかたは、到着したその日の夜は、移動の疲れもあってぐっすり眠る事が出来るはずです。 疲れすぎていて間違って夕方の5時とか6時位に寝てしまって、夜中の3時ごろに目が覚めてしまう事もあるでしょう。  たいていそういう経験をされた方の多くは、夜中に堪え難い空腹を感じる事が多くないでしょうか?これは後で少し説明します。 翌日普通に活動して、昼過ぎに異常に眠くなり、それを我慢してその夜に寝ると、たいてい睡眠に関しては2-3日で時差は解消される事が多いと思います。 しかし、その他の内蔵のリズムはどうなっているでしょう。 先ほどの空腹もそうですが、消化器や血圧調整といった自律神経の働きは、睡眠のリズムよりもっと遅れて快復して来ます。 例えば毎朝きちんと排便がある人、いつも夜はトイレに行かない人、そういった人も、ヨーロッパ到着から4−5日、長い人で1週間程は、夕方など日本では考えられない時間帯に強い便意があってトイレに駆け込まなくてはならなくなったり、夜のトイレが2−3時間おきにあって睡眠が妨げられたりする経験ないでしょうか? これは血圧や尿を作る時間、そして排便したりする時間を、体がリズムとして持っている事をしめしています。 人間は覚醒する直前に血圧を上げて起立した時に脳の血液が十分確保できる様に準備をしていたりします。 こういった、リズムは自律神経によってコントロールされていますが、自律神経は脳や、睡眠といった大脳のリズムとは異なり、もっと原始的なリズムなので、その調整には睡眠のリズムよりもっと時間がかかる訳です。 何が言いたいかというと、睡眠する時間や起きる時間がまちまちだと、自律神経のリズムがバラバラになり、食欲や排便、排尿や、血圧調整等がうまく行かなくなるという事です。 医者は良くおまじないの様に、「毎日規則正しい生活をしてくださいね。 何もなくとも朝7時に起きて、歯を磨いて、顔をあらって、朝ご飯を食べて、体操して、昼になったらご飯、買い物等をして、適度な運動をして、夕方決まった時間に食事をして、テレビを見たり、風呂に入ったりして、決まった時間に寝てください」、とここまで細かくは言わないかもしれませんが・・。 まあ大部分の人は、「また言ってるね、医者の挨拶みたいな物なんだな」と思って無視するかたも多いでしょうが、実はこれが自律神経の乱れのある方の最も良い調整法だったりします。 動物は、一日の生活を最も効率良くに行うために、自律神経のリズムを持っています。 大体何時位になったら起きて、食事をするから、その前に血圧を上げといて、胃液や唾液の準備をして・・・。 などなど。 行動の前に、あらかじめリズムを元に準備している訳です。 そしてそのリズムが狂うと、いつ起きたり食事をしたりするのか解らず、内蔵は準備不十分な状態で、突然食事が入って来て胃がびっくりしたり、突然体を動かされ始めたりして、心臓や全身の血管がびっくりして、がんばってそれに合わせようとします。 そしてその違和感を、大脳が体調が悪いと感じる訳です。  これが自律神経失調症の原因の一つになっています。 先ほどの時差の話に戻すと、内蔵のリズムが調整されるのに5日から1週間かかったという事は、逆に5日まえとか1週間前の生活のリズムを体が覚えているという事になります。 規則正しい生活を1−2週間続けて行くと(ちなみに、健康的なと加えておきますね。 そうしないと、「おれは、いつも、規則正しく不健康な生活をしてます」と言われかねませんので・・・)、ようやく自律神経のリズムがしっかりして来て、そういった体の違和感がなくなってくるのではないかと思います。

さて、まだ睡眠についていろいろあるかもしれませんが、今回で一旦終了とします。 
今回いろいろ書きましたが、やはりいろいろな不安や、ストレス等があって眠れない場合、どうしても睡眠導入剤が必要となってくる事が多いです。
眠って心を休めて、体力を回復してくると、今までとても不安だった事が少し解消したり和らいだりする事があります。 全く今まで思いつかなかったストレス源の解消法を思いついたり、解決方法が見つかったりする事もあるでしょう。 どうか皆様に良い眠りのあらん事を。

睡眠について3

光と睡眠


眠る時の部屋の環境は、恐らく各家庭の習慣でそれぞれだいぶ異なっていると思います。 例えば結婚や合宿で共同生活してみたりすると、その違いを実感するでしょう。 部屋の明るさをどうするのかというのも、恐らく各家庭で生まれた頃からの習慣があって、慣れた方法で眠るのが良いでしょう。 光の環境は大きくわけで、全く通常通りの明るさで眠る方と、小さな豆電球にして薄暗くまわりの物がぼんやりと見えるぐらいの明るさで眠る方、そして厚手のカーテンでしめきって完全に真っ暗にしないと寝れないという方もおられる様です。  ちなみに、私はどんな状態でも寝れてしまいます。 どれが正しい寝方かというのは決まりは無いのですが、生理学的な視点からは暗くして寝た方が良いと思います。 その理由は動物が生活リズム(体内時計)を作るのに、目からの明るさの情報が重要な役割を果たしていて、それゆえ夜であると言う事を体が感じやすい様に、寝るときには部屋を暗くしていた方がリズムがしっかり出来てよいのでは無いかと言うわけです。 リズムについてはまた少し別途解説が必要かもしれません。
皆さん眠れるときには、部屋が暗かろうが明るかろうが眠れている事が多いと思います。 問題は眠れなかったときの対応でしょうか。 眠れない場合の多くは「眠れなかったら困るな」という感情や、その日のとても不愉快な出来事を思い出したり、途中で嫌な夢を見てしまって、そのいやな気分を引きずって眠れなくなったりするといった原因がある様に思います。 目をぎゅっとつぶってしまったり、部屋を真っ暗にしてしまって、目から入ってくる信号が無くなってしまうと、思考がとぎすまされて、むやみに不快な感情が昂って、どんどん眠れなくなるサイクルに入ってしまうような気がします。 そういう場合、私は、小さな豆球をつけて、目を開けて天井を見ていたり、周りの家具を見たりしてぼーっとしてみます。 目から何か情報が入ってくると、それがとても単調な物でも、思考が一時的に中断され、昂った気分が収まる事が多いように思います。 あくまで独断ですが・・。

次は日常のリズムについて考えてみましょうか

睡眠について2

今月も集団健康診断があったため、だいぶ忙しかったです。 そのため前回の記事から既に1ヶ月以上たってますね。 申し訳ないです。

今回は眠るためのお話で、前回の体温の調整という事をもう少し掘り下げてみようと思います。



患者さんの診察をしていると、「私はいつも体温が低いので・・・」といった話しをうかがうことがあります。 一般の方々の思い浮かべる体温は、脇の下で測定する、「腋窩体温」です。 この温度は着込んでいる服の量や外気温や運動によって左右されます。 腋窩体温は測定しやすいという利点がありますが、体の中心の内蔵の温度を示してはいません。 内蔵の温度は「深部体温」と言います。 動物は効率よく生存するために、厳格にこの深部体温を37度から38度に維持しています。  私は低体温でという方も深部体温は37度から38度ですので安心してください。
無意識に深部体温の維持は行われています。 体温を上げるために、筋肉を動かした際の余熱を使います。 その他に、消化の際に使うエネルギーの余熱もあるでしょう。反対に体温を下げるためには、主に皮膚や肺で、汗などの表面の水分が気化して生じる気化熱を利用します。 身近な例でいえば、 風呂上がりに体がうっすら水にぬれているときに扇風機の風をあびるととてもひんやり冷たいやつです。  こういった事を、殆ど無意識に行っている訳で、それは眠る時にも同じです。

寝ている時は、手足の筋肉から発生する熱量をほとんど使わず、内蔵や全身の細胞が生命活動に必要なエネルギーの最低限の熱量(基礎代謝量)だけを使って深部体温を維持する必要があります。 そのエネルギーの標準的な発生量は75~100ワット程度です。 大きな部屋の中にぽつんと100ワットの電球があってもそれほど暖かいとは思いませんが、それを厚い布団にくるんでしまうと、どんどん熱が蓄積されて、中の温度は触れないぐらい熱くなります。  なので寝ている間はこの100ワットのエネルギーを、内蔵に貯めたり不要な熱を手足から放熱したりして、なんとかやりくりして深部体温を37度から38度に維持します。 寝ている時は熱を作る方が難しく、冷やす方が簡単なのです。 
もしかしたら眠る前に人間は無意識に、「この100ワット程度の熱で、この先朝まで深部体温を37〜38度に維持出来るか」をザックリと判断しているのでは無いかとおもいます。 大丈夫そうなら、「体温オッケー」という事で気温を無視して眠りに付く事ができ、オッケーでないと無視出来なくて眠れないのでは無いでしょうか?

では具体的にどうしたら、深部体温を維持しやすく出来るでしょう。 


睡眠時の体温調整は主に、布団による保温と、手足からの放熱を無意識に行っています。 具体的に言えば寒ければ布団を巻き付け、頭を布団の中にいれ、丸まり。 また熱ければ、布団をはだけ、手足を外に出して体温を下げて調整する。 それを妨げないようにする事が大事でしょう。
布団に入るときにひやっとするので、電気カーペットや電気毛布を入れて寝られる方もおられますが、寝ている間に、熱がこもって体が布団から出ていたりして、放熱のために寝返りが多くなりぐっすり寝られなかったり、顔や首筋の布団がはだけてしまい、自分の体から出る湿度が、口の近くから大きくはなれてしまうため、のどが痛くなったりされる事が多いでしょう。結果的にあまり良い居眠りにはならないでしょう。 人間は無意識に体温を37度に維持していますから、自分の体で布団を暖めるのが最も良い事になります。 それで寒いのでしたら、大きめの布団や厚めの布団が必要です。 布団があたたまるまでの間がつらいというのであれば、湯たんぽ等も良いでしょう。 湯たんぽが手元に無いのであれば、風呂に入って体を温めておくと、体が湯たんぽの様な役割をして良いでしょう。 
布団を2枚重ねる方や、ベットに毛布やシーツを巻き込んで寝られる方もおられますが、寝ている間にうまい事布団をたぐり寄せたりはねのけたりするのに、やはり適切な厚みのもの1枚の方がコントロールしやすいかもしれません。 またマットレスに上掛け布団を巻き込んだまま眠ると足下が完全に固定されていると、熱かったときに、足を出したりして体温の調整が出来ず、寝苦しかったりするかもしれません。 とにかく、布団の外にだした手や足は、体が冷えすぎてくると、自動的に血管が収縮して深部体温を下げすぎない様に調整しますし、それでは調整しきれないぐらい冷えるようなら、無意識のうにに寝返りをうったり、布団をたぐり寄せて手足を布団の中に入れます。 冷えるからといって靴下を履いたり、手袋をして寝られる方もおられますが、あまり良い習慣とは思えません。 

眠るためにはどうすれば良いでしょう?


眠るきっかけは結構大事です。 周囲の環境が眠った後に深部体温をうまく調整できそうにない状態にあると眠れません。 寝ている時に熱を作るのは難しいので、体全体に十分な熱量が確保されている(手足が十分暖まっている。 ある程度満腹になって消化による体温の上昇がある。 体の中心部分の外気温が37度付近である)ことが望ましく。 そして暖まりすぎればいつでも手足を布団から出して放熱して体温調整が出来る状態が良いのではないかとおもいます。 医学的な根拠が有るかどうかわかりませんが、以前、どこかのテレビ番組で、眠りに入る瞬間少し体温が下がるとか、膝から下の足の温度が下降傾向にある時に眠りに入るといった事を言っていたのを聞いた事があります。 平たく言うと暖まって少し汗ばむ位の体温が、少し冷え始めた時に、眠りに付きやすいという事なのでしょうかね。 おそらくそれは体が、これなら寝ても大丈夫と思う温度環境なのだと思います。
医者がこんな事を言うくらいですので、眠るための学問はあまり進んでいないのですね・・。  

次は部屋が明るい方が良いか暗い方が良いかという事について考えてみましょうか

高血圧治療のページを変更しました

高血圧のページを新しい、日本高血圧学会のガイドライン2014年度版にそって変更いたしました。 こちらからどうぞ

日本循環器学会に参加してきました。

今年は東京国際フォーラムで開催されました。  年一回開催されるこういった学会に参加する事で、5年や10年ごとに訪れる専門医更新に必要な点数を得る事が出来る様な仕組みになっています。 日進月歩の医学の専門知識を得る事が出来る貴重な機会でもあるので、出来るだけ参加する様にしています。
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JCS-2014s
日間にわたって24の会場で同時に別々のセッションが行われるので、全部の講演を聞くのは難しく、参加出来るのはほんの一部でしかありません。 大学にいる頃は、主に自分が携わっている分野や、自身の研究グループの発表等にサポートメンバーとして参加する事がほとんどで、自分の専門外のセッションに参加出来る様な雰囲気ではなかなか無かったです。  今年、血圧の指摘目標値がだいぶ変更になるという事もあり、 血圧のシンポジウムに参加してきました。  血圧をどのぐらいまで下げれば良いのかという事を考えるためのセッションです。  こんなセッションなかなか大学にいる時は参加出来ませんでした。
2009年に高血圧学会のガイドラインが変更になり、それまでの高血圧治療のガイドライン血圧の目標値を少しだけ下方修正した事と、 糖尿病・心臓疾患・腎機能障害などの合併症を持った患者さんの目標血圧値をさらに下げた事を、高齢者で放置されていた高い血圧に関しても血圧のコントロールを厳密にしたほうがやはり成績が良かった事から、下方修正したことが大きな特徴でした。 今回の2014年の改訂では、どうやらほんの少しだけ上方修正する様です。 また4月になったら公表されるようなので、その際に解説してみます。
最近いろいろな降圧薬の会社の臨床試験で問題が生じて、薬に対する不信感をお持ちの方も多いかもしれません。  人によっては、薬屋さんの利益のために薬を飲まされているのではと考えておられる方もおられる様ですが・・・。  やはり患者さんを見ていた経験と、論文で発表される、高血圧治療の臨床研究のデーターを見ると、もしも自分の血圧が高ければやっぱり飲みますね、薬・・。  医者の目からみて血圧が高くてよい事なんて一つもないですから・・・・。

睡眠について1

眠りについて



内科の医者をしていて、患者さんの「眠れない」という相談を受ける機会は多いです。  不眠治療は、精神神経科の先生の専門分野になりますので、私のような内科医がとやかく言う事ではないのですが、結構相談を受ける機会があります。  それだけ多くの患者さんが、眠れないという事を苦痛に感じておられるのでしょう。
悩まれている患者さんを前にして、失礼な話しなのですが、私自身は医者になってから、寝られないという経験はほとんどなく、たいていすぐに寝てしまいます。 確かに、学生の頃や、海外での会議に出席する際に、眠れなくて困った事はありますが、 逆に、授業中や仕事中になぜ眠くなるんだろうって、考える事の方が多かったです。  大学時代に受けた脳生理学の講義では睡眠のリズムを作っている大体の場所と、経験的に眠くなる薬の薬理作用が解っているだけで、睡眠の明確なメカニズムは完全に解っているわけでは無い様です。 そのため睡眠に対する医師のアドバイスも、あまり科学的な根拠のないものであったり、経験的な物が多く、これさえ飲めば万事解決するといった妙薬も無いのです。

それでも悩んでいる人に「解らないです」だけではちょっと悲しすぎるので、 一生懸命自分の経験と、医学的な知識を使って考えて患者さんに説明するわけです。 なので、今回はあくまでも、個人の感想あるいは経験の話しで、科学者である医者の立場からの発言ではありません。眠りに関して問題を抱えている方と同じ悩める者としての独り言と思って読んでいただければと思います。 今回は薬についてのお話は一切なしです。 皆様の不眠の悩みにあくまで参考程度に考えてください。 
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眠りたく無い


病気で日中にでも眠くなってしまうというケースについては、またの機会にお話させてください。 今回の焦点は普通の眠気についてです。
小学生の頃、プールの授業の後の、授業はとてもつらいものでしたね。 さらに食後だったり、ぽかぽかした陽気だったり、さわやかな風が吹き抜けて心地よかったりすると、眠くなりますね。 部屋が暗かったり、黒板の文字が小さくて見えなかったり、教師の声が小さく言い間違いが多くて、何だか意味が分からなかったりすると、多くの学生は寝てしまいます。 
なので大学生の頃、講義で寝ないために、出来るだけ前の方の席に座り、文字が見えなかった時のために、オペラグラスを持って講義に出ていました。 それでもどうしても眠くなってしまう事があり、そのときの眠気を吹っ飛ばす極意は、周りを見て眠りかけている人を見る事でした。 これは結構面白く、数分は眠気を我慢出来ます。 少し脱線しましたが、これは眠たくなる典型的なケースかなと思います。 防止すれば覚醒し、そのような状況をわざと再現する事で眠る事が出来るかもしれません。

眠りの圧力


適度な疲労というのは眠気を誘う重要な因子である事は皆さん納得されるでしょうね。 前日寝ていないというのもそうかもしれません。 こういう事を、どこかの医学系の雑誌で、「眠りの圧力」と表現されていた先生がおられました(原典を忘れてしまってすいません)。 とても眠気を良く説明している言葉です。 良い眠りのためにはこの圧力がある程度たまっていなければ眠れません。 最後には眠りの圧力に押し流されて、眠ってしまう。 そして途中で昼間に眠気に負けて寝てしまうと、その圧力は夜には弱い物になっている事でしょう。 私も時々誤って夜目が覚めてしまって、眠れない時に、とりあえず、「今日寝られなかったら、明日はきっとぐっすり寝れるな」というふうに思う様にしています。 眠りの圧力を翌日に持ち越そうと考える訳ですね。

外気温と眠り


体の周囲の温度・気温も、眠気に重要な気がします。 暖房の効いた部屋だと、眠いと感じる事が多いのではないでしょうか? でも熱すぎるとどうでしょう。 蒸し暑くて寝れないというのは夏に皆さん経験されていますよね。 勉強に集中出来るように「頭寒足熱」という言葉があります。 頭を冷やし、足を暖めるという行為は、眠気をさまして物事に集中するときに良いのでは無いかと言われていますね。 でも自分の経験から実際に眠いときにこれをやっても結局それほど効果が長続きする事はあまり無いように思います。 膨張率の関係で、熱せられた空気は頭の方に、そして冷えた空気は足下に降りてきますので、結構この「頭寒足熱」を安定して続けるのは難しいです。 恐らくは、部屋が冷えていると眼が冴えて集中出来るようになるけれど、もともと空気の冷たい足から体温が奪われて、風邪をひいてしまうだろうから足は暖めた方が良いと言うような、「出来たら良いのに」的な話なのではないかと想像されます。 では、結局どうしたら良いのか、これは結構単純な問題では無いと思います。 きっと皆さんの睡眠環境や回りの状況等によっても異なると思います。 ただ、私が思うに、体の周囲の温度と体温が同じ温度の時に、人間はリラックスし眠りに落ちるのだと思います。 その前に眠るという状況をもう一度考えてみましょう。

眠りとは、五感と思考の無視


眠っている状態は、五感で感じるあらゆる体の周囲の状況を無視している状態です。 それは、無視できるような安全な状態と判断しているからだと思われます。 例えば、目から入ってくる情報があります。 部屋が暗ければ、見える物の情報量が圧倒的に少なくなります、色彩、形、(それ以外にも人間は目から入る明るさの刺激から覚醒のためのシグナルを脳に送ると同時に、メラトニンといってその日の夜に睡眠時に関連する神経伝達物質を作るとも言われています。 ) そういった情報が少なくなり、そして変化が乏しくなれば、その情報に慣れてしまい、目を開けていても見ていない、視覚を無視する状態になります。 時々寝ようとして目をつぶってしまう方がおられますが、私は、全く情報が入らなくなると、他の感覚が鋭敏になったり、暗闇に対して順応が生じて、普通では見えないような模様や、想像等によって補完された映像を頭の中で再現してしまうように思うため、出来るだけ目を開ける様にしています。 もちろん、部屋の明かりは、物がうっすらと見えるぐらいの明るさが保たれる、豆電球派つける派です。 授業中に眠気と格闘している同級生の顔を思い浮かべると、彼らは必ず目を開けているではありませんか・・。 目を開けていても寝れる時は寝れるんですよね。 
例えば、音も同じでしょう。 授業中に何言っているのか解らないような声でしゃべっている先生や、周囲の雑音、声等、理解できない音がずーっと聞こえていると、だんだんその状況に慣れてしまって、耳から入ってくる情報を雑音だとして無視してしまいます。 全く無音になると、耳鳴り等が聞こえたり、あるいは隣の家のテレビの音等が聞こえて来て、腹が立ったりして目が覚めてしまう事もあるでしょう。 聞こえるか聞こえないかぐらいの音、おそらく、いつも生活している時に聞き慣れた音が良いのでしょうね、そういった音を枕元でかけたりすると寝れるかもしれませんが、寝室で一緒に寝ている人に文句を言われるかもしれませんね。
体温についても同じかなとおもいます。 体の温度調整をしなくても良い状態、放っておいても37度になるという状況が、体温調整を無視させるために大事なのかなと思います。 でもそれには少し体温について知っておく必要があります。 
この続きはまた次回という事で。

『心拍数ってどのぐらいが良いのでしょう?』

あけましておめでとうございます。 11月頃から年末にかけて忙しく、更新が途切れがちになっていました。

三好クリニックは不整脈を専門にする外来という事もあって、患者さんと心拍についてお話する機会が多いです。 その中で安静時の心拍数はどのぐらいが良いのかという話で盛り上がる事があります。
 
根拠に乏しい迷信なのですが、「動物が一生のうちに動かせる心拍数は決まっていて、心拍数が早ければ早死にし、心拍数が遅いほど長生きする」という事を信じている方もおられる様です。 成人の安静時の心拍は毎分60回ぐらいです。 その考えからすると、心拍が90ぐらいの人はがっかりし、40ぐらいの方は胸を撫で下ろしているかもしれません。 理屈にかなっているようにも見えるため信じてしまう方が多い様です。 どちらかというと「ラッキー保存の法則」と同じような感覚でしょうか? 根拠の無い迷信です。

比較動物学の分野では、大きな動物から小さな動物までの心拍数・寿命・体重を比べた研究があります。 それによると、大きな動物ほど心拍数が低く、寿命も長い傾向があるらしいです(クライバーの法則)。 これも、心拍数が低い方が寿命が長いのでは無いかと思われる根拠の一つの様です。 しかし人間に当てはめて考えるとおかしな事になります。 肥満体の方は一般的に心拍数は早めで、動脈硬化にもなりやすく、寿命は短命になりがちです。 現実は逆ですね。 実はこの法則が比較できるのが、種類の違う動物同士だけであって、人間同士の比較はできないのです。 もっというと自然界の動物には肥満は見られません。肥満が無い野生動物種間での観察結果は、肥満という自然から逸脱した現象がある人間には当てはまらないのです。

例えば血圧を下げる薬剤の中でも、心拍数を下げる薬剤の多くに寿命を延長させる効果ある事が臨床試験で証明されています。 心臓の筋肉への血液供給という点から考えてみると、心臓の筋肉に血液が巡っているのが、心臓が緩んでいる時であるという事と、一回の心臓の収縮している時間が、心拍数にあまり影響されずある程度の時間かけて収縮するため、心拍数が早くなると、緩んでいる時間が短くなり、心臓へ送られる血液の量が減ります。 なので、心臓の事だけを考えるならば、心拍数は遅い程良いはずですが、もっともっと心拍数が減ってしまうと、心臓から送り出される血液の量が減ってしまい、生命活動を維持できません。 ですので、ちょうど良い安静時の心拍数は、一分間に50回から80回ぐらいでしょうか? 安静にしていると思っても、しゃべったり、周辺に人がいると無意識に緊張して心拍数が上がりますので、90回ぐらいある人もいますが、寝ているときに心拍数がきちんと下がっていれば問題ありません。 覚醒時と睡眠時、つまり一日の平均の心拍数が毎分80回を越える人は、少し生活パターンや、内蔵に問題がある事が有りますので検査が必要になります。

また運動選手の安静時の心拍数が低い事は良く知られています。 40台は良く見られますが、時々30台の方もおられる様です。 これは、スポーツによって末梢の筋肉などでの酸素の取り込み能力が高くなり、少しの血液の流れ出も十分酸素を行き渡らせる事が出来る様になるためだといわれています
(こちらも見てみてください)。 心拍数が低めの方の中には、リズムを作るペースメーカー細胞の異常である場合もありますが、多くは、毎日よく体を動かしておられる方が多く、逆に心拍が早い方は、殆ど体を動かす事無く生活されている方が多い様です。 毎日行う適度な運動は、健康を維持するのにとても重要です。 日々の運動の結果としてそのような方は心拍数が落ち着いているでしょうね。  つまり寿命は心拍数そのものが問題なのではなく、心拍数を速くしたり遅くしたりしている原因が寿命に関係しているという事なのでしょう。 心拍が早いからといって、特に思い悩む必要はありませんが、心電図・採血等で特に内蔵に異常が無いことが解れば、毎日1時間程度の運動を続けられる事をお勧めします。 

もうすぐ2周年

来週末で、三好クリニックは2周年になります。 2周年といっても、何かイベントがある訳ではないのですが、2年間なんとか無事にやって来れた様です。 これも通院下さる患者さんがいらっしゃるからだと感謝しています。 この場を借りて御礼申し上げます。
患者様もだいぶ増えて来て、先週・今週とお待たせする事が多くなって来ました。 大学病院で患者さんを待たせるのがいやで、大学をやめたのに、またこちらで待たせてしまっては、何をやっているのかわからないですが・・。

患者さんの多い日の特徴は、どうやら月の前半が予約が多いような気がします。 また祝日等の連休開けは、予約外の患者さんが多くて、結構混みいってしまう傾向があるような気がします。 また時間がかかる検査などがあると、その間に予約無しでいらっしゃられた患者さんは20分とか30分とかお待たせしてしまう事になります。 流石に1時間以上お待たせする事は無い様ですが、不整脈の治療は患者様の自覚症状をきちんと聞かなくてはなかなかうまく診断が出来ないので、自然とお話に時間がかかってしまう傾向があります。 ですので来院される前に是非前もってご一報いただければ幸いです。 最近、時々ですが、不整脈発作や狭心症発作等で突然来院される方もおられて、急を要する対応のため、少々順番が入れ替わったりする事が出て来始めました。
近いうちにスタッフをもう一名増やして、検査待ちや採血待ちの時間をもう少し縮めて、患者様の診察が手際よくできる様に考えています。

去年暮れに患者様に頂いたポインセチアの葉が、一年経ってまた赤くなり始めました。 もう少ししたら、受付に飾ろうかと思っています。 一日14時間以上の完全遮光が必要なため、夜は段ボールに入れています。 休みの日に、光に当てるために出勤しなくてはならないのが面倒ですが、もう少ししたら全体が赤くなりそうです。 

今後とも、いっそう努力致しますので、三好クリニックをよろしくお願いいたします。

おかげさまで今年の臨床実習は終了です

慶應大学の臨床実習の学生さん。 今年はこれで終了となりました。 心電図を付けたり、外来で何名かの患者さんには聴診させて頂いたりいたしました。 どうもご協力ありがとうございました。

内蔵の痛み

医学生の頃は、人間はどうやって内蔵の痛みを感じているのだろうという事を不思議に思いました。 むしろ医学を勉強していない方にとって、あまりに身近すぎて不思議にも思わないかもしれませんね。 

皆さん、例えば尖った物を例えば右足で踏んづけると、右足の裏が痛いと見なくても感じますね。 運動神経の良い人だと、強く踏んづける前によけたりする人もいるかもしれません。 この様に痛みが発生した部分を理解し意識する事、これは動物が生きていく上でとても大切な本能です。  なぜなら痛みを意識しても、痛みの発生場所が分からなければ、結局衝突を避ける事が出来ず、いろいろなものに体をぶつけて、骨が折れたり化膿して死に至る場合もあるでしょう。 
神経には運動神経と感覚神経があります。 それらは最終的には大脳につながるのですが、ただバラバラに大脳とつながっているわけでは無く、 順序だてて、脊髄という脳からお尻に向かって伸びる比較的太い神経の束にまとめられてから脳に到達します。 脊髄は脊椎(背骨)の真後の空間にあるため、運動神経と感覚神経はこの脊椎の隙間を通って、ある程度まとまって脊髄に接続されています。 この一つ一つのまとまりを体節と言いますが、 一つの体節につながる運動神経と感覚神経はほぼ同一の体の部分に対応します。 恐らく、どの場所の感覚神経の刺激が体のどの部位に相当するのかという対比は、漠然とこの体節の場所で判断されているとも想像されますが、医学的には運動神経と感覚神経は、脊髄でも大脳でも全くはなれた場所に分布しているために、痛みの場所を感じているメカニズムはそれほど簡単な仕組みでは無い様です。 ただ難しい話しはおいておいて、動物は皮膚の痛みの場所をきちんと「意識」する事が出来ます。
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じゃあ内蔵の痛みはどうなのでしょうか? 
内蔵の痛みや感覚は、やはりこの体節と関係があるのではないかと言われています。 内蔵の感覚神経は、皮膚の表面についている感覚神経に比べて原始的な構造をしています。 そして同様に体節の分布に従って脊髄に接続されているため、体節の同じ部分の皮膚の感覚と混じりあい、混同するのではないかと言われています。 なので、ほぼ内蔵のある部位の真上の表面近くに感じるというわけです。 ただしこの場所の感覚は、大人の臓器の位置ではなく、神経系が出来上がる頃の胎児期になります。  
受精卵が赤ちゃんに成長する間に、人間はその進化の過程をなぞって成長していきます。 神経系が出来上がるのは、受精卵が丁度メダカの赤ちゃんの様な形をしている頃に原型が出来上がります。 ほとんどの臓器は成人になっても場所が大きく移動する事は有りませんが、心臓はとても大きく移動します。 心臓は元々「えら」の近くに作られる臓器です。 「えら」は動物が陸上で生活するようになるにしたがって消失して行きましたが、下顎骨から首あたりの存在するはずの臓器です。 陸上の生活では、肋骨で守られる方が衝撃から守られるという点で都合が良いという事で、胸の真ん中肋骨の内側あたりに進化の過程で移動するのですが、感覚神経だけは元々の心臓が出来た場所の体節を通って脊髄に入ります。  そのため心臓の痛みは左の頚部、胸部の上の方、左手の内側、左の奥歯にかけてその痛みが出現するのが典型的です。 しかし、多くの患者さんを拝見していると、頻度は少ないですがお腹や背中等に痛みが出る方もいらっしゃいます。  また、ご高齢の方や、糖尿病の患者さんは、内蔵の感覚神経が弱っているため、ほとんど痛みを感じない方もおられます。 
内蔵は外から触れられる臓器ではないのに、痛みがあったりその感覚の場所を理解し意識する事が出来る。 何のためにそのような機能が備わっているのか不思議ですが、医者にとっては、体の負担になる様な大きな検査をせずとも、病気に早く気付き、手遅れになる前に治療が出来る、とても役に立つ機能です。 

腫瘍マーカー

人間の死因の1/4は癌だと言われています。 私の専門の心臓に癌が少ない事もあって、それほど多くの癌患者さんを拝見した訳では無いと思います。 しかし慶應の外来で拝見していた患者さんの中に、あるいはこちらのクリニックから慶應に紹介した患者さんの中にも(開院して2年経っていないのに)、癌の患者さんは少なからずおられます。 皆さんの周囲でも、よく話してみると「実は癌なんですよ」というかた、比較的多いのではないでしょうか? 癌はそれほど珍しい病気ではありません。 
癌で命を奪われる事は、患者さんやその家族にとってつらい別れであり、出来れば避けて通りたいものです。 患者さん本人にとって、癌で死んでしまう事が本当に悪い事なのかそれとも実は良い事なのか、誰も死んだ経験が無い生者の世界の我々が推しはかる事など出来ないのでしょうが、医師として生者の側の人間から言えば、癌は早く見つけて、手術で腫瘍のみを取り除いてあげたいと、ただただ思うのです。

しかし、小さな癌を見つけるのは結構大変です。 症状があれば、それなりに腰を入れて医者も患者さんも大変でも検査を行いますが、そうでないとなかなか大きな検査を行う事はしません。 例を挙げれば、内視鏡の検査や画像検査の様な大掛かりな検査は、患者さんに肉体的・精神的・金銭的にも負担を強いる事になります。 さらに念を押しておくと、頻度は少ないですが、検査であっても事故やアレルギー等によって死亡したり後遺症を残したりする危険性もあります。 その一方で、時々、とても珍しい癌で、若い20台ぐらいの患者さんが無くなられたりしてニュースになったりする事があります。 そのような頻度の少ない癌を見つけようとするならば、全員が生まれてからすぐに、胃カメラ・大腸鏡・レントゲン・CT検査やMRI検査・PET検査を毎年行えば良いはずです。 しかしよく考えてみてください、10歳の子供たちに、例えば「大腸鏡をしましょう」と言えば、患者さんは普通嫌がります。 その場ではいやがらなくても、患者さんは2度とそのクリニックにいらっしゃらないのではないでしょうか?  つまりここで皆さんに違和感があるのは、検査の大変さと、癌の可能性が釣り合っていないという点なのです。 

そんな大掛かりな検査をする前に、採血等もう少し負担の少ない検査で、陽性になった患者さんだけをさらに詳しい検査をする様になれば、大変な検査であっても患者さんが検査を受けるモチベーションが上がります。 皆さんは腫瘍マーカーという言葉を聞いた事があるかもしれません。 癌の中には、ある特殊な蛋白や物質を大量に分泌するものがあります。  癌の種類によってそれぞれいろいろな物質を分泌するので、結構いろいろな腫瘍マーカーがあります。 私のクリニックでも、時々、ある程度以上の年齢の方には定期的に、「腫瘍マーカーの検査をしますよ」と、採血のときにあらかじめお断りしてから検査をする事が多いです。 

ただし、腫瘍マーカを分泌しない癌が多いという事は、患者様にも理解していてほしい点です。 たとえ腫瘍マーカーが陰性であっても、癌で無いとは言えない。 具体的に言えば、腫瘍マーカーが陰性である事に安心して、つらい内視鏡の検査はやめましたというのが最も危険なストーリです。   最近、三重大学の先生方が、大腸癌をmiR-21というマイクロRNAを用いて鋭敏に検出出来るという事が
ニュースになっていました。  先ほど例に挙げた検査の中で、大腸鏡が最も患者さんへの負担が強い検査の様に思います。 比較的多くの患者さんが無くなられる大腸癌を、採血といった簡単な検査である程度、確認する事が出来る様になれば本当にすごい事だなと思います。 しかしまだ実用には至っていない様ですので、今のところは、精度は低いですが、腫瘍マーカーの検査や検便の検査を行い、それらの検査で疑わしければ大腸鏡をお願いする事になりそうです。

薬の副作用

副作用は全てのものにあります


病院を訪ねてくださる患者さんの多くは、どちらかというと薬の処方を希望して来院されていられる方が多い様です。 ただ薬に対する感覚は、「早く直るなら何でも良い」と言う方から、「少しでも知らない物を内服するのに抵抗がある」という方など、患者さんによって様々です。 実は、この2つの例は医者に取っては結構対応が難しいケースです。 前者は、薬の副作用について知らなすぎ、後者は副作用について恐がり過ぎなのです。 薬の副作用に付いては、全く知らなくても、知らずにただ怖がってしまうのも問題で、よく知り、そして知った上で内服していただく事が、安全に薬を飲んでいただくのに必要と思います。

あまり意識される事は少ないかもしれませんが、どんな薬も副作用があります。 同じ考え方で言えば、あらゆる口に含む食品や調味料、そして肌に直接接触するものに、副作用があるとも言えます。 
たとえば小麦を例に出してみましょう。小麦に対するアレルギーをお持ちの方は、口にされると喘息を起こしたり、アレルギーはなくとも、たくさん食べ続けてゆくと、肥満、糖尿病等になってしまいます。 これは本来望まれない作用、つまり副作用と言うわけです。 一方で小麦の中のでんぷんやミネラル、ビタミン等を摂取する事で、体を動かしたり活動したりするエネルギーを生み出す。これが主作用という事になります。 つまり、副作用というのは、薬を飲むからあると言うわけではなく、あらゆる口に含む物質に存在するという事です。 そして、厳密な意味で、薬と食品は同じではありませんが、薬には望ましい作用=「主作用」があるのと同時に、必ず望ましく無い作用「副作用」があります。 ですから医者の方は、副作用の出現頻度と重篤度と、主作用による利益を天秤にかけて、処方を行うこととなります。
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大きく分けて2種類の副作用があります


薬の副作用には大きく分けて、1、その本来の薬の成分の作用やそれから予想される副作用と 2、薬の本来の作用とは関係なく、患者さん側の要因で、例えばアレルギー反応などの過剰な反応によっておこる副作用があります。 後者は頻度も少ないですが、発生するかどうかあらかじめ予想出来ない点が大問題なのです。 薬を飲み始めた際、医者はいつもそばにいる事は出来ません。 通常副作用の始まりは患者さんがお一人のときに体験します。 なので副作用について患者さんがある程度の事を知っていただく必要があるのです。

薬の薬効から予想される副作用


例えば、血圧の薬が多すぎると、低血圧でふらふらしたり。 睡眠薬が強すぎると、朝起きられなかったり、午前中眠くて仕事にならなかったりするかもしれません。 薬によっては肝臓をいためたり、腎臓をいためたり、筋肉をいためたりする物があったり、咳が出やすくなったりする様な物もあります。 このように薬の効果や性質からある程度予想される副作用があります。 こういった副作用の特徴は、用量を増やすと強くなり、減らすと副作用が出にくくなる特徴があります。 こういった薬効からある程度予想する事が出来る副作用は、医師にとって予想がつけやすく、処方時にあらかじめ患者さんにお話している事が多いでしょう。 また慎重な医師であれば通常量の半分ほどの量からはじめて、副作用が出ないかどうか観察しながら増量する事でしょう。 そうする事で、患者さん自身が注意し、副作用がまだ軽症なうちに薬剤を自らの意志で中止する事が出来ます。 ですので、患者さんにとって、より切実な問題はそれ以外の薬剤の副作用の症状という事になります。

アレルギー反応によっておこる薬の副作用の特徴


アレルギー反応は、なんの前触れもなく突然おこる事があります。 例えば10年ぐらい安全に飲んでいた薬に急にアレルギーがおこったりする事もまれではありますがあります。 脅かす様で悪いのですが、今まで飲んでいた薬だから大丈夫だとは限らないのが怖いところです。 またアレルギー反応は、少量でも強い反応を引き起こします(用量に関係なく)。 そして一般的な薬剤であっても、特定の患者さんには強いアレルギー反応で後遺症を残したり致命的になる事があります。 いつどのような副作用が出るか、あらかじめ予想がつかないため、医者側も十分説明する事が出来ませんし、患者さんも副作用とは解らず不調があっても薬を飲み続けてしまう事になります。 ただ幸いな事にこういったタイプの副作用の頻度はそれほど高くありません。 しかし、患者さんには知っていてもらいたい、危険なアレルギー反応型の副作用があります。 ここではそれを説明します。

喘息・喉頭浮腫


薬を飲んだ直後から3-40分ぐらいの間におこる事が多いです。 突然あるいは徐々に、咳が立て続けに出たり、呼吸するときに、のどのところで笛の様な音が出るようになり、それがどんどん強くなってくるかもしれません。 周りから見ていても息が早く、唇が紫色になってきたり、首が顔が、浮腫んで赤く腫れ上がってきたりします。  こういった状況は喉頭浮腫とか喘息といった状態で、これが強ければ、すぐに対応しなければ気道が塞がり窒息する場合もあります。 新しい薬を飲んだ直後にこのような症状が出た場合、その薬は次は飲まない方が良いでしょう。 なぜならアレルギー反応の特徴として、一回目の発作より、以降の発作のほうが強い症状が出現する事が多いからです。 ご自身で2回3回と試す必要は無いと思います。 すぐ病院に連絡して相談されるか、のどの音がだんだん大きくなり、5-6分経っても息苦しさが収まらないようなら、救急車を呼んですぐに救急病院で処置をしてもらった方が良いでしょう。

全身の皮膚がただれてめくれる


薬を飲み始めると、発熱と全身に発疹が出現し始め、目の白い部分(結膜)や口の中(口腔粘膜)に強い発赤や充血、そしてタダレが出現する事があるかもしれません。 こういった症状を
スティーブンス・ジョンソン症候群と言います。 
さらに強い症状となると、全身の皮膚が水ぶくれの様になり、皮膚の薄皮一枚が浮き上がり、破れるとや薄皮がめくれ、透明な液体が出てきます。 こういった症状を
中毒性表皮壊死(Toxic Epidermal Necrosisの頭文字をとってTENと呼ぶ事もあります)と呼びます。 これらの頻度は低く、滅多にありませんが、皮膚や眼に後遺症を残したり、致命的になったりする事がありますので、直ぐに薬剤の中止と、入院していただきステロイドや免疫抑制剤等の点滴治療を行う事が必要があります。

薬局で渡される薬の説明書に書かれている副作用の意味


日本の副作用の調査方法は、科学的な根拠が無くても、医者が副作用だと言えば副作用として登録される事になります。 また10種類近い薬を飲んでいる人に、副作用らしい症状が出たときに、本当は一種類の薬が原因であるにもかかわらず、同時に飲んでいる10種類全部の薬に嫌疑がかけられます。 時には、医師が間違って患者さんの病状の悪化を副作用として報告し、それが副作用として登録されたりする事もあります。 結果的に、とても多くの無関係かもしれない副作用が列記され、収集が付かなくなるという事態がおこっています。 
この方法は製薬会社の隠蔽を避けるためにはとても良く、この情報を主に用いる医師は、たとえ多くの無意味とも思える情報があっても、その中から本当に重要な情報を取捨選択しながら処方致します。 なので本来の目的はきちんと果たしているのです。
しかし最近では、全ての副作用が列記された薬剤情報が患者さんに手渡されてしまうため、多くの情報に眼を奪われて怖くなり、処方された薬を飲まれないという方も時々いらっしゃいます。 危険を知る事は重要な事ですが、頻度の少ない危険に対する不安のために、本来薬から得られる利益を得る事が出来なくなるのは少々残念な事だと思います。 医者のほうは、その薬の投与によって得られる利益と、副作用の重症度と頻度を考えながら処方している事がほとんどですので、まあ信頼出来る医者が出した薬であれば、お飲みいただいた方が無難かもしれませんね。 ただ、ご心配であるようでした、きちんと処方された医師に相談された方がよろしいかと思います。 どうしても必要な薬でしたら、医者のほうも飲んでもらうためにきちんと時間をかけて説明するはずですので。

細胞に酸素を届けるという事

循環器は、心臓と体中に張り巡らされた血管をつかって、効率よく酸素を全身の臓器に送り出すネットワークです。 実際には酸素以外も運搬しますが、ここでは酸素を全身へ送るという点に焦点を当ててみます。

酸素は大事


どの生命体の生命活動もアデノーシン3リン酸(ATP)という共通の分子に頼っています。 糖や脂肪などの栄養素も結局はATPを作り出す原料に過ぎません。 ATPは細胞膜を通過する事ができず、さらにあまり長期間保存出来ないため、一カ所でまとめてATPを作って全身の細胞に供給すると行った事は出来ません。 そのためそれぞれの細胞でATPを作り出す必要があります。
植物が光合成を行う前の地球環境では大気中に酸素が少なく、植物が生まれる前の微生物は酸素が無い状態でも生命活動のためのエネルギー単位ATPを作り出していました。 しかし大量の酸素が作られてからは酸素を使った方が圧倒的に効率が良いため、人は酸素を使ってエネルギー単位であるATPを作り出しています。 そして緊急事態に対応するために、骨格筋肉等には酸素を使わないでATPを作り出すシステムも残していて、低酸素の状態でもある程度の活動を行う事が出来ます。 ただそれはあまり長続きせず、大量の乳酸が発生して活動を停止したり、疲労が残ったりします。 たくさんエネルギーが必要になる時には大量の酸素が必要になるのです。 では酸素はどうやって細胞まで運ばれるのでしょうか?

酸素は必要な時に必要なだけ送られます


全身の筋肉は運動するときに非常に多くの酸素を必要とし、循環器はその必要な酸素を供給しようとします。 十分な酸素が届かなければ、疲労し息が上がり、筋肉が痛くなり最終的には動けなくなります。  運動したり興奮したりすると、人間は心臓がどきどきして顔が赤らみます。 そのきっかけになるのは、アドレナリンというホルモンです。 アドレナリンが分泌されると心拍数が上昇して、一回ごとの心臓の収縮が力強くなり血圧があがり、筋肉等を流れる血液のスピードが早くなり、時間あたりの血液の通過量が多くなります。 簡単に言うとアドレナリンを使って心臓のパワーを調整して、酸素の運搬速度を早めていると言う事になります。 ただ、心臓のパワーが上がっても、筋肉や細胞に届く酸素が増えるわけではないのです。 筋肉の近くで血液の中の酸素を、細胞に送り届ける事が必要になります。

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赤血球が酸素を細胞へ効率よく運ぶ


赤血球等が含まれた赤い血液は毛細血管の中を流れています。 血管の壁に仕切られた外側には赤血球無く、リンパ液という無色透明の液体で満たされています。  細胞が直接触れているのはこのリンパ液で、いくら近くに大量の血液が流れていても、細胞に直接触れるリンパ液にきちんと酸素をわたして行かなければ、酸素はそのまま再び心臓へ戻って行ってしまいます。
酸素はほとんど液体に溶けません。酸素を運ぶため、赤血球特にその中に含まれるヘモグロビンという蛋白があります。 脱線しますが、血液が赤い色はヘモグロビンの色でもあります。 酸素がたくさん結合したヘモグロビンは明るい赤色、結合していないヘモグロビンは暗い赤色となります。 それぞれ動脈血液と静脈血液の色ですね。酸素はヘモグロビンにとても強く結合しているので、そのままではなかなか血管の外に酸素が出て行きません。筋肉の近くで酸素をヘモグロビンから切り離す必要があります。 
ヘモグロビンは、酸素の溶解度が低い場所や、酸性の環境で酸素を放出しやすくなります。 酸素がたくさん消費される場所や、乳酸や二酸化炭素がたくさん発生している場所で、ヘモグロビンから酸素が切り離されて、酸素が放出されます。 液体に溶け出した酸素は血管の壁を通過する事が出来ますのでそのままリンパ液に到達し、細胞まで拡散してゆきます。
ヘモグロビンのこの機能が無ければ、酸素は十分組織に行き渡る事が出来ず、人体の活動は制限されます。

毎日の有酸素運動が酸素の取り込み能力を高める


習慣の様に毎日、有酸素運動を長時間行う運動選手は、しばしば、安静時の心拍数が減少したりする事はよく知られています。 また軽度な心不全の患者さんに、適度な有酸素運動を続けてもらう事で、呼吸困難等の心不全の症状が改善する事が有る事は以前からよく知られてしました。 心臓の仕事量がほとんど変わらなくても、筋肉等の末梢組織での酸素取り込み能力が上がる、筋肉等の毛細血管の密度が増えると言った説明がされている事が多いですが、実のところあまりよくメカニズムは解っていない様です。 こういった酸素のやり取りの効率も良くなっているのかもしれませんね。
さらに静脈に眼を向けると、筋肉はのびたり縮んだりする事で、その中にある細静脈やリンパ管の中の体液を、弁付きポンプの力を使って、心臓へと戻そうとするでしょう。 筋肉は第2の心臓とも言われるのはこういった理由です。 こういった機能が運動を続けてゆく事で改善してゆき、心臓にむやみに負担をかけなくても、無理なく酸素を全身に送り出す事が出来るようになるのだろうと想像されています。 
運動不足は動悸・浮腫等の原因になります。 少し動くだけでドキドキしてつらい、すぐに息切れする、浮腫がちという方は、毎日(毎日が重要みたいですよ)定期的に有酸素運動を行う事で、心拍数が落ち着き、動悸の症状が改善が期待で来ます。 運動って大切なんですね。 

『血圧が低くて困っています・・』

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低血圧で朝がつらいという方、多いのではないでしょうか? でも低血圧って一体なんなのでしょうか?
 
医学的に言う低血圧とはショック状態の事を言います。

病気で血管が開いたり、出血して血液の量が足りなくなったり・・。 様々な要因で血圧が下がり、収縮期の血圧で80mmHgを切る様な場合をショック状態と言います。 普通は顔面蒼白で、心拍が激しく、冷汗が手ににじみ、患者さんの多くは、気温が暖かくても「寒い」とおっしゃるったりします。 それは一般の方が日常で使う「低血圧」とはちょっと意味合いが違う気がしますね。 

では一般的な意味合いでの「いわゆる低血圧」とは何なのでしょうか?
 
安静時の収縮期血圧は90mmHg前後でも、「いわゆる低血圧」の症状が出ない人もいます。 塩分を人間ほど取らない動物の安静時の血圧を測定すると80台後半である事が多いです。 人間意外の脊椎動物の血圧はほぼ同じですので、たとえ血圧が安静時に80台であってもそれだけで死ぬ事はありません。そして、活動時に素早くきちんと血圧が上がり、体にきちんと酸素を送り込む事が出来れば、「体が重い」「動けない」といった「いわゆる低血圧」の症状は出ません。 健康な患者さんに診られる「いわゆる低血圧」の場合、薬では良くなりません。適切な薬剤が無いと言った方が良いかもしれません。 もともと人体には活動時に血圧を上げる機能が十二分に備わっているため、本来ある血圧を上げる機能を取り戻す事の方が重要なのでしょう。
こういった「いわゆる低血圧」を引き起こす人にはいくつかのパターンがあり、そういった日常生活を改善する事で、低血圧の症状を改善する事ができるかも知れません。

低血圧を起こす要因には

  1. 不規則な生活をされておられる方: 人間の体は一日24時間のリズムがほぼ決まっています。 寝る時間、起きて活動する時間が、一定のリズムで行われる事で、眠りから覚めて起き上がる時間がある程度決まります。 そのリズムから逆算して起床の直前に血圧を上げるホルモンの準備や自律神経の準備をすると言われています。 なので、不規則な生活をしていたりしてリズムが十分出来ていなかったり、夜更かしなどでリズムが狂ってしまった場合、血圧を上げるホルモンの準備が無い状態で起き上がる必要があり、活動に必要な血圧が上がらず、起床時に「だるい」「つらい」と感じるようになると考えられます。
  2. 女性ホルモン: 女性ホルモンはいろいろ異論があるようですが、投与すると血圧が下がる傾向にあります。 女性に低血圧が多いというのはうなずけます。 しかしそれ以外にも、女性は体重を気にしがち、あと足の浮腫等も美容の面から特に気にしがちで、水分の摂取や塩分の摂取を過剰に控える傾向があります。 しかし塩分量や水分量を制限しすぎると、循環血液量が低下して血液を血管の中に十分満たして圧力を上げる事が出来なくなり、低血圧となります。
  3. 低体温の方: 良く無理な絶食ダイエットなどをされるかたおられますよね。 繰り返すと、基礎代謝が下がりいわゆる体が冬眠のような状態になるために、やせにくくなるとも言われています。 そういった方の特徴として、安静時の心拍数が遅い(毎分60を切る)、体温が低い(35度とか)といった事があったりします。 体温が低かったり、心拍数が低すぎると、それにあわせて血圧も低くなる事が多く、いざ体を動かそうとしても、心拍数が上がらず、血圧が上がらないという事になる事があります。 やはりダイエットには適度な運動が必要なのです。

病気と関連した低血圧

  1. 血圧の薬: 血圧の薬は強制的に血圧を下げます。 普通の生活をしていたらある程度ご自身の高い血圧と見合う分だけの降圧薬を飲んでおられる方が、例えば食事がとれなくなったり、旅行等されて、食生活ががらっと変わったりして、体本来の血圧が急激に下がり、それ以前に飲んでいた血圧の薬では血圧が下がりすぎてしまうという事があります。 特にたくさんのお薬を飲んでおられる方が予期しない低血圧になる可能性があると思います。 やはり血圧の薬を3種類以上飲んでおられる患者さんは、旅行中に手首ではかるタイプでも結構なので携帯型の血圧計をお持ちになられた方がよろしいかと思います。 
  2. 全身の病気と関連した低血圧: こういった「いわゆる低血圧」の症状に近い全身の病気がいくつかあります。 甲状腺ホルモン・副腎ホルモンの異常や、血圧調整に関連する脳神経・自律神経の病気、脱水や塩分喪失に伴う低血圧や、徐脈性の不整脈疾患、周期的に脱力してしまうミネラルの異常等。 こういった病気は、詳しい症状や採血、心電図等でわかったりする場合があります。 頑固な「いわゆる低血圧」に悩まれておられる方の中にはそういった病気が隠れている事があります。 あまり頑固な症状があるようなら、やはり一度医者に相談してみるのも良いように思います。

医者に、「私低血圧で朝が辛くて」と言っても、スルーされる事が有りますね。私も時々スルーしてしまいます。 医者の言う低血圧と、患者さんの思っている低血圧が違うためにおこる誤解なのですが、もう一つ、あまり良い治療法が無く、生活上の注意でなんとかやって行くしか無いという点が、医者の治療意欲を失わせている原因でもあります。 ただ、全身の病気と関連した低血圧の場合、少し問診して、診察をすればだいたい解って来ますので、そうでなければ、「大丈夫」の一言ですまされたり、「朝食に少し塩分を取ると良いですよ」なんて言う話で終わってしまう事が有ります。 しかしやはり基本は、規則正しい生活をして、適度な運動を心がける、日の明るい時に行動し、むやみに夜更かししない。 そして無理なダイエットをせず、医学的に適正な体重を心がける様にする事が大事だと言えます。  ただほとんどの患者さんがその今の生活スタイルを普通と思っておられますからね、念を押しますが主観的な感覚ではなく、あくまで客観的な見解が重要です。 

採血は空腹で取るのが良いのか、食事をしてきてよいのか?

一般的に、採血をされる際、空腹で来てくださいと言われる場合が多いですが、 三好クリニックでの採血項目は直前の食事で影響の無い物が多く、 「30分前に腹一杯焼き肉を食べて来た」と行った事さえなければ、食事は普通にして来てくださって結構です。


空腹にして採血していただく場合は、いくつか拝見したい採血項目がある場合に限ります。


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空腹時の血液の中の糖の濃度(血糖値)を測定する必要がある場合に空腹で採血を御願いしています。 正常な患者さんですと食事の後2時間空けて採血すれば、空腹時の血糖値が見られます。 前日や前々日だけ断食のようにされて血糖値を下げてこられる患者さんがおられるので、三好クリニックではヘモグロビンA1cといって、採血前一ヶ月の平均血糖値を見る物や、グリコアルブミンといって2週間程度の血糖値の平均値を見る指標を使って拝見する事が多く、血糖値を直接測定する事はありません。 患者さんの希望があった際や、特殊な状況でお願いする場合があります。 同様に血糖を下げるホルモン・インスリンの量も食事の後で大きく変動するために、測定するために空腹で来院していただく事があります。 その場合、きちんと指示しますのでご安心ください。
中性脂肪は、直前に取った食事に大きく影響を受けます。 血糖値と異なり、食事の後4-6時間ぐらいで最も吸収が強く高くなります。 昔読んだ、臨床検査の教科書では正確な測定をするためには17時間絶食後と書いてあったように思います。 朝9時に採血するとして、前日の夕方4時には食事を終えておかなくてはならないわけです。 なので基準値より少し高い方が多いようです。 都会で生活される方の夕食は結構遅いですからね。 また中性脂肪がとても高い患者さんでは、前日の夕食を出来るだけあっさりした物にしてくださいと指示する事になります。  

逆に普通に食事してきてくださった方が良いなと思う場合は。


糖尿病の境界領域の方やステロイド等を内服されておられる患者さんで、食後にのみ過血糖になる方がおられます。 そのような方の場合、わざと、食後に来てもらう場合があります。
一般的に食事をしないでくださいと申し上げると、飲水もされない方がおられます。 採血前に水分等の摂取が少ない場合、血液の実質成分が濃縮され次の様な項目が上昇してきます。
1、尿酸値 2、尿素窒素・クレアチニン 3、ヘモグロビン(赤血球の量) 
逆に、心臓のポンプ機能を示すBNPと言った値は低下します。 こういった状況を脱水と言いますが、慣れてくると、この値をみて、今日は水分量が少ないとか多いとかがわかったりします。 でも値が大きく揺れて、患者様自身が心配される事が時々あります。 そういった場合、普通に食事をしてきていただくか、水分は普通に飲んでいてもらった方が良いでしょうね。

食後に上がりそうで、実はあまり影響がない項目


私も意外なのですが、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)は、あまり直前の食事の影響を受けません。 なので『健康診断で悪玉コレステロールが高いけど、昨日脂っこいもの食べたからなー。 本当は大丈夫のはず』と思っておられる患者さんは比較的多いようです。 以前総コレステロール値で測定していた際にはそういった事もおこりましたが、最近は悪玉コレステロールを直接測定するようになってきています。 そうするとあまり直前の食事の影響は受けないので、高い方はやはり高いと思っていた方がよろしいようです。

採血で気分が悪くなる方や、倒れた経験のある方


採血の後に気分が悪くなって、倒れてしまった経験がある方多いのではないでしょうか? 実は私も子供の頃にあります。 採血時に極度に緊張したり、痛みが強かったりすると起こる現象で、迷走神経反射とも言いますが、そういった刺激で心拍数が下がって血圧が下がる事が原因の一つです。 一般的にですが、空腹や水分を取っていなかったりしておこる場合が多いようです。 そのような方は、やはり採血の日にはきちんと、食事をされたり、水分を取って来院される事をお勧めします。

『めまいがするのですが・・』3

立ち上がったとき、ドキドキして、くらっとする。


座っていたり寝ている状態から立ち上がった直後に、くらっとしたり・手に冷汗をかいたようになったり・目の前がかすむみたいに暗くなって倒れてしまったりする。 このような症状は、疲れていたり、朝食事を十分取っていなかったり、風邪などをひいていて、長期的に伏せがちになっていたりするとおこりやすいです。 通常は、座ったりしゃがんだりすると回復します。 このような症状は、起立性低血圧と言います。 一般的には脳貧血と言われているかもしれません。 一時的に脳の血圧が低下して、意識がなくなる事による症状です。 
脳は常に酸素を必要とする臓器です。 なので7秒から10秒ほど血圧が低下すると、脳は活動を停止して、意識が消失します。 立ったり座ったり、時には逆立ちしたりする人間は、脳の血圧を一定に保つために重力と戦う必要があります。 心臓と脳の位置は約50cmほどはなれています。頭の位置が心臓と同じ高さにある寝ているときは特に問題有りませんが、座ったり立ったりすると、頭は心臓より50cm程の落差が生じるため、単純に計算すると脳の血圧は40mmHg程度低くなるはずです。 しかし人体は脳以外の血管を収縮させたりする事で、脳へ行く血圧を維持しようとします。 
足は心臓よりかなり低い位置になりますので、立ち上がると足から心臓へ戻ってくる静脈血液が減少して、心臓は送り出す血液がなくなります。 この状態が続けば、数秒から10秒程で脳貧血がおこります。 人体はそうならないように、足の静脈を収縮させたり、筋肉を収縮させて足の静脈のポンプ機能をフル稼働して、心臓へ戻ってゆく血液の量を維持して、脳貧血を起こさせないようにしています。 また脳貧血がおこった場合、本能的に心拍数を上げて血圧を上げようとするため、動悸を感じる場合もあります。
血管を収縮させて、脳への血液の量をコントロールする体の仕組みは、使わないと数日でなくなります。 病気等で長期間寝ていて、極端に運動量が不足していたり、ほとんど外に出ない暮らしをしている人で、こういった機能が弱くなって、立ち上がった際に、めまいが生じる事が有ります。 逆にこういった血管の運動能力は、訓練する事で簡単に回復するため、体を動かして運動する事で、徐々に回復して行く場合が多いです。 患者さんの多くは、立ち上がると、動悸がしてふらふらするのが怖くて、伏せがちになられる場合が多く、そういった心理は逆に症状を長引かせる場合があります。
 動脈や静脈の収縮をコントロールする自律神経に作用する薬を内服していたり、自律神経の機能が低下するような、糖尿病や神経の変性疾患等が有ると、訓練では回復しない場合もあります。 まずはそういった要因が無いことを確認してゆく必要があります。

『めまいがするのですが・・』2

「立っているとき、歩いているときだけめまいがする」


立っている時だけめまいがしたり、歩いている時だけめまいがする方は、お尻から下の筋肉等の運動に関係する筋肉や骨格の異常である場合が多いでしょう。
前にジャイロ(三半規管)の話をしましたが、人間は体の位置や自分の体の状態を把握するためにそれ以外にもいろいろな器官が付いています。  日常生活であまり意識する事はありませんが、目を閉じていても、関節がどの程度曲がっているかとか、足首がどちらを向いているという事を人は感じています。 この感覚は深部知覚といって、主に腱や筋肉の中に埋め込まれたセンサーを使っています。 歩いているときに路面が左や右に傾いていても、足首の角度がどのようになっているかを瞬時に判断して、自分の体の方向を立て直そうとします。 つまり、人間は大きく分けて、目から入る情報と、三半規管から入る情報と、深部知覚から入ってくる情報をあつめて、自分自身の体の位置を、周囲の状況を判断しているわけです。

「筋力の衰えや病気によって弱る深部知覚」


この深部知覚は、高齢になったり、糖尿病で少しづつ減弱します。逆に運動などの練習によってある程度鍛える事もできます。また筋肉が衰えてくると、体の位置がきちんと保てていない事があります。 主観的には頭では正確に筋肉を動かしているつもりなので、周囲の景色が動いたように感じる事もあります。 そういった理由から運動不足気味で足腰の筋肉が弱い方は、歩行時のめまいを感じやすいでしょう。  こういった症状を自覚するのは、階段を上ったりする様な足腰の筋肉を必要とする動作ではないでしょうか?  平地での歩行では足をある程度の高さまであげる腿上げという動作はほとんど行いません。 腿を上げると、反対側の一本の足とお尻の筋肉を使って体をまっすぐ立たせようとしますが、筋力が低下すると、それが出来ず、左右にぶれ、長い直線の階段などでは、景色が左右に揺れる様な、めまいの症状がでる場合があります。 日頃から、歩いたり、階段を上がったりする運動が必要でしょう。 こういった足腰に問題がある場合のめまいは、じっとしているときや、座っていて足やお尻の筋肉が使われていないときにはおこりません。  座っていればめまいが起こらないなら、足腰の運動器に問題があると思った方がよろしいでしょうね。

こういってしまうと、ただの運動不足なのでは無いかと思われがちですが、珍しいですが小脳の病気や、筋肉や神経の病気、糖尿病等でも似た様な症状になる事があります。 きちんと医者に相談して、適切な検査を受けられた上で、運動などをされる事をお勧めします。

続く

『めまいがするのですが・・』1

ふらっとする。ふわふわする。ぐらぐらして気持ち悪い。 いろいろ表現はあります。 こういう状態を「めまい」あるいは「立ちくらみ」と表現します。

日常生活で一番遭遇する機会の多いのは、「病み上がり」といって、2−3日病気で寝たきりだった患者さんが、少し良くなって起き上がってトイレへ歩いたりする際に、ふわふわする。 地に足がつかない感じがする・・。 ひどい場合、冷汗がでて目の前が暗くなってうずくまってしまうという様な症状がでる場合もあります。 これは長い間に寝ている事で、足腰の筋力が衰えたり、立ち上がったときに血圧を調整する機能が失われて、脳貧血を起こしたりする現象です。 

めまいとは、自分の体の位置がうまく認識出来ない、固定出来ない、立ったり座ったりする事が出来ずに寝込んでしまう。 もう少し踏み入って言えば、自分の目から入ってくる体(主に頭)の位置の情報と、自分の体のほかのセンサーが感じている位置の情報が食い違う、それが原因で不安になり、その場から逃れたいという動物的な本能が働いて「吐き気」が出現する事もあります。 これがめまいとめまいに付随する症状のもとになる病態です。

患者様にとってはどの科に行ったら良いか迷うところかもしれません。 めまい科という科は普通ありませんし、いくつかの科にまたがった症候群ですので。 めまいを専門とする科は、大きく分けると耳鼻科(三半規管、前庭神経)・神経内科(小脳・脳幹・運動神経)・整形外科(筋力)・循環器内科(心臓・血管)と言ったところでしょうか。 私は循環器内科なので本来循環器のお話からするべきなのでしょうが、患者さんの立場になって症状の特徴から見てお話ししてみます。 

まず区別する事は、その症状のでかたです。 立っているときだけでるのか? 座っているときや、寝ているときにもでるのか。 という事で分ける事が出来ます。

「めまいが寝ているときにもおこる」


目から入ってくる情報は、頭の位置が固定されていれば通常大きくぶれる事はありません。 もしも寝ていて頭が固定されている状況でもめまいがあるならば、その病気の本体は耳鼻科領域、三半規管・前庭神経の異常でおこっている病気が考えられます。 同時に、前庭神経と脳神経の中で近い場所にある、聴覚神経、つまり聴力が落ちたり、強い耳鳴りが一方の耳から出現すると言った症状が加わってくるなら、それは三半規管だけでなく、神経内科の領域、脳幹の血液の流れの異常に関連した症状である場合があります。 頭をある角度にすると急にめまいが発生して、目をつぶっていても気持ちが悪い。 こういった症状は一時的なめまいですので、血管の病気では無く、主に三半規管内の耳石の異常によっておこっているめまいである事が多いです。 

少し三半規管について掘り下げてみましょう


三半規管は、自分の頭がどちらの方向を向いているかという事を認識するのにとても重要な働きをしています。 しかしそれだけでなくて、目の動きととても密接に関連しています。 皆さん歩いているときに、どうして自分の視野がぶれないか考えた事はありますでしょうか? 歩きながらビデオカメラを撮影すると、撮影の時はきちんととれているつもりでも、後で見ると画面が大きく動いていて見るに耐えない映像になっていると行った経験は無いでしょうか。 目は、ビデオカメラより高度なテクニックで、網膜に写る映像を揺れないように眼球と頭の位置を調節しているのです。
人間の目がビデオカメラ程度の能力であれば、歩いたり走ったりしながら景色を見る事は出来ません。 網膜に写る像を安定化するためには、三半規管がとても重要な働きをしています。 理工系の知識のある方ですと、ジャイロ機能と言うと納得されるかもしれません。 三半規管は頭がどのように動いたかを、素早く感知して、視線の方向を一定に保とうと、眼球の筋肉を動かします。 この機能はほとんど自動的に行われるため、三半規管に異常がおこって変な信号を出し始めると、眼球が勝手に動き、網膜に映る像が動くため、周囲の世界が勝手に動いたと感じるようになります。 これが三半規管とその系統の脳神経の異常で生じる回転性のめまいという症状となります。
ちなみに三半規管の病気の場合専門は、耳鼻科となります。

続く

インフルエンザ

寒いですね。 表参道今年はライトアップが無いと思っていたら、道路の低い生け垣に電飾が付けられています。 少し華やかです。

最近、インフルエンザA型の患者さん増えてますね。 こちらでワクチンを打たれた方も感染しておられました。 なんだか無言で非難されているような気分になりました・・・。  インフルエンザワクチンは今年流行する抗原を予想して抗体を作ります。 ウイルスのタンパク質に対して抗体を作りますので、おそらくある程度は効果があるのだと思いますが、 一般的に効果があるのは7割程度と言われています。 つまり3割の方は感染します。 私が思うに、体の免疫がウイルスと戦うメカニズムは、リンパ球などの細胞を介した免疫が主体です。 なので、ウイルスに対する蛋白に対する抗体と言う蛋白をたくさん作っても、完全にはウイルスを駆除する事は出来ないのではないでしょうか。 なのでやはり、ワクチンはあくまで補助的な物であって、インフルエンザの予防は患者さん自身が自分たちの生活習慣を見直しながらウイルスと対抗してゆかなくてはなりません。 


インフルエンザのウイルスは、患者さんの咳の中の小さな飛沫に大量に含まれています。 最終的にはそれが、のどや鼻の粘膜に取り付いてそこで増殖して感染する訳です。 僕が個人的に思う予防法をちょっと列挙してみます。

1、手洗いをする
疫学的な研究で確かに証明されているのは、風邪やインフルエンザの予防効果が最も高いのは手洗いだということです。 しかし同室の人が感染していたり、家族が感染していると、ずっと洗っているしかない事になってしまいますよね。 何かドアノブや、いろいろなところに触れた手、そこにウイルスが付いている訳です。 でもウイルスはずっと空気中で生存できる訳ではありません。 ウイルスの増殖には生きた細胞が必要です。 なので一度患者さんから離れたウイルスは、必ず少しづつ壊れてゆく訳です。 そう出なければ冬に吐き出したインフルエンザのウイルスが付いたドアノブを夏に触った別の人が感染するはずです。 しかし、そんな事は現実にはない訳で、必ず少しづつウイルスは壊れてゆくのです。 

2、加湿と室温を高くしておく
インフルエンザのウイルスは、湿度と高い温度に弱いです。 なので部屋を暖かく、そして適度に加湿しておく事は、ウイルスの量をへらすのに重要です。 おそらく感染にはある程度のウイルスの量が必要なのだと思われます。 温度の低い空気は元々、少ししか水分を含む事が出来ません。 なのでその冷たい空気を空調で暖めると、同じだけ水分が含まれていても空気中の湿度は低下します。 雨が降っている時でも、その空気を室内に入れて暖めれば、必ず乾燥する訳です。 なので暖かい室内で加湿器や、濡れタオル等を近くにおいておかれるのは良いかと思います。 口の回りだけと考えると、マスク等は吐いた息の水分を蓄えるので、口の回りが加湿されます。

3、むやみに口元に手を持って行かない マスクをする。
ウイルスがアタックする場所は口の中や鼻の穴の中の、潤った粘膜の部分です。 ウイルスの粒子は確かに空気中をしばらく漂っていますが、多くは、床やテーブル、ドアノブ等に落下して存在しています。 それを手に付けて口元に持って行ってしまうために感染がおきるとかんがえられます。 なので手洗いが重要なのでしょう。 手を介して感染しているという事だと思います。 マスクには口の回りに直接手を持って行け無くなるという点効果があります。 人は考え事をしているとき、無意識に口に手を持って行く事が多いです。 鼻を触ったり、眼鏡を触ったり・・。 そういう動作の時に間違って手を口に直接触れない様にするのが良いのかもしれません。

4、喉や首を冷やさない
人の体は、暖かい血液が流れているのでなかなか冷えません。しかし、首や喉は断面積が小さく、露出する傾向にあるので、結構外気温に影響を受けやすいです。 粘膜の温度が下がると、免疫細胞の活動も低下して、少量は入り込んだウイルスにたいしても十分な防御機能を発揮できません。 出来るだけ、喉の部分を冷やさない様な格好が望ましいです。

5、換気をする
外の温度が低いのに、窓を開けると室温が下がります。なので室温を高くするという事と矛盾します。 しかし、例えばインフルエンザにかかった人が同居している、あるいは室内に入って来てしまった。 さらにそこでゲホゲホと咳をして立ち去って行った場合。 室内には大量のインフルエンザウイルスが舞い上がっている状態になっているはずです。 そのままその室内に居続ければ感染してしまいます。 しかし、そのとき、20秒でも30秒でも、窓を開けて換気をすると、ウイルスの量は減少して、だいぶ喉の調子は良くなります。 あまり長く開けっ放しにすると、室温が下がってしまいますのでよくありません。 おそらくそのぐらいの時間ですと、家具や床や壁が芯まで冷えませんので、窓を閉めるとまた比較的短時間で室温は戻ってくるでしょう。

6、アルコール消毒
感染した患者さんに直接アルコールを振りかけても消毒にはなりません。 ウイルスは細胞の中に居ますので・・・。 なのでアルコールを飲んだからといって、インフルエンザには勝てません。 アルコールで消毒する場所は、よく皆さんが触れる場所、例えば、ドアノブやテーブル、電話機、コンピューターのキーボード、リモコン、電気のスイッチ等でしょうか・・。 アルコールを含んだウエットティッシュで時々拭いてあげるとか、後は最近薬局等でも売っている、刷り込み式の速乾性アルコール(ローションが入っているやつが良いです)を使うのが良いでしょうね。 あまり手を洗いすぎて手が乾燥してしまっているのはあまり感染防御には良くないと思います。

7、手荒れを防ぐ
手の表面、特に指先にはいろいろな生体防御用の酵素が汗とともに分泌されていると言います。 皮膚は潤いが保たれている時には、そういった防御機能が高まりますが、乾燥して、ひび割れていたりするとそういった機能は低下するのでは無いかなーと思っています。 仕事柄消毒のためにアルコールを頻繁に使うわけなのですが、結構指先がアルコールで脱脂されて、乾燥して荒れてきます。 なのでよくハンドクリームを使っています。

8、のど飴、紅茶等
ハッカ等の入ったすーっとする飴ではなく、普通の飴等でも良いと思います。 とにかく唾液が出る事で、口の中の菌量はぐっと減ると言われています。 ならば、ウイルスも同じなのではないかなー、と密かに思っています。 紅茶も良いですよね。 やはり主に口の中に存在しているウイルス量を減らすという事が重要なのかなと思います。 飲み込んで胃まで落ちれば、強い胃酸が待っていますので・・。 

私も、毎日インフルエンザの患者さんを拝見している訳で、いつ感染してもおかしくないはずなのですが (というか普通一番に感染するはずなのですが・・・。)、なんとか耐え忍んでいます(内心ドキドキしながらですが)。 私も人ですので、感染する訳です。 なので、今はマスクしながら診察しています。 最後の方はほとんど独断と偏見でしょうけれど・・・。

ワクチンを打ったからといって、安心しないで出来るだけ、感染防御に勤めていてください。 受験生の皆様は特にこれからが勝負のときです。 風邪等ひかない様がんばってくださいね。

年末年始の休業

28日で業務を終了して、昨日新年を迎えるために、クリニックの大掃除を行いました。
今日は昨日とは打って変わって、冷たい雨の日になりましたね。 
今年は皆様に取ってどんな年だったでしょうか? 
良い事が有った人も、そうでなかった方もおられるでしょうね。

私にもこの一年、いろいろな出会いや、別れがありました。 また開業して一年という、最もドラマティックな年だったかもしれません。 今までといろいろな意味で違った一年でした。 病気の治療や診断に関しては、大学病院でやっていた診療とほぼ遜色ないつもりでやっていますが、患者さん側から見れば、入院できるベットもありませんし個人のクリニックですから、だいぶ頼りない様に見えたかもしれませんね。 また経営に関しては全くの素人ですから、クリニックをつぶしてしまっては大変と、ドキドキハラハラの一年でした。 幸い、予想していたより多くの患者さんに来て頂いて、すこしづつ経営も安定し始めて来ています。 後何年かしたら、慶應からドクターを呼んで、外来を医師2名で出来る様にしたいなと思っています。 もう少しだけ大きくして、皆様にたよりにして頂けるようなクリニックに出来ればと思います。 体力の続く限り、70歳になっても、流石に80歳は無理でしょうが、がんばってクリニックを維持するつもりですので、末永くおつきあいいただければと思います。

それでは皆様、残り少ないですが良いお年を
来年は4日金曜日から通常通り診療を再開します。

今年もあと2日で

今年もいよいとあと2日で、三好クリニックはお休みに入ります。 はやいものです。 11月に入ってから、急激に風邪の患者さんやインフルエンザワクチンの患者さんが増えて、結構忙しい年末でした(と更新が滞った理由を言い訳してみる)。
おかげさまで三好クリニックも開業してから1年経って、少しづつ地域の皆様の来院や、インターネットや口コミで、千葉県や栃木、横浜の方からも患者さんにいらして頂いています。 最も遠い方は、今は上海からいらっしゃってます・・・。 ありがたい事です。 患者さんも少しづつ増えて来ていて、なんとか来年もクリニックを続けてゆけそうです。
最近、一駅前から健康のため歩く様にしています。 クリニックの準備のために結構早い時間帯から出勤するのですが、日がまだ上がっていないため、結構寒いです。 夜はとてもにぎやかな表参道ですが、朝は朝帰りの若者と、ランニングしている方が多いでしょうか・・。 また時々近くの風景を紹介したいと思います。
 

ノロウイルスに注意

最近はいわゆる流行性下痢症、ノロウイルスがはやっています。 三好クリニックでも、何人か抗原の検査をしてくださいとお願いされましたが、残念ながら今のところキットの導入を見合わせていて、ノロの確定診断は出来ません(来年は導入するかもしれませんが・・)。
その理由はいくつかあります。
まず一つは、検査が保険適応外である場合が多いです(対象は高齢者や低年齢のみ)。 保険適応外診療と保険診療を同じ日に行う場合、厚生労働省が禁止している混合診療という物にあたり、その当日の治療費全額が自己負担(自費扱い)・・・という事になりかねません。 検査はしましたが、お薬代も全額自費になるのでは患者様に取っては負担が大きすぎる様に思います。
次に検査には検便が行われる必要があります。 検便の検査は検尿と違い、患者さんの敷居も高く、そして検体をきちんと取るという行為自体も難しくなります。 クリニック内の検便検査に抵抗感があったり、共用のトイレで行った検便で本当に正確に診断できるのかどうかと言ったような問題があります。患者さんによっては、陰性にするためにきちんと便に接触させない方もおられるかもしれませんし・・・。
もう一つ治療する側にとって悩ましいのは、インフルエンザの迅速検査と違い、検査結果によって治療方針が全くかわらない事が有ります。 検査結果が解っても、治療の方針は全く普通の下痢と変わりがないので(ただ感染力が強いというだけで)、本当に必要な検査なのかという事が問題になります。 赤痢やコレラなどと違って、症状の持続は短く、健康な成人では致命的になる事が少ないという事が挙げられます。 あながち検査で解ってしまい、メディアでも大きく取り上げられるため、皆さんとてもナーバスになりますが、通常の消化器感染型の感冒とあまり変わりないように思います。個人的には、免疫を付けるためにも、軽めに感染していた方が良いのではないかなと思ったりもします(不謹慎で申し訳ない)。 ただし医療関係者や、食品関係者にとってノロの感染や2次感染は信用問題になりますので、やはりキチンと対応した方が良い様にも思います。 ただインフルエンザと異なり、何日就業を停止するべきなのかと言ったコンセンサスも明確でなく、各施設が独自にガイドラインを定めている程度です。 下痢が停止してから2日であったり3日であったり、統一されていません。
なので、三好クリニックでは、下痢がおさまってから48時間以上経過していれば、就業許可書を記載しますし、確定診断はしませんが、流行性下痢症として、消化器症状を緩和するための処方はいたします。 申し訳ないですが、検査自体が保険適応になるまで、三好クリニックではノロウイルスの確定診断は行わないつもりです。

『測定するごとに血圧が170とか120とか大きく変わってしまうんですが、どれが本当の血圧なのですか?』

それはどれも正しい血圧です、でも治療の基準にする血圧は安静時のリラックスしたときの血圧を使います。

皆さん運動すると、心拍数が増加してドキドキしますね。 運動したり食事の後などに胃や腸に血液を送ろうとしようとするさいに、たいていの方は心拍数が上がり、それにと同時に血圧もあがります。 血圧があがれば臓器への血液の流れが多くなり、栄養や酸素を効率よく送る事ができると言う訳です。 ですので体が活動しているときには血圧は高くなり、安静にしていいてエネルギーが必要ないときには血圧は自然と低くなります。 治療の目標はこの安静時のリラックスした時の血圧を治療の指標にします。
活動というと、走ったり泳いだりするときの事を考えたりされるかもしれませんが、ゆっくり歩いたり、話をしたり、食事をしたりするのも、ちょっとした活動になります。 患者さんの中には、血圧測定中に「今階段を上ってきたところなので血圧が高いかもしれない」とお話されたりする方がおられるのですが・・。 しゃべるだけで血圧は10~20ぐらいは上がりますので逆効果です。 ゆっくり落ち着いて、状況をお話されなくてよろしいですので、高ければ測定後に教えていただければよろしいかと思います。 三好クリニックでは、上がり症で血圧が上がってしまう様な方の場合、ベットに寝てもらって測定する事もしています。
安静時の血圧とは、3分ぐらい横になって、その後しゃべったり動いたりせずにゆったりと血圧測定ボタンを押してもらったときに測定される血圧と思っていただけると良いと思います。 横になって測定できなければ、テーブルに座って、血圧計をまく腕輪(マンシェットと言います)を心臓と同じ高さにして測定していただくのがよろしいかと思います。 くれぐれも、おしゃべりしながらとか、怖いテレビを見ながら測定してしまうと、安静時の血圧を正確に評価する事ができませんのでご注意ください。

9月も半ばを過ぎ

今年の夏も、ほとんど雨がふらず、暑い日が続きましたですね。 ここ数日は朝の時間は少しおさまりつつありますが、まだ昼間は日光が強いですね。 クリニックの前の青山通りは昼間の時間帯よく日が当たり、石畳からの照り返しも加わってとても暑いです。
今月もこのお暑い中、多くの患者さんに来院していただき、本当にありがとうございます。 
9月も半ばを過ぎ、もうそろそろ私が慶應を退職してから1年になります。 開院してようやく10ヶ月です。 
このクリニックをオープンして、まずはじめに試した事は、患者さんを出来るだけお待たせしない様にするために、お一人の診察予約時間を20分に設定して、一人一枠でお受けする事でした。 私の当初のイメージだと、2−3割の方は予約せずに自由に来院されるかなと思っておりましたが、蓋を開けてみると、ほとんどの皆様が電話でご予約されて、ほぼ時間通りにご来院いただきまして、これは診察する側からするととてもありがたい事だと思っています。  しかし、仕事の都合や、今日は気乗りしないなーと言う事もきっとあるはずで、そういう方に取って予約はどうなんだろうとも、ずーっと思っています。  本当は通院しなくてはならないご病気があるのに、時間きっちりに行けないため、通院を躊躇されてしまうようになるのは、医療サービスとしてどうなのだろうと思うのです。  時々、予約を入れたまま、ご来院されない患者さんもいらっしゃいますが、そういう患者さんが、ふらっと「すみません、忙しくて来院出来ませんでした」と良いながら再来院していただくと、実はとてもほっとします。 そういうお忙しい患者さんにとっても敷居が高く無い様にするにはどうするのか、正直な所まだよくわかりません。

10月になりましたら、インフルエンザの予防接種を開始いたします。ワクチンは十分な量確保してありますので、受診された際にお声掛け下さい。

足がつるぅ・・。

最近、患者さんから、「足がつる」という事で数名の別の患者さんで連続して相談を受けたので、医学生の頃に勉強した生理学の知識で受け答えしました。 答えながら、それで本当に正しかったかなと思い、またちょっと勉強してみました。

どんな時におこるか?


足がつる。 私の場合、早朝、布団の中で、まどろみながら伸びをしようとして「つる」事が多いです。 教科書等にはミネラルの異常とかCa濃度の低下や、脱水、前日に日頃使っていない筋肉を使ったり、フォームアップ不足の運動中におこったりもすると言います。 僕の経験から言うと、本当にミネラルの異常がある人はほとんどおらず、たいていの場合、筋肉の疲労が元にあって、そこに筋肉をのばす動作がきっかけになっている様に思います。 とてもリラックスしていて、大脳の活動が低下している時などに、筋肉に負担がかからない状態で急激に筋肉が短縮する。 簡単に言えば、半分寝ている状態で、足のつま先をのばす伸びの運動等がそれにあたるでしょうか・・。 私の場合、うつらうつらしている時に伸びをしていて痛みが出始めたら、すぐに伸びの動作をやめます。 伸びは結構気持ちがいいですが、つる(「こむらがえり」とも言いますが、)と、その日一日足が痛くて辛いですから・・・。

対処する方法は?


その場合、痛い方の筋肉を強制的に伸ばすと痛みがとれるのですが、そのとき足の筋肉だけを使ってのばそうとするとたいてい、もっと痛くなります。 必ず無関係な手をつかって、つま先を持ち上げて、突っ張っている痛みの有る筋肉をのばす必要があります。 寝ているときだと結構、起きないと行けないので面倒なんですよね。

なぜおこるのか?


病気ではないのであまり研究等されていないと思いますが、一般的に筋肉は出来るだけ緩まない様になっています。 緩んでいると、急な力が加わった際に、筋肉をいためる事があり(肉離れとか)、そのため常に、引っ張られたりしないか監視されています。 そして緩んでいる状態で急激に引っ張られると、素早く収縮を開始してある程度の筋肉の硬さを保とうとする機能が元々備わっています。 その機能が弱いと、緩んだ状態で急激に筋肉が引っ張られて肉離れを起こしますし、その機能が強すぎると、筋肉が勝手に収縮してしまって痛みが出るという訳です。
その監視している場所は腱(筋肉と骨をつなぐ部分)に付いていて、よく医者が、膝をたたくと足がピクット前に出る検査が有りますが、あれです。 医学的には膝蓋腱反射と言います。 あれは、腱を強制的にハンマーでたたいて引っ張った様に誤認させて、それできちんと筋肉の収縮がおこるか確認している訳です。 こむら返り(つる)がおこる原因はこの反射が強くおこりすぎるためとも考えられています。 こういった脊髄反射は、常時大脳から少し抑制されています。なので、もしかしたら眠っている時はその抑制がはずれ気味なのかもしれませんね。 まどろんでいる時に出やすいのはそのせいなのかもしれません。 また、寝ていて足先に体重がかかっていない状況での収縮というのがあまり良くないのかもしれません。

予防するにはどうするのか?


どうしたら良いんでしょうかね? 使わないとどんどん筋肉がやせてしまいますし、やせると、少し動いただけで筋肉に疲労が残ります。 また使いすぎると、筋肉はやはり疲労が残って、つる現象が多くなる様に思います。 私は、最近、よく歩く様にしているのですが、やはりクッションの弱い靴は足の筋肉を疲れやすくする様に思いますし(革靴より運動靴が良い)、週に1日だけランニングして運動するよりは、毎日適度な距離を歩いたりする(日々の定期的な運動)。 また強い運動をすると筋肉が火照りますが、それをきちんと動かしながらゆっくりクールダウンして乳酸をためない様にする(あくまで私見です・・)。 後は運動が終わった後、あるいは寝る前とか風呂等でその日の疲れを取るために十分足のストレッチをする(ストレッチをして筋肉をほぐしてから寝る)。などでしょうか?  
しかし回数があまりにも多かったり、全身の筋肉でこの現象が出たり、いろいろな注意をしていても頻回にこむら返りがおこるようならば、やはり採血をして、ミネラルバランスをチェックしたり、筋肉の病気が無いかどうか等を調べてみた方が良いかと思います。 主治医の先生にご相談下さい。

花粉症の季節

毎年、花粉の季節になると、鼻がむずがゆく、目がしょぼしょぼして、かきむしってしまう。 私は花粉症です。 私の場合、3月中旬から、4月の初め、桜が散るゴロまで、花粉に悩まされます。 多くの場合、2月の終わり頃から、5月連休前頃まで続く方が多い様です。 また秋頃にも同じ様に花粉症になられる方がおられたり、一年中、いろいろな抗原によって鼻の症状が出る方もおられるみたいです。 実は、医学教育の中で花粉症の治療法を系統立てて習う事はありません(不思議ですね)。 ほとんどの場合、先輩の見よう見まねであったり、その診察室にある薬が限られていてそれ以外出せないと言った制約から、一定の処方を出している場合が多い様です。 専門に研究をされておられる方もいらっしゃる様ですが、専門の外来は少ないと思います。 私の場合も、自分が花粉症でなければ、薬を真剣に探そうとは思いませんでした。 花粉症の薬は(正確にはアレルギー性鼻炎・アレルギー性角結膜炎と呼ぶらしいです)、大きく分けて、飲み薬と塗り薬(鼻や目に吹き付けるもの)になります。 私自身、今まで使っていた塗り薬系の薬はあまり効かなかった経験があって、あまり処方していなかったのですが、最近開業して、いろいろチャレンジしてみなくてはと思い、薬屋さんの言われるままに、何種類か試してみました。 今回驚いたのですが、結構最近の薬は効果がある様です。 飲み薬は、眠気の少ない薬が出ていますが、それでも長期間飲むと眠気が出て来てしまい。 昼間に少し寝てしまったりと、あまり良くなかったのですが。 直接塗る薬は、眠気が無いので、とても快適です。 もちろんこれも私の花粉症の程度が弱いからなのでしょうが・・・。 

鼻や目に塗る薬の程度の軽い物は、収斂剤といって、スーッとする成分が入っているだけの物がほとんどです。 しかしそれでは、ほとんど鼻炎をアレルギーを押さえる効果はありません。 最近の薬は、少量のステロイドが入っていて、それが鼻全体に行き渡る様に工夫されています。 一日一回の噴霧で一日、症状が出ない様です。 少量なので、全身への副作用も無いと考えられています。
大学に居る時には、あまり自分で使わなかったので、患者さんへもあまりご紹介していなかったですが、自分で使ってみて、少し認識を改めました。

内服の薬は、主にヒスタミンという血管拡張物質を押さえる作用のある薬が主体で、そのほかに、充血や発赤を起こすアラキドン酸という脂肪酸の代謝を抑制する薬が効果があると言います。 それでもなかなか、効果が出ない場合は、ステロイドが入った抗アレルギー薬を処方しますが、やはりいろいろな副作用が有りますので、どうしようもない場合に限って処方します。

ただ、薬に頼る前に、とにかく口や鼻、目の粘膜に花粉を入れない様に工夫する事が必要です。 素手で目をこすったりすると一時的に気持ちがよいですが、手に付いた花粉を目の中や鼻の中に押し込んでしまいますし、鼻が出ているような気がすると、一生懸命鼻をかむと、鼻の粘膜を高速の空気が通過してそれが鼻の粘膜を傷つけ、よけいに充血して鼻を塞ぐという、悪循環に陥る場合が多い様です。 むやみに鼻をかむ事は、むしろ逆効果の様です。 どうしても目に何か入って困った場合は、直接手でこするのでは無く、花粉の付いていないティッシュペーパー等を介して、目の周囲をこする方が良いでしょうね。 といってもそのうちだんだん、目がかゆくなって、こすっている部分が目に近づいて、結局目が真っ赤になるまでかきむしってますよね・・・。 
風邪が強い日は特に、目にたくさん花粉が付きます。 目を全体が覆うような。眼鏡をかける方もおられますが、老眼鏡の様な面積の少ない眼鏡であっても、目の周囲の気流の流れが変わり、目に取り付く花粉の量は少なくなる様で(私が思うに、目が乾燥する事からかゆみを感じるのではないかと思っているんですが・・・。 どうなんでしょうか?)、それだけでだいぶ楽になるという人もおられます。 
未だに根本的な解決法は有りませんが、最近いろいろな薬が出ていますので、4−5年前に飲んだ薬があまり効果がなかったとしても、また医者を変えて、花粉症に悩んでいる先生に、受診してみると親身になっていろいろ薬を試してくれるかもしれませんね。

ワーファリンとは

ワーファリンの作用


ワーファリンは血液を凝固するために必要なタンパク質を作るのに必要なビタミンKととても似た構造をしています。 しかし実際にはビタミンKの様な作用が有りません。 ですので、ワーファリンを飲むとビタミンKの作用を押しのけて、血液凝固のための蛋白が減少します。 ビタミンKはいろいろな食物中に少量づつ含まれています。 中でも、納豆・モロヘイヤ・クロレラ等に大量に含まれています。 (納豆の原料の大豆にはほとんど含まれていません。) つまり食事全体の量が変わったりしたり、納豆やモロヘイヤ・クロレラと言った食品を食べたり食べなかったりするだけで、食物中のビタミンKの値が大きく変動する事になります。 ワーファリンの効果は、ビタミンKを押しのけて作用しますので、取るビタミンKの量が変わるだけで、その効果が大きく変化してしまいます。 そのためワーファリンを使用する場合、納豆やモロヘイヤ・クロレラと言った食品を食べないでもらう様にお願いしています。 また体調不良で食事が長期間とれなくなってしまった場合や、季節によって食べる食材が大きく変わる方には、その都度ワーファリンの効果を確認する必要有ります。 それはワーファリンの効果が強すぎれば、脳出血・胃からの出血等・血尿等の症状が出る可能性が有りますし、少なすぎれば、脳梗塞等の血栓塞栓の症状が出てくる事になります。
ワーファリンの量の調整
ワーファリンの効果を測定する方法はいろいろありますが、三好クリニックでは、採血すれば数分で結果の判定できる、測定器を用意しています。 ですので、診察の直前に採血して頂き、その効果を判定して、ワーファリン量をその場ですぐに決定する事が出来ます。 最近ワーファリンに変わる、新しい抗凝固薬(ダビガトラン)が発売されて注目されています。 それは、ワーファリンの様に凝固のための蛋白を作らせない様にするのでは無く、凝固のための蛋白を直接阻害する薬なので、納豆やクロレラと言った食品の制限も有りませんし、季節によって量の調整をする必要は有りません。 しかし定期的に腎機能を確認する必要がありますので、ワーファリンで安定している患者さんと採血の頻度はあまり変わらないと思います。 不測の腎機能悪化で、ダビカトランの効果が急激に強くなり、大出血を起こす可能性があるからです。 ですので、三好クリニックでは、患者さんにこれらの点を説明した上で、ワーファリンとダビガトランを選んでもらっています。
ワーファリンの効果を表す値として、INRという値を使います。INRとはinternational normalized ratio=国際標準比と言いますが、プロトロンビン時間という計測値を(ざっくり言えば血液が凝固するまでの時間)測定して、その時間が正常値からどの固まりにくいかと言う事を示しています。1が正常で、大きくなると出血しやすくなります。 ワーファリンを内服している場合、75歳以上の患者さんでは1.6から2.5の間にコントロールされる様にワーファリン内服量を増減しますし、75歳以下ですと、2.0から3.0の間にコントロールする場合が多いです。 ワーファリンの半減期は2.5日と長いですので、一日わすれていても、少し効果が残っていますが、あまり飲み忘れる事が無い様にする必要があります。 4より高くなると、結構いろいろなところから、簡単な傷からでも出血しやすくなったりします。 ワーファリンの量は多すぎても少なすぎてもいけませんが、半減期が比較的長いので、毎日測定してワーファリン量を変更する必要は有りません。 しかし導入期には2週間から1ヶ月に一回程度、安定して来て、季節での変動があまり無い方では、2ヶ月や3ヶ月に一回の採血になる方もおられます。
 

ワーファリンを飲んでいて注意する事


また他の長期的に内服する内服薬でも、値が大きく変動する場合があり、ワーファリン以外の薬を変更したりする際には、注意が必要です。 よく、経験するのは、胃酸を押さえる薬の一部、抗菌剤等の投与で急激にワーファリンの効果が増強して出血したりする事が有ります。 一般的に長期的に内服する薬で経験する事が多いです。 また肝機能がお悪い方(肝硬変や肝炎等)で予想を越えてワーファリンの効果が強くなる事が有ります。 
一般的な日本人の体格で、一日量2mgから4mg程度で落ち着く場合が多いですが、時に10mg近く内服しなくては、INRが治療域に達しない方がおられます。 そのように多くの量が必要な方は、ビタミンKの食品を実は食べておられたりする事もありますが、それが守られていれば、体質的な物だと言われています。 

納豆とワーファリン

納豆は体に良いと言われています。良質のタンパク質が含まれていることもありますが、その他に「ナットウキナーゼ」という血液の固まりを溶かす成分が含まれています。 つまり血栓予防(一般には「血液さらさら」とか、「ドロドロ血予防」とか言う表現がおおいですね)的に働きます。 口から食べた酵素が、分解されずに吸収されて血液をさらさらに出来るかどうかについては、議論が分かれますが、動物実験などではそのような効果があるようです(ヒトで有効性は証明されていません)。

一方で納豆は、ビタミンKというビタミンを大量に含んでいます。 ビタミンKは皮膚や血管が傷ついたときに、その傷を素早く塞ぐために血液の中にあらかじめ流れている(血)糊タンパク質を作るのに必要なビタミンです。 簡単に言えば血を固まりやすくしていることになります。 ですのでビタミンKがなくなると、軽く皮膚を圧迫しただけで、大きな内出血を起こしたり、胃や腸・そして脳などで出血を起こして、致命的になることもあります。 その一方で、血が固まりやすい患者さんにはあまり良くない蛋白でもあります。

心房細動などで血栓ができやすい人。 特に「心臓弁膜症があったり機械弁を植えている人」「心臓のポンプ機能が落ちている人」「糖尿病のある方」「高血圧がある方」「脳梗塞などの既往のある方」「75歳以上のご高齢の方」では、このビタミンKの働きを悪くする薬、ワーファリンを内服してもらっています。 後は人工弁等が入っている方もそうです。

心房細動の患者さんと話していて、「どうしても納豆が食べたい」、「納豆食べられないなら死んだ方がよい」とおっしゃる方が時々おられます。 最近、処方できる様になったプラザキサという抗血栓薬は、ビタミンKによって作られた血糊の蛋白を直接ブロックするので、ビタミンKを摂取しても問題有りません。 しかし、この薬剤も弱点があります。「人工弁が入っておられる方」や、「心臓弁膜症のある方」、そして何よりも問題になるのは「腎機能が落ちてられる方」には、未だにワーファリンが必要になります。 少し脱線しましたが、プラザキサの無い時代には、こういった方で、特に脳梗塞のリスクの比較的少ないと思われる方には、「仕方ないので、じゃあ納豆毎日食べてくださいね」といって経過を見ていた患者さんが何名かおられました。 しかし、10年程外来をしてみて思う事は、無理してでもワーファリンを飲んでいる方の方が、肌つやがよく、元気で10年過ごされている方が多いのに対して、ワーファリンを使わずに、納豆を食べる様にお願いしている患者さんでは、10年で少しずつ、弱ってこられて、ぼけてこられたりしておられる方が多いような気がします。 これはあくまでも印象でしか有りませんが、しっかりとした抗凝固療法(ワーファリン)が、生命予後を長くする事は臨床研究でも明らかになっており、やはり必要なのだなと最近実感しています。 

じゃあワーファリンとはどういう物か、この続きは
次のブログで説明します。

心房細動の原因

最近患者さんに心房細動ってなぜなるんですかと言われて少し困った事が有ります。
簡単に言えば「心臓の老化現象の一種」なのですが、そのときもそのように申し上げたところ、
「私は結構若いうちからおこっていて。 老化という事は無いと思うんですが・・」とおっしゃられたのです。 確かにもっともな意見です。

心房細動を起こしやすい要因として特定されている要因は2つ有ります。 

一つは年齢。 心房細動がおこる患者さんのほとんどが60歳以上の患者さんです。 しかし希に40歳とか、珍しいですが20歳で心房細動の方もおられます。 20歳で心房細動になられる方は、やはり何らかの遺伝子の異常がある場合が多いと考えてよいでしょう。 しかし遺伝子に異常があって心房細動になられる方は、むしろ珍しいです。 日常の診療をしていてほとんど無いと言ってよいでしょう。 そのように若くて心房細動を発症する人は何か他の因子があるとも考えられます。

二つ目は高血圧。 血圧が高い方は心房細動になりやすいです。 また血圧の治療を行うと、心房細動の新規の発症が押さえられたりします。 ですので、若い頃から血圧が高い方は、やはり心房細動になりやすいと考えた方が良いでしょう。 そのため心房細動の患者さんでは、血圧の治療も重要になってきます。
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高血圧と塩

私どものクリニックでは、全体の患者さんの中で1割から2割ぐらいの患者さんが血圧のコントロールだけの目的で来院されています。 最近高血圧の患者さんを診察していて、何名かの方に連続して塩分制限の話をする事になりました。 慶應の外来をしているときには、「塩分気をつけてくださいね」と言うだけでそれ以上深くお話する事は出来なかったのですが、三好クリニックでは、少し立ち入った話を出来た訳です。

実はほとんどの高血圧患者の方は、塩分の制限をするだけで薬を飲まなくても血圧は正常になります。 そう申し上げると、「いや私は塩分には気をつけているのですが」とおっしゃられる患者さんがほとんどです。 でも適切な塩分量をコントロールするのは実はとても難しいのです。 その最も大きな理由は皆様自身の舌の感覚でしか摂取する塩分量を決める事が出来ない点にあります。 もしも皆様の舌の感覚が狂ってしまっていたら、適切な塩分量をコントロールするのは不可能です。 そして高血圧の多くの患者さんは舌が過剰な塩分に慣れてしまっています。 慣れによって感覚が狂ってしまっているのです。 これが減塩がうまく行かない一番の理由だと思います。 
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カフェインと不整脈

最近連続してカフェイン関連で患者さんとお話しした事が有ったのでちょっと解説してみます。
簡単に言えばカフェインは不整脈を起こしやすくします。 もちろんカフェインには良い点がいっぱい有りますし、全く不整脈に悪さをしない方もおられるでしょう。 ただ、不整脈が多くて困っている患者さんで、どうもカフェインを取りすぎているなと思われる様でしたら、少し控えた方が良いかもしれません。
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夕刊フジにコメントが掲載されました

心筋梗塞はおこってしまうと、病院にたどり着くまでに1割ぐらいの方が死亡する怖い病気です。 そのほとんどは、喫煙・高コレステロール血症・糖尿病といった生活習慣病によって悪化します。 皆さんも気を付けてください。
だいぶ前に取材を受けて、開業の時期だったのですっかり忘れてしまっていました。 取材してくださった長田様どうもありがとうございました。 今日ネットを見ていて気づきました(11/18の夕刊フジに掲載されていた様です)。 私が大学病院で拝見していた患者さんの例を取り上げてくださいました。 心筋梗塞の記事です。 
http://news.livedoor.com/article/detail/6040846/

開院して3日目



開院して3日経ちました。 初めのうちは不慣れだったのと、2日目から手伝いに来ていてくれた事務の方が、現職に戻られたため(12月から勤務になります)、看護師と二人で運営しているため、なかなか、私が保険の入力等に手間取ってしまって、患者さんをだいぶ待たせてしまったのではないかと心配しています。 事務が出勤する様になると、3人でフル活動できる様になると思います。 それまでもう少々お付き合いください。

また多くの患者さんや、医療関係者の方々から、奇麗なお花を頂きまして、誠にありがとうございました。  一生のうちでこんなにお花をもらう事はもう無いだろうなとスタッフと笑っていました。 大切に育てますが、今日は患者さんが多くいらっしゃって、椅子が足りなくなり、少し院内のスペースに限界が有るなーと思う今日この頃です。(実はこの他にも処置室と診察室に何鉢か有ります。)

そろそろ、電子カルテの使い方にも慣れ始め、なんとか2人であれば一日15人程度の患者さんが拝見できるのではないかなと言う程度まで慣れてきました。 ただ今はお花が待合室を占拠しているので、一度に多くの患者さんがいらっしゃると、ちょっと困った事になりますね・・。

インフルエンザの注射の患者さんも結構いらしてくださっています。 ワクチンの注射は時々、アレルギー反応を起こされる方もおられます。 注意をして投与いたしておりますが、何かありましたらすぐにご連絡下さい。 反応が1ヶ月程してから、全身の力が入りにくい等といった症状で発症される方もおられますので、ご注意下さい。 いずれも頻度はかなり低いですが・・・。 早めに対応をした方が快復が良いです。

夕刊フジの記者さんから取材を受けました

一昨日、夕刊フジの記者さんから取材を受けました。 「ブラックジャックを探せ」というコーナーで取り上げていただけるんだそうです。 ブラックジャックは天才外科医ですので、内科医でさらに特に天才でもない私が取り上げられるのは身に余る感じがしましたが、ご指名でも有りましたので取材を受けました。 来週20日木曜日に出るらしいです。 どんな記事になっているか少々怖い気がします。 なにせ、あまり医療の話をしなかった物ですから・・。
私自身、慶應大学での研究の仕事で何度か新聞に掲載された事は有りますが、診療で掲載されるのは初めてです。 なんだかこそばゆい感じがします。 取材いただきました、長田様、どうもありがとうございました。

2011/10/20追記
夕刊フジの記事がYahooニュースに掲載されています。
こちらにリンクをつけておきます。 なんだか良く書かれすぎて実感が無いです。 

心房細動という病気-1

先日、外来患者さんと話していて、心房細動の説明になった際に、「心房細動ってなぜ起こるんですか」と言う事を聞かれて、一瞬困ってしまいました。 心房細動が起こる理由、そのメカニズムについては、2000年少し前ぐらいから研究が精力的に研究が行われ始めたと言ってよいでしょう。 しかし患者さんは普通、そのメカニズムについて聞いている場合と、動物が生きていく上でなぜそのような不整脈が必要なのかという点など、『なぜ』という意味にはいろいろな意味があるわけです。 少し考えて、「一種の老化現象なのだ」と説明をして何となくなっとくしてもらいましたが・・・。 本当にその患者さんが聞きたかった事なのかなと、そのあともしばらく考えていました。 何だか患者さんの質問を煙に巻いてしまった様で、申し訳ない事をしたんじゃないかって少し反省しました。
その時一瞬、考えたのは、自分の中に有る心房細動の知識を思い返していたのでした。 結構長大な話しだったので、何から話せば良いんだろうか? 本当にこんな事を聞いているのだろうかって思ったのでした。

実は、心房細動ほどこの15年間ほどの間に治療法が大きく変化した病気は無いでしょう。 昔から心房細動をお持ちの患者様から見ると、医者の言う事が随分かわってきているので、変だなと思われているのではないでしょうか? 医者の中でも、この変化にあまり付いてこられない方が多いのではないでしょうか?
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表参道ってどこですか?

最近患者様と話していて、東京の方でも、表参道ってどこか知らない方が多い事に気づきました。 といっても私も結婚するちょっと前まで知りませんでしたが・・・。 今も少し歩いてみて、女性の方が多いのが印象的です。 どちらかと言うと地元の方でなければ、男が一人でふらっと出かける場所では無いですよね(私だけですか?)。 なので、そういう付き合いが無いと、私自身あまり知りませんでした。 なので、そういう患者さんのお話を聞いて、なるほどなと思ったわけです。 
確かに表参道にはJRの駅は無いです。 新宿や信濃町、辺りからのアクセスは悪いかもしれませんね。どうしても地下鉄でいらっしゃるにしても一回乗り換えなくてはなりませんので・・。JRとの接続ですと、渋谷・原宿・新橋・銀座あたりで乗り換えるのが良いのでしょうか? 原宿からですと、明治神宮前駅から千代田線にご乗車されるのが良いでしょう。 JRですと、四谷から丸ノ内線で赤坂見附で乗り換えというのも一つの選択肢です。
地下鉄の路線で言いますと、半蔵門線・銀座線・千代田線の駅になります。 小田急線で代々木上原から千代田線直通に乗車されたり、東急田園都市線から半蔵門線直通に乗車されたりするのはとても接続が良いかもしれません。 しかしJR線中央線や総武線からの接続は少々悪いですね。 申し訳ないです。

あと最近、車いすの患者様と話していて、目から鱗がとれる様な気分でした。 下車駅のエレベーターの位置は確認しますが、乗換駅のエレベーターやエスカレーターの位置って確かに知りませんね・・。また、タクシー等で来院されるときに車を下車する場所が重要だと言う点・・。 確かに交差点でおりられた後、その直後の歩道等に段差があると厳しいですよね・・。 その点も開業までにもう少しその目で見てみようと思っています。