三好クリニック 青山・表参道

内科・循環器・高血圧・不整脈

睡眠について4

睡眠・自律神経と一日のリズム


2つの具体的な問題提起をしてみますね。 

まず一つは、人間はいつ寝るのが良いのかという点についてです。
一般的に睡眠時間は一日7〜8時間と言われています。 じゃあ、それはいつでも良いのでしょうか? 皆さんの大部分は夜11時とかに寝て、6時とか7時ごろに起床される方が多いでしょう。 学校がそうなっているから? 電気の無い時代の名残? 考えられる理由はいろいろあるでしょう。 物書きやフリーの仕事をされている方、深夜に働く方の中には、5時とか6時位まで起きていて、明るくなってから寝る方もおられるでしょうね。 全く外の世界から孤立した一定の明るさの部屋に人間を一人で生活させると、その人間の生活のリズムは大体25時間おきに睡眠と覚醒を繰り返すと、どこかのテレビでやっていた様に思います。 これは人の生活リズムが普通は25時間周期で繰り返しているという事を意味しています。 その生活周期を24時間に設定しているのは目から入る明るさの刺激だと言われています。 目からある程度以上の強めの光が入る事で(直射日光に当たる必要はなく、日当りの良い縁側位の明るさで良いと言います)、人間は脳内でメラトニンという睡眠に関係する脳内物質を作ると言われていますし、視交叉上核と言う人間の生活リズムを作っている脳の一部のリズムをリセットしていると考えられています。 つまり、起きている時間は、ある程度明るい時間帯が良いという事になります。 ちなみにこの明るさは、一般的な家庭での照明では不十分で、日光ぐらいの明るさが必要なのです。  つまり起きている時間は日中の方がリズムが出来やすい事になります。 一般の人の睡眠時間というのが、意図せず良い時間帯だと言う事になります。

もう一つは、時差体験から考える人体の生活リズムです。
皆さんの中には、時差のある海外に旅行に行かれた方もいらっしゃると思います。 例えば2週間位ヨーロッパに滞在するとすると、その間にヨーロッパの時間になじむ事になります。 2週間たつと、ヨーロッパの時間に普通に生活できていて、全く不自由無くなりますね。 つまり2週間程で時差の調整が出来た事になります。 もう少し細かく観察してみましょう。
まず、飛行機で長距離移動する際に、旅行という疲れもあって、機内で十分寝られる方もおられるでしょうね、あるいは到着してからぐっすり寝て時差を調整したいという事で、機内は寝ない方もおられるでしょうか? しかし多くのかたは、到着したその日の夜は、移動の疲れもあってぐっすり眠る事が出来るはずです。 疲れすぎていて間違って夕方の5時とか6時位に寝てしまって、夜中の3時ごろに目が覚めてしまう事もあるでしょう。  たいていそういう経験をされた方の多くは、夜中に堪え難い空腹を感じる事が多くないでしょうか?これは後で少し説明します。 翌日普通に活動して、昼過ぎに異常に眠くなり、それを我慢してその夜に寝ると、たいてい睡眠に関しては2-3日で時差は解消される事が多いと思います。 しかし、その他の内蔵のリズムはどうなっているでしょう。 先ほどの空腹もそうですが、消化器や血圧調整といった自律神経の働きは、睡眠のリズムよりもっと遅れて快復して来ます。 例えば毎朝きちんと排便がある人、いつも夜はトイレに行かない人、そういった人も、ヨーロッパ到着から4−5日、長い人で1週間程は、夕方など日本では考えられない時間帯に強い便意があってトイレに駆け込まなくてはならなくなったり、夜のトイレが2−3時間おきにあって睡眠が妨げられたりする経験ないでしょうか? これは血圧や尿を作る時間、そして排便したりする時間を、体がリズムとして持っている事をしめしています。 人間は覚醒する直前に血圧を上げて起立した時に脳の血液が十分確保できる様に準備をしていたりします。 こういった、リズムは自律神経によってコントロールされていますが、自律神経は脳や、睡眠といった大脳のリズムとは異なり、もっと原始的なリズムなので、その調整には睡眠のリズムよりもっと時間がかかる訳です。 何が言いたいかというと、睡眠する時間や起きる時間がまちまちだと、自律神経のリズムがバラバラになり、食欲や排便、排尿や、血圧調整等がうまく行かなくなるという事です。 医者は良くおまじないの様に、「毎日規則正しい生活をしてくださいね。 何もなくとも朝7時に起きて、歯を磨いて、顔をあらって、朝ご飯を食べて、体操して、昼になったらご飯、買い物等をして、適度な運動をして、夕方決まった時間に食事をして、テレビを見たり、風呂に入ったりして、決まった時間に寝てください」、とここまで細かくは言わないかもしれませんが・・。 まあ大部分の人は、「また言ってるね、医者の挨拶みたいな物なんだな」と思って無視するかたも多いでしょうが、実はこれが自律神経の乱れのある方の最も良い調整法だったりします。 動物は、一日の生活を最も効率良くに行うために、自律神経のリズムを持っています。 大体何時位になったら起きて、食事をするから、その前に血圧を上げといて、胃液や唾液の準備をして・・・。 などなど。 行動の前に、あらかじめリズムを元に準備している訳です。 そしてそのリズムが狂うと、いつ起きたり食事をしたりするのか解らず、内蔵は準備不十分な状態で、突然食事が入って来て胃がびっくりしたり、突然体を動かされ始めたりして、心臓や全身の血管がびっくりして、がんばってそれに合わせようとします。 そしてその違和感を、大脳が体調が悪いと感じる訳です。  これが自律神経失調症の原因の一つになっています。 先ほどの時差の話に戻すと、内蔵のリズムが調整されるのに5日から1週間かかったという事は、逆に5日まえとか1週間前の生活のリズムを体が覚えているという事になります。 規則正しい生活を1−2週間続けて行くと(ちなみに、健康的なと加えておきますね。 そうしないと、「おれは、いつも、規則正しく不健康な生活をしてます」と言われかねませんので・・・)、ようやく自律神経のリズムがしっかりして来て、そういった体の違和感がなくなってくるのではないかと思います。

さて、まだ睡眠についていろいろあるかもしれませんが、今回で一旦終了とします。 
今回いろいろ書きましたが、やはりいろいろな不安や、ストレス等があって眠れない場合、どうしても睡眠導入剤が必要となってくる事が多いです。
眠って心を休めて、体力を回復してくると、今までとても不安だった事が少し解消したり和らいだりする事があります。 全く今まで思いつかなかったストレス源の解消法を思いついたり、解決方法が見つかったりする事もあるでしょう。 どうか皆様に良い眠りのあらん事を。