年末年始の休業

28日で業務を終了して、昨日新年を迎えるために、クリニックの大掃除を行いました。
今日は昨日とは打って変わって、冷たい雨の日になりましたね。 
今年は皆様に取ってどんな年だったでしょうか? 
良い事が有った人も、そうでなかった方もおられるでしょうね。

私にもこの一年、いろいろな出会いや、別れがありました。 また開業して一年という、最もドラマティックな年だったかもしれません。 今までといろいろな意味で違った一年でした。 病気の治療や診断に関しては、大学病院でやっていた診療とほぼ遜色ないつもりでやっていますが、患者さん側から見れば、入院できるベットもありませんし個人のクリニックですから、だいぶ頼りない様に見えたかもしれませんね。 また経営に関しては全くの素人ですから、クリニックをつぶしてしまっては大変と、ドキドキハラハラの一年でした。 幸い、予想していたより多くの患者さんに来て頂いて、すこしづつ経営も安定し始めて来ています。 後何年かしたら、慶應からドクターを呼んで、外来を医師2名で出来る様にしたいなと思っています。 もう少しだけ大きくして、皆様にたよりにして頂けるようなクリニックに出来ればと思います。 体力の続く限り、70歳になっても、流石に80歳は無理でしょうが、がんばってクリニックを維持するつもりですので、末永くおつきあいいただければと思います。

それでは皆様、残り少ないですが良いお年を
来年は4日金曜日から通常通り診療を再開します。

今年もあと2日で

今年もいよいとあと2日で、三好クリニックはお休みに入ります。 はやいものです。 11月に入ってから、急激に風邪の患者さんやインフルエンザワクチンの患者さんが増えて、結構忙しい年末でした(と更新が滞った理由を言い訳してみる)。
おかげさまで三好クリニックも開業してから1年経って、少しづつ地域の皆様の来院や、インターネットや口コミで、千葉県や栃木、横浜の方からも患者さんにいらして頂いています。 最も遠い方は、今は上海からいらっしゃってます・・・。 ありがたい事です。 患者さんも少しづつ増えて来ていて、なんとか来年もクリニックを続けてゆけそうです。
最近、一駅前から健康のため歩く様にしています。 クリニックの準備のために結構早い時間帯から出勤するのですが、日がまだ上がっていないため、結構寒いです。 夜はとてもにぎやかな表参道ですが、朝は朝帰りの若者と、ランニングしている方が多いでしょうか・・。 また時々近くの風景を紹介したいと思います。
 

ノロウイルスに注意

最近はいわゆる流行性下痢症、ノロウイルスがはやっています。 三好クリニックでも、何人か抗原の検査をしてくださいとお願いされましたが、残念ながら今のところキットの導入を見合わせていて、ノロの確定診断は出来ません(来年は導入するかもしれませんが・・)。
その理由はいくつかあります。
まず一つは、検査が保険適応外である場合が多いです(対象は高齢者や低年齢のみ)。 保険適応外診療と保険診療を同じ日に行う場合、厚生労働省が禁止している混合診療という物にあたり、その当日の治療費全額が自己負担(自費扱い)・・・という事になりかねません。 検査はしましたが、お薬代も全額自費になるのでは患者様に取っては負担が大きすぎる様に思います。
次に検査には検便が行われる必要があります。 検便の検査は検尿と違い、患者さんの敷居も高く、そして検体をきちんと取るという行為自体も難しくなります。 クリニック内の検便検査に抵抗感があったり、共用のトイレで行った検便で本当に正確に診断できるのかどうかと言ったような問題があります。患者さんによっては、陰性にするためにきちんと便に接触させない方もおられるかもしれませんし・・・。
もう一つ治療する側にとって悩ましいのは、インフルエンザの迅速検査と違い、検査結果によって治療方針が全くかわらない事が有ります。 検査結果が解っても、治療の方針は全く普通の下痢と変わりがないので(ただ感染力が強いというだけで)、本当に必要な検査なのかという事が問題になります。 赤痢やコレラなどと違って、症状の持続は短く、健康な成人では致命的になる事が少ないという事が挙げられます。 あながち検査で解ってしまい、メディアでも大きく取り上げられるため、皆さんとてもナーバスになりますが、通常の消化器感染型の感冒とあまり変わりないように思います。個人的には、免疫を付けるためにも、軽めに感染していた方が良いのではないかなと思ったりもします(不謹慎で申し訳ない)。 ただし医療関係者や、食品関係者にとってノロの感染や2次感染は信用問題になりますので、やはりキチンと対応した方が良い様にも思います。 ただインフルエンザと異なり、何日就業を停止するべきなのかと言ったコンセンサスも明確でなく、各施設が独自にガイドラインを定めている程度です。 下痢が停止してから2日であったり3日であったり、統一されていません。
なので、三好クリニックでは、下痢がおさまってから48時間以上経過していれば、就業許可書を記載しますし、確定診断はしませんが、流行性下痢症として、消化器症状を緩和するための処方はいたします。 申し訳ないですが、検査自体が保険適応になるまで、三好クリニックではノロウイルスの確定診断は行わないつもりです。

横浜のとあるクリニックを訪問してきました。

16日日曜日に、横浜のとあるクリニックを訪問してきました。
私が以前慶應で仕事をしていた際にとてもお世話になった、慶應心臓外科の古梶清和先生が退職されて開業されたとの事で、開院前の内覧会にお邪魔してきました。  東急のみなとみらい線で、みなとみらい駅の一つ先、馬車道駅で降りて1分、横浜第二合同庁舎の隣、とても奇麗な建物の2階のほとんどワンフローアを使って、とても立派な心臓外科・循環器内科のクリニックが出来ていました。 古梶先生は外科の先生には珍しく、診察が丁寧で細やかで、内科的な診療にも明るい先生だと思っておりましたので、開業されても間違いなくうまく行くだろうと思っております。 横浜近辺におられる方は是非おたちより頂ければと思います。 人柄もとても気さくで、紳士的な先生です。  
http://www.keiyuclinic.com

師走

12月ですね。 厳しい寒さが続きます。 昨日は地震だいぶ揺れましたね。 2011年の3月11日も慶應で外来診療中でしたが、あのときを少し思い出すような揺れ方でした。
私の方は、しばらく忙しくて髪を切りに行けなかったのですが、先日、いつも行っているカット屋さんへ行ってきました。 青山で開店しておられるカット屋さんで、10年ほど通っているでしょうか・・・。 私が青山に足を運ぶきっかけになった方です。 ちょうど私が開業したときと同じぐらいに、少し見晴らしの良い店舗に移転されたのですが、日当りも良く、冬だというのにとても室内が暖かかったです。 採血したり診察したりするときに、髪の毛がまえに落ちてきてちょっと不潔だったので、だいぶすっきりしました。
その際、店長とお話ししていて、今年は表参道のイルミネーションが無いという事を伺いました。 ちょっと期待していただけに、残念ですね。


最近はインフルエンザの予防接種の患者様が多く、少々込み入っていますが、元々少し患者様のご予約が少ない時期でしたので、なんとか時間をやりくりしてやっています。 でも、患者様をだいぶお待たせしていると思います。 特に初診の方や、お話の長い方もおられます。 不整脈診療は結構症状の聴取が大事なので、お一人様20分取っていても、それ以上かかってしまう事もあり、そのあとの診察の患者様にだいぶご迷惑をおかけする事があります。 いつも申し訳ありません。 12月のいっぱい、このような調子になると思います。 申し訳ありませんが、出来るだけご予約いただいて受診いただけます様お願いします。 

これからお勤めの方は忘年会の季節ですね。 飲み過ぎに注意して年末を無事乗り切ってくださいね。

心臓のリズム

怖い話が嫌いな方はあまり読まない方が良いでしょう。
皆さんは、長い階段を降りるときに途中で、「え!? 次どっちの足出すんだっけ」って不安になる事ありませんか? 交互に足を出すという単純な連続作業は、小脳という脳を使っています。 小脳はある程度決まったパターンの複雑な一塊の運動シリーズをコントロールする脳で、大脳で意識せずに、全身の筋肉を動かしてゆきます。 なので、「転倒するのではないか」といった、恐怖心が出現して大脳で意識して足を動かそうとすると、逆に足がもつれてうまく歩けなくなるという様な事がおこります。 私は運動音痴なので、特に意識してしまって、もつれてしまう方です。 なのでスポーツをやっている方の運動を見ていると、人間が自動で行っている多くの動作は本当に良く出来ているなーと感心してしまいます。

人間の心臓の心拍は、やはりある一握りの細胞の単調なリズム作製によって動いています。 場所は、右心房の上の方、上大静脈とくっついている部分周囲に、洞結節という特殊な心臓の筋肉の細胞の集まりがあります。 このリズムを作っている細胞の事をペースメーカーと言います。 このペースメーカーはほんの一握りであるために、例えば病気や、年齢とともに変成して少なくなってしまう事もあります。 リズムは基本的に細胞膜の電位の揺らぎが増幅して出来た物なので、そうですねちょうど、波の様な物でしょうか? 海にいけば普通に波はありますが、その本質は液面の振動です。 心拍もそういった振動の一種なのです。 その振動がやんでしまえば、心臓は止まってしまいます。 突き詰めて考えてみればそんな不確かな物で人間は生きているわけです。 ちょっと怖くありませんか? でも安心してくださいそう簡単に心拍は止まりません。 ペースメーカーは何百というこういった特殊な細胞が寄り集まってできているため、一つの細胞が振動を止めても、別の細胞が振動しているとそれでリズムが維持されます。 また、洞結節以外にも、何カ所か弱いながらもペースメーカーとなりうる細胞があり、それらが常にバックアップをしてくれているのです。
ただ、ペースメーカーが衰えてくると、心拍数が徐々に低下して行き、患者さんとしては、足が浮腫んだり、息切れしたり、疲れやすくなってきたりと言った症状が出始めます。 心電図を取ると、診断が出来ます。こういった場合、薬の内服で効果がある場合もありますが、ほとんどの場合、機械型のペースメーカーを植え込む事になります。
最近では携帯電話の小型化で切磋琢磨したおかげか、レアアースのおかげか知りませんが、電池の性能が良くなり、だいぶ小型化され、一度植え込めば電池も長期間持続します。 以前よりは目立たなくなっていますが、小柄のやせた方ですと、やはり少し目立つと思います。 入れる場所は通常、左肩の部分、鎖骨の下当たりに入れます。 小型化だけでなく、不整脈を監視したり、心臓の機能を監視したり、運動したりすると自動的に感知して心拍数を上げてくれたりする様な機能が付いている物もあります。
三好クリニックではペースメーカーの挿入は行いませんが、ペースメーカー挿入後の経過観察や、薬物治療等を行います。 ペースメーカー挿入が必要な患者様は、ご希望があれば慶應大学や提携している大学病院にご紹介致します。

『血圧計って何をはかっているのですか?』

腕に布を巻いて、圧力を加える。 健康診断や、ヘルスセンター見られる血圧計。 たしかにそれっぽい値が出るのだが、いったいどうやってはかっているのだろうか? 疑問に思われた事は無いでしょうか? 

本来血圧とは、血管の中の圧力を圧力計で測定する物で、当初は水銀を使って測定していました。 測定のたびに針を血管の中に刺して圧力をはかる必要があったのですが、痛いし大変なので、コロトコフという医師がその痛くない測定法を考案したのが始まりでした。 血液が普通に流れている血管の上に聴診器を置いても音は聞こえませんが、腕の周りに布(マンシェットと言います)を巻いて外からある一定の圧力以上にすると、血液が流れなくなります。 血液が流れないので、全く音はしません。 少し圧力を下げてゆくと、血液が収縮期だけに流れるようになり、”とん・とん”と心拍に同期して音が聞こえるようになってきます。 この時の圧力が最高血圧となります。 そして、さらに圧力を下げて行くと、収縮期・拡張期両方で血液が止まる事無く流れるようになり、音も消失します。 このときの圧力が最低血圧と一致するわけです。
今の自動血圧計はこの音をマイクを使って電子的に計算しています。 なので、マイクの位置が、肘の動脈の上に無いとなかなか集音出来ず正確な圧が測定出来ません。 
薄い衣服なら良いですが、セーターなどの空気をたくさん含んだ厚手の衣服の上からですと、音がうまく拾えず測定出来なかったり、肘が曲がっていると、血管が筋肉に埋もれてしまってうまく音が拾えない事があります。 厚手のセーター等を着ておられる場合は、やはり片袖を脱いで、測定された方が良いでしょう。 横着して、腕の露出する部分が短かったり、マンシェットがセーターに引っかかったり、シャツがしわしわになって、一カ所だけ厚くなっていたりすると正確な値が出なかったりします。
マンシェットを巻く際に指一本入るぐらいの隙間がある事が大事で、きつすぎても、ゆるすぎてもうまく測定出来ないです。 緩みの程度でマンシェットが腕を圧迫する幅が変わるからです。 血圧計のマンシェットの幅は腕の測定部位の腕の直径の1.2倍の長さである事が必要です。 長過ぎれば、低い圧力で血流が止まり、短すぎれば高い圧力をかけなければ血流が止まらなくなり、前者では低めで、後者では高めで測定されます。 なので緩いと、腕との接触面積が小さくなり高めに測定されます。 逆に、きつすぎると低めに測定されてしまいます。 本当は腕の太さは患者様でそれぞれ違いますので、マンシェットの幅もそれにあわせてかえなくてはならないのですが・・。 それはなかなか煩雑で難しいという事もあって、一般的には11cmほどの幅のマンシェットで測定する事になります。 腕の直径の1.2倍の長さの幅のマンシェットだと、マンシェットで圧迫している圧力で測定した音の出現するタイミングと、血管の中の圧力が同じぐらいになるという、経験をもとに長さが決まっている訳です。 
また最近の血圧計は不整脈があると、周りの雑音を拾っていると勘違いするのか、うまく測定出来ない場合もあります。 そのような場合は、医者に測定してもらうしか無い場合があります。

『上の血圧と下の血圧・どちらが大切?』

血圧
血圧を計ると、数字が二つ見えます。 高い方と低い方です。 正確には最高血圧と最低血圧と言います。 言いにくいので上の血圧、下の血圧と呼ぶ事が多いでしょうか。 動脈硬化を防ぐのにどちらの血圧に注目すれば良いかと言えば、答えは両方とも大事です。 ただ、二つの血圧を覚えているのは大変なので、普通は最高血圧の方を覚えておられる場合が多いでしょうね。 現在の血圧治療の基本は、自宅等での安静時に上の血圧が130、下の血圧が80を切る事です。 糖尿病や心臓病や大血管の病気をお持ちの方はこれより、上が120、下が70を目標にする事が多いです。 少し体を動かしたりしゃべったりした後、リラックスすると、上の血圧は比較的大きく変動する事が多いですが、下の血圧は余変動しない事が多いです。 なので診察室で下の血圧が高い場合、少し注意を払う必要があります。

最高血圧

上の血圧は、心臓が収縮して、心臓の中にあった血液が、大血管に送り込まれる事によって出来る圧力です。 運動や興奮していて心臓の収縮力が増えたり、心拍数が上がれば上がって来ます。 また高齢者などで血管が動脈硬化で硬くなっているような場合、血管が伸びて心臓からの圧力を吸収する事が出来ず、予想以上に上がる場合があります。 

最低血圧

下の血圧は、心臓が一旦大動脈に血液を送り込んだ後、大動脈弁が閉じて、そのかわり肺や左心房から血液を左心室へ取り込んでいる間の大動脈内の圧力です。 (ちなみに、心臓の筋肉を栄養している血液はこの時期に流れますので、心臓の筋肉を栄養している冠動脈と言う動脈への血流はこの下の血圧で決まっています。) この圧力は大動脈の閉鎖が不十分だったりするとすぐに低下してしまいますし、逆に、組織の毛細血管の手前の血管が動脈硬化や、緊張状態で収縮していたりすると、大動脈に血液がたまった状態が続くためなかなか血圧が下がらず、下の血圧は高くなります。 結構良く見られるのは、おなかに脂肪の多い方ですね。 大きく育った脂肪細胞への血管はかなり抵抗が大きいですので、下の血圧は十分下がり切らない傾向にあるようです。 体重を減らす事はとても重要です。 また下の血圧は緊張していて心拍数が早い場合に高くなる傾向があります。 心臓は心拍数が変わっても収縮している時間は0.3秒程度であまり大きな変化がありません。なので心拍数が早くなると、拡張している時間が短くなります。つまり、大動脈が閉じて下の血圧が十分に下がるための時間が少なくなり、下の血圧もそれにつれて上がってしまいます。 緊張して、心拍数の早い状態の血圧は、治療の目標ではないので、医者は心拍数を見ながら、患者さんが緊張していないか探っています。

自宅で血圧を計られる場合、上の血圧と下の血圧の他に心拍数、そして出来れば体重等も測定していて頂けると助かるのです(こちらはまた後日解説します)。

『血圧が高いとなぜ動脈硬化がおこるのですか?』

血液は、栄養素や酸素を臓器に運び、そして臓器から排出される二酸化炭素や老廃物を回収します。 この血液の流れを作っているのが血圧です。 血圧が高くなればその分効率よく血液を循環させる事ができます。
日常生活で最も血液を必要とする臓器はやはり筋肉です。 なので筋肉をほとんど使わない安静時には血液をそれほど必要としません。 ですので、動いている時に血圧は上がり、安静時に血圧は必要最小限の値になります。医者がみているのはこの必要最小限の血圧の値です。

血圧が高いと、動脈硬化が速く起こり、血管が詰まってしまって脳梗塞や心筋梗塞を起こします。 そして薬を飲んででも、きちんと血圧を下げるとある程度予防できる事も解っています。 しかし、実は血圧が高くなる事で動脈硬化がおこる原因はあまり明らかではないのです。 ですが、最近血液の中に血管の表面を修復するための幹細胞が少量流れている事が解り話題となっていましたが、こういった細胞が動脈硬化を予防するのに重要なのではないかと想像されています。
ここからはあくまでも推測ですが、血圧が高いと、血管は風船の様に押し広げられたり、血液の流れが速いと、血管壁が削られ細かな傷が付きます。 ちょうど河川の浸食を思い浮かべて頂くと解りやすいでしょうか?  血液中の幹細胞は、これをいつも修復しているようなのです。 糖尿病や喫煙者等では、こういった幹細胞の数や機能が低い事が知られています。 通常血圧が下がっている時点で、このような細かな傷は修復されやすいのかもしれません。 なので血圧が高い状態が続けば修復が追いつかず、血管は破壊されたものとして、貪食細胞の様な炎症性細胞が血管壁に集まり、不適切に修復してしまうのだと推測されます。 このような修復だと、血管の内側へ盛り上がって修復され、弾力性も失われてしまうものと想像されます。 また一旦弾力性が失われた血管は心臓から送られてくる脈波を十分に受け流す事が出来ず、さらに血管壁をいためてしまうのかもしれません。
いずれにせよ、安静時の血圧をきちんと下げておく事、そして糖尿病の予防と禁煙は、将来の動脈硬化を予防し、脳梗塞や心筋梗塞、腎不全等を起こさないためにとても重要な事なのです。

『肘の所ではかる血圧計と手首や指ではかる血圧計がありますが、どれが正しい血圧計なのですか?』

一般的に医者が治療の方向を決めている血圧は肘につける血圧計のデーターを見ています。 血圧を出しているのは心臓ですから、心臓から離れた方が測定出来る圧は低くなるように思われがちですが、実は逆で血圧は心臓から離れた方が高くなる傾向があります。 これは、心臓から送られてきた脈が毛細血管の少し手前側で反射して、その反射した脈と心臓から送られてくる脈が重なって、圧力がさらに高くなるという現象がおこります。 血管が柔らかいと反射する波が小さいため、重なる波が小さくてすみますが、動脈硬化が進み血管が固くなると、この反射する波が大きくなり、肘から手首、指先へ行くにつれてどんどん血圧が高くなってきます。 なので出来れば肘の上で計る血圧計を使ってもらえるとありがたいです。
ただ、手首や指先ではかる血圧計は小型で持ち運びが良いという利点があります。 手首の血圧計は医者が測定している血圧と少し異なるという不都合はありますが、自宅での血圧の傾向はわかりますので、手首ではかっているという事をおっしゃっていただいて、測定を続けていただくのは問題ないと思います。
また圧迫するために巻いている布の部分(マンシェットと言いますが)が心臓と同じ高さにある事が重要です。 肘の血圧計だと、どのような姿勢になってもほとんど心臓と同じ高さになりますが、手首の血圧計だとなかなかそのあたりが難しいかもしれません。 水銀の比重を13.6とすると、心臓より20cm低い位置で血圧を測定すると、15mmHg程度肘で計る血圧計より血圧が高めに測定されてしまいます。

心電学会に参加して来ました

週末に心電学会に参加して来ました。 今年は、幕張メッセでした。 JRの京葉線に乗って幕張まで行ったのですが、今回は電光掲示板の無い古い電車に乗ったので、到着するまでドキドキでした。 何か総武線へ接続する列車もあるみたいですね。 最近、電車内のアナウンスが小さいので、どこへ行く電車なのか全く解らなくて不安でした。
心電学会というのは、日本で行われる不整脈関連の2つの大きな学会の内の一つで、日本不整脈学会が治療に重点を置いた学会であるのと対照的に、
診断や不整脈のメカニズムについて掘り下げて議論が行われる場所です。 最新の治療法や、病気に対する不整脈を専門としている先生方の総意が聞ける場所でもあるので、やはり勉強になります。 毎年1回、会期2日間の日程で行われるのですが、平日はどうしてもクリニックを閉じるのが難しく、今年は一日だけの参加になりました。 古い友人にもあえてとても懐かしかったです。

『測定するごとに血圧が170とか120とか大きく変わってしまうんですが、どれが本当の血圧なのですか?』

それはどれも正しい血圧です、でも治療の基準にする血圧は安静時のリラックスしたときの血圧を使います。

皆さん運動すると、心拍数が増加してドキドキしますね。 運動したり食事の後などに胃や腸に血液を送ろうとしようとするさいに、たいていの方は心拍数が上がり、それにと同時に血圧もあがります。 血圧があがれば臓器への血液の流れが多くなり、栄養や酸素を効率よく送る事ができると言う訳です。 ですので体が活動しているときには血圧は高くなり、安静にしていいてエネルギーが必要ないときには血圧は自然と低くなります。 治療の目標はこの安静時のリラックスした時の血圧を治療の指標にします。
活動というと、走ったり泳いだりするときの事を考えたりされるかもしれませんが、ゆっくり歩いたり、話をしたり、食事をしたりするのも、ちょっとした活動になります。 患者さんの中には、血圧測定中に「今階段を上ってきたところなので血圧が高いかもしれない」とお話されたりする方がおられるのですが・・。 しゃべるだけで血圧は10~20ぐらいは上がりますので逆効果です。 ゆっくり落ち着いて、状況をお話されなくてよろしいですので、高ければ測定後に教えていただければよろしいかと思います。 三好クリニックでは、上がり症で血圧が上がってしまう様な方の場合、ベットに寝てもらって測定する事もしています。
安静時の血圧とは、3分ぐらい横になって、その後しゃべったり動いたりせずにゆったりと血圧測定ボタンを押してもらったときに測定される血圧と思っていただけると良いと思います。 横になって測定できなければ、テーブルに座って、血圧計をまく腕輪(マンシェットと言います)を心臓と同じ高さにして測定していただくのがよろしいかと思います。 くれぐれも、おしゃべりしながらとか、怖いテレビを見ながら測定してしまうと、安静時の血圧を正確に評価する事ができませんのでご注意ください。

不整脈専門医に合格

8月に試験のあった。 不整脈専門医試験の合格通知が来ました。 これで不整脈専門医となりました。 といっても患者様に取ってみては何も違いは無いのですが・・・。 
試験はそれほどびっくりしなかったのですが、受験料として2万円払っていてこれで終わりだと思っていたら、合格したあと認定料として3万円支払いしろと言われて少々びっくりしました。 認定になぜお金がいるのだろうと・・・(賞状でもくださるんでしょうか?)。 

カゼの診察は難しい

朝晩は少し肌寒くなってきましたね。 そろそろカゼの季節ですね。 カゼの患者さんも少し増えて来たような気がします。 
医者にとって、カゼの診療はごく一般的な診療です。 しかし、医者はカゼの治療を系統立てて教わる事はありません。 医学生の頃、「カゼの話はいつきけるんだろうか」と思っていたら最後まで無かったです。 医者になってから、それまでの自分の体験や、周りの先輩方の診察をまねして対応していくことになります。 
私自身はカゼの患者さんの診察は結構緊張します。 なぜかというと、ほとんどの場合1回きりの診察と治療になるからです。 薬が効いた場合は2回目は来られませんし、悪化した場合「あそこはヤブ医者だ」と、2回目来られない。 ですのでなるべく一回で勝負をつけられるようにと気構えてしまいます。 またカゼ診療は、医者としての診察スキルアップが難しいという事でもあります。 自分のやった治療が良かったのか、悪かったのか、結果が帰ってこない。 そのため、一人の患者さんの治療の経験が次の患者さんになかなか生かされないのです。 なので結局自分のカゼ体験談だけが、治療の指針になってしまうという訳です。
カゼというのは、上気道つまり気管より上の、のどや鼻の炎症で、発熱・咳・はれ・痛み・くしゃみ・鼻水などが出るものをカゼ症候群といいます。 通常体温が38度を超える事は珍しいです。 病原体としては、ウイルス(一種類でなくいろいろなウイルス)が原因ですので、曲がった事の嫌いな先生ですと、「抗生物質はウイルスには効果がありませんので出しません」とおっしゃる先生もおられるでしょうね。 それはまさに正論ですが、細菌の混合感染を起こしているとおもわれるような兆候があれば、私の場合抗生物質をお出しします(この辺りは医者によって見解が異なるところでしょう)。 じゃあ病気の初期の段階から抗生物質を飲めば早くなおるのでは無いかと思われがちですが、それはどうも違うようです。 少なくとも38度を越えるぐらいの熱が出て来てからでないとあまり効果が無い様な気がします。 抗生物質は体が一番病気を直そうとする勢いのある時でないと、耐性菌が出て来てしまって勢いがぶり返してしまい、治り切らないという事態になってしまいます。 ではどうすればカゼが最も速く治るかと言えば、のどを冷やさない事、病気と闘うための体力を温存するため安静にしておくのが重要だと思います。医者が出している薬は、あくまで風邪の不愉快な症状、痛みや・咳・鼻水等を押さえるだけのものでしかないです。 早めに医者に行ってもカゼが治った訳ではないので、無理をされると、カゼは悪化してしまいます。
また、ウイルスの中でもインフルエンザウイルスの感染症の場合は、発熱の症状や全身症状が強く(腰や太ももの筋肉の重い感じや、関節痛)、熱も39度近くあがる場合があります。 これは薬が異なりますのでカゼ症候群とは区別されます。 医者へ行けば簡単に、10分程度で診断できますし、治療薬もしっかりありますので、きちんと受診される事をお勧めします。

これから、寒くなります。 カゼの予防は手洗いが最も有効だと言います。 お大事にどうぞ。

9月も半ばを過ぎ

今年の夏も、ほとんど雨がふらず、暑い日が続きましたですね。 ここ数日は朝の時間は少しおさまりつつありますが、まだ昼間は日光が強いですね。 クリニックの前の青山通りは昼間の時間帯よく日が当たり、石畳からの照り返しも加わってとても暑いです。
今月もこのお暑い中、多くの患者さんに来院していただき、本当にありがとうございます。 
9月も半ばを過ぎ、もうそろそろ私が慶應を退職してから1年になります。 開院してようやく10ヶ月です。 
このクリニックをオープンして、まずはじめに試した事は、患者さんを出来るだけお待たせしない様にするために、お一人の診察予約時間を20分に設定して、一人一枠でお受けする事でした。 私の当初のイメージだと、2−3割の方は予約せずに自由に来院されるかなと思っておりましたが、蓋を開けてみると、ほとんどの皆様が電話でご予約されて、ほぼ時間通りにご来院いただきまして、これは診察する側からするととてもありがたい事だと思っています。  しかし、仕事の都合や、今日は気乗りしないなーと言う事もきっとあるはずで、そういう方に取って予約はどうなんだろうとも、ずーっと思っています。  本当は通院しなくてはならないご病気があるのに、時間きっちりに行けないため、通院を躊躇されてしまうようになるのは、医療サービスとしてどうなのだろうと思うのです。  時々、予約を入れたまま、ご来院されない患者さんもいらっしゃいますが、そういう患者さんが、ふらっと「すみません、忙しくて来院出来ませんでした」と良いながら再来院していただくと、実はとてもほっとします。 そういうお忙しい患者さんにとっても敷居が高く無い様にするにはどうするのか、正直な所まだよくわかりません。

10月になりましたら、インフルエンザの予防接種を開始いたします。ワクチンは十分な量確保してありますので、受診された際にお声掛け下さい。

胸の痛み-5

11、胸部の骨格の痛み
胸の前側は、実は肋骨と、胸の真ん中にある。幅3~4cm程度の長細い胸骨と言う骨が、軟骨(肋軟骨)でつながった関節があります。 関節と言えば、膝とか肘とかを想像しますが、胸骨と肋骨の境目も関節があって、この関節が動く事で、胸が広がって息が出来るのです。 関節は負担がかかりやすい部分です。 なので重いものを胸の前で抱えたり、肩に乗せて運んだりすると、その後胸が痛くなる事があります。 強い咳や、打撲等でもおこります。この痛みは、場所が明確で、押すと痛みが強くなる部分があるので解ります。 呼吸等胸の骨が動く様な動作で痛みが強くなる事もあります。 また皆様インフルエンザ等高熱が出る病気にかかられると、体の節々が痛くなる事あると思います。 その際に、胸の関節も痛む場合があります。 普通の解熱鎮痛剤で少し症状が出にくくなる場合があります。

12、心因性の胸部症状
最後に、これはどうしてそうなるのか解りませんが、例えば、感情がたかぶる際に、胸のあたりが、熱くなったり、キューッとしたり、痛くなったりする事があります。 恐らくこのため昔の人は心が心臓の位置にあると思ったのでしょう。 こういった症状は通常痛みの部位が漠然としていて、何かほかのことに意識を集中しているとき(例えば旅行等に行って、気分が変わったりすると)に症状が無くなったりします。 これは他のいろいろな考えられる病気を除外した後の診断になります。 

最後に
いろいろかきましたが、胸が痛いという症状を見た場合、大体このような病気を疑います。 症状からほぼ9割診断が付くと言いますが、病気の診断ですから本来10割診断が付かなくてはなりません。 そのため、よく患者さんのお話を聞いた上で、診察し、適切な検査を行って診断を行う事になります。 症状があまり典型的でなかったり、病気は重症だけれど症状が軽かったり、全くなかったりする場合もありますので、やはり気になる症状があるようならば、自分だけで判断せず循環器内科の先生に一度御相談いただいた方が良いでしょうね。

胸の痛み-4

8、胃炎・逆流性食道炎
胃は大量の塩酸を作り出しています。 胃は酸に強く出来ていますが、食道は酸に弱いため、胃で出来た酸が食道に逆流すると(逆流性食道炎)、胸が熱くなったり、不愉快な感じがあったり、重い痛みとして感じる事があります。  胃潰瘍等も、腹部の上の方の痛みのため、胸部の痛みと紛らわしい場合があります。 痙攣等も伴うと、差し込む様な感じとして感じられる事もあるかもしれません。 痛みの強さは食事のタイミングとの関連があったり、逆流性食道炎の場合、横になったときに症状が出やすいという事もあり、朝方や、横になった際に症状が悪くなる特徴が見られる場合があります。 胃腸の蠕動運動という食物を押し流そうとする周期的な運動に同期するため、数分の単位で周期的に痛みが強くなったり弱くなったりする傾向がある場合もあります。 診断には胃カメラを行ったりする場合もありますが、胃酸を押さえる薬剤を処方して、症状が改善するかどうかを見る事で、患者さんの症状が逆流性食道炎でないかを判別する事もあります。

9、心筋炎・心膜炎
ウイルスや結核等で心臓の筋肉や心臓の周りを包んでいる膜に炎症が起こる事があります。 心筋炎の胸部の痛みはあまり典型的な症状ではありませんが、心臓の周りを囲んでいる膜に炎症が波及すると痛みが出る事があります。 この痛みは個人差が多く、漠然とした胸全体の重い感じであったり、刺されるような鋭い痛みであったりします。 体の向きによって痛みが強くなったり弱くなったりすることが特徴的です。 例えば前屈みになると痛みが強くなったり、呼吸で胸を大きく広げると痛みが出たり等です。 通常風邪の様な症状も伴う事が多いです。 聴診で診断が付く場合もありますが、きちんとした診断をするためには、心電図やエコー検査、レントゲンや採血を行う必要があります。 

10、肋間神経痛
胸の表面の感覚を感じている神経は、肋間神経と言います。 丁度手を胸に当ててみて肋骨が触れると思いますが、その肋骨の間を神経が走っていて、胸の部分の感覚を脳に伝えるのです。 その神経が傷ついたりすると、その部分の胸の感覚神経が勝手に痛みを脳に伝えます。 これを肋間神経痛と言います。 神経痛の痛みの代表的なものは、肘を机の角でぶつけたりした時のあの手先まで広がるしびれを伴った痛み、あるいは、正座したりした際に、足先に感じるぴりぴりした痛みでしょうか。 しかしそれ以外にも、灼熱感を感じたり、チリチリする様な痛みを感じたり、障害程度の弱い神経痛は、比較的多様な痛みを生じます。 ただし、その痛みは、たいていは表面的な痛みで、痛みの場所が明確に決まっているため、患者さんは「ここが痛い」と指を指す事が出来ます。 これが心臓等の内蔵痛との大きな違いです。 しばしば、帯状疱疹ヘルペスの前駆症状や後遺症であったりする事もあります。 

続く

胸の痛み-3

胸の痛みを起こす病気をさらに挙げてみます

4、解離性大動脈瘤:
体の中で最も大きな、心臓から出て胸部・腹部まで通る大動脈に亀裂が入り、大きくふくれあがったり、中の血液が外に漏れたりする病気です。 亀裂が入って急激に大動脈が大きくなる際に、今まで経験した事のないような強い痛み、非常に強い痛みを感じる事が多いです(30cmの竹定規を肩口から突っ込まれて内蔵をガリガリやられている様な感じと表現される方もおられます)。 また時々その痛みの位置が、時間とともに移動してゆくという事があるのも特徴です。 ただ症状は個人差があって軽い腰痛ぐらいの程度の方もおられます。 レントゲンで運良く見える場合もありますが、きちんとした診断を行うためには、造影のCT検査を行う必要があります。 元々血圧の高い方は要注意です。 放置していると致命的になる事もあります。

5、肺梗塞
静脈にできた血栓が、静脈血に乗って心臓に戻り、その後肺の動脈に詰まる事があります。 最も一般的なのは、足の静脈にできた血栓が飛ぶ事が多いです。 体重の重い方や、女性(元々性ホルモンが血栓を作りやすい傾向にあります)、後は長期間寝ておられて足を動かさなかったりする方、長期間の脱水の方に見られる事が多いですが、それ以外にも、血液の血栓を作るためのタンパク質の異常や自己免疫疾患などの一部で血栓ができやすくなる事があります。 エコノミークラス症候群としても有名です。 典型的な症状としては、胸の重苦しい感じとその後の持続的な息苦しいと言う症状です(動くと息苦しくなる)。 レントゲン写真や心電図、採血などではなかなか診断がつかない場合も多く、造影CT検査、肺シンチグラム、心臓超音波検査などで診断が付く場合があります。 

6、不整脈 心房細動
心房細動とは、心房という心臓の中の補助ポンプに当たる小さな部屋が、一分間に600回ほど電気的に興奮してしまう病気です。 心臓の老化現象の一つだと言われています。 元々心臓全体の3割ほどのポンプ機能を担うとされている心房筋の異常ですので、あまり症状が出ない方が多いです。 症状がある方ですと、ドキドキするとか、フワーっとするとか、そういった症状である事が多いですが、時々、胸が痛い、しくしくするとか、重苦しいとか、動くと胸が重いといった症状を訴える方もいらっしゃいます。 

7、不整脈 期外収縮
心室・あるいは心房が、本来のリズムのタイミングより早く電気的に収縮してしまうため、収縮がいびつになり、その際に胸の痛みとして感じられる方がいらっしゃいます。 症状の強い方は珍しいですが、症状が強いと、気持ちが悪くなり仕事が手に付かなくなってしまったりされます。 痛みというよりは、「ドキン」とするとか、心臓が裏返るようなん感じ、という風に症状を訴える方がいらっしゃいます。 症状があるときに心電図を取らなくては診断が付かず、24時間心電図検査を行ったり、時には携帯型の心電計を使って診断をさせていただく事もあります。 心房か心室かで、薬の選択や効き方に違いがあったり、原因となる病態も異なってきます。

続く

胸の痛み-2

胸の痛みを起こす病気

少し病名を上げて、典型的な症状を挙げてみます。

1、狭心症:
心臓の筋肉を栄養している冠動脈と言う動脈の動脈硬化でおこる胸部の痛みです。 たいてい、階段を上ったり歩いたりして、体を動かしている時におこり、止めると治る事が多いです。 胸をつままれるような、重いものをのせられるような感じ、 首や左の奥歯あたりに痛みを感じる場合もあります。 また左手に痛みが放散する事もある様です。 今まで無かった症状が出始めたり、今まで大丈夫だった運動量でも症状が出始めたりする時期は、不安定狭心症といって心筋梗塞に移行する事が有るので注意が必要です。 そのような場合は緊急に入院が必要になります。

2、心筋梗塞:
冠動脈が何らかの原因で詰まってしまって、心臓の筋肉が壊れる時に痛みが出ます。 これは体を動かしている時とは関係なく、胸が重いとか、万力で締められるようなとか、焼けるような感じであったり、冷や汗を一緒に伴ったりする場合もあります。痛みが10分とか15分以上継続します。 あらかじめニトログリセリンを処方されていて、ニトロが効果が無いような場合、やはり救急車等をお呼びになられた方がよろしいでしょう。 痛みがある場合もありますが、糖尿病や高齢の患者さんですと痛みが無い無痛性心筋梗塞の場合もあります。 そのような場合定期的な心電図検査をお勧めします。 心筋梗塞が発症した場合、発症から6時間以内であれば、閉塞した血管を広げる緊急手術を行うと、その後の心機能の快復が良い事が知られています。 なので、非常に強い胸の痛みが持続するようならば、夜中でも朝まで待たずに救急車を呼んで、救急病院を受診される事をお勧めします。 逆に、12時間以上経過すると痛みを感じる神経も壊れてしまうため、同じ痛みが12時間以上続く事は珍しいです。

3、気胸:
肺に穴が開いて、空気が肋骨と横隔膜で囲まれた胸腔という空間と肺の間に空気が入ってしまい。 肺が十分広がらない事が有ります。 痛みの程度は人それぞれですが、息を吸う時に痛みがある方が多い様に思います。 あまり漏れた空気が多くなり肺が広がらなくなると、息が苦しくなったりします。 また歩くと、胸腔の中で肺が揺れる感じを感じられる方もおられます。 こちらも入院して治療が必要となります。 レントゲン検査で解りますが、漏れた空気の量が少量だと、初めのレントゲンでうまく見えず、少し間を置いてみるとよく見える事があります。

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胸の痛み

胸に痛みがあるとき、やはり皆さん不安に思われるのではないでしょうか? 胸部には、肺や心臓といったとても重要な臓器が集中しています。 そこに痛みがあれば、命に関わるものではないかと、とても心配になりますね。
循環器内科の医者に、症状の性質を話すと、大体お話を聞いた時点で、ほぼ9割ほどは診断が付くと言われています。 心電図検査や胸部レントゲン写真、採血などを行って、診断をつけるのですが、それらの検査で、その診断を確認する事になります。

痛みの性質
胸が痛いというとき、あるいは違和感を感じるとき、いろいろな表現があります。 「押される様な感じ」「針で刺される様な・ちくちくする感じ」 「ジンジン痛い」 「締め付けられる様な痛さ」「痛くて息が吸えない」「痛くなったあとから急に息苦しくなった」 「膜が張ったみたい」「ビキッとなる」「心臓がひっくり返る様な感じ」「歩くと胸が苦しい」 「カーッと熱くなる」
まあもっとあるのでしょうが、代表的な表現はこのようなものでしょうか?

痛みの持続時間や放散、きっかけ
体を動かしたり、重いものを持っているときに症状が強くなったり。 食事との関連や、体の位置(横になっているときとか、前かがみになっているときとか)で強くなったり弱くなったりするという事もあります。 また痛みがあるのは、ほんの一瞬であるのか、あるいは数分感続くのか、あるいは1時間以上続いたり、一日中感じたり。 どのぐらいの時間続く痛みなのかでも、大体病気の推測ができます。 また内蔵から来る痛みは、放散といって、一カ所にとどまらず、手の方へ痛みが広がったり、首や奥歯の方へ痛みが広がったりする事があります。 そのような放散も診断のヒントになる事が多いです。

こういった症状の特徴で、ある程度、その胸の症状が何からおこっているのか推測する事ができます。 どのような症状が何にあたるかは、ご自身で判断されるのは危険です、やはり循環器の医者にきちんと相談をした方が良いでしょう。 胸の痛みが出る病気の中には、心臓や大動脈など、放置しておくと命に関わる様な事もありますので。

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糖尿病とインスリン治療-4

今まであった経口血糖降下薬は、食事と無関係にインスリンを分泌する物であったのに対して、新しい薬は、どちらかというと、食事の後のインスリン分泌だけを増強したり、糖の吸収を阻害したり、ご自身の膵臓が分泌したインスリンの効果を強めるといった作用になります。 そのため、以前の経口血糖降下薬に比べて低血糖の副作用が少なくなっています。

利用する薬剤には以下の3つがあります。
1、DPP-4阻害薬: 詳しい説明は省きますが、元々食事をした際にインスリンを分泌するためのインクレチンという物質が腸から分泌されます。 DPP-4阻害薬はこの効果を増強する事で、食後のインスリンの分泌を増強します。 食事によって分泌されるインスリン量を調整する事で、低血糖の症状を起こしにくい性質があります。

2、ブドウ糖吸収阻害薬: これは腸から糖分を吸収するのを押さえる働きがあります。 アルファ・グルコシダーゼ阻害薬と言います。  カロリー摂取が日によってまちまちだったり、血糖値が大きく変動してしまって、低血糖が多く見られる患者さんに取っては、低血糖時に口から取った澱粉等でなかなか血糖値が上がらないというデメリットや、ガスの発生が多くなり、お腹がはったり、放屁が増えていやがられる事がある。

3、インスリン抵抗性改善薬: このクラスの薬剤の中には、乳酸アシドーシスを起こす危険性のあるものや、浮腫を起こしたり、頻度は少ないが、膀胱癌との因果関係があるのではと噂されるものもある。 しかし、チアゾリン系と呼ばれる薬剤は、糖尿病の心血管への合併症を抑制する効果がある事が、欧州での研究で証明されている。

繰り返しになりますが、糖尿病の治療は食事療法が最も重要です。 食事療法がきちんとできていない方ですと、このような薬はあまり効果が期待で来ません。 大変ですが、ご協力お願いいたします。




糖尿病とインスリン治療-3

最近、インスリンの指導を自分でやってみる事で、インスリンの使用量が、内服薬の追加で、減らす事が出来る患者さんがいるのに気づきました。 10年近くインスリンを使っておられる方が一名はおそらくこの秋に中止できる勢いですし、もう一名は今年中になんとかゼロに出来そうです。 ただししっかりと食事制限が出来ている事は必須です。 またご自身のインスリンがある程度膵臓から分泌されている必要があり、血液中のCPRという分子で判断出来ます。 誤解してはいけないのは、誰もがインスリン量を減らせたり、なくす事が出来るわけでは無いという事です。  インスリンを使っていてある程度血糖のコントロールが良好な患者さんで、CPRがある程度の濃度血液に分泌されておられる患者さんですと、後に示す様な薬剤を投与開始しながら、注意深く血糖値を見ながらインスリン量を減らす必要があります。 この減量のさじ加減が結構難しく、切り替え時に一度、何度か患者様のお宅にお電話して、血糖値を教えてもらい、適切な用量に微調整する必要があります。 今までいた様な大学病院ですと、こういった微調整は入院して行う事になったでしょうが、開業すると、毎日診療していますので、患者さんへ直ぐに連絡をとって微調整をする事が出来ます。 これを繰り返し、内服薬の反応とインスリンの量を大体あたりをつけてゆきます。  またこの減量はあまり急激には行わず、2−3ヶ月づつ、用量を調整してゆくという様な地道な作業になります。 あまりせっかちな患者様には向きませんね・・・。

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糖尿病とインスリン治療-2

私は糖尿病の専門家ではありませんので、新規にインスリン注射を導入する事は致しません。 インスリン注射を初めて使用されるには、専門の医師から入院中に十分な説明を受けながら治療開始する必要があります。 その場合すぐに糖尿病の専門外来にご紹介致します。 
私の治療の基本は内服薬になります。 循環器内科の病気のコントロール、心筋梗塞の再発予防や心不全の悪化予防に、糖尿病の制圧はとても重要です。 ですので、慶應病院の中でも糖尿病の患者さんの治療は随分行いました。 不整脈や心臓病の薬もここ20年で随分変わりましたが、糖尿病の治療薬もこの5年程でがらっと変わったと実感します。 それまでは強制的に膵臓からインスリンを分泌させる、インスリン分泌刺激薬が主流だった薬剤が、それ以外の作用で血糖値をコントロールできる薬剤が増えて来た事にあります。 インスリン分泌刺激薬は低血糖や、細胞膜やミトコンドリアに対する悪影響等の危険性があると言われていました。 ですので、こういった副作用の無い、言うなれば経口血糖降下補助薬とでも言うような薬は、糖尿病の境界線にいらっしゃる患者様にはとても重要でした。 
現在大まかに分けて3系統の薬が利用できます。この薬の出現で、糖尿病の専門の先生に依頼する患者さんの数はだいぶ減った様に思っていました。 私もインスリンが全く解らないという訳では無かったのですが、循環器外来の忙しい合間にインスリンや血糖値の指導を行うのは無理があったというのが本音でしょうか。 ですので、開業して、患者さんへとれる時間が十分ある今のクリニックでは、今まで拝見していた何名かのなじみの患者さんさんからインスリンの処方をお願いされ治療を行っています。

続く

糖尿病とインスリン治療

糖尿病という病気は皆さんご存知でしょうか?  患者さんにとってこれほど解りにくい病気も無いでしょうね。 
ほとんどの方が食事に不自由しなくてもよい現在の日本での生活では、多くの方が生きてゆくのに必要な量以上のカロリーを摂取しがちです。  糖尿病のほとんどの方はこのカロリーの過多によって起こってきます。  細かな病気のメカニズムの説明を省略して、誤解を恐れず簡単に言うと、「糖尿病の治療の原則は摂取されるカロリーの制限が一番」となります。 つまり食事制限です。 しかしこれは患者様の意志が無ければなかなか実現しません。 
そして、どうしても食事療法のみではコントロールが付かなくなって来た場合、薬を使用するしかありません。 私が研修医の頃は、糖尿病の薬と言えば、インスリンの注射とスルフォニルウレア型経口血糖降下薬の二種類しかありませんでした。 しかし、インスリン注射はご存知の様に患者さんに、毎食前の血糖採血と食事の量に合わせたインスリンの注射というとても過酷な作業を強いる事になります。 またスルフォニルウレア型の経口血糖降下薬は、血糖値は下がりますが、循環器系への副作用や低血糖等の副作用が強く、糖尿病の根本的な治療法ではありませんでした。 

続く

動悸がするんですけど・・・。

動悸ってどういう症状でしょうか? 動悸とは普通は意識しない心拍を感じるという意味があります。 ドキドキする。 ばくばくする。 どっくんどっくんする。 ドッキッとする。いろいろな表現がありますね。 
動悸という症状は、心臓に異常な電気回路がある不整脈と、そうでは無い普通の心拍数の変化をそのように感じるだけというでも起こります。 動悸がすなわち不整脈というわけではないのです。

動悸を大まかに2種類に分けると、心拍が早く打つ動悸と、遅くゆっくり大きく打つ動悸に分かれます。
またさらにリズムが整っているかどうかで、3種類に別れます。 整っている動悸と、整っている脈の中に時々変なリズムが入るような(スキップ)動悸、そして脈拍のリズムが全くバラバラになってしまっている動悸があります。

心拍数が遅い動悸


一般的に遅くゆっくり大きく打つ動悸は、特に病的なものでない事が多いです。 急に横になった直後や、息ごらえをした直後に、など状況は様々ですが、心臓に急激に静脈血液が戻って来た際に起こります。 一回一回の脈が大きく、間隔が長く打つ、その症状を動悸として感じる場合があります。 例えば立っている状態から急に横になると、今まで低い位置にあった足が心臓と同じ高さになります。 そうすると足にたまっていた静脈の血液が、心臓に急激にかえってきます。 急に心臓にかえってきた静脈血液を先に吐き出すため、心臓は大きく拡大して、一回一回の収縮を力強く打つようになります。 
また横になって安静にしていると、背中が固定されているので心臓の拍動を大きく感じやすいこともあります。 実はこれは心臓の普通な反応です。 特に心配する事はありません。 血液が全身に行き渡る10秒から30秒ぐらいの間、我慢すれば自然に良くなる訳です。
むしろ心拍が遅くなる病気の場合、動悸として感じるよりも、「疲れやすい」、「息がすぐ上がってしまう」、「足が浮腫む」といった症状が出る事が多いです。

心拍数が早い動悸


心拍が早くなる動悸の中では、その出方や終わり方で、不整脈の種類が大体予想が付きます。 少しづつ脈拍が早くなって、寝たり、しばらくして忘れていると落ち着いているというような経過をたどる動悸は、不整脈でない場合が多いです。
心拍がずーっと早い状態が続いているような場合は(寝ているときも含めて)、不整脈というよりは、その他の病気、例えば、貧血や甲状腺という首にある臓器から分泌されるホルモンの異常や、感染症や発熱、または心臓のポンプ機能の低下などによって心拍数があがった状態を疑います。 これらは、採血やレントゲン、心臓の超音波検査を行ったりする事で診断をつける事ができます。
突然心拍数が早くなり、比較的リズムが整っていてドキドキドキドキと連続して、突然止まる。 こういう動悸は、心臓に何か電気的な回路の異常があっておこる場合が多いです。 心房粗動・房室回帰性頻拍・WPW症候群・房室結節回帰性頻拍・心室頻拍(すいません詳しくはまた別の機会に説明します) 病名で言えばこのような不整脈でしょうか? 不整脈のあるときに心電図を取ってみなくては診断が付かない場合も多いですが、症状が疑わしくて、患者さんの症状も強く根治を希望されている場合は、診断が外来で付かなくても入院していただいて、血管を介して心臓の中に電極カテーテルを挿入して、不整脈を誘発して診断と治療(カテーテルアブレーション)を行う事になります。 外来で行う検査としては、ホルター24時間心電図・心電図検査・携帯型心電計といった検査や、誘発のためトレッドミル運動負荷心電図検査と行った検査を行う場合もあります。 また心拍が早くなる不整脈では、命に関わる不整脈も混じっています。 通常心臓のポンプ機能が低下している場合、早い不整脈が生じると血圧が低下して危険に陥る事が知られており、胸部レントゲン写真・採血・心臓超音波検査等を行って、心臓の動きに異常がないことを確認する事もあります。

整っている心拍で時々変なリズムが入る。 スキップするような動悸


この様な動悸は、期外収縮という不整脈がある事が多いです。 その不整脈は心室でおこる事もありますし、心房でおこる事もあります。心室でおこれば心室性期外収縮、心房でおこれば心房性期外収縮という名前になります。 これもやはり動悸のおこっているときに心電図を取ってみる事で診断が付きます。 このような形の不整脈は心臓のポンプ機能に異常があったり、安静時の心電図に異常があったりしなければ、一般的には命に関わる不整脈では無い事が多いです。 しかし、この不整脈が病気の発見のきっかけになったりする事もありますので、やはり循環器の不整脈を専門としている医者に受診される事をお勧めします。

心拍のリズムが全くバラバラになってしまう動悸


これの原因はほとんどが心房細動です。 心房細動は別のページでも記載していますが、それ自体が命に関わる不整脈ではありません。 治療の原則は、心房細動によるつらい症状があるかどうか? そして、脳梗塞等の血栓塞栓を起こしやすい様なリスクを抱えた患者さんであるかどうかという事になります。 また心房細動が、心臓弁膜症の初発症状であったりする場合もあります。 あるいは甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症といった頚部の喉の部分にある腺組織から分泌されるホルモンの異常で、起こったりする事があります。 これらのチェックのため定期的に採血を行ったり、心電図を行ったり、心臓の超音波検査を行ったりします。

クリナビに紹介されました

クリナビという、インターネットでの病院検索サイトから、取材に来て頂き、紹介文を書いて頂きました。
取材どうもご苦労様でした。 
こちらからどうぞ

三好クリニックの電子カルテ

ようやくお盆休みを終えましたが、まだまだ暑い日が続いていますね。皆様いかがお過ごしでしょうか?

今日は病気とはあまり関係の無い話です。

自分で言うのもなんなのですが、私の字はとても汚く他人には判別不能です。 慶應で診察している時は紙カルテでしたので、自分の書いた字が汚くて読みにくかったり、ほとんど絵みたいなカルテになっていまいした。 それはそれで自分にとって効率は良かったのですが、やはり字が汚いと、他の人に指示だししたりするのもうまく伝わらなかったり、患者さんにとっても、横からカルテを見ても何書いてあるのかよくわからない状況になっていました。 古い先生の中では、患者の心情を考えて内容をわざと見せない様にするという事もあったようですが、最近の患者さんは、インターネット等でいろいろな情報を持っておられて、逆に隠し事をすると不安を与えるような気がして、あまり良くないような気がします。 

三好クリニックに来られる患者さんの中には、カルテがマッキントッシュのiMacで動いている事に少々びっくりされる方も多い様です。 たぶん、各社メーカーの出している一般的な電子カルテの多くがWindows対応版で、iMacを使って電子カルテを稼働させている病院は少ないのでしょう。iMacはとても画面が大きいので、患者さん側からも画面が見えやすく、その点でも満足しています。

私がクリニックにマックを使っている理由は、単に使い慣れているという事もあるのですが、予約システムとカルテ、そして会計用のソフトをきちんと連動しておきたかったという事。 そして、問題があったり、患者側のニーズがあった場合、すぐに自分でカルテプログラムを修正して対応したいと思ったためでした。 

私は慶應に在籍している時から、循環器内科のインターネット管理者やWeb管理をやっていました。また研究データの解析を自分でコンピュータープログラムを作って行っていた事や、不整脈のコンピューターシミュレーションの仕事などもやっていたので、自然にプログラム言語を覚えてしまっていました。 ですのであまり、自分でカルテプログラムを作るという事に、抵抗は無かったです。マッキントッシュのコンピューターは、操作のほとんどを自動化できるApple Scriptというプログラムを持っています。 また、標準的なUnixというコンピューター言語も動作するため、かなり自由にカルテをデザインできます。

マッキントッシュのiMacを使ってカルテプログラムを作製して、一番良かったなと思うのは、画面が大きくて、患者さんへ心電図やCT検査等の説明がしやすい事。 そして自分のカルテの記載をいつも患者さんが見ているという緊張感が、診療のモチベーションを少し上げてくれるような気がする事でしょうか。

心室性期外収縮-続き

ある程度、不整脈の心電図の上での形によって危険度は推測できます。 それにあわせて薬の選択肢も少し違ってきます。 薬は効果が強いものほど副作用も強く出る可能性があるので、はじめのうちは効果が弱いけれど安全な薬を選択します。 しかしそれではコントロールできない場合、さらに強い薬を選択します。 

10年以上前のカテーテルアブレーションは命にかかわる不整脈のみに限定されていましたから、不整脈を専門にしていない先生や、昔に循環器内科の研修をされた先生が、心室性期外収縮の患者さんを診られると、「この不整脈は命にかかわるものではないので放置してよい」と考える傾向にあります。 患者さんの症状が強ければ、症状を感じさせなくするために精神安定剤を処方される場合が多い様です。 しかし安定剤だけでは、感覚が鈍感になるだけで、症状が強い方にはあまり効果はないです。 そのため、かかりつけのお医者様との意見が噛み合ず、途方に暮れて私の外来にやってこられる場合があります。 専門外の先生ですと、心室性期外収縮は寿命にはほとんど影響しませんので、抗不整脈薬による副作用の面を心配されて、あまり積極的に薬剤を使われない様です。 しかし、薬や不整脈の機序にたいして専門的な知識をもち、薬を適切に使用すれば、比較的安全に使用できるのも事実です。 なので症状が強い方はあきらめずに、不整脈の専門医を受診される事を勧めします。 

薬に対する恐怖感が強かったり、副作用の為に内服ができなかったり、長期間にわたって内服をする事の不自由さを理由に、内服ができない患者さんもおられます。 そのような場合、カテーテルアブレーションが選択されます。 カテーテルアブレーションとは血管内でのカテーテル治療で、不整脈の源になっている一部の心臓の細胞を熱で消滅させ、不整脈を根治する方法もです。 カテーテルアブレーションを行っていない施設では、まさかこの命に関わらない不整脈に対して、アブレーションを選択するとは思っておられない先生方が多い様で、苦しい症状を訴える患者さんをなだめすかして、外来で様子を見ている場合が多い様ですが、カテーテルアブレーションを積極的に行っている施設では、症状が強い場合迷わずカテーテルアブレーションによる根治術を選択します。 

心室性期外収縮は、まあ言えば心臓のしゃっくりの様な物とたとえられます。 しゃっくりがあっても、息は出来て死ぬ事はありませんが、しゃっくりも多すぎれば、日常生活は大変なわけで、それは十分積極的な治療を行う理由になります。 心室性期外収縮て強い症状をお持ちの方は、是非きちんとした治療を専門の先生に見てもらった方がよろしいかと思います。  念を押しますが、心室性期外収縮は症状が無ければ特に放置していてよい不整脈です。 ただし、心室性期外収縮が、心臓の他の病気の前兆であったり、あまりにも回数が多い(全心拍の1/4以上あるような場合)患者さんは、定期的な経過観察が必要です。 ですので一度は専門の不整脈専門医を受診されていた方がよろしいかと思います。

不整脈専門医試験受けてきました

今週日曜日に、試験に行ってきました。 晴天で、すごく暑かったです。
今回の第一回不整脈専門医認定試験は、一橋大学の講堂を借りて行われました。 初回だった事もあって、不整脈をやっておられる先生がほぼ全員集まった感じでした。 今まで資格自体が無かったので、既に御高名な先生や、学会の重鎮の先生方も数多く受験されているのを見てびっくりしました。 ある程度のキャリアーがある先生は免除されても良いのでは無いかなーと思ったのですが、それだけ実力重視のフェアーな試験だと言う事なのでしょうね。
 問題は100問で、マークシート形式でした。 いやー大学受験や医師国家試験を思い出しました。 
問題は、比較的簡単だったように思います(こんな事を言っていて不合格だと恥ずかしいですが・・)。 試験よりも願書に当たる、不整脈医としてどのぐらいの経験があるのかを証明するための書類を準備するのが大変でした。 関東だけで300人弱の受験者でしたので、他の専門医に比べて圧倒的に少ない気がしました。この経験値を満たしている先生がたがあまり多くないのかもしれません。

昔の同僚に何人もあって、少しなつかしかったです。

心室性期外収縮

心室性期外収縮という病気をご存知ですか? 心臓のメインポンプ心室が、本来の心拍のタイミングでない時期に(つまり期外)収縮してしまう事を言います。 人の心臓は、右心房の右上に存在するリズムを作るペースメーカーと言う部位でリズムが作られていています。 興奮したり、体温があがったり、あるいは貧血や何らかの内分泌異常などで心拍はあがったり、下がったりします。  そういったリズムの変化は、ほぼ一定の間隔で収縮しています。 それとは反して期外収縮とはこの一定の間隔でないタイミングで心臓の収縮がおこってしまう病気です。 
心臓が血液を全身に送り出すためには、心臓が収縮する時に十分な血液が心臓の中に入っている必要があります。 心臓の収縮のタイミングがずれて、少し本来のタイミングより早く収縮してしまうと、期外収縮の際の収縮は十分な血液が送り出せず、脈が抜けたように感じ、その一方で、次の心拍では、前の収縮で駆出出来ていたはずの血液が心臓内に残っているために収縮が強くなり、脈を強く感じたりする事があります。 
心室性期外収縮は、比較的良くある不整脈で、24時間心電図をする検査を行うと、ほとんどの患者さんに一日数発から数十発の期外収縮が出ています。 しかしそれを自分で自覚される方は少ないです。 同じ不整脈があっても症状が出る人と出ない人があるのは不思議ですが、その理由は正直よくわかっていません。 ただ、心臓の筋肉内に存在する知覚神経はとても鈍感なため、単発の異常収縮を感じる事は考えにくく、心臓の周囲を取り囲んでいる膜や、胸壁の知覚神経を介して症状を感じているのでは無いかと思われます。
心室性期外収縮のほとんどは無害な不整脈で基本的に放置していてよいものです。 期外収縮がおこる理由は、ペースメーカー以外の心臓のどこかの筋肉が勝手に興奮を初めて収縮しまう事でおこります。 そのため心臓の筋肉が興奮しやすい状況にあるときにおこりやすいです。 具体的な状況としては、血液の中のカリウムの濃度が低くなりすぎている状況や、興奮してアドレナリンが活発に分泌されている状況、また興奮の一番始めに働くイオンチャネルのナトリウムチャネルの興奮性が高まると生じやすく、そのため、治療にはナトリウムチャネル阻害薬や、アドレナリンの阻害薬(β遮断薬)が使われる事が多いです。 期外収縮自体が寿命に関係なく、無害な不整脈なので、不愉快な症状さえ無ければ、特に治療は必要ありません。 むしろ、強力に不整脈を抑制出来るナトリウムチャネルを投与する事で、期外収縮がコントロール出来たとしても、別の不整脈を起こしてしまったり、ポンプ機能の悪い方ですと、逆に寿命を短くしてしまったりする事が知られていて、症状が無ければ治療を行う事で害をなす事があるのです。
しかし、期外収縮があるだけで、不愉快でもうどうしようもなくすべての事が手に付かないぐらい症状の強い方がいます。そのような場合、その方の心臓の状態を見て、薬を処方する事があります。

続く

不整脈学会に出席してきました

天気が悪いですね。 とてもじめじめして、蒸し暑く。 こういう時期はやはり不整脈の調子が悪い方が多いような気がします。 

今日は、朝から横浜のみなとみらいで、不整脈学会に出席してきました。 もう大学を離れて学問の道から少し間を置いている私ですが、今回はご指名でもありましたので、セッションの座長を勤めさせて頂きました。 もう退官されたような年配の先生でしたらいざ知らず、私のような若輩者で、個人のクリニックの院長が座長をするのはなんだか気が引けましたが、久しぶりに心臓電気生理の研究の話を聞けて、とても勉強になりましたし、2−3研究の助けになりそうなアドバイスが出来たので、何かお役に立てたのかなーと自画自賛しながら、表参道に戻って来て、午後から診療を開始しました。

私が座長をしたセッションは新しい不整脈治療の技術であったり、病気の研究でしたが、その前のセッションでは、新しい抗凝固薬をどうやったら安全に使えるのかと言った話や、珍しい、抗不整脈薬の副作用の話が聞けて、実際の診療にも大変役立ちそうでした。

東急東横線で移動した訳ですが、慶應大学は教養部が日吉でしたので、なじみがある路線です。 しかし、私が通っていたのは20年以上まえですので、今とはだいぶ様変わりしています。 でも渋谷からみなとみらいまで 特急で30分ほどで到着するので、本当に楽になりました。

自律神経と不整脈-5

自律神経に作用する薬剤


随分難しい話しになってしまいました。 しかし、自律神経という神経には、多くの謎があり解っていない事も多いのも事実なのです。 しかし、この自律神経の活動を調整する事で、不整脈をある程度落ち着かせたりする事は可能になります。 自律神経に作用する薬はいくつかの種類に分類出来ます。

安定剤


自律神経に大きな影響を及ぼす、意識出来る脳活動、つまり大脳の活動を押さえる事で、自律神経の反応を調整する事が出来ます。一般的に(精神)安定剤と言われる薬剤です。 代表的なものとして、GABA(ギャバ)というアミノ酸を伝達物質とするイオンチャネルを活性化させるもが一般的に使われます。 GABAは、安静感やリラックスをする目的で、GABAを多く含んだチョコレート等が売られていた事がありました。 神経細胞はGABAが近くにある、あるいはGABAの作用を強める様な薬剤を投与すると、全体的に神経活動が落ち着く傾向にあります。 この薬剤は、量が多いと精神活動が全般に押さえられ眠くなります。 また、手足の筋肉に力が入りにくくなり、ふらふらしたりよろけたりします。 このタイプの薬は不眠症の薬としても投与される事が多いです。 一方で、量が少ないと、ストレスや不安等で異常に頭がぐるぐる回っている様なときに、その不安の部分を和らげる作用(嫌な事を忘れる)があると言われていて、肩こりが緩和されたり、動悸や、胃の不快感等が緩和されたりする事があります。 しかし、薬に依存してしまうようなタイプの患者さんに取っては少々使用方法が難しい薬です。 例えば、患者さんの中には、元々の症状がストレスから来ている患者さんが、「不整脈の症状を押させるために、安定剤を飲む。 飲んだ分楽になった気がして、さらに体にストレスをかけてしまう」と言った思考をされる方に取っては結構危険な薬でもあります。 そういう患者さんは勝手にどんどん量を増やし、飲んだ分どんどん病気の原因となっているストレスを増やしてゆくというような事をされる事が有ります。 これは結構危険なのでやめてください。 薬はあくまでも、体を直すためのきっかけで、やはり病気の原因を取り除く事が重要なのです。ですので、患者さんとはいろいろ相談しながら減量や増量を行い、最も患者さんに適切な量を決めます。 

β(べーた)遮断薬


交感神経の興奮が心臓に伝わらない様にブロックする薬です。 交感神経の神経伝達物質であるアドレナリンをブロックする薬です。 この薬は不整脈以外にも、血圧の薬や、狭心症の患者さんは慢性心不全の患者さんに使用する薬でもあります。 ただ、あまり多いと、ふらついたり、悪夢を見たり、気分が落ち込んだりする事が有るので注意が必要です。 交感神経が原因となっている不整脈の治療には非常に重要な役割を果たします。

フォスフォジエステラーゼ(PDE)阻害薬


あまり、聞いた事がないかもしれませんが、カフェイン・バイアグラと言った分類の薬です。 これらは交感神経の作用を心臓の筋肉側で増強する薬剤です。 交感神経を興奮させたのと同じような作用が有ります。 徐脈性の不整脈の患者に用いる事が有ります(カフェインやバイアグラでは無く他の名前の薬を使います)。

副交感神経遮断薬


副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンの効果を弱める薬剤が有ります。 有名な薬剤としては、元々心臓のイオンチャネルに働く抗不整脈薬の一部にこのアセチルコリンの効果を弱める副作用がある薬剤が有り、副交感神経を抑制する事を意識しながら、それら薬剤を使用する事が有ります。 リスモダン・シベノール等といった薬剤になります。 これらの薬は同時に副交感神経の興奮が高まると困る病気を持った患者さんには使いにくいです。 例えば緑内障(閉鎖隅角)、中等症以上の前立腺肥大、唾液の分泌の悪い方等にはあまり適していません。

不整脈の治療はこういった薬剤を、患者さんの症状に合わせて調合してゆく訳ですが、そのさじ加減や副作用の判断が我々不整脈を専門とする医者の腕の見せ所という事になりますが・・・。 実際には自律神経に関わる不整脈をコントロールするのは結構大変です。 自律神経は季節や体調によって大きく変動するので、薬の調整に結構難渋するのです。 申し訳ないですが、気長におつきあい頂ければと思います。

自律神経と不整脈-4

副交感神経と不整脈


自律神経の中で、休んだり食事をしたり、眠りにつくときに活発になる副交感神経は、内蔵全般に分布していて、その先端から「アセチルコリン」というホルモン(神経伝達物質)が分泌されています。 この副交感神経は心臓に分布しています。 副交感神経は、別名・迷走神経(めいそうしんけい)とも呼ばれています。 これはこの神経が臓器に分布する際に、少し不可解な走行をしている事や、内蔵の周囲をぐるぐる行く先がわからないような複雑な走行をする部分があるからそのような名前が付けられています。 あたかも迷走している様な神経というその配列や走行のパターンから呼ばれているわけです。副交感神経の心臓に対する効果は、大まかに言うと、心拍数を下げ、心臓の収縮力を低下させる方向に働きます。

迷走神経反射


内蔵などが強く引っ張られたり、血管周囲に強い疼痛があったりすると興奮します。 また顔面や眼球に多く分布していて、顔面が冷たい空気にさらされたり、冷水等で強力に冷やしたり、眼球をマッサージしたしした際に(眼球のマッサージは危険なのでやめてくださいね)、活発に興奮すると言われています。また息こらえや、咳等でも迷走神経反射が起こる事があります(ある種の不整脈を止めるのに使われます)。 その反応が強すぎると、心拍が減少したり、血圧が低下して脳貧血を起こしたりする事があります。 例えば胃カメラや大腸鏡、内蔵の手術の際や、採血時にとても強い痛みを感じた後など、副交感神経の過剰な反応・興奮がおこって、それによって気分が悪くなる。血圧が下がって脳貧血になるという事があります。 これを医者は迷走神経反射と呼びます。 

心臓と副交感神経


副交感神経から分泌されるアセチルコリンは、心臓の筋肉、特に、リズムをコントロールしている心臓の筋肉や、心房筋に作用します。 アセチルコリンは、自己の心拍が停止したり極端に遅くしてしまう事で、「洞停止」、「洞性徐脈」、という不整脈を引き起こしたり。 心房と心室の間の電気的な連絡が弱くなり、「房室ブロック」という病気になる事があります。 また、心房の筋肉の不応期と言って、興奮出来ない時間を極端に短くして、「心房細動」や「心房性不整脈」を起こしやすくしたりします。またそれ以外にも、アセチルコリンは、右心室流出路や弁輪部から出現する「心室性期外収縮」を増やしたり、「ブルガダ症候群」という疾患の心室性不整脈を起こしやすくするのでは無いかと言われています。
副交感神経は、交感神経の過剰な興奮を抑えるように働き、急激な血圧の上昇を抑えたり、心拍の上昇を抑えたりするのに重要です。 しかし過剰な興奮は、急激な血圧の低下を来して脳貧血を起こしたり、ショック状態になったりする場合もあります。 なのでやはり適度な興奮というのが必要となります。 交感神経と副交感神経は、互いに互いを抑制し合い、バランスを取るように動いていますので、どちらかが異常に過剰に反応すると、不整脈以外にも、いろいろな内蔵の症状を引き起こす事もあり、そうならないためにも、規則正しい生活やストレスとうまくつきあう方法を身につけておく必要があると思います。

続き

自律神経と不整脈-3

交感神経と不整脈


自律神経の中で、運動したり興奮したりするときに活発となる交感神経は、心臓や血管の表面、気管支等に分布していて、その神経の先端から、ノルアドレナリンというホルモンを分泌します。 ノルアドレナリンとアドレナリンという二つのホルモンは、カテコラミンという種類のホルモンに分類されます。カテコラミンは、大まかに言えば心拍数を増加させて、心臓の収縮力を増加させ血圧を上げます。 一般的にはアドレナリンという名前の方が知られているので、ここではアドレナリンと呼びます。 神経から分泌されるアドレナリンは一種類ですが、臓器によってレセプターのタイプが異なります。 例えば心臓に分布しているβ1というレセプターと、血管や気管支に分布しているβ2というレセプターはちょっと形が違います。 (ちょっと余談になりますが、血小板にもα2アドレナリン受容体があり、興奮してアドレナリンが血液中に増えると、血小板の機能を介して血液は固まりやすくなります。 そのため血管の病気や血栓の病気をお持ちの方は、交感神経が過剰に活動する精神的なストレスや興奮はあまり好ましくありません。) その形の違いを利用して、いろいろな薬剤が作られています。 また
カフェインはこういった交感神経の興奮が細胞に伝わる際に、細胞内でその効果を増強するために、同じ交感神経の興奮の程度でもより強い反応を細胞が示す事になります。 
アドレナリンの心筋細胞への作用は、心臓の筋肉の中で電気信号が伝わる速度が早くしたり、興奮性を高めたり事で不整脈を起こしやすくします。 例えば、心室性期外収縮の数を増やしたり、心房性期外収縮の数や連発を増やしたり、発作性心房細動を引き起こしたり、房室結節回帰性頻脈や房室回帰性頻脈を誘発したり、心房粗動を引き起こしやすくしたり、心筋梗塞急性期の心室細動等の致命的な不整脈を起こしやすくしたり、QT延長症候群の患者さんのQT時間を延長して心室細動を助長したりします。 また不整脈ではありませんが、前述した洞性頻脈を起こし、患者さんがそれを動悸として自覚する事もあります。 
ならばアドレナリンは全ての元凶、完全に止めてしまえば不整脈も無くなってよいのではないかと考えがちですが、適度なアドレナリンは日常生活で体を動かしたり、集中したりするときに、心拍を上昇させたり血圧を上げたりするのに利用されていて、それを完全に薬剤で止めてしまうと、体が本当に血圧を必要なときに十分な血液を供給出来ないため、ふわっとするとか、体が重く感じたり、人によっては悪夢を見るという方もおられます。 なのである程度の交感神経の興奮は必要なわけです。 

続く

自律神経と不整脈-2

交感神経の異常な高ぶり、パニック症



自律神経の働きは、運動をしたり、興奮をしたりすると活発になる交感神経と、 睡眠や休み、リラックスしているとき、食後や栄養補給時・排尿・排泄時に活発になる副交感神経の2つの神経がバランスを取って興奮したり休んだりして、外界の環境にスムーズに反応するように体を準備しています。 
体は休息しているのはずなのに、交感神経が高ぶったり、 体は活動しているはずなのに、副交感神経が高ぶったりすると、大脳は違和感を感じます。 そしてその感覚は不安を引き起こし、その不安に対応しようとして交感神経がさらに高ぶるという現象がおこる事があります。 不安と交感神経の高ぶりがお互いがお互いを刺激し合い、結果として両者が異常に活発になる事があります。
そうなってしまうと、不適切な頻脈と気分不快、血圧の変動を引き起こして、不安のため救急車の出動を要請したりする場合もあります。 これをパニック症候群と言います。 パニックが生じると、息苦しく感じる場合も多く、酸素を必要とするような気がして呼吸が速くなりすぎ、本来血液中にある程度は存在しなくてはならない炭酸ガスが低下し過ぎ、血液がアルカリ性に傾くことで、全身の筋肉が勝手に収縮・痙攣したりする事もあります。 こういう状況を過呼吸症候群と呼びます。 これも酸素は十分足りているので、呼吸の回数をあまり多くする必要は無いという事をしっかり自覚してコントロールすれば症状はすぐに良くなります。 またパニック発作全般に関してもその状況が、命に別状が無い事をしっかりと自覚し必要以上に不安がらない事で、ある程度症状を抑える事もできます。 しかし、現実の患者さんは一度パニック症を経験してしまうと、またパニック症を起こすかもという不安から、外出もできなくなってしまう事もあります。 そのような場合、時間だけが解決してくれる事も多く、精神安定剤を内服して、不安をできるだけ取り除き、症状が出ないという安心感のある時間が1ヶ月、2ヶ月と続くうちに少しづつ、ゆっくり快復し。安定剤をやめていっても、パニック症を起こさなくなる事が多いです。
また通常は休んでいる時はあまり高ぶる事が無い交感神経ですが、睡眠不足や、カフェインの過剰摂取、あるいは不安や、仕事や人間関係で追いつめられたりした際には、安静時にも出現したりします。 好きな異性が近くにいるとドキドキするのもこの現象です。 この現象を医学的には洞性頻脈と呼びます。 これは不整脈とは呼ばない事が多いです。 なぜなら洞性頻脈は正常な心臓の機能の一面だからです。 運動や興奮をすると心拍が上昇する事は当然なので、皆さんあまり違和感を感じませんが、これも一種の洞性頻脈と言えます。 また安静にしていても、交感神経の過剰は反応や、運動不足時、発熱等でも洞性頻脈はおこります。 これが辛いと思われる様でしたらやはり、治療してゆく意味はあります。また洞性頻脈も何か他の内蔵の病気の前兆であったりする事もあります。 それらをきちんと判別するために、採血、心電図や、時には24時間心電図を行って、睡眠時・安静時の心拍を測定する事で、内蔵の病気による洞性頻脈であるか?そうでないのかをある程度知る事が出来ます。

続く

自律神経と不整脈-1

自律神経という神経をご存知でしょうか? 一般の人はあまり知りませんよね。 私も患者さんに時々解説しながら、説明が十分でないだろうなーと思いつつやっています。 なので、ここで少し解説をしてみます。

人間の脳の活動、意識したり痛みを感じたり、体を動かしたりする。 自分の意志で動かす、あるいは感じる部分は、大脳でコントロールされています。 大脳とは脳の中で最も大きな部分を占めている領域です。 しかし意識的に動かす事が出来ない部分、特に内蔵と言った部分は、それよりももっと多くの情報を集約してそれに対して細かな調整が必要になります。 動物は、そんなすべての体の情報を一度にコントロールする事が出来ません。 なので、ほとんどの内蔵の動きは、意識に上る前に自律的に解決されます。 例えば、呼吸等はどうでしょうか? 皆さん、普通に生活していて、息を吸って、そのあと吐くという動作を意識せずに行っています。 こういった無意識の動作、調整を行っている部分が自律神経という部分になります。 自律神経は、動物の進化の過程で最も早く出来た神経系統と考えられています。 この神経系統の細かな調整の話は、また別の機会にご紹介します。 今回はそれがどう不整脈に関わるかという事に焦点をしぼってみましょう。

自律神経には大きく分けて、(1)体を休める神経、つまり副交感神経という神経系と、(2)攻撃したり戦ったりする際に高まる神経、交感神経の二つから出来ています。 それぞれがせめぎ合い、体の運動状態をコントロールしている訳です。 

この二つの神経は心臓にもたくさん分布していて、心拍数を上げたり下げたり、心臓の収縮力を強くしたり弱くしたりします。 例えば、寝ていれば皆さん心拍数は下がりますし、起きて運動したり、興奮するような事がおこったりするとどきどきして心拍数が上がります。 
そのほかに自律神経は心臓の電気信号を作っているイオンチャネルに働いて、不整脈を引き起こしたりする事が知られています。 心室性期外収縮・心房性期外収縮・心房細動・心室細動・QT延長症候群・ブルガダ症候群・房室ブロック・洞不全症候群といった不整脈がこの自律神経の働きで悪化したりします。
この「自律神経」は、規則正しい生活をしていると整っていますが、不規則な生活を行ったり、興奮、カフェインの過剰摂取、睡眠不足、発熱といった事で大きく変動し、異常となる事が有ります。 また気圧の急激な変動や気温の乱高下、湿度の大きな変化といった外界の環境の変化にたいしても敏感に反応し、異常が生じる場合が有ります。 そのため不整脈の発生頻度はこういった外界の変化の影響を受けやすい訳です。

自律神経

続きはまた後日

五十肩体験談

私も四捨五入で50歳、50肩になってしまいました。 私の場合、やはりカルテの記載や、機器のメインテナンスのために、コンピューターのマウスやキーボードをいじるために症状が出たのだと思います。 初めは、肩関節を後方に挙げようとすると、肩の関節部分に限局した痛みが出現するのが始まりでした。 しかし痛みをかばううちに、肩とは全く関係のない、肘から先の筋肉の痛みや、肩全体の筋肉の痛みがではじめ。 そのうち、不意におこった痛みを避けようとして急に腕全体を脱力しようとした際に、その後10から20秒ほど続く、持続性の激痛を感じる様になりました。 また寝る時に、手の位置が収まりがつかず、無意識に寝返りを打つ際にも痛みがあるようで、朝起きたら腕を折り畳んで不自然な姿勢で寝ている自分に気づきます。動かしてみると、腕全体が筋肉痛のように重い痛みが出る。 わたしの場合そのような症状です。 50肩といいっても、いろいろな病態が有る様で、私の経験が皆様に当てはまる訳では無いと思いますが、わたしの症状を少し解説してみます。

私も医学生の頃に習ったきりで、専門ではないです。 しかし医学部教育ではこの辺りのお話は教えてくれなかったです。 肩関節は特殊な関節で、鎖骨、肩甲骨で支えられて体幹に接続されています。 肩関節はかなり自由に動かすために、とてもたくさんの筋肉で取り囲まれています。 そしてその筋肉の先端は肩の関節周囲で腱が寄り集まって上腕骨に接続されているので、50肩(正式名称は肩関節周囲炎)はその複雑に絡み合った腱の炎症が原因だと言われています。 肩の関節の動きは、前・後・側方・体の中央方向への動きに加えて、肘関節を回転させるねじれの動きが有ります。 そのため思わぬ方向に曲げると痛みが出るという事を繰り返し、結局痛みが怖くて、あまり手を動かさなくなるという事に陥りがちです。 肩を動かして、短時間痛い分にはあまり苦痛は無いのですが、筋肉の痙攣と思われるような持続的な激痛は少々厄介です。 そのため、必要以上に、動きを制限しようと肩にいつも使わない筋肉に力が入り、はじめは小さな痛みだった肩の痛みが自然と大きく腕全体になるように思います。
わたしの場合この激痛に関しては、どうも以前原稿
「あしがつるぅ・・」に書いた、こむら返りとに似たような現象が肩の関節におこっているように感じました。 こむら返りは急激な筋肉の緩みが悪化の原因になります。 筋肉に痛みがあると、反射的に急激に肩全体の筋肉の力を抜いて、痛みを止めようとします。 その際に収縮しかけている筋肉が急激に緩むため、反射的に緩まないようにさらに強く収縮しようとして痙攣する。 これはこむら返りと同じ現象の様な気がします。こむら返りと同じで、その痛みが出ている筋肉を急激に短縮させないようにする事が大事なのでしょうが、残念な事に足と違って、肩の関節だとどのように動かすとどの筋肉がのばされるのか直感的に分かりにくいところがあります。 なので結果として、痛みが消えるまで耐え忍ぶしかなくなるのかなと思います。 またこむら返りと同じで、その際痛みのある腕以外の手やあるいは壁や机などを使って、痛みのある筋肉を軽くのばすところがポイントかなと思います。

炎症がある状態、肩の関節を直接押して関節に強い痛みがあるうちはあまり動かさない方が良いと思いますが、動かしたときだけ痛みが出るようになってきたら、少しずつ関節の動きを大きくしていき、固まってしまった筋肉や関節をほぐしてゆく必要があるように思います。
わたしもはじめの2週間はほとんど動かせず、その後少しづつ運動域を広げています。 わたしの場合1ヶ月半で少し良くなりましたが、まだ時間がかかりそうですね。
以下に関節を動かす為の運動が書かれた良いサイトがありますのでリンクしておきます。 わたしの場合、コードーマン体操しか知りませんでしたが、結構いろいろな方法があるようです。 ポイントは、痛みのある腕だけを使って運動するのでは無く、痛みのない方の腕や壁やおもりの慣性などの外からの力を使って関節を動かしてゆくという事でしょうね。 そうする事で無駄な反射による痙攣を少なくし、痛みを減らす事ができるような気がします。
http://jin-shinkyu.com/stretch/stretch_4.htm
それにしても、動かなくなってみて初めて肩の関節がこんなに複雑にいろいろと動いていたのかと感心してしまいました。

NHK出版 あしたの生活に紹介されました

いつも、懇意にして頂いている、医学領域のフリーのジャーナリスト 長田昭二さんの取材を先日受けました。 その際に胸痛についての、解説を行ったのですが、その記事を丁寧に記事にしてくださっています。 合計4回の掲載となります。 今回は第一回目です。

下のリンクからどうぞ
http://ashita-seikatsu.jp/blogs/7058

五月晴れ

開院してから半年経ちました。 おかげさまで、患者様も少しつづ増えて来ています。
電話で予約してくださる方が多くて、あまりお待たせせずに拝見できているかなと思いますが、近場の方はやはりそのまま来院される様で、少し待ってもらう事になる事が有ります。 申し訳有りません。 5月は、寒かったり、熱かったり、突風が吹いたり、晴天だったり。 本当に天気が変わりやすいですね。 もうすぐ梅雨という事もあり、今日はこの5月で最も、奇麗でさわやかな青空の日の写真を掲示したいと思います。
最近、健康の為に、出勤時に一つ前の駅で降りて歩く様にしています。 朝の表参道は人通りも少なく、並木がとても奇麗で、壮快な気分です。 町内会の方が手入れされているのか、チューリップー>ツツジー>サツキと、生け垣もとても奇麗に管理されていて、歩いていてとても得をした気分です。

しかし最近私自身は、電子カルテで入力する機会が多い事や、休み中に狭い家で窮屈に仕事をしていたためか、50肩になってしまいました。 今度50肩についてちょっと原稿考えてみようかなーと思ってます。 そんなわけで、ホームページの更新も少し滞りがちだったりします。

最後に少しまじめに・・・、 季節の変わり目、前線の通過等による気圧の変化、気温の急激な変化は、しばしば古傷が痛んだり、神経痛を悪化させたり、そして自律神経を大きく修飾してしまうため、不整脈等が悪くなる事が有ります。 気をつけてこの梅雨から初夏にかけての時期をお過ごし下さい。 

人工弁:続き

異常のある弁を交換すると、同じ心臓の収縮でも効率よく血液を送り出す事が出来る様になり、心臓全体としてのポンプ機能は回復してきます。 しかし、残念ながら、自然の弁と比べるとやはりあまり機能は良くありません。  人工弁の機能が悪いというわけでは無く、ご自身の弁の機能が良すぎると評価した方がよいでしょうか・・・。 柔軟かつ強固、そして自己修復、そして感染に対する抵抗性・・・、とても人工物に再現出来る物では無い様です。 なのでたとえ少し噛み合わせが悪かったり、動きが悪かったりしても、人工弁への交換は出来るだけしない方が良いわけです。
また、長年弁の異常によって余分な負担を強いられてきた心臓の筋肉は、年齢とともに弱り、収縮機能が低下してきます。 手術前の心臓の筋肉の動きがあまりにも悪いと、手術による負担、特に手術のために一度止めた心臓を再度収縮させるときに心臓が動かない事があります。 ですので経過を見ている医者は、心臓の筋肉の状況を注意深く経過観察してゆく必要があるわけです。 早すぎず、遅すぎず、手術する事が重要で、そのタイミングを見計らうのが循環器医の腕と言う事になります。
人工弁を入れた後に、この心臓の機能が回復してくるスピードは、どちらかというと、弁が細くなる(狭窄:きょうさく)患者さんの方が、弁が逆流する(閉鎖不全:へいさふぜん)の患者さんよりも早い傾向があります。 なので閉鎖不全の患者様では、人工弁手術後に症状に劇的な改善は見られず、どちらかと言えば、それ以上悪くしない様に手術したといった印象をもたれる場合が多いです。 勿論最近の手術方法は以前よりだいぶ変わりましたので、閉鎖不全症の患者さんでも手術後に症状が改善してこられる患者さんも多い印象もあります。 
弁を交換する際に、心臓を一旦止める必要があります。 心臓が動かない様にするための人工的な液体を心臓の血管(冠動脈)に注入する事で心臓を止めるわけですが、この停止させておく事が心臓の筋肉には少し負担がかかります。 ですので心拍再開させた後も以前の心臓の収縮とは異なり、患者さんに伺うと、手術後半年ぐらいは本調子でないとおっしゃる事が多い様に思います。

慢性的な経過観察について
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人工弁

人工弁といっても一般的には皆様あまりなじみが無い方が多いでしょうか?  皆様の心臓には4個の弁が付いています。 心臓には4個部屋がありますが、その部屋の出口に一つづづ付いています。  それぞれの弁は血液を一つの方向にしか流さない様にしているとても簡単な構造なので、人工的な弁におきかえることが出来ます。 リウマチ性弁膜症・動脈硬化に伴う弁膜症・あるいは先天的な弁の構造異常などがあった場合、放置しておくと心臓の筋肉に余分な仕事をさせる事になり、最終的には心臓がばててしまう。 それを防ぐために時期を見てきちんと機能する機械弁をいれる事になります。 医学的には人工弁置換術(じんこうべんちかんじゅつ)といいます。 人工弁というと、サイボークの様な物を想像される方がおられますが、決して完璧な物ではありません。 弁を入れ替える手術も一生のうちで2回ぐらいが限界になります。 胸を開いて心臓を止めて、弁を入れ替えるという手術は、患者さんの体力を消耗します(皆さん体重で8-10kg程度減ってしまいます)。 また手術自体で1%-20%程度の死亡率があります(そのときの全身状態によりリスクは変わります)。ですので、壊れたら何度でもと言うわけにはいかないのです。 
また人工的に作られた弁は、元々のご自身の弁に比べると後でお話しする様にかなり性能が落ちます。 なので、弁に異常があれば、小さな異常でもすぐに手術するという事では無く、可能ならば一生ご自身の弁が使える事がベストです。 そのために内科的な治療や生活習慣を整えていく事が重要です。 
しかしそれがうまく行かなければ、人工弁置換術を行う必要があります。
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足がつるぅ・・。

最近、患者さんから、「足がつる」という事で数名の別の患者さんで連続して相談を受けたので、医学生の頃に勉強した生理学の知識で受け答えしました。 答えながら、それで本当に正しかったかなと思い、またちょっと勉強してみました。

どんな時におこるか?


足がつる。 私の場合、早朝、布団の中で、まどろみながら伸びをしようとして「つる」事が多いです。 教科書等にはミネラルの異常とかCa濃度の低下や、脱水、前日に日頃使っていない筋肉を使ったり、フォームアップ不足の運動中におこったりもすると言います。 僕の経験から言うと、本当にミネラルの異常がある人はほとんどおらず、たいていの場合、筋肉の疲労が元にあって、そこに筋肉をのばす動作がきっかけになっている様に思います。 とてもリラックスしていて、大脳の活動が低下している時などに、筋肉に負担がかからない状態で急激に筋肉が短縮する。 簡単に言えば、半分寝ている状態で、足のつま先をのばす伸びの運動等がそれにあたるでしょうか・・。 私の場合、うつらうつらしている時に伸びをしていて痛みが出始めたら、すぐに伸びの動作をやめます。 伸びは結構気持ちがいいですが、つる(「こむらがえり」とも言いますが、)と、その日一日足が痛くて辛いですから・・・。

対処する方法は?


その場合、痛い方の筋肉を強制的に伸ばすと痛みがとれるのですが、そのとき足の筋肉だけを使ってのばそうとするとたいてい、もっと痛くなります。 必ず無関係な手をつかって、つま先を持ち上げて、突っ張っている痛みの有る筋肉をのばす必要があります。 寝ているときだと結構、起きないと行けないので面倒なんですよね。

なぜおこるのか?


病気ではないのであまり研究等されていないと思いますが、一般的に筋肉は出来るだけ緩まない様になっています。 緩んでいると、急な力が加わった際に、筋肉をいためる事があり(肉離れとか)、そのため常に、引っ張られたりしないか監視されています。 そして緩んでいる状態で急激に引っ張られると、素早く収縮を開始してある程度の筋肉の硬さを保とうとする機能が元々備わっています。 その機能が弱いと、緩んだ状態で急激に筋肉が引っ張られて肉離れを起こしますし、その機能が強すぎると、筋肉が勝手に収縮してしまって痛みが出るという訳です。
その監視している場所は腱(筋肉と骨をつなぐ部分)に付いていて、よく医者が、膝をたたくと足がピクット前に出る検査が有りますが、あれです。 医学的には膝蓋腱反射と言います。 あれは、腱を強制的にハンマーでたたいて引っ張った様に誤認させて、それできちんと筋肉の収縮がおこるか確認している訳です。 こむら返り(つる)がおこる原因はこの反射が強くおこりすぎるためとも考えられています。 こういった脊髄反射は、常時大脳から少し抑制されています。なので、もしかしたら眠っている時はその抑制がはずれ気味なのかもしれませんね。 まどろんでいる時に出やすいのはそのせいなのかもしれません。 また、寝ていて足先に体重がかかっていない状況での収縮というのがあまり良くないのかもしれません。

予防するにはどうするのか?


どうしたら良いんでしょうかね? 使わないとどんどん筋肉がやせてしまいますし、やせると、少し動いただけで筋肉に疲労が残ります。 また使いすぎると、筋肉はやはり疲労が残って、つる現象が多くなる様に思います。 私は、最近、よく歩く様にしているのですが、やはりクッションの弱い靴は足の筋肉を疲れやすくする様に思いますし(革靴より運動靴が良い)、週に1日だけランニングして運動するよりは、毎日適度な距離を歩いたりする(日々の定期的な運動)。 また強い運動をすると筋肉が火照りますが、それをきちんと動かしながらゆっくりクールダウンして乳酸をためない様にする(あくまで私見です・・)。 後は運動が終わった後、あるいは寝る前とか風呂等でその日の疲れを取るために十分足のストレッチをする(ストレッチをして筋肉をほぐしてから寝る)。などでしょうか?  
しかし回数があまりにも多かったり、全身の筋肉でこの現象が出たり、いろいろな注意をしていても頻回にこむら返りがおこるようならば、やはり採血をして、ミネラルバランスをチェックしたり、筋肉の病気が無いかどうか等を調べてみた方が良いかと思います。 主治医の先生にご相談下さい。

内科学会へ参加してきました

4月15日、京都ミヤコメッセで行われた内科学会へ参加してきました。日本中の内科の先生が参加される会です。 京都と言えば普通は、宝ケ池国際会議場で行われるのですが、今回は、少し違いました。 平安神宮の前、京都美術館の隣でした。 サクラがまだ少し残っていてとても奇麗でした。 でも、日帰りだったので少し慌ただしかったです。 

5ヶ月診療を行ってみて

三好クリニックでは開院時からいらしてくださる患者さんの統計を取っています。 そのデーターを見て、患者さんへのサービスが低下していないか、どのようにすれば悪い点を改善出来るのか、と言った事を客観的に判断して、医院の運営に反映させるためです。 今月で5ヶ月、実質的には4ヶ月間ですが診療を行った中で統計を取ってみて解った事は、患者さんが最も多いのが午前中が多く、特に10時から11時ごろが多いという事です。 
そしてもう一つ意外に感じたのは、患者さんの3割りぐらいの方が東京都以外から通ってくださっているという事です。 私自身、開業してクリニックをする際に、この近所の方が多く受診してくださるだろうと思っておりましたが、蓋を開けてみると、慶應で私が拝見していた患者さんが、多くいらっしゃって頂いているための様です。 とてもありがたい事だと思っています。
受診された方の診察時間を見てみますと、待合室での待機時間(診察券を受付に渡してから、診察が始まるまでの時間)が平均して5分前後になっています。 これは、初診の際の問診票等の記入の時間もも含めてですので、体感時間はもう少し短いでしょうか? そして診察開始してから会計を終えて三好クリニックを出られるまでの平均時間が約20分です。 比較的ゆっくりとお話を聞けて、検査の説明や薬の説明等も比較的きちんと出来る様になっています。 もちろん院外薬局ですので、その後お近くの薬局で薬を処方される際に、お待ちいただく事になる訳ですが、慶應病院の中で、1時間〜2時間近くお待ちいただいて、3分から5分間診察をして、その後会計をすませて、薬を取ってかえるまでさらに1時間以上お待ちいただいていた事を考えると、少しは通院の負担が少なくなったかなと思います。

実際に通院してくださる患者様の声を聞きながら、今年の5月から受付時間を変更させて頂きます。 申し訳有りません。
これから患者さんが増えて来ても、サービスが低下しない様、精進いたしますので、どうかおつきあいいただければと思います。

日本循環器学会に参加してきました

日本全国の循環器の医者が集まって、新しい治療法や、病気について話し合う。 循環器学会が今年は福岡で開催され、私も参加して参りました。 私の参加は今回診療の都合もあって一日しか参加できませんでしたが、大学に在籍している時には毎年発表や座長で参加していたので、とても懐かしい雰囲気でした。 私も今はまだ、大学を出たばかりで、知識も新しいですが、今後少しづつ時代に取り残されては行けませんので、定期的に学会に参加して、新しい治療法に付いて勉強してゆこうかと思っています。 一日だけの参加でしたので、朝6:20の羽田発の飛行機にのって、福岡に到着して、そのまま学会に参加。 その夕方遅い便に乗って東京に戻ってきました。 来年は横浜での開催らしいので、参加するのが楽でうれしいです。

花粉症の季節

毎年、花粉の季節になると、鼻がむずがゆく、目がしょぼしょぼして、かきむしってしまう。 私は花粉症です。 私の場合、3月中旬から、4月の初め、桜が散るゴロまで、花粉に悩まされます。 多くの場合、2月の終わり頃から、5月連休前頃まで続く方が多い様です。 また秋頃にも同じ様に花粉症になられる方がおられたり、一年中、いろいろな抗原によって鼻の症状が出る方もおられるみたいです。 実は、医学教育の中で花粉症の治療法を系統立てて習う事はありません(不思議ですね)。 ほとんどの場合、先輩の見よう見まねであったり、その診察室にある薬が限られていてそれ以外出せないと言った制約から、一定の処方を出している場合が多い様です。 専門に研究をされておられる方もいらっしゃる様ですが、専門の外来は少ないと思います。 私の場合も、自分が花粉症でなければ、薬を真剣に探そうとは思いませんでした。 花粉症の薬は(正確にはアレルギー性鼻炎・アレルギー性角結膜炎と呼ぶらしいです)、大きく分けて、飲み薬と塗り薬(鼻や目に吹き付けるもの)になります。 私自身、今まで使っていた塗り薬系の薬はあまり効かなかった経験があって、あまり処方していなかったのですが、最近開業して、いろいろチャレンジしてみなくてはと思い、薬屋さんの言われるままに、何種類か試してみました。 今回驚いたのですが、結構最近の薬は効果がある様です。 飲み薬は、眠気の少ない薬が出ていますが、それでも長期間飲むと眠気が出て来てしまい。 昼間に少し寝てしまったりと、あまり良くなかったのですが。 直接塗る薬は、眠気が無いので、とても快適です。 もちろんこれも私の花粉症の程度が弱いからなのでしょうが・・・。 

鼻や目に塗る薬の程度の軽い物は、収斂剤といって、スーッとする成分が入っているだけの物がほとんどです。 しかしそれでは、ほとんど鼻炎をアレルギーを押さえる効果はありません。 最近の薬は、少量のステロイドが入っていて、それが鼻全体に行き渡る様に工夫されています。 一日一回の噴霧で一日、症状が出ない様です。 少量なので、全身への副作用も無いと考えられています。
大学に居る時には、あまり自分で使わなかったので、患者さんへもあまりご紹介していなかったですが、自分で使ってみて、少し認識を改めました。

内服の薬は、主にヒスタミンという血管拡張物質を押さえる作用のある薬が主体で、そのほかに、充血や発赤を起こすアラキドン酸という脂肪酸の代謝を抑制する薬が効果があると言います。 それでもなかなか、効果が出ない場合は、ステロイドが入った抗アレルギー薬を処方しますが、やはりいろいろな副作用が有りますので、どうしようもない場合に限って処方します。

ただ、薬に頼る前に、とにかく口や鼻、目の粘膜に花粉を入れない様に工夫する事が必要です。 素手で目をこすったりすると一時的に気持ちがよいですが、手に付いた花粉を目の中や鼻の中に押し込んでしまいますし、鼻が出ているような気がすると、一生懸命鼻をかむと、鼻の粘膜を高速の空気が通過してそれが鼻の粘膜を傷つけ、よけいに充血して鼻を塞ぐという、悪循環に陥る場合が多い様です。 むやみに鼻をかむ事は、むしろ逆効果の様です。 どうしても目に何か入って困った場合は、直接手でこするのでは無く、花粉の付いていないティッシュペーパー等を介して、目の周囲をこする方が良いでしょうね。 といってもそのうちだんだん、目がかゆくなって、こすっている部分が目に近づいて、結局目が真っ赤になるまでかきむしってますよね・・・。 
風邪が強い日は特に、目にたくさん花粉が付きます。 目を全体が覆うような。眼鏡をかける方もおられますが、老眼鏡の様な面積の少ない眼鏡であっても、目の周囲の気流の流れが変わり、目に取り付く花粉の量は少なくなる様で(私が思うに、目が乾燥する事からかゆみを感じるのではないかと思っているんですが・・・。 どうなんでしょうか?)、それだけでだいぶ楽になるという人もおられます。 
未だに根本的な解決法は有りませんが、最近いろいろな薬が出ていますので、4−5年前に飲んだ薬があまり効果がなかったとしても、また医者を変えて、花粉症に悩んでいる先生に、受診してみると親身になっていろいろ薬を試してくれるかもしれませんね。

ワーファリンとは

ワーファリンの作用


ワーファリンは血液を凝固するために必要なタンパク質を作るのに必要なビタミンKととても似た構造をしています。 しかし実際にはビタミンKの様な作用が有りません。 ですので、ワーファリンを飲むとビタミンKの作用を押しのけて、血液凝固のための蛋白が減少します。 ビタミンKはいろいろな食物中に少量づつ含まれています。 中でも、納豆・モロヘイヤ・クロレラ等に大量に含まれています。 (納豆の原料の大豆にはほとんど含まれていません。) つまり食事全体の量が変わったりしたり、納豆やモロヘイヤ・クロレラと言った食品を食べたり食べなかったりするだけで、食物中のビタミンKの値が大きく変動する事になります。 ワーファリンの効果は、ビタミンKを押しのけて作用しますので、取るビタミンKの量が変わるだけで、その効果が大きく変化してしまいます。 そのためワーファリンを使用する場合、納豆やモロヘイヤ・クロレラと言った食品を食べないでもらう様にお願いしています。 また体調不良で食事が長期間とれなくなってしまった場合や、季節によって食べる食材が大きく変わる方には、その都度ワーファリンの効果を確認する必要有ります。 それはワーファリンの効果が強すぎれば、脳出血・胃からの出血等・血尿等の症状が出る可能性が有りますし、少なすぎれば、脳梗塞等の血栓塞栓の症状が出てくる事になります。
ワーファリンの量の調整
ワーファリンの効果を測定する方法はいろいろありますが、三好クリニックでは、採血すれば数分で結果の判定できる、測定器を用意しています。 ですので、診察の直前に採血して頂き、その効果を判定して、ワーファリン量をその場ですぐに決定する事が出来ます。 最近ワーファリンに変わる、新しい抗凝固薬(ダビガトラン)が発売されて注目されています。 それは、ワーファリンの様に凝固のための蛋白を作らせない様にするのでは無く、凝固のための蛋白を直接阻害する薬なので、納豆やクロレラと言った食品の制限も有りませんし、季節によって量の調整をする必要は有りません。 しかし定期的に腎機能を確認する必要がありますので、ワーファリンで安定している患者さんと採血の頻度はあまり変わらないと思います。 不測の腎機能悪化で、ダビカトランの効果が急激に強くなり、大出血を起こす可能性があるからです。 ですので、三好クリニックでは、患者さんにこれらの点を説明した上で、ワーファリンとダビガトランを選んでもらっています。
ワーファリンの効果を表す値として、INRという値を使います。INRとはinternational normalized ratio=国際標準比と言いますが、プロトロンビン時間という計測値を(ざっくり言えば血液が凝固するまでの時間)測定して、その時間が正常値からどの固まりにくいかと言う事を示しています。1が正常で、大きくなると出血しやすくなります。 ワーファリンを内服している場合、75歳以上の患者さんでは1.6から2.5の間にコントロールされる様にワーファリン内服量を増減しますし、75歳以下ですと、2.0から3.0の間にコントロールする場合が多いです。 ワーファリンの半減期は2.5日と長いですので、一日わすれていても、少し効果が残っていますが、あまり飲み忘れる事が無い様にする必要があります。 4より高くなると、結構いろいろなところから、簡単な傷からでも出血しやすくなったりします。 ワーファリンの量は多すぎても少なすぎてもいけませんが、半減期が比較的長いので、毎日測定してワーファリン量を変更する必要は有りません。 しかし導入期には2週間から1ヶ月に一回程度、安定して来て、季節での変動があまり無い方では、2ヶ月や3ヶ月に一回の採血になる方もおられます。
 

ワーファリンを飲んでいて注意する事


また他の長期的に内服する内服薬でも、値が大きく変動する場合があり、ワーファリン以外の薬を変更したりする際には、注意が必要です。 よく、経験するのは、胃酸を押さえる薬の一部、抗菌剤等の投与で急激にワーファリンの効果が増強して出血したりする事が有ります。 一般的に長期的に内服する薬で経験する事が多いです。 また肝機能がお悪い方(肝硬変や肝炎等)で予想を越えてワーファリンの効果が強くなる事が有ります。 
一般的な日本人の体格で、一日量2mgから4mg程度で落ち着く場合が多いですが、時に10mg近く内服しなくては、INRが治療域に達しない方がおられます。 そのように多くの量が必要な方は、ビタミンKの食品を実は食べておられたりする事もありますが、それが守られていれば、体質的な物だと言われています。 

雪が降ってます

今日は、朝布団から出るのがとても辛かったです。 起きてしまえば、まあそれなりになんとか体が動くのに、布団の中にいる時の「もうあと10分寝ていたい」と言うあの強い衝動は何なのかと、つまらない事を考えながら出勤していました。
今日は朝から雪で、面白い写真が撮れるかと思って、原宿から表参道を青山通りまで歩いてみました。 皆様足下に気を付けてください。

今日は正月休みの影響も有ってか、患者さんが少なく、予約していた患者さんも、ほとんど延期のお電話を頂きました。 ここは一週間に一回しか予約のとれない大学病院とは違いますので、 遠慮なく、無理せず天候のよろしい時にご来院下さい。

青山通りの歩道は、どうも雪が溶ける加工がされているのか、あまり滑らずに来れましたが、道路の材質の違う部分で滑るので、気を付けてください。

納豆とワーファリン

納豆は体に良いと言われています。良質のタンパク質が含まれていることもありますが、その他に「ナットウキナーゼ」という血液の固まりを溶かす成分が含まれています。 つまり血栓予防(一般には「血液さらさら」とか、「ドロドロ血予防」とか言う表現がおおいですね)的に働きます。 口から食べた酵素が、分解されずに吸収されて血液をさらさらに出来るかどうかについては、議論が分かれますが、動物実験などではそのような効果があるようです(ヒトで有効性は証明されていません)。

一方で納豆は、ビタミンKというビタミンを大量に含んでいます。 ビタミンKは皮膚や血管が傷ついたときに、その傷を素早く塞ぐために血液の中にあらかじめ流れている(血)糊タンパク質を作るのに必要なビタミンです。 簡単に言えば血を固まりやすくしていることになります。 ですのでビタミンKがなくなると、軽く皮膚を圧迫しただけで、大きな内出血を起こしたり、胃や腸・そして脳などで出血を起こして、致命的になることもあります。 その一方で、血が固まりやすい患者さんにはあまり良くない蛋白でもあります。

心房細動などで血栓ができやすい人。 特に「心臓弁膜症があったり機械弁を植えている人」「心臓のポンプ機能が落ちている人」「糖尿病のある方」「高血圧がある方」「脳梗塞などの既往のある方」「75歳以上のご高齢の方」では、このビタミンKの働きを悪くする薬、ワーファリンを内服してもらっています。 後は人工弁等が入っている方もそうです。

心房細動の患者さんと話していて、「どうしても納豆が食べたい」、「納豆食べられないなら死んだ方がよい」とおっしゃる方が時々おられます。 最近、処方できる様になったプラザキサという抗血栓薬は、ビタミンKによって作られた血糊の蛋白を直接ブロックするので、ビタミンKを摂取しても問題有りません。 しかし、この薬剤も弱点があります。「人工弁が入っておられる方」や、「心臓弁膜症のある方」、そして何よりも問題になるのは「腎機能が落ちてられる方」には、未だにワーファリンが必要になります。 少し脱線しましたが、プラザキサの無い時代には、こういった方で、特に脳梗塞のリスクの比較的少ないと思われる方には、「仕方ないので、じゃあ納豆毎日食べてくださいね」といって経過を見ていた患者さんが何名かおられました。 しかし、10年程外来をしてみて思う事は、無理してでもワーファリンを飲んでいる方の方が、肌つやがよく、元気で10年過ごされている方が多いのに対して、ワーファリンを使わずに、納豆を食べる様にお願いしている患者さんでは、10年で少しずつ、弱ってこられて、ぼけてこられたりしておられる方が多いような気がします。 これはあくまでも印象でしか有りませんが、しっかりとした抗凝固療法(ワーファリン)が、生命予後を長くする事は臨床研究でも明らかになっており、やはり必要なのだなと最近実感しています。 

じゃあワーファリンとはどういう物か、この続きは
次のブログで説明します。

心房細動の原因

最近患者さんに心房細動ってなぜなるんですかと言われて少し困った事が有ります。
簡単に言えば「心臓の老化現象の一種」なのですが、そのときもそのように申し上げたところ、
「私は結構若いうちからおこっていて。 老化という事は無いと思うんですが・・」とおっしゃられたのです。 確かにもっともな意見です。

心房細動を起こしやすい要因として特定されている要因は2つ有ります。 

一つは年齢。 心房細動がおこる患者さんのほとんどが60歳以上の患者さんです。 しかし希に40歳とか、珍しいですが20歳で心房細動の方もおられます。 20歳で心房細動になられる方は、やはり何らかの遺伝子の異常がある場合が多いと考えてよいでしょう。 しかし遺伝子に異常があって心房細動になられる方は、むしろ珍しいです。 日常の診療をしていてほとんど無いと言ってよいでしょう。 そのように若くて心房細動を発症する人は何か他の因子があるとも考えられます。

二つ目は高血圧。 血圧が高い方は心房細動になりやすいです。 また血圧の治療を行うと、心房細動の新規の発症が押さえられたりします。 ですので、若い頃から血圧が高い方は、やはり心房細動になりやすいと考えた方が良いでしょう。 そのため心房細動の患者さんでは、血圧の治療も重要になってきます。
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高血圧と塩

私どものクリニックでは、全体の患者さんの中で1割から2割ぐらいの患者さんが血圧のコントロールだけの目的で来院されています。 最近高血圧の患者さんを診察していて、何名かの方に連続して塩分制限の話をする事になりました。 慶應の外来をしているときには、「塩分気をつけてくださいね」と言うだけでそれ以上深くお話する事は出来なかったのですが、三好クリニックでは、少し立ち入った話を出来た訳です。

実はほとんどの高血圧患者の方は、塩分の制限をするだけで薬を飲まなくても血圧は正常になります。 そう申し上げると、「いや私は塩分には気をつけているのですが」とおっしゃられる患者さんがほとんどです。 でも適切な塩分量をコントロールするのは実はとても難しいのです。 その最も大きな理由は皆様自身の舌の感覚でしか摂取する塩分量を決める事が出来ない点にあります。 もしも皆様の舌の感覚が狂ってしまっていたら、適切な塩分量をコントロールするのは不可能です。 そして高血圧の多くの患者さんは舌が過剰な塩分に慣れてしまっています。 慣れによって感覚が狂ってしまっているのです。 これが減塩がうまく行かない一番の理由だと思います。 
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ドクターズファイルに紹介されました

ドクターズファイルというホームページに紹介されました。
http://doctorsfile.jp/toyoko/21858/df/

インフルエンザ・ワクチン

最近、インフルエンザのワクチンの希望する方が少なくて、「そろそろ今年も終わりなのかなー」と思っていましたら、今日なぜか連続で希望の方がいらっしゃって、ワクチン接種を行いました。 何かテレビかなにかで、インフルエンザの話が有ったのでしょうかね? 確かにそろそろ、インフルエンザがはやり始めていますから・・・。 
三好クリニックでは、今でも予約無しでワクチン接種が可能です。 いつでもどうぞ。

インフルエンザ感染について私が毎年見ていて思うのは、12月頃から1月頃までの間にA型が多く、2月から3月にかけてB型が多い様です。 AもBもあまり症状に違いは無い様に思います。 具体的には高熱(38度を越える事が多いです)・のどの痛み・急激に上昇する熱のため、足や腰の筋肉が重だるい(これはウイルスが増殖する場所が主に筋肉細胞だからだと言われています)、と言った症状でしょうか。 Aのほうが少し熱が高い印象がありますが、単なる私の私見です。 インフルエンザのウイルスは感染力が強く、乾燥に強いため、回りに感染者がおられる場合、マスクをして口の回りを保湿したり、加湿器や、空気清浄機等を使われる事も有効かもしれません。

ここ5−6年でしょうか・・、簡単なキットで10分程度で判定出来、さらにインフルエンザウイルスに効果のある薬剤が開発されたおかげで、診断・治療には比較的積極的になった様に思います。 10年前でしたら、自宅で安静にして寝ていてくださいとしか言いようが無かったのですが、大変な進歩です。

ちなみに簡単な、と申しましたが、患者さんに取ってはあまり簡単な検査では無いかもしれません。 なぜなら鼻の穴に綿棒(の細いの)を入れて、鼻汁を強制的に取り出す事が必要になるからです。 鼻水が出ればそれで良いのでしょうが、元々インフルエンザの初期だとあまり鼻水が十分出なかったりする事もありますし、何より、人前で鼻をかむという行為を躊躇されて(思いっきりかまないため)十分なサンプルが得られない事が多いからです。 しかし、やはり痛くて結構嫌な検査なのではないかと思います。

いつも通ってくださるある患者さんの診察時の風景
>最近のどが痛くて、少し熱が有るんですよ。
>そうですか、
>インフルエンザが心配なので検査してもらえませんか?
>いいですよ。 じゃあ。 ちょっと痛いですよ。 この綿棒を鼻の中に入れます。
>えー、そうなんですか・・。
>じゃあ行きますよ
>げふぉ、げふぉ・・。 これ痛いですね・・・。
>すいません。

・・・。 こうやって診察して、私はこの患者さんは、2度とこの検査されないだろうなーと、そのお顔を見て思いました。 今まで大学病院にいるとあまり自分で、採取しなかったですからね・・・。 採取する前に、一言「今鼻、目一杯出せますか? 出なければ鼻にこの綿棒を入れます」と伺ってからやれば良かったなーと反省した次第です。 確かに、一旦出してしまうと、ティッシュに元々付いていた物か、患者さんの鼻の中に入っていた物か解らなくなりますが、相手はウイルスですから、生きた細胞が状況ではそれほど長時間、存在しないはず。 ティッシュでも十分なんですよね。 正確に採取するならば、鼻から直接、患者さんに楽なやり方としてはやはり、ティッシュで一旦外に出してみてそれを検査にまわすというのが良いのでしょうね・・。 ごめんなさい。次から気を付けます。

週刊現代に紹介されました

三好クリニックが、今週の週刊現代(2012/1/28号)の、街の名医達というコーナーで紹介されました。
不整脈という分野をメインにして開業されておられる先生が少ないという事もあるのでしょうね。 なんだかとても持ち上げ過ぎなぐらい、良く取り上げてくださっています。 
三好クリニックは不整脈だけでなく、一般的な内科の診療を行うクリニックですので、不整脈以外でも何でもご相談下さい。 

心臓に雑音が有ると言われた・・・。

開業してから2ヶ月が経過して、少しずつですが、患者さんが増えてこられていてとてもありがたく思っております。 といってもまだだいぶ空いていますので、いらっしゃる患者さんに取ってはとてもゆったりしていてよいかもしれません。 
最近、何名か立て続けに「心臓に雑音が有ると言われていて、時々大学病院で検査を受けているけれど、最近ご無沙汰していて」という方が、来院されました。 たしかに、慶應で外来をやっている時には、そういった患者さんをよく拝見したものでした。 心臓の弁に異常がある、あるいは心臓の壁に穴が開いていて、血液の流れが普通の方と少し違う、 しかし手術をする程では無いという方は結構おられます。 そういった方は、私も大学病院にいる時は一年に一回、定期的に心臓の超音波検査(エコー検査)を行って、経過を追うというという事をしていました。 しかし大学病院の非常に混んだ外来は通院が大変で、ついついおっくうになって、予約が消滅してという方も多かったのではないでしょうか?
三好クリニックの心機能検査室の様子続きを読む...
三好クリニック(内科)
〜青山・表参道〜