心室性期外収縮-続き

ある程度、不整脈の心電図の上での形によって危険度は推測できます。 それにあわせて薬の選択肢も少し違ってきます。 薬は効果が強いものほど副作用も強く出る可能性があるので、はじめのうちは効果が弱いけれど安全な薬を選択します。 しかしそれではコントロールできない場合、さらに強い薬を選択します。 

10年以上前のカテーテルアブレーションは命にかかわる不整脈のみに限定されていましたから、不整脈を専門にしていない先生や、昔に循環器内科の研修をされた先生が、心室性期外収縮の患者さんを診られると、「この不整脈は命にかかわるものではないので放置してよい」と考える傾向にあります。 患者さんの症状が強ければ、症状を感じさせなくするために精神安定剤を処方される場合が多い様です。 しかし安定剤だけでは、感覚が鈍感になるだけで、症状が強い方にはあまり効果はないです。 そのため、かかりつけのお医者様との意見が噛み合ず、途方に暮れて私の外来にやってこられる場合があります。 専門外の先生ですと、心室性期外収縮は寿命にはほとんど影響しませんので、抗不整脈薬による副作用の面を心配されて、あまり積極的に薬剤を使われない様です。 しかし、薬や不整脈の機序にたいして専門的な知識をもち、薬を適切に使用すれば、比較的安全に使用できるのも事実です。 なので症状が強い方はあきらめずに、不整脈の専門医を受診される事を勧めします。 

薬に対する恐怖感が強かったり、副作用の為に内服ができなかったり、長期間にわたって内服をする事の不自由さを理由に、内服ができない患者さんもおられます。 そのような場合、カテーテルアブレーションが選択されます。 カテーテルアブレーションとは血管内でのカテーテル治療で、不整脈の源になっている一部の心臓の細胞を熱で消滅させ、不整脈を根治する方法もです。 カテーテルアブレーションを行っていない施設では、まさかこの命に関わらない不整脈に対して、アブレーションを選択するとは思っておられない先生方が多い様で、苦しい症状を訴える患者さんをなだめすかして、外来で様子を見ている場合が多い様ですが、カテーテルアブレーションを積極的に行っている施設では、症状が強い場合迷わずカテーテルアブレーションによる根治術を選択します。 

心室性期外収縮は、まあ言えば心臓のしゃっくりの様な物とたとえられます。 しゃっくりがあっても、息は出来て死ぬ事はありませんが、しゃっくりも多すぎれば、日常生活は大変なわけで、それは十分積極的な治療を行う理由になります。 心室性期外収縮て強い症状をお持ちの方は、是非きちんとした治療を専門の先生に見てもらった方がよろしいかと思います。  念を押しますが、心室性期外収縮は症状が無ければ特に放置していてよい不整脈です。 ただし、心室性期外収縮が、心臓の他の病気の前兆であったり、あまりにも回数が多い(全心拍の1/4以上あるような場合)患者さんは、定期的な経過観察が必要です。 ですので一度は専門の不整脈専門医を受診されていた方がよろしいかと思います。
三好クリニック(内科)
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