仕事納め

三好クリニックは、昨日で仕事納めでした。 これから来年1月3日まで年末年始休暇に入ります。  皆さんにとって今年一年はどんな年だったでしょうか?  三好クリニックは比較的落ち着いた一年でした。 患者さんの中には、色々な重い病気にかかられた患者さんや、出会いと別れを繰り返し、患者さんの総数は去年より少しだけ増え、その結果、少し予約が取りにくくなっていたかもしれませんね。 1週間ぐらい前なら開いている予約も、前日や当日になると、ほとんど埋まってしまって、仕方なく、待合室でキャンセル待ちで待機していただくことが多かったかもしれません。 できれば少し余裕を持って予約を取っていただけるとありがたいと思います。 どうしても、待合室が混み合うと、私自身の落ち着きがなくなり、そのぶん予約を取ってくださった患者さんの診察に影響が出てくるような気もします。 自分ではちゃんとで平常心で診察できている気持ちでいても、実際にはそうでない事も多いと思います。

本日は、恒例のクリニックの床掃除をしました。 床を磨いて、ワックスを掛けるという仕事なのですが、今回は2つほど工夫してみました。 一つは膝当てを買いました。 毎回床の3分の2ぐらいクレンジングする頃に、膝が痛くなり、膝をつけなくなるので、今年はアイスホッケーとかで使うような膝あて防具を買いました。 Made in Chaina でした。 これは意外に良くて、最後まで、膝をついて作業できたので、体勢的にだいぶ楽でした。  あと雑巾を今年は手ぬぐいサイズのタオルを四つ折りにして、糸で縫って使ったのですが(いつも糸を通さずにやっていたのですが)、これは結構絞りやすいし拭きやすい・・。 小学校の頃、裁縫の実習でやった「なみ縫い」と言うやつですね。 老眼で針に糸を通すのが大変だったのと、糸が黒い糸を使ったので、縫い目が結構目立って、 なみ縫いの間隔が一定でないのでなんだかとてもかっこ悪い雑巾になってしまってますが、ああやって縫うだけで、本当に雑巾がけがだいぶ楽になるのですね・・。 知りませんでした。 実習だけでなく、掃除用に各ご家庭で一枚、作ってきてもらって床掃除していた覚えがあります。 母親に頼んで、毎年作ってもらったことを思い出しました。 自分でやるととても不格好になってしまって・・。 ああいうのも、きっちり作ってくれた母親に感謝です。  この床掃除もおそらくあと15年もすると体が動かなくなって、業者等に頼むことになるのだろうなと思います。 60歳ぐらいになると流石に体が辛いかもと思う今日このごろです。
正月のしめ飾りをつけて、植裁に水を入れて、今日は帰宅します。 
今年一年、三好クリニックに通院してくださった患者さんに感謝を申し上げて、年末の挨拶としたいと思います。
良いお年を!

師走ですね

2016-12-08 06.43.18
今年も後1ヶ月を残すだけになりました。  開業して思うのは、大学病院にいるときと違って、毎日同じことをしているので、時間が経過するのが早い気がします。 この前先輩の先生にそのようにお話したら、「それは年取ったからだよ」と言われて、そうなのかもな・・・、と思いました。 表参道は今年はイチョウ並木のライトアップがあり、患者さんもそれを目的にいらっしゃる方もいらっしゃるようです。 
11月は急激な寒暖を繰り返して、12月になるともう気温も安定して冬になったんだなと感じます。 すでにインフルエンザは流行が始まっていると言いますが、こちらのクリニックではまだそれほどたくさんの患者さんがインフルエンザにかかっている様子はなく、どちらかというと咳が長く続くあまり熱のでない風邪と、8度近い熱が出て下痢と嘔吐あるいは気持ち悪いという症状が主体のエンテロウイルス、あるいはノロウイルスなどを思わせる風邪が多い気がします。 でも12月になると例年インフルエンザが多くなってきますので、やはり注意して手洗いや、うがいはされていた方がよろしいかと思います。 インフルエンザのワクチンの予防接種も11月ごろから接種される方が増え、例年12月の末ごろには落ち着くことが多いです。 
12月は 忘年会や挨拶回りで忙しかったり、商売をされておられる方には何かと忙しい季節かと思います。皆様お体大切にあと1ヶ月を乗り切ってください。また受験生の方々は最後の追い込みで忙しい季節ですね。 受験生の方々はあと一ヶ月というわけではないですが、悔いの残らないようにがんばってください。 あんまり頑張りすぎて風邪引いたりしないようにしてください。 ちなみに私は大学受験の1年目は東京のホテルで試験前日深夜から高熱をだして、受験一つ受けられなかった経験があります。 皆様もお体大切に。

クリニック6年目に入ります

三好クリニックのビルの前にある街路樹が、寒さでそろそろ茶色になり落葉をはじめました。ここの街路樹が植えられたのがちょうどクリニックを始めた年の夏だったと思います。 始めの頃は、細い苗木でしたが、今では葉っぱも多くなり、2階のクリニックの窓の前はほぼ半分ぐらい、この街路樹で埋め尽くされてき始めました。 ちょうど高さも2階ぐらいでしょうか? 反対に、はじめの頃は、クリニックの処置室においておいた草花が、光を浴びてとてもよく育っていましたが、去年と今年になって、だんだん日照が遮られて育ちが悪くなりつつあります。 10年も経つと、ほとんど街路樹の影になりだいぶ暗くなるかもしれませんが、夏は少し過ごしやすくなるかもしれません。 仕方ないので、植物が育ちやすくなる波長のLED電球を購入して、クリニック内の植栽が長持ちするようにし始めました。 三好クリニックもこの街路樹とともに、おそらくこれからも続いていくのだと思います。 きっと私のほうが先に引退するでしょうね。 私がこのクリニックをたたむときには、きっと馬鹿デカい街路樹に育っているのだろうと思います。 朝この街路樹を見るたびに、ああこれだけ続けて来たんだなとちょっとだけ木に挨拶して建物に入ります。

お陰様で三好クリニックは今月の16日で5周年をむかえ、6年目に入りました。 開院時にはもしかしたらあまり患者さんいらっしゃらなくて、2-3年でたたまなくちゃいけないかもと思いながらやっていましたが、患者さんも増えて、5年経ってもなんとか続けさせていただいております。 最近は不整脈だけじゃなく、風邪で近所の患者さんも結構いらっしゃって頂いています。 クリニックは11月と12月は、ワクチン接種や風邪等の患者さんが多くなり、どうしても予約が取りにくい状況が続いています。 ご迷惑をおかけします。 今後も精進いたしますので、皆様よろしくお願い致します。

福岡でアブレーション研究会に出席してきました。

福岡国際会議場
私は不整脈専門医という資格を持っているのですが、そういった学会の資格の維持のため、ある程度学会等に参加する必要があります。 単位制になっていて、ある一定の期間に指定された学会に参加したり発表したりしないと、専門医という資格は維持できなくなるのです。 私は今更手術をすることも無いので、アブレーション研究会というカテーテル手術を専門に扱う学会に参加しても、直接的にはあまり恩恵を得られるわけではありませんが、 大学に在籍していたときに疑問に思っていたことが、明らかになってくるのを見るのはなかなか刺激的なものですし、また患者さんをカテーテルアブレーションに送り出すときに、現状どのような考え方で治療が選択されているのかを知る上で、やはりこういった会議には定期的に参加していたほうが良いだろうなと思っています。 大学を離れて1-2年間は、退職したときとあまり大きな違いはなかったですが、今回はちょっとだいぶ様変わりしていて勉強になりました。 
学会は福岡でありました。 福岡まで早朝の飛行機で行き、電車とバスを乗り継いで、学会場に到着したのが10時頃でした。 そこで2時間程、心房細動のカテーテルアブレーションのセッションを聞いて、午後3時の飛行機で東京に戻ってきました。 移動が6時間、空港での待ち時間3時間で、たった2時間ぐらいしか、学会に参加できないのはちょっと残念なのですが、それ以上滞在すると体力的に厳しいので、仕方ないです。 今度は東京でやってほしいな・・。
今回のセッションで感じたのは、5年前には、心房細動の治療に何故か良く効くと言われたある一つのカテーテル治療の方法が全く否定されてしまったということでした。 実際アブレーションをやっていても、やっている我々も全く効いている気がしなかったので、まあ当然の結果だろうなと思って見ていましたが、それが大規模な症例数を集めてあまり効果がなかったと証明されたわけです。 初めてその方法を提唱した人は、ちょっとショックだったかもしれませんね・・、もしかしたらオリジナルの方法が間違って皆に伝わったために生じた悲劇なのかもしれませんが、その治療原理を考えるとちょっと狂ってるとしか思えない方法だったので、当然の結果だったのだと思います。
もう一つは、心房細動のカテーテル治療の際に、電気信号が弱い部分が見られるのですが、 通常の肺静脈の隔離手術のあと、その弱い部分の周囲を丹念に焼くと、より再発が少ないと言うもので、これはなるほどなと思う方法でした。  心房細動のアブレーションを何度も何度もやらなくては止まらないような患者さんにとっては、この方法は結構良い方法だなと思いましたが、これも本当の結果が出るのにもう少し時間がかかるかもしれませんね。 いずれにせよ、心房細動で悩んでいる患者さんには朗報でしょうね。

 

学会出張のため臨時休業します

三好クリニックは8月9日(火曜日)〜8月15日(月曜日)までの1週間、夏季休暇をいただきます。
突然ではございますが、明日 2016年10月29日土曜日 誠に勝手ながら、学会出張のため休診致します。

魂の重さ

私の中学校からの友人でとてもゆっくり言葉を話す人がいます。 大人になって久しぶりに会ってみると、ゆっくり口調はあまり変わっていないので、皆で安心したりします。 反対にとても早口な人もいらっしゃいますよね。 早口すぎて時々何を言っているのだかよくわからなくなったり、ゆっくりの人はそのゆっくりの口調が気になって、後になって思い出すのはその話の内容よりも、その話し方の印象の方が強く残っていたりすることってありませんか?

会話のスピードや思考のスピードがほんの少し異なると、それだけでコミュニケーションがうまく取りにくい。 それは医者と患者さんの間にも起こります。 とてもゆっくりと喋る患者さんから、早口でよく聞き取れない患者さんが、最後の方は独り言みたいな感じになっちゃう人もいたりします。 「そこから話始めますか・・」というようなあまり脈絡のなさそうな話から入って、最後にその病気の症状にたどり着く患者さんもいますし。 こちらから積極的に聞かないと、座った早々に「かわりませんね」の一言で済ませてしまおうとする患者さんもいらっしゃいます。 患者さんによっては、人生の始めから猛烈なスピードで語り始める方もいらっしゃいますし、自分の言葉でゆっくりと、病気のことを語られる方もいらっしゃいます。 ゆっくりと喋る患者さんには、身内の付き添いの方がついてこられることが多いように思います。 付き添いの方が本人の話を途中で遮って、お話を始めてしまって、本人が途中から黙ってしまったりする場合もあります。 単位時間に多くの情報を発信する早口の人が必ずしも理知的ではなかったりすることもありますし、ゆっくりもっさりしゃべる人が、愚鈍ではなかったりしますね。 言葉を話すスピードが遅いか早いかは、その人の心の性質や魂の価値とは全く異なるものだと思います。 極端な病気の例を挙げると、言葉をしゃべる能力だけがなくなってしまったり、全身の筋肉が動かなくなる病気があります。 その事を知らなければ、患者さんを魂のない物体のように扱ってしまうことがあります。 たとえ一言もしゃべらないからといって、その人に魂が無いわけでは無いですよね。

どういった喋り方が最も適切な喋り方なのか、私にはよくわかりません。 たた診察の時間が十分あるとこちらの心に余裕もあり、会話のスピードとは関係なく、患者さんの言葉に魂の重さや魂の性質を感じる瞬間があります。 それは医者の勝手な思い込みなのかもしれませんが、私はそういう時間が好きです。 なので予約時間いっぱい使って患者さんの話を聞いてみたいなと思うわけです。 しかし、忙しかったり、辛かったりして、その時に自分に余裕が無いときには相手の魂を感じることができなくなり、回りくどく話をしてしまう人や、ゆっくり話してしまう患者さんに対して、不本意にもイラッとしてしまったり、あるいはあまりにも早口で多くの情報を一度に話そうとする患者さんの話に圧倒されて、思考停止に陥ってしまい、器械的な対応をしてしまうことがあります。

そしてその反対側の現象も起こっているはずです。 病気の症状が辛かったり、将来の心配等のために、心に余裕がなくなってしまっている患者さんに対する時、私の声は余りにも滑舌や通りが悪く、出身地の言葉のなまりがあり、その喋り方が患者さんの耳についてしまって、十分こちらのお伝えしたい意図が伝わらなかったりすることがあるのではないかなと思います。 私の経験的に、医者や教育の現場では、こちらが話したことは、一回でだいたい30%ぐらいが伝わっている様に感じます。 それが普通なのだと思います。 なのでできるだけ簡潔に、そしてできるだけ平易な言葉で、何回も違う言い回しで説明するように意識していますが、それも待合室が混雑して来ると、どれだけうまくできているか自信ありません。

会話のスピードがちょっと違うだけで、意思疎通が難しくなるのですから、コミュニケーションというのはとても難しいものなんだということがわかると思います。 少しゆっくり喋るだけならなんとかなるでしょうけれど、 例えば相手が、自分の半分ぐらいのスピードで話したとしたらどうでしょうか? それでもゆっくり耳を傾けることもあるかもしれませんね。 でもきっと話の途中でその人の言いたいことをこちらで勝手に要約して相手の話を遮ってしまうんじゃないでしょうか? さらに4分の1ぐらいのスピードだったら? きっと10分の1ぐらいのスピードで話していたら、その人が言葉を喋っているのか呻いているのかわからないですよね・・。 ヒト以外の生物は言葉の代わりに行動で自分たちの意志を示そうとします。 イヌやネコになんとなく感情があるのはみなさんわかりますよね。 クジラやイルカだって同じです。 それは彼らの行動や行為の時間感覚が我々人間の理解できる範囲内のスピード、言い換えると「生物学的時間」とでもいうのでしょうか? それを持っているからなのだと思います。 それより早すぎたり、遅すぎたりするときっと人間にはその活動に魂があるのかどうか、心があるのかどうか判断することは難しいはずです。 例えば、植物に話しかけて育てるとよく育つと言うことを聞いたことがあるでしょう。 植物は育つと言う行為を介して、人と魂のやりとりをしているのではないかなと思ったりします。 ただ余りにもゆっくりすぎて、人間側が注意深く観察しないとわからないぐらいなのではないでしょうか。 反対にゴキブリや蜘蛛や蚊などの昆虫は、たたきつぶそうとするとその風圧を感知して、たたく直前にすり抜けていきます。 彼らの生物学的時計はもしかしたら人間よりもっと早すぎて、彼らの世界では人間や脊椎動物はほとんど止まっているように見えているから意志疎通がないだけで(人間が植物をみるような感覚で)、やっぱり心や魂はあるのではないかと想像したりしてみます。 脳が小さいだろうとか脳が無いとか言う反論もありますが、心や魂が脳にあると言う科学的な根拠はありませんので、脳の大きさと魂の性質には関係がないと思います。 
ここまで話を大きく広げてしまいましたが、ゴキブリの魂と共感したいわけではありません。 将来もしも共感することがあったとしたら、その時はきっと医者を辞めていると思いますので安心してください・・・
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慶應医学部の学生実習があります

毎年秋になると1名から2名ほど、慶應の学生さんが地域医療の実習にいらっしゃいますが、 今年も来週10月3日から7日までの間、学生さんがいらっしゃいます。 診察のときに心電図を取ったり、採血の見学をしたりすると思います。 申し訳ありませんがご協力いただければと存じます。 
医学部の6年生ですので、もうほとんどお医者さんといったところでしょうか? 皆さん医学部を卒業すると医師免許をとったらすぐに一人前のお医者さんになると思っておられると思いますが、一人で仕事を任せられるようになるのにだいたい卒業後6年から10年ぐらいかかります。 彼らが学生のうちに学んでいるのは、簡単な病気の原理原則とそれと経験のある医師と会話して学ぶ機会を得るための言葉(医学用語)ぐらいのものなので、まだ治療に関わったりすることはできません。 ですので見学といっても、開業医がどういった仕事をしているのかということを実際に見てもらったり、まだ右も左もわからないお医者さんの卵に医者の心得というものを学んでもらう場所なのだろうと思っています。 そしてそういったお医者さんの卵も10年もすると、きっと私なんか足元に及ばないぐらいの活躍をされるのだと思います。 

秋らしくなってきました

もう9月も終わりに差し掛かり、残暑も去り、気温は秋らしくなりました。 今年の夏は、東京は毎週のように台風の直撃を受け大変でしたね。 
台風の雨風が強くなるとさすがに予約をキャンセルされる患者さんも多く、1週間先に予約を移動したのに、その日にまた次の台風がやってくるなんてこともあったりしました・・。 また今年の台風は迷走したり、変化球のように進行のスピードが急激に早くなったりして、いつ雨が強くなるのか天気予報も全くあてにならなかったですね。 私も登院の時に、雨足が強いようならジーンズで登院して仕事場で着替えるようにしたりしているのですが、今回も何度もそのタイミングを見誤ってスボンがグズグズになってしまいました。
患者さんの中には車椅子の方や杖をついた方もいらっしゃるのでそういった方はやはり無理せず日程を変更していただくのが良いと思いますが、付き添いの方の日程などの都合もあり、強い雨の中雨合羽を着て来院されるかたもいらっしゃったりして、通院するのも大変だなと感じました。 流石にもうそろそろ秋雨前線も諦めて南の方にいってくれるんじゃ無いかと思うのですが、どうなりますやら。 でも例年10月ごろまで残暑が続くことを考えると今年は少し過ごしやすいかも知れません。
ちなみに、このクリニックには開院から患者さんの忘れ物のビニール傘が一雨ごとにだんだん溜まってきていて、そろそろ骨の少し曲がったりしている古いやつは捨てようかなと思っています(よろしいですかね・・)。 皆様もできれば傘の忘れ物のないようにお願いします。 
10月になると、そろそろインフルエンザのワクチン接種の季節になります。 まだこちらには納入がされるようになると価格がわかりますので、それを見ながら今年の価格を決めさせてください。 

「動悸があるんですが・・・」「具体的にはどんな感じですか?」

「動悸」って言葉、みなさんも聞いたことがあるのでは無いでしょうかね。あまり日常で使われる言葉ではないですよね。もともとは、平常時には感じない心臓の脈打つ感じを感じるという意味なのですが、その動悸のパターンにもいろいろなものがあります。 このクリニックは一応、不整脈を専門にしているクリニックなので、この動悸という症状で来院される方が多いです。

日常に見られる正常な動悸


全力疾走した後に、ゴールの後ハーハーしている時に、心臓が「どんどんどんどん」と強く早く動いているのを感じたり、胸の壁を内側から打ち鳴らすみたいに感じることってありますよね。 後は急に驚いたり、びっくりした時の後にしばらく、心拍数が早くなり、心臓が動いているのをリアルに感じる。 こういう現象は人間の通常の反応でみなさん特に疑問を感じることは無いでしょうね。 この状態は動悸を感じる状態です。 こういったことがあるからと言って、医者にかかろうとは思わないですよね。  こういったことを調整しているのは、アドレナリンというホルモンです。 アドレナリンが分泌されると、心拍数が上がり、血圧が上がり、心臓が打ち出す血液の量は平常時の5倍ぐらいまで上がります。 アドレナリンの効果についてはまた別の機会に紹介するとして、こういった心臓の活動を動悸として自覚するわけです。

動悸のパターン1「脈がドクンと急に一拍大きく感じる」「時々心拍が止まることがある」


みなさんの心拍数は規則正しく一定のリズムで刻まれています。 しかし時々、そのリズムが途切れる場合があります。 一度途切れた後、また元のリズムに戻る。 こういう脈の不整を「結滞」「期外収縮」と呼びます。 平易な言葉で言うと「心臓のしゃっくり」のようなものだと考えてもらえると良いでしょう。 しゃっくりは横隔膜の痙攣です。 普通に呼吸をしていてい、呼吸のリズムと全く関係なく、突然横隔膜が収縮するので、違和感を感じるわけです。  一般的なしゃっくりは、一つの呼吸サイクルに対して1回以上起こることはあまりありませんね。 心臓についても同様で、一回の呼吸サイクルに関して1回だけ別のタイミングで収縮が起こる。 これを期外収縮と呼びます。 こういった不整脈の場合、基本的には患者さんがその不愉快な症状を我慢できるならばあまり危険な不整脈ではありません。 しかしその不整脈が心臓の他の病気の警鐘であったりすることがあります。 例えば、心臓の筋肉の病気、心筋梗塞などに付随する症状などです。 ですので、やはり一度は医者に判断してもらったほうが良いことは確かですが、大多数の方は全く問題がない場合が多いです。 患者さんによっては、脈が飛ぶという感じより、心臓の動きが急に変化するために心臓が横にある肺に強くぶち当り、胸膜という肺を取り囲んでいる膜を刺激するため、「咳は出ないんだけど、咳が出るような感じ」とおっしゃられる方もおられます。

動悸のパターン2「心拍が規則正しく早くなります」


心拍が、思い当たる理由がなく早くなります。 そしてそのリズムは規則正しい。 そういった動悸のパターンがあります。  そういった脈が数秒で収まることもあれば、1−2時間続いたり、長い人だと半年ぐらい続いたりすることもあります。 こういった動悸の中にも正常な心拍がただ早くなっているだけという方もいらっしゃいます。 むしろ外来で拝見しているとそちらの方のほうが多いでしょうかね・・。 その区別はやはり動悸の症状がある時に心電図をとってみないと最終的な診断ができません。 しかし、1) 毎分150回以上の心拍がある患者さん 2) 心拍が突然早くなり、 自分でもわかるぐらいに突然元に戻る患者さん 3) 動悸がした後に目の前がかすんだり、意識が遠のくような感じがある 場合は何らかの不整脈があることが多いでしょう。 しかし頻度が少ないとなかなか検査することが難しいです。 今最も多く用いられる心電図検査は、24時間連続で記録するホルター心電図といった検査か、あるいはご自身で購入いただく、携帯型心電計(例えばOMRON 携帯型心電計 HG-801などでしょうかね)、などになります。 いずれも週に一回しかおこらないとか、あるいは起こっても数秒で止まってしまうようなものだと、なかなか偶然にその時に心電図と当てていないと記録するのは難しいです。 あまりに症状が強かったり、あるいは、症状から不整脈を強く疑わせる点があったり、患者さんが完全に不整脈を根絶することを希望されている場合、体に埋め込むような形の心電計を入れてずっとモニターしたり(今だと車のドライブレコーダーのようなものでしょうか? 一世代まえのUSBメモリースティックのようなものを皮膚の下に埋め込みます)、あるいは入院してもらって心臓の中に電極を入れた状態で、電気刺激を行って不整脈を誘発したりすることで検査を行うことがあります(臨床電気生理学的検査)。

動悸のパターン3「心拍が全く一拍ごとがバラバラで」


心拍のリズムが一拍ずつ全く間隔が異なる状態です。 この場合、この不整脈のほとんどは心房細動という不整脈であることがわかります。 もちろん、このバラバラという表現がなかなか患者さんには理解してもらえないことがあって、難しいのですが・・・。 全部の心拍が全く規則性の無い、無秩序(ランダム)なタイミングで感じる。 というのが適切ですかね。 もちろん心電図での診断はその治療をどうやって組み立てるかという点でも重要になります。  まずは循環器内科に受診されて、心電図をとることをお勧めします。 多くの場合、心房細動は高齢者や高血圧の患者さんの病気です。 ですので、若いうちにこの不整脈が出られる方は、遺伝的な素因がある珍しいケースか、それとも心房細動を起こすような何らかの心臓の構造上の問題点があったり、ホルモンやミネラルバランスの異常が大本の原因だったりすることがあります。 心房細動自体は命に関わるような危険な不整脈では無い場合が多いですが、心房細動に関連した脳梗塞(血栓塞栓症)や、心臓の構造上の異常の発見につながったり、あるいはホルモン異常が見つかってその治療が必要だったりする場合があります。 なので幾つかの検査をさせていただくことになります。

動悸のパターン4「心拍がゆっくりで、一拍一拍が大きい」


基本的にこの動悸のパターンは不整脈でないことが多いです。
では何かというと、人は強い痛みや内臓の圧迫や引き攣れなどを起こすと、副交感神経(迷走神経)という神経が働いて、心拍数を落とすホルモン、アセチルコリンというホルモンが分泌されて心拍数が急激に低下することがあります。 例えば大きく息を吸った瞬間とか、思いっきりトイレで気張ったりした時とか、急にベットにバタンと横になった直後とか、特に体が地面に固定されている寝転がっている時が多いですが、そういった時に心拍が遅くなり、代わりに一回の心臓が送り出す血液の量が多くなるため、一拍一拍の心拍が大きく強く、そしてゆっくりになることがあります。 これは、内臓反射(迷走神経反射)によって起こる人体の正常の反応の一部ですのであまり心配されることはありません。
ただ、時々先程のパターン1、期外収縮が一つの正常な心拍に対して、規則正しく一回ずつ起こる方がおられたり(2段脈と言いますが)、心拍のリズムを作っている部分やそのリズムを心臓全体に伝える回路がうまく動作しなくなる病気があることがあります。 ただそのような場合、その異常はいつでも見られることが多いため、来院されて心電図をとってみるとわかることが多いのですが、とても珍しいですが一過性にそういった不整脈が見られ、通常は全く正常で、心電図ととってもわからない場合もあります。 そういった場合でも、実はその症状の直後に採血するとある程度のことが予想できる場合があります。

動悸といってもいろいろなパターンがあるのですね。 なので不整脈のドクターを受診すると、まずは根掘り葉堀り聞かれると思いますが、ご協力お願いいたします。 あと、その時動悸の症状がなくても、心電図をつけた瞬間に偶然その時に不整脈が出たりすることもありますので、ご面倒ですが毎回心電図とらせてください。 不整脈の無い時に心電図をとっても全く意味は無いのですが、患者さんに動悸がないことが不整脈が無いこととも限りませんので・・・。

心エコーの左手法

心臓の超音波検査、心エコーという検査があります。 私が研修医になった1990年代には、洗濯機3台分ぐらいの大きさがあって、その中に電子器機が詰め込まれてしました。 それを患者さんのところまで運んで行って、心臓の動きを観察するのですが、VHSのビデオテープに記録していました。 今ではそれより性能の良い機械が少し大きめのノートパソコンぐらいの大きさになっていて、記録もメモリー上に電子的に記録されていますから、本当にすごいものです。 確かその頃のパソコンはハードディスクが入っていることは珍しく、入っていても 40メガバイトぐらい。 今ならRAMでもそんな小さいメモリーないですね。

私の研修を受けた慶応大学は左手法といって、左手でエコーの先端を患者さんに当てて、右手で機械の操作をするという方法を取ってます。 後になって知ったのですが、この方法は実は少数派らしいです。 よその病院から来た看護師はちょっとギョッとするみたいです。

患者さんにとって、右手でも左手でもあんまり変わり無いじゃ無いかと思うでしょう? 実は患者さんとって大きな違いがあります。 左手でとると、患者さんと検査をする人は向かい合って検査を受けることができます。 なので検査の映像を見ながら検査をすることになり、検査中に心臓の様子を説明することができます。 右手法だと、患者さんは検査している医師の顔を見れず、なんだか後でゴソゴソやっているなという風になります。 あと、右手法だと、患者さんの背中から右手を回し、患者さんを脇の下に抱えるようにして検査します。 なのでちょっと密着感があります。 冬ならまあ暖かい程度で良いでしょうが、夏だとちょっと、暑苦しいですね。 あと、とても体の大っきなかただとちょっと手の長さが足りなくて、心臓まで手が届かないかも・・(絵でも書ければよいのですが、下手くそなので失礼します)。

エコー検査は超音波を発射してその反射してきた超音波を拾い上げて画像にする検査です。 魚群探知機や潜水艦のソナーと同じ原理です。なので超音波が伝わりにくい肺とか、あるいは超音波がその裏側に到達しない骨とかシリコンが苦手です。 心臓は肺に囲まれてしますし、肋骨に囲まれていますので、両方ともとても苦手なのです。 ちゃんと心臓を観察するためには、患者さんの左側を下にして、顔を横向きに横になって寝てもらう必要があります。 左胸を下にすると血液の重みで心臓が少し左側に移動し、胸骨という胸の真ん中にある骨から少し左側に顔を出してくれて、それで心臓が観察できるようになります。 ほとんとの方は心臓が左にありますので、右手で検査をすると、どうしても患者さんにお尻を向けなくてはなりませんし(ちょっと恥ずかしい)、患者さんの左手が邪魔になってうまく検査出来ないので、どうしても背中から抱え込む姿勢に落ち着くわけなのです。

検査技師がとても美人で、密着する右手方の方が良いよとおっしゃる患者さんもいらっしゃるかもしれませんが・・・。 白髪混じりの中年のおっさんの私としては、やっぱり対面しながら、病状を眼の前で説明しながら検査をできる左手法を覚えてよかったなと思っています。 ただどうしても左手は利き腕じゃないので、力が弱かったりして、エコーの先端がきちんと患者さんの身体と密着出来ないため、綺麗な像が取れないという欠点もあります。 本当かどうかわかりませんが、慶応のエコー検査の技師さんは、左手の筋肉トレーニングをしていたとお聞きしてます・・。 なので本当に綺麗な心臓の画像を記録できる技師さんのエコー検査は痛いです。 ぐいぐい押し当てられますので。

息を大きく吸い込むと肺が膨らんで心臓に肺が覆いかぶさってしまってよく見えなくなってしまうので、呼吸を吐いたところで止めてもらったりします。 研修医の頃よく、患者さんに息を止めてもらって、検査に寝中しすぎて、呼吸を普通に戻して良いことを指示し忘れて、苦しい思いをさせたりしたこともありました。  「少し吐いた状態で、細かく小さく息をしてください。 大きく息を吸い込まない!」なんて、ちょっと普通じゃ理解できそうに無い指示を出しているドクターも見受けますが、そんなの無理ですから・・・、一度自分でやってみたら良いと思います。

三好クリニックは大学病院ではないので、画像のデータをみんなで見直して検査の精度を上げるということをしていないので、患者さんにはあまり息止めしてもらってはいませんが、どうしてもよく見えない時だけ、呼吸を止めてもらうことをお願いしています。 それは患者さんとまさに「呼吸を合わせる」というやつで・・、実は結構難しいのです。 息を止めている間に短時間に綺麗に画像を出さなくてはなりませんし、呼吸を止めるタイミングが狂うと、超音波の先端を微妙に移動させないといけません。 あとせっかくよく心臓が見える位置で息を止めてもらっても、息を止めた瞬間に横隔膜の緊張がとけて、心臓が少し元の位置に戻ってしまい、記録しようとすると肺に隠れて見えなくなるなんてことがあります。 慶応にいる頃に同僚が、「息止めてっていったら止めてください」、なんて喧嘩腰になっている先生も時々拝見しましたが・・。 口で息を止めてお腹の緊張を解いてしまうと、少し前の位置に戻ってしまうので、よく見えるようになったタイミングを一度やり過ごしてから呼吸を止めてもらう必要がありますね。 患者さんが悪いのじゃなく、指示を出す医者が悪いのだと思います。

検査自体は上半身をあけてもらいますので、できたらワンピースとかじゃなく、Tシャツとかで来てもらえると助かります。 検査の時間は10分〜15分ほどかかりますが、初回の患者さんは説明の時間も必要なので30分ほど時間を見てもらったほうが良いでしょう。

最近、検診で心雑音を指摘されて、私のクリニックにいらっしゃる患者さんが意外に多いので、ちょっとエコー検査について触れてみました。

お盆ですね

お盆ですね。 
大学の入学試験の二次試験で、「死について述べよ」といった設問があったことを、この頃ふと思い出します。

普通に話して送り返した患者さんが、一週間後に突然家族や警察から死去されたとの連絡が入ることがあります。 また病棟で徐々に死に向かってゆく患者さんを看取ることがあります。 医者はおそらく死の前後に立ち会う機会が最も多い職業の一つなのでしょう。 試験を作った出題者は、そういった将来の医者としての死生観を、医者になる覚悟を聞いていたのだと思います。

患者さんと話していて死について話題になることがあります。 例えば高齢の患者さんが「もう死にたいです」とおっしゃる場合や、癌などで患者さん自身が濃厚に死の気配を感じている場合です。 
その時我々医者たちは、「そんなこと言わず、まだまだ頑張ってくださいよ」とか「まだ大丈夫、死にませんよ」と申し上げたりします。 でもそれが本当にその時にかけてあげる言葉として適切な言葉なのか、私はいつも迷います。 何せこの言葉はこれからも生きてゆく人からの言葉だからです。 死について身近に感じている患者さんにとって、それはとても孤独にさせる言葉なのかもしれません。
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日本不整脈心電学会に参加してきました。

日本不整脈心電学会に参加してきました。 今回は北海道・札幌でした。 ちなみに私ごとですが、北海道に行くのは初めてでした。 診療の関係もあって、今回は最終日の日曜日の半日だけの参加でした。
北海道日帰りなので、思いっきり早い時間帯の飛行機をとったのですが、気がついたら、自宅から始発に乗っても到着しないことに気づきました・・・(汗)。
札幌コンベンションセンター
新千歳空港から札幌まで、1時間近く電車でかかるのには少々びっくりしましたが、グーグル・マップ先生のおかげでなんとか無事にコンベンションセンターに到着、はじめの方少し聴き逃しましたが、シンポジウムに参加してきました。
一つ目のセッションは、私が大学をやめてから市場に出てきた「心房細動のバルーンカテーテルでのアブレーション」でした。 性能や安全性がどうなのか気になっていたのですが、どうやら今まで慶應で見てきた心房細動の従来通りの高周波カテーテルでのアブレーションと時間も安全性もほとんど変わらない様でした。 すべての心房細動のアブレーションがこのバルーンに置き換わるのかなと思っていましたが、それはちょっと違いそうですね。 ただ、現場で自分の目で見たわけではないのでちょっと判断は迷います。 
もう一つのシンポジウムは「無症状の発作性心房細動の患者さんに脳梗塞の治療をすべきかどうか、もう少し心拍数の遅い心房頻拍等の患者はどうするのか」といった話題でした。 無症状なのに発作性の心房細動を診断するのは、ちょっと矛盾しているのですが、(症状が無患者さんに心電図を取らないと、心房細動が見つかりませんので)、とある理由で、植込み型のペースメーカーや心電図記録装置を入れておられる患者さんの発作性心房細動と脳梗塞の発生の関係を研究された先生がいらして、その方のお話を聞いてきました。  本当はこの無症状の心房細動や心房頻拍を見つけるのが難しいのです。 例えば年に3回ほど心房頻拍が6分以上続くけれども、自覚症状が無い患者さんがいたとして、その方が偶然心電図をとって、心房細動が見つかるかというと、そういう確率は約0.001%程度です。 それでもその心房細動が原因で、脳梗塞になる可能性があるということだそうです。 特に心房細動患者さんの脳梗塞になりやすさを判定する、CHADSスコアーの点数が高い患者さんは、心房細動がなくても、そういったことがもしもあれば、脳梗塞を心配したほうが良いということらしいです。 こうなってくると、心房細動があろうがなかろうが、ある程度高齢の患者さんで、CHADSsスコアーが高ければ全員、抗凝固療法をしておいたほうが良いのでは無いかという考え方に到達してしまいそうですね・・。 抗凝固療法も100%安全な治療法ではありませんので、 それはやり過ぎだと思いますが・・。 でももう少し効率よくそういった患者さんを検出する方法が見つかれば、そういう時代になるかもしれませんね。 例えば、アップルウオッチ等の心拍モニター等をつかって、 毎日心拍のモニターをしているとそいういったことが簡単に検出できるようになるかもしれませんし。 脈の間隔は結構呼吸や活動等で変化しますので、どれを異常心拍として検出するのかは結構難しいアルゴリズムを作らないと行けないでしょうが・・。 おっと、患者さんの読むホームページにちょっと難しすぎること書いちゃいましたね・・。 学問の話題はこの辺で。 

学会場で、懐かしい顔に出会った後(皆さん頑張ってますねー。)、学会場を後にしてまた新千歳空港に戻りました。 札幌の街は、雪国のせいか道幅が広いですね・・。 東京に慣れてしまうと、少しさびしい感じがしますが、雪をうまくやり過ごすにはああする以外無いのでしょうね・・。 以前私は、北アメリカのカナダに近い北の州に留学していたのですが、その町並みを思い出しました。 一度冬に行ってみたい気もしますが、雪で飛行機が飛ばなかったりして診療に穴を開けるわけに行きませんので、引退してからですかね。  空港までの路線は電車は函館まで続いているようで、函館を地図で見ると、結構広いですね・・。 札幌と函館だけで広いと言っているぐらいですから、北海道全体で見ると本当に大きな島なんですね・・。 

ただ日帰りで行って帰ってくるのはちょっと疲れましたね。 もうちょっと近いとこがいいですね。 

紫陽花その2

がくあじさい
去年患者様に頂いた紫陽花、クリニックの処置室にそのまま置いて水をやっていたら、花が咲きました。 去年頂いた時は、ちょうど輪っかみたいに花が咲いていたので、随分形が違うのですが、これはこれでなかなか綺麗で良いなと思います。 普通の紫陽花は花が(花と思っている部分が、ガクらしいですね・・)、4枚ですが、なんかたくさん重なって咲いていて、色も結構綺麗です。 処置室は冬でも日があたってとても暖かくなるので、去年の冬も少し咲いていたので夏は大丈夫か心配していましたが、夏にもきっちり咲いてくれました。 葉っぱがとてもワイルドで、元気過ぎな感じで育っているのですが、それはそれで良いななんて思って育てています。 
去年は連休とかで水をやらないと、煮たレタスみたいにぐったりしてましたが・・。 今年は気をつけようと思います。
葉っぱはかたつむりが乗っても大丈夫なぐらいタフで厚みがあります。

もうすぐ7月です

もうすぐ7月ですね。今年も半分終わったことになります。 あっという間に半分すぎてしまいました。 特に今月は、器械の不調の修正が忙しくてあっという間に過ぎていました。
 
患者さんの予約を取る際の心理として、月末に来るぐらいなら、翌月にと思われる方が多いようで、自然と月末は少し余裕があります。 特に6月の月末は4月のゴールデンウイークの8週間後に当たるので、患者さんの予約はとても少ないです。 今月6月28日火曜日は、そういった少し患者さんが少ない余裕のある日のはずだったのですが、朝からタオル等を洗う洗濯機の排水がうまく行かず、分解して修理しているうちに、5年間使い続けて来た心電図記録用のMacbook Proが昨日まで全く普通に動いていたのが突然動かなくなり、「先生、心電図の画面が真っ暗なのですが」という報告を受け・・。 患者さんの診察をしながら、この2つを復旧させる作業をしていました。 おかげで28日の午前中に来院された患者さんは、心電図が取れず、診察の方も修理しながらだったので、ちょっと落ち着きがなかったもしれませんね。 ご迷惑をお掛けしました。 一つならなんとか余裕持って当たれたのですが、同時に二つの修理は結構辛かったです。 

マックのほうは慶應に在籍中に、何度となく学会場でプレゼンテーションに使っていたmacintoshで、思い出もあったのですが、これは廃棄処分となりそうです。 今までありがとう。 急場しのぎとしてバックアップとしてクリニックにあった、別のマックを使って復旧したのですが、復旧作業に3時間かかってしまいました。 そしてこのマックもかなり古いです・・。 他のmacintoshはできるだけ、5年以内に交換するようにしていたのですが、心電図のマックだけは、交換時期を失念していました。 このようなことが無いようにしないと・・。と反省いたしております。 ハードディスクには特に問題がなかったので、データには問題がなかったのですが・・・・。 今のiMacが壊れたら、今使っているOperation system (snow leopard)が動かない機種しか手に入りませんので、ちょっと今更ですがまた新しいマックに移行できるように準備を進めているところです。 なんだか今月はトラブル続きで・・。  来月は良い月でありますように祈っております。

7月は中旬に北海道で行われる、日本不整脈学会に参加してきます。 日程は祝日なのでクリニックはお休しない予定ですが、こうもトラブルが続くと、落雷とか台風とかで、北海道に足止めされたりするのではないかとちょっと心配です。 私自身は北海道は今まで行ったことが無いので、ちょっとだけ楽しみですが、日帰りですので、ほとんど観光等はできないでしょうね・・。 ただ行ってきましたというだけの報告になると思います。

ウエブベージの変更

WEBページをセキュリティーで保護されたサイトSSLに対応させました。
今Macのサーバーを使っているのですが、Macのサーバーで認証局の登録を行う方法がどこにも見当たらなくて、試行錯誤の繰り返しでした。
保護されたサイトと言うのはインターネットのアドレス(URL)がhttps:で始まるのですが、ブラウザーで見ると画面のどこかに鍵マークが見えると思います。このサービスにしてみて変わってしまったのは、FC2などで対応してくれていた無料のアクセスカウンターが使えなくなって、それに変わるカウンターを自分で用意しなくてはならなくなってしまったことでしょうか・・。 あと、faviconといって、ブラウザーのうえで今までクローバーのマークがURLの小窓に表示されていたと思うのですが(PCのブラウザーだけ)、それが見えなくなってしまってます・・。 なんか方法があるのかもしれませんが、ちょっと時間をかけて直してみるつもりです。 
ちなみに、もうすぐ閲覧数60万件になるみたいです。 最近心臓病のことについてあまり書いていないのが少々気が引けますが・・、見てくださってありがとうございます。

メインサーバーの更新完了の報告

先週末に、2日間かけて、クリニックのメインサーバーを更新しました。 通常コンピューターの寿命は5年ぐらいだと言われています。 もちろんその後も動作はするのですが、突然停止してしまうとそれで診療ができなくなってしまうので、本格的に壊れる前に更新していく必要が有るのです。 今まで使っていたメインサーバーもそろそろ5年経ち、今年の5月の末に診療中にハードディスクの挙動が変になりはじめ、書き込んだデータが一部読み出せなるという事態が発生して、ついに更新を決意したのでした。
幸い、毎週バックアップしていたのでデータが消えることなく復旧できたのですが、診療中に突然動かなくなったらどうしようかと、だいぶハラハラしながら診療していました。 古いMacを使っていると、いざ壊れた時に現在使っている古いOSが起動するマックを探さなくてはならなくなるので、やはり定期的にOSは更新していくのが正しい選択だと思うのですが、トラブルが怖くてついつい5年前のSnow Leopardをそのまま動作させていたつけを今回払うことになりました。Lion, mountain Lion, Marverik, Yosemiteを飛び越して今回 El Capitanに更新するの大きな挑戦でした。 
ただし新しい今のOSは昔のものより細かな調整を受け付けなくなっており、以前の環境を再構築することはできませんでした。 そのため、四苦八苦しながらの更新だったのですが、一つのサーバーを直していたら、別のサーバーがそれに呼応しなくなり、別のサーバーも修正しなくてはならなくなり、合計2日間、びっちり、コンピューターの前で過ごしました・・。 もう5年はやりたくないです・・。 
翌週になって蓋を開けてみると、月曜日には新規患者登録のためのプログラムが不意に停止したり、採血のオーダーシステムのためのバーコードが表示されなくなってしまったり、サーバとは全く関係ないのにプリンターのドラムエラー等が発生して全く処方箋がプリントされなくなってしまったり、これも設定したマックとは明らかに関係が無い私のiMacの無線キーボードが何も入力していないのに、「ああああああああああああああ」とか連打し始めたりとか、ここ3日ほど、カルテシステムの整備をしながら診療をすることになってしまいました。 診察の途中に患者さんのお話を聞きながら途中に少しそわそわしていたかもしれません。 いろいろご迷惑をお掛けしたのではないかと思います。 

修正しているうちに、開業当初に作ったプログラムで、もう使われなくなったものや、開業当初に作って動かしているけれども、とても複雑に作りすぎてしまって、後から見たらなんだかよくわからないものになっているプログラムとかを見ながら、なんだか開業当初が懐かしくなったりして。 また5年後に大規模な更新を行う前に、覚えているうちに直しとかなきゃなーと思うものがたくさん出てきて、少々ブルーな気分になっています。 どこか一箇所手をつけると全部が動かなくなるんじゃないかとヒヤヒヤです。

ただ今日ぐらいになって、ようやく落ち着いてきた感があります。 ようやく更新完了といったところでしょうか・・・。

一番搾りガーデンが!

三好クリニックの青山通りを挟んだ反対側、スパイラル等がある方の空き地に半月ぐらい前から何か工事をしていたのですが、どうもビアガーデンができたみたいです。 キリン一番搾りのビアガーデンで、今もみなさん並んでます。 昨日ぐらいから始まったみたいです。 
平日は16:00〜のようですね。 土曜日祝日は12:00〜みたいです。 夜はとても綺麗にライトアップしてます(また今度写真アップロードしてみますね)。 いずれにせよ、仮設っぽい作りなので一夏限りなのだと思いますが、とても良い雰囲気ですので一度覗いてみるのも良いかもしれませんね。 私が酔っ払ってくだを巻いていても、そーっとしておいてください。

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サーバ一時停止のお知らせ

今週2016年6月11日(土曜日)から12日(日曜日)までの間、三好クリニックではサーバの保守作業のために一時的にサーバを断続的に停止いたします。 ご予約の確保やメールの送付などが一時的に不安定になることが予想されます。 皆様方にはご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご容赦ください。

もうすぐ梅雨ですね

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いつの間にか、五月晴れの日も少なくなり、暑くてジメジメした梅雨のかほりがしますね。 すぐそばまで梅雨がやってきているのでしょうね。 眠りにつく時にはまだ暑く寝苦しく、かといって窓を開けているとまだ朝方は寒くて、ちゃんとふとんを手繰り寄せておかないと、風邪ひいてしまいそうな天気です。
ここ数日雨の日が多く、もう梅雨入りなんじゃないかって思っているのは私だけかもしれませんが、傘のお忘れ物も多くなっていますので気をつけてください。 ちなみに今日、焦げ茶色いホネのいっぱい入った男物の傘をお忘れになった方がおられます。 午後の患者さんですかね? 2−3日傘立てに置いておきますが、盗まれてしまっても申し訳ないので、ロッカーに入れておきますね。 お気づきの方は是非受付に一声かけてください。 お返ししますので。
暑くなってきてますが、最近咳の風邪が流行っています。 この時期には流行する咳が連発する風邪は結構長引きますので、注意くださいね。 

重力に負ける人 4

歩いているだけで酔ってしまい、怖くて出歩けない

前回良性発作性頭位めまい症の話をしましたが、三半規管の異常一時的なもので長時間持続することはありません。 しかし時々何ヶ月もの間フラつきのため、出歩けなくなってしまう方がいらっしゃいます。 足腰の弱っておられる高齢者だけでなく若い方の中にも、そういった回転型のめまいの後、転倒の恐怖から歩けなくなってしまう方がいらっしゃったりします。 長期化する原因は何なのでしょうか?

転倒の恐怖が平衡感覚を惑わせる
立ち上がれなくなる最も大きな原因は、転倒に対する恐怖感だと思われます。 赤ちゃんの頃は、立ち上がって転んでも、体重が小さいですし、皮下脂肪も多いので、あまり大きな怪我をすることはありませんが、大人になってから転ぶと当たりどころが悪ければ死にますし、骨をおったり、出血したり、服をダメにしてしまうかもしれません。 そういった恐怖感は前回の章のように平衡感覚を混乱させ、より歩行を困難にします。 回復するためには、転んでも良さそうな格好で実際に歩いたりして、慣れていく以外にありません。

意外に早く起こる足腰の筋力低下がふらつきを増強する
次に問題となるのは、足腰の筋力低下です。 人は寝ている時間が長く続くと立つために必要な筋肉が減ってきます。 特に太ももとおしりの筋肉が減ると歩行が不安定になりふらつきます。 人は4−5日寝たきりの生活をすると筋力の低下から歩行に違和感を感じ始め、1週間も寝たきりが続くと、立ち上がるのも一苦労となります。 筋力低下は意外なほど早く起こります。回復するためには、片足立ちでもも上げなどの筋力トレーニングを机とか椅子等に捕まるようにして、一日20回〜40回ほど行うことで歩行のための筋力はゆっくりですが回復してきます。 一度安定して歩けるようになると、その後は自身がついてフラつきから回復できるようになることが多いです。

怖がって下を見て歩くことで酔が起こる
転倒に対する恐怖があまりに強いと、歩行時に倒れないように下を向いてしまう方がいらっしゃいます。 前章で車酔い等で下を向いていると、頭がシェークされてより酔の状態に近づくというお話をいたしました。 下を向いて歩くことは酔や違和感を増強し、それが更に恐怖感を増強するという悪循環に入ります。 また頭を下げてしまうと、体の重心が大きく狂ってしまいますし、背骨も変な形になってしまって、バランスが取りにくい状態になります。 回復するにはやはり、倒れても良い服を着て(あるいは杖など持って)、できるだけ足の底の感覚がわかる底の平らな靴を履いて(足元を見ないでも足もとの歪みや硬さを深部感覚を使って感じることができます)、比較的広いところで、遠く(水平方向)を見ながら歩いて慣れる以外ありません。

実はみなさん、時々ふらついたりすることはありますが、ほとんどの方はその後すぐに元の生活に戻ってそういったことを忘れてしまっています。 ただ一度不安に取り憑かれると、その後「めまい感」に敏感になり、めまいが起こるたびに記憶し、その行動をとらなくなります。 しかしこの回避行動は一部の例外を除いて逆効果となることが多いです。 
その例外に当たる病気はやはり医師の診断が必要となりますが、もしも医者に大丈夫ですと言われたのでしたら、やはりその言葉を信じて後は自分の力で克服してゆく必要があります。 それが危険な兆候出ないと医師の診断があるようなら、「めまい感」は立って生活するために必要なセンサーの誤差修正なのだと思って慣れることも大事なのです。

重力に負ける人 3

目が回って、立ち上がれない
バットまわりといって、頭を垂直に立てたバットの柄に頭を付けて、バットの周りをぐるぐる一定時間回転して、頭を外して走りだすと、まっすぐ走っているつもりでもあらぬ方向に走っていってしまうという遊びを知っておられるでしょうか? 回転椅子に乗ってぐるぐる回って、ピタット止まると、周囲の景色が止まった後もぐるぐる回って見える現象で遊んだことみなさんあるんじゃないでしょうか? この原因は三半規管といって頭の中で耳の近くに付いている器官の誤作動が原因です。 この三半規管が一時的に妙な信号を脳に送り始めることがあります。 三半規管のリンパ液の中に存在する耳石という石が原因とも言われていますが、中年以降の患者さんに多い病気です。 「良性発作性頭位めまい症」と言いますが、頭がある方向を向くと地面がせり上がってくるように感じたり天井が回るように感じたりして気分が悪く、吐いたりしてしまうことがあります。 こういう頭の方向がきっかけとなって出現するめまいは、基本的に良性で放置していても2週間ぐらいで自然に回復してくるようです。 一方で、頭の方向に関係なく、常に世界が回っているみたいに動いてしまう場合は、脳の病気であることがありますのでやはりすぐに病院を受診されたほうが良いでしょう。

こういった良性の回転性めまいは通常1-2日ほどで自然に軽快しますが、その後もめまいがするような感じや、まっすぐ立っていても、後ろに引っ張られるような感じがして立つのが怖くなってしまって、それが何ヶ月も続く患者さんが時々いらっしゃいます。あまりこういった症状が長期間続く場合には、脳内の病気の可能性もありますので、一度頭部のMRI検査等を受けてもらうことになりますが、MRI検査で異常がなければ、酔(よい)という現象と診断できます。 船酔い、乗り物酔い、宇宙酔い、ゲーム酔い、酔にもいろいろありますが、今回はこの酔という現象についてちょっと説明してみます。

体の体勢を感知している3つのセンサー
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人間は自分の体勢を、主に3つのセンサーで感知しています。 視覚と三半規管と関節や骨格に付属している深部感覚というシステムです。
その3つのセンサーがうまく組み合わさって自分の体勢を確認しているのですが、それらにズレが生じると「酔」という状態になり、気分が悪くなり嘔吐します。 この現象は不愉快な場所から逃げるための自己防衛機能の一つとも考えられているようです。

連動している三半規管と眼球の運動
特に視覚と三半規管は密接につながっています。 歩行等などの複雑な振動や回転等をした時に、眼球を一つの方向に固定して網膜の上に映る像を安定させることができます。 カメラの手ブレ補正みたいなものと考えて貰えると良いでしょう。 みなさんビデオカメラを歩きながら(きちんととったつもりで)撮影した影像を、テレビで見ると絵がぶれて全く見るに耐えない絵が取れてしまう経験があると思います。 眼球もこういった三半規管がなければ、このビデオカメラと同じ像が脳に送られ、歩いているだけで酔ってしまいます。 眼球の周囲の筋肉と頭蓋骨の後ろの小さな筋肉を巧妙に操り、動いている時も眼球を一定方向に保ち、ブレの無い画像を脳が見ているのです。 たとえば、鏡で自分の目を見ながら首を左右に振ってみるとよくわかると思います。 皆さんの眼球は気持ちが悪いぐらい固定されて、顔だけ動いているように見えるでしょう。 眼球の動きにズレが生じないように、三半規管からの情報は眼球の筋肉とほとんど直結されているのです。

酔いが起こるメカニズム
「ゲーム酔」
  • 例えばゲーム酔いといって、First Person Shooter (FPS)ゲームプレイヤーの初心者が、ゲームをやっているだけで気持ちが悪くなることがあります。 FPSゲームではリアリティを出すために、歩行時に像が上下に揺れます。 またコントローラーやマウスを急激に動かすと、絵が急激に変化します。 視覚情報が大きく動くのに三半規管からの信号が無く、2つのセンサーに誤差が生じるため気分が悪くなり「酔い」が発生するのです。
「良性発作性頭位めまい症」
  • 良性発作性頭位めまい症等では、三半規管が誤作動を起こして「頭が回転している」という誤情報を発信するとそれに合わせて眼球が自動で動きます。 患者さんは眼球が動いているとは認識せず、世界の方が回転し始めたと感じます。 その時に起こる恐怖感は、交感神経を刺激して興奮状態となります。 この興奮が全身のセンサーを敏感にし、よりズレを認識しやすくし、さらに酔いを加速させます。
「車酔い」
  • 車酔いや乗り物酔いはどうでしょうか? 三半規管は3方向の回転を認識します。 垂直方向の回転、これは頷く動作ですね。 もう一つは横方向の回転、これは左右に頭を水平方向に回転させる動きですね、いわゆる「いやいや」と首を横に振る動作です。 もう一つの回転ってみなさん解りますか? これは少々説明が難しいです。 これも横方向の回転です。 これは頭を左右に傾ける動作、「はてな?」という動きですね。 この向きを冠状面方向といいます。 冠状面方向に左回転や右回転をする動作になります。 はじめの2つはみなさんよくやりますが、左回転や右回転は実はあまり日常に行っている動作では無いです。 体育などで側転等を行うときに使っていますかね・・。 でも大人になって毎日側転をしている人は少ないですよね。 眼球の筋肉で前者2つの動きを補正できますが、冠状面の回転に相当する眼球の筋肉はありません。 その補正は(頭蓋骨の後ろについている筋肉を使って)首を傾けることで行っているわけです。 頭蓋骨を動かすので眼球を動かすのと比べて時間がかかりますし、補正には限界があります。 車酔い、乗り物酔いはこういった、冠状面での回転、ローリング振動で、視覚の情報が大きく揺らぐことがきっかけで始まります。 一つには吐いてみんなに迷惑かけてしまうかもという緊張から更に感覚が鋭敏になりますし、吐く準備として本能的にうつむき加減になります。 うつむき加減になると車の加速や減速の時の動きや左右に曲がる際の強い動きが、悪いことに眼球が苦手な冠状面の動きになってしまいます。 また首が動く方向が限定され、ローリングによる画像のブレを処理できなくなり、「酔い」が加速してしまうのです。 そして人の眼球は垂直方向の運動が苦手です。 眼球とともにマブタを一緒に動かす必要がある分横方向の動きよりも少し時間がかかります。 うつむいてしまうと、車の減速や加速は、縦方向の振動となるため、更に視覚情報とのズレを増強してしまいます。 ですのでよく言われることですが、景色の見える前の方の座席に座って、顔を上げて前の景色を見たり、吐いても大丈夫なように時々外に出て緊張をほぐしたり、歌を歌ったり友人とおしゃべりして緊張をほぐすことで感覚を鈍感にすることで乗り物酔いをある程度予防できるようになります。
「船酔い」
  • 船酔いはどうでしょうか? 私は船酔いしたことが無いので本当はよくわからないのですが、船酔いは船室にいても甲板など外の景色が見える場所にいても起こると聞いたことがあります。 なので、バスや車などの乗り物酔いとは少々異なるのかなと思います。 皆さん回転椅子等でぐるぐる回った後に、突然停止するとしばらく景色が回転するのを体験したことがあると思います。 これは液体特有の慣性によると言われています。 環状の三半規管の中のリンパ液の流から回転の方向とスピードを感知していますが、突然停止してもしばらくはリンパの慣性のため流れが止まらず、だらだらと回転しているかのような信号を発信しつづけてしまいます。 この慣性は頭の方向を変えるぐらいの短い動作でも生じているはずですが、通常は慣性による余韻だと自動的に無視しています。 ただ恐怖や不安、興奮や寝不足等でセンサー感度が敏感になるとこの余韻を無視できなくなり、急な動作のあとにグラっときたりするのだと考えられます。 海の波の振動はあまり始点や終点がなく連続的です。 なので三半規管に入る回転の信号が、本当に移動に伴う信号なのか慣性による偽の信号なのか判断することが難しくなります。 その場合人体はおおまかに2つの対応をします。 一つはすべての信号を本物の信号だと考えてセンサー感度を上げるか、逆にすべてを偽の信号だと考えてセンサー感度を下げてしまうかです。 三半規管のセンサー感度を下げてしまっても、視覚の情報や深部感覚の情報だけで、ある程度船上でも行動が可能ですし、船酔いになりません。 逆にセンサー感度を上げてしまうと、船上で動くたびに、行動に伴う信号と慣性による誤信号を感知するために視覚情報と三半規管との情報に誤差が生じて船酔いしてしまうのだと考えられます。 陸地に戻ったあとも暫くの間、三半規管が慣性による誤信号も本当の情報だと誤認してしまうため、酔の状態が続くのだと考えら得ます。
「地震酔い」
  • 地震によって余震が続くと、同じように地震酔いという状態が生じることがあります。 これはやはり地震による恐怖と、生存本能から地震に対して敏感になり、頭の移動時の慣性に伴う三半規管の余韻に伴う誤信号を感知してしまったり、それまで感じていなかった微妙な体の動き(まっすぐ立っているつもりでも人は微妙に揺れていますので)を感知して地震による揺れがあるように錯覚してしまう現象なのでしょう。

酔が起こるメカニズムのまとめ
いろいろ「酔い」について解説してみましたが、要するに(1)人はうつむいていると振動や揺れに弱くなる。 (2)興奮や緊張、不安はセンサー感度を上げてしまい、通常無視している不必要な三半規管の信号を感知してしまい、めまいを感じやすくなる。 (3)ひとは左右回転(冠状面)の揺れに弱く、ついで縦方向の揺れに弱い、といったところでしょうか。 一言で言うと酔わないためには慣れが大事です。 慣れることで不安が取り除かれ、視野のブレやセンサー同士の誤差に強くなり、異常が起こっているセンサーを無視できるようになります。 そのためには、めまいがあってもそれが危険な病気では無いということがわかったら、平常通りの生活を心がけることが大事になります。 そうしているうちに必ず普通通りの生活に戻ることができるようになります。 

次回は
「歩いているだけで酔ってしまい、怖くて出歩けない」です。

重力に負ける人 2

怖くて立ち上がれない
人間は1歳になる前から2本の足で立ち上がり、その後ほとんど死ぬまで立った姿勢を基本にして生活しています。 これは皆当たり前と思っているかもしれませんが、生物のあり方としては重力の方向に逆らっていて明らかに不自然な姿勢です。 立ち上がって生活することの難しさは大きく分けて2つあります。 一つは上の方にある脳へ血液を送る難しさと、もう一つは重力の方向にまっすぐ立っていることの難しさです。 今回は脳へ血液を送ることの難しさ、「脳貧血で立つのが怖い」という状態の説明をしてみます。

脳貧血の症状
患者さんと会話していて、患者さんがおっしゃられる「貧血」という症状は脳貧血のことであることが多いです。 実は医学的な意味の「貧血」とはまた異なるのですが、その説明はまた別の機会にでも。 脳貧血は、おそらくみなさん一生のうちに必ず一度は経験されておられるでしょう。 寝ていたり、座っていたり、蹲踞の姿勢から、急に立ち上がって歩き始めたり、高いところにあるものを取ったりしようとして手を伸ばしたりした時とかに発生します。 頭の芯がじんじんして、目がかすみ、耳鳴りがして、心臓がドキドキして、冷や汗が出てきます。 そのまま我慢して立っていると意識を失って倒れてしまったりすることもあります。
脳貧血という現象は、空腹時とか水分量が少なく体液量が少ない時に起こりやすいです。 また病気の後とかで長期間寝ていたりした後に起こりやすいです。 「病み上がり」と言う言葉がそれにあたります。 また満員電車で、足の位置が変えられないような状態で、つり革等に手をやっている時とかに症状が出現してしまい、倒れてしまったり、脳貧血のために尿を漏らしてしまったりすることもあります。 こういった脳貧血は立っている時だけでなくても、ふかふかのソファーとかで行儀よく足を揃えて座っている時に横や前に緊張するような人が居たりして身動きが取れないような状態に長時間さらされると、同じようになることがあります。

脳貧血の対処
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脳貧血の時は速やかに脳を心臓と同じ高さにすることが重要です。 簡単に言うと「しゃがんて頭を下げてうずくまる」。そうすればほとんどの場合脳貧血は回復します。 一度それで血圧が回復してしまえば、直後に立ち上がって同じ体勢になっても2回めは脳貧血にならないことが多いです。 最もダメな対応はそのままの姿勢で頑張ってしまうというものです。 倒れてしまったり、意識を失ってしまったりしてしまいます(神経調節性失神といいます)。それは結構な恐怖体験となります。 そして原因や対処がわからないままそのままの状態を長期間繰り返していると、また起こるのではないかという不安感が頭をもたげ、トラウマになってしまい、怖くて電車に乗れない、外出できないという状態になります。 こうならないためにできるだけ早めに医者に相談して大丈夫だということを確認することが大事です。 対処法がわかってそれ以降脳貧血にならなければそれで良いですが、そういったことがわからず不明確なまま長時間放置しておくと、たいていの場合その不安感から脱するのにとても時間がかかるようになります。 また頭を心臓と同じ高さにすれば殆どの場合回復しますので、これをすれば安全だという方法が早めにわかってしまえば、その前兆があった時点でうずくまってしまえば大丈夫なことが多いです。 ほとんどの方は脳貧血を日常的に体験していて、教わらなくてもうずくまってやり過ごしていて、とくに気もとめていません。

脳貧血は医者に邪険にされることがあります
そしてこれは病気とは呼べないものですし、薬ですっきり良くなる病気ではありませんし、忙しい時間帯だと医者のほうも適切な対応を取る時間がなく、なんの論理的な説明もなく「大丈夫ですよ」とか「疲れすぎですかね」とか、「きちんとご飯食べてますか?」といったどうにも納得行かない対応を受け、適切な対処方法を教わることなく診察が終了してしまいがちです。私も慶應大学病院にいて診察している時には、時間的な制約からそういった対応にならざる終えませんでした。

なぜ脳貧血が起こるのか
人間の体の中の血液の70-80%は静脈の中に蓄えられています。 静脈は、みなさんも外から触ってみると、結構柔らかくぷっくっとして押すと凹みますね。 温かいとくっきり出ていても、寒い冬とかになると、細く見えなくなっていたりすることに気づく方も多いでしょう。 実は静脈の太さは外気温や神経等によって微妙に調整されているのです。 人間は立ったり座ったりするたびに、自律神経を介してこの静脈の太さを自律神経を介してめまぐるしく調整しています。 重力にたいして低い足に落ち込んでしまう血液を静脈を細く占めることで心臓に戻そうとしています。 この機能がなくなるとほとんどの血液が足の静脈に溜まったまま、心臓に戻ってこなくなります。
もしも静脈の血液が心臓に戻ってこないと5秒ほどで血圧は速やかに60台を切ります。 さらに5秒から10秒続くと脳に十分酸素が行き渡らなくなり、目がぼやけてかすみ、下がった血圧を上げようとして心拍が早くなったり、手に冷や汗をかいたり、胸がカーっと熱くなったりします。 この血管運動のための自律神経機能は毎日立って生活することで自然に鍛えられ維持されています。 ずっと寝ていて使わなかったり、長時間無重力の環境にいて使わないと、一週間ほどであっという間に消えてなくなります。 また静脈の周囲の筋肉の収縮と弛緩でポンプの機能を果たして、足の静脈の血液を心臓に戻すことができます。 ですので体(の筋肉)が動かせないという状態はあまり脳貧血になりやすくなるのです。
また血液が減少すると心臓に戻る血液量が減ります。 空腹や緊張状態が長時間続くのは良くありません、緊張状態は尿を増やしたり、下痢になったりして、体液量が減ります。 空腹状態で更に体液を失うと、心臓に戻ってくる静脈血液がさらに減少し脳貧血に拍車がかかります。

重篤な病気と関連した脳貧血
そういった機能的な脳貧血以外にも、重篤な糖尿病患者さんや、シャイドレーガー症候群といった脳の病気、後は徐脈性不整脈や、肺血栓塞栓症といった病気などで、似た症状が出ることがあります。 また脊椎の手術のあとや腰髄の痛み止めの麻酔(硬膜外麻酔など)の後等に同じような症状になることがあります。 あまりにもひどい脳貧血はそういった病気を除外する必要があります。 こういった病気の場合再現性がありますが、機能的な脳貧血では体調や日によって同じ動作でも出る時と出ない時があるという違いがあります。

最悪なストーリー
上の病気でない場合でも、立ち上がるとクラクラするので怖くて寝たままで生活を始めてしまう方が時々いらっしゃいます。 実はそういった対応は脳貧血には逆効果になります。 人間の体は使わない機能はいらないものだと勝手にそぎ落としてしまいます。 例えば静脈の収縮や筋肉の収縮も、使っていないとどんどん弱ってしまいます。 そしてさらに症状が悪化して、どんどん立ち上がるのが怖いという悪循環に陥ってしまいます。 これは生物としての重力に対する反応としては自然なことですが、社会生活を営む人間にとっては大きな制約になります。

脳貧血の治療は?
きちんと検査して安心を確保したうえで、適切な対処法を実践することと、不安が消えてゆくまでの時間が必要です。時には抗不安薬を内服することも大事です。 重要なことは医者の安心ではなく、患者さん自身が納得して安心してもらう必要があります。 その安心できる時間が長く続くことが肝要です。一旦悪循環に入ってしまえば、そこから脱出するにはかなりの時間が必要だということをわかっていただければと思います。 また2節前に例示した病気でなければ、脳貧血を起こすたびに次は起こしにくくなっていくということです。 我慢して立っていたりするのは良くありません、前兆があればそれで訓練は終了、一旦うずくまってやり過ごしてくださいね。 それを何度か繰り返しているうちに、ゆっくりですが次第に脳貧血は起こりにくくなってきます。 自分の静脈の筋肉が強くなって適切に心臓に血液を戻すことができるようになります。そして不安は脳貧血を起こしやすくします。 不安も安心できる時間が続くと必ず良くなります。 なので脳貧血をこわがらないでください、周囲の健康そうな人もみな無意識に起こしている生理現象なのですから。

次は「目が回って、立ち上がれない」です。

小川聡先生のクリニックに遊びに行きました

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私が慶應大学でお世話になった恩師、小川聡先生が溜池山王の赤坂アークヒルズの向で開業されたので内覧会に行ってきました。 小川先生は日本の循環器に不整脈という分野を作られた方の一人です。 私も、小川先生の人柄に惹かれて、慶應の循環器内科にだいぶ長居をさせていただきました。小川先生は慶應の教授と、最近では国際医療福祉大学三田病院の院長をされておられましたが、そろそろご自身の患者さんをきちんと見たいとおっしゃられて開業されたようでした。 

場所は溜池山王から歩いて5分ぐらい、慶應で見ておられた患者さんもついていかれるようですが、不整脈の診療は私が申し上げるのはおこがましいですが、今の不整脈治療のとても公平な判断をされる先生ですし、畑違いの分野に関してはとにかく人脈がある方なので適切な医師をご紹介いただけるのではないかなと思います。不整脈のクリニックとしては、私とかち合うのですが、まあ私など比較にならないぐらい偉い先生ですので、私のところにいらっしゃる患者さんの層とは少し異なるかもしれませんね。 なので大丈夫かな、三好クリニック・・・。

中はとても広く、やはりいらっしゃる方のことを考えてとてもゴージャスな診察室でした。 小川先生のやる気を感じましたし、これなら今まで小川先生を頼って通院していらした患者さんも納得して通ってこられるのでは無いかなと思っています。
こちらが小川聡クリニックのURLです。 
http://ogawasatoshi-clinic.com

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重力に負ける人 1

患者さんを診察していて、時々病気ではないのだけれど、重力に負けてしまうという表現が的確な患者さんを拝見することがあります。一度重力に負けてしまうと、再び自力で立ち上がることができなくなり、その後ほとんど寝たきりになってしまうということでもあります。

体が大きくなりすぎて重力に負けてしまう
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皆さんの体重はどのぐらいが適正だと思われますか? おそらく、太っていることがその人のアイデンティティーになっている方もいらっしゃいますよね。 そうやって何十年も暮らしておられると、一念発起してダイエットして痩せてしまうと、「大丈夫ですか? どこかお体悪いのですか?」みたいに言われてしまう。 あとは仕事の上でのキャラクター作りとして太っておられる方もいらっしゃるでしょう。 体が大きい方はインパクトがありますし、すぐに覚えていただけます。 また宴席などで、大食家の人々はとても人気があって、飲食関係の仕事をしているとそういう体型になられる方も多いのではないかなと思います。そういう方々にとっては、肥満と言う要素は、何か自分の一つの大切な要素になっておられたりするのかもしれません。

肥満によって生じる可能性のある内臓への負担は、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、下肢静脈血栓症から生じる肺梗塞、睡眠時無呼吸症候群、内臓脂肪の増大による肺の圧迫などでしょうか・・・。 それと膝や腰などの骨格への負担もあります。 ある程度内臓のデータに影響が出ないうちは、私はあまり体重について強く申し上げることはしません。 その理由は外来という限られた時間の間に体重を減らすようにお話ししても、ほとんど効果がないからです。 何十年もやってきた生活のパターンを変えるのはとても大変です。 その大変なことを患者さんにやっていただくためには、患者さん自身が納得のいく理由や目標があること、そしてそれを貫き通す強い意志と目的を持つこと、そして周囲の人たちの協力が不可欠だと思います。 ただ骨格に問題が出始めるとそう悠長なことを言っていられなくなります。

大きな体重を支えるためには、強い骨格が必要になります。 骨は固く少しぐらい体重が増えたぐらいでは折れたりすることはありませんが、関節や軟骨などの動く部分はそうはいきません。体重が大きくなりすぎると、膝や、腰骨(脊椎骨)の軟骨が擦り切れ・変形して神経を圧迫したりして、強い痛みを生じます。 文明が生まれる以前なら、痛みで動けなくなった時点で、食料を確保できなくなり体重が減って結果的に関節への負担も減ったかもしれません。 しかし現代では、家からほとんど出なくても食料の確保は比較的容易です。 いったん痛みに負けて動かなくなってしまうと、その時間が暇になってしまい、手っ取り早い時間つぶしとして間食をしてしまうことも多くなります。 そうするとまた体重が増えてしまい、運動もできなくなるので、さらに体重が増えて、そういった悪循環の結局ほとんど寝たきりになってしまう場合があります。

ダイエットの方法はここでは記載しませんが、やはり骨格に痛みが出始めたら強い意思をもって食事制限をされたほうが良いでしょう。 そうしないといずれ重力に負けて寝たきりになってしましますから。

次は重力に負ける人、「怖くて立ち上がれない」です。

内科学会に参加してきました

今年の内科学会は有楽町東京フォーラムでした。 日曜日半日ほど参加してきました。 東京フォーラムA棟の最も大きなホールで、結構いっぱいはいってましたね。 皆さん内科のお医者さんなんだなと思うとなんだか不思議な気分です。 私の前に座った方は・・、競馬の新聞読んでましたね・・。 参加される大部分の先生方が、内科専門医、あるいは内科認定医の単位習得のために参加され、勉強と言うよりは認定更新のための単位を取るためなのでしょうね。 私もモチベーションも似たようなもので、参加するならちょっと話だけでも聞いておこうかなと思う程度です。 学会に来て競馬新聞読んでいる先生とあまり変わりは無いでしょうね・・。 今回はエピジェネティクスという題のシンポジウムだったのですが、ちょっと基礎研究的な話が多く、どちらかと言うと、医科学の進歩のお話だったです。 内容は結構面白かったです。 血糖値をコントロールするために、内臓がお互い自律神経を介して綿密な働きをしているといったお話や、アディポネクチンといって、コレステロール代謝に重要な働きをする因子の話等を拝聴してきました。 私はアディポネクチン少ないので、はやくそういった薬が出てくると良いなと思いながら、話を聞いていました。
アディポネクチンと言うのは、脂肪細胞から分泌される分子で、慶應の職員健康診断で研究目的で測定されていたので、自分のアディポネクチンが低いのは知っていたのですが、これが低いと悪玉コレステロールが高く、善玉コレステロールが低くなるのです。 残念ながら、保険でできる採血項目ではないので、来院されても当院では測定できませんのであしからず。 
じゃあ太っている人は脂肪細胞も大きく、アディポネクチンが分泌されて有利なのではないかと思われがちですが、脂肪細胞が脂肪を蓄えすぎて大きく膨れ上がってしまうと分泌されなくなってしまうようです。 つまり太っているとアディポネクチンは低下して、悪玉コレステロールは上がってしまいます。 要するに少し痩せなさいということらしいですね。 

カルテと腱鞘炎

カルテと言うと、多くの方が診療録を意味する言葉だとお解かりになるのではないでしょうか。それぐらい一般的な言葉になっているような気がします。もともと英語のカード(card)と同じ意味を持つドイツ語のkarteに基づいた外来語です。 医学用語にドイツ語が多いということについては、また別の機会にお話してみようと思います。 今日はカルテについて少し話してみたいと思います。

それまでの時代あまり大きな変化がなかったと思われるカルテは、この10年ほどの間に日本では電子化という大きな進歩がありました。

私はどちらかと言うと、古い紙カルテのほうが好きです。 それは紙カルテのほうが効率が良いからです。

「紙カルテの時代」
ドクターは、机に横向きに座りながら患者さんのほうに体を向けて患者さんの顔や様子を見ながら、患者さんのお話を聞き、片手を机の上に載せた状態で、診察していたりすることが多かったように思います。 血圧をはかっていて、左手がふさがっていても、右手が空いていれば手元を見なくてもカルテがかけたので、話を聞きながらでもスムーズに記録ができていました。

「電子カルテの時代」
カルテに記載をするには両手が必要です。 なので体はコンピューターの方向を向けたままコンピューターの画面を見ながら、チラチラと患者さんの様子を見ながらの診察になります。 入力が不慣れな先生だと、手元とコンピューターの画面を行ったり来たりしているうちに、患者さんの顔を一つも見ないうちに、診察が終了してしまうこともあります。 カルテを書きながらの会話だと、患者さんの会話もコンピューターに向けて話しているような感じになっちゃいますしね。 やはりアイコンタクトが極端に少なくなってしまうのが、電子カルテの問題点だなと思います。 そのうち、医者はゴーグルみたいなディスプレーとか使いながら、患者の顔を見ながら、カルテを目だけで追っかけて見て、音声認識でカルテを入力するようになるかもしれませんね・・。
今のところそういった兆候はないですが。 でも10年も仕事をしていたらそういう時代になるかもしれませんね。

ただそんな未来の話は置いておいて、今のところ私の切実な問題は、電子化することでキータイピングが多くなり、腱鞘炎寸前になってしまっていることでしょうか? 一日2〜3万近いキータイピングをしているみたいなので、早くキーボードを使わないで良い時代になってほしいものです。 医者をやめなければならないだろうきっかけの一つは腱鞘炎ですね。 今でもマックだと、ある程度正確な音声入力ができるので使えなくもないのですが、医学英語と混在した文章だとどうしてもうまく入力できなかったり、患者の前で、独り言を言っているような状態になるのがちょっと恥ずかしいですかね。

血圧は左手で測るほうがよいの? それとも右手?

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きっちりした先生に言わせると、血圧は右手で測定したほうが良いはずだとおっしゃられる先生がいらっしゃいます。 私も医学生の頃そのように教わった記憶があります。 患者さんの中にも「血圧測定するなら右手だ」と考えておられて、右手を出される方が時々いらっしゃいます。 私のクリニックでは患者さん側の左側に血圧計があるので、右手を出すためには上半身を90度ねじる不自然な姿勢になるのが少々困るところです。
私自身の考えは、血圧は、時々左や、時々右で測ってもらうのが良いと思っています。 そしてできればリラックスできる体勢で測ってもらうのが良いので、あまり体をねじらないで測るのが良いだろうなと内心思います。 前傾姿勢になるのは、腹筋や背筋に力がはいるのであまり好ましくないでしょう。 筋肉に力がはいるということは筋肉に血液を送り出すために血圧が少し上がり気味になります。 背もたれにきちんと背中を預けて、足は折りたたまずに、少し前に伸ばすような感じ、お行儀が悪いですが、電車の中であまり褒められない姿勢(足を通路に投げ出すのはエチケット違反ですね)、車の運転の時のような姿勢といったほうが良いでしょうか? で測定するのが良いでしょう。
右で測るべきたとおっしゃる先生の根拠は、右の腕につながっている動脈血管(右腕頭動脈)のほうが、心臓に近い大動脈から出ているからという理由や、左の腕に繋がる動脈(左腕動脈)と右の腕に繋がる動脈の間に、先天的にくびれがある(大動脈縮窄症)方がまれにおられて、くびれより心臓側で測定しないと正確な血圧が測定できないという理由を挙げられます。 しかし圧力が変化してしまうほどのくびれがある方は稀で、そういった方は小児期にすでに診断と治療されている方がほとんどです、私のクリニックにいらっしゃるほどの年齢になって初めてわかる方はかなり例外的です。 むしろ動脈硬化や動脈炎などで、右腕頭動脈や左腕動脈に狭窄ができることによって起こる血圧の左右差のほうが無視できない頻度であることが予測できます。なので左右どちらが正しい血圧かを重要視するよりも、まず左右差があるのかどうか、そしてその次にもしも左右に差があまりないのならば、一番リラックスできる体勢で測定できる血圧を測るほうが良いということになります。
左右差があるかどうかを確認するには、同時に2台の血圧計を左右の腕に巻き付けて測定するのがよいですが、それは少々やり過ぎでしょう。 簡単に測るのは、まず左で測定し、次に右で測定する。 血圧が20mmHg以上変化あるようならもう一度、左を測定し、次に右を測定してみて、同じような傾向があるか確認してみてください。 測定回数にしたがって常に下がってくるようなら、それは測定前の動作の余韻が解消されているだけで、前のほうの高い血圧はあまり意味がありませんが、何度繰り返しても常に、右が左よりも20mmHg以上高いようなら、やはり主治医の先生にご相談頂いたほうが良いでしょう。 ご家庭での皆さんの血圧測定がきっかけで、狭窄が見つかったりすることのほうが多いのです。
なので私の意見は、「血圧は時々腕を変えて測定してみてください。 いつもきまってどちらかの腕の血圧が20以上高いようなら、主治医に相談ください。」ですね。

心室細動

心拍数は、通常毎分50回から160回程度の収縮を行っています。 猛烈な運動をやったりすると180回近い収縮を伴うことがありますが、そういった運動を長時間続けることはできません。 心拍数が多くなるにつれて血液の流れも多くなり、運動で酸素がたくさん必要な体には有利です。 一心拍で打ち出すことができる血液の量はだいたい決まっているので、血液の流れは心拍数との掛け算になるからです。 しかし、毎分180回を超えると心臓に戻ってくる血液の量が追いつかず(大人の場合)、心臓が空打ちのような状態になり、さらに増えると心臓自身に酸素が行き渡らなくなり、筋肉が窒息し(虚血)心臓の動きは悪くなります。 その結果心拍数が増えても、血液の流れが増えずに頭打ちになります。 餅つきを想像してもらうと良いかもしれません。 餅つきのスピードが早くなると、餅がつき上がるのが早くなりますが、あまりにももちつきのスピードを上げてしまうと、間の手を入れることが難しくなり餅がうまくつけなくなりますね。 そういった限界の心拍のスピードがあるのです。 ただ正常のリズムを作っているペースメーカー細胞は通常毎分200回以上の心拍を打ち出すことはありませんので安心してください。
しかし心室細動あるいは多形性心室頻拍と呼ばれる不整脈は一分間に250回以上の心臓の収縮を起こします。あまりにも早過ぎる心臓の収縮のため、血圧が下がり、脳貧血を起こして意識を失うことがあります。 血圧が下がると酸素が十分行き渡らない心臓の筋肉の中で不整脈が安定化してもっともっと心拍数が増えたり、幾つもの収縮が同時に起こるようになり、不整脈から回復しにくくなります。 その状態が1〜2分以内に回復できなければ、そのまま死んでしまうことが多いです。

心室細動のきっかけは、心臓のしゃっくり(心室性期外収縮)のような収縮から始まることが多いです。 なのでそういった期外収縮が多い方は、細動を引き起こす可能性が多いと想像されています。 ならばそういった心室性期外収縮を止める薬が心室細動による突然死を予防するのではないかと期待された時期があったのですが、現実には薬はあまり良い効果が期待できませんでした。 なので、心室細動が起こりやすく、長時間それが持続しそうな患者さんには、植込み型除細動器という機械を植えこむことで、心臓突然死を予防することになります。
心室細動は長く続けば致命的な不整脈ですが、心臓の構造に異常がなければ、30秒以内に自然に回復してくることが多いです。 この場合の構造の異常とは、心臓の収縮力が低下するような心筋梗塞や心臓弁膜症であったり、心臓の筋肉の病気である肥大型心筋症や拡張型心筋症、不整脈源性右室異型性症候群・心臓サルコイドーシス・心臓アミロイドーシスなどが有名です。 こういった病気は心電図・心臓の超音波検査や採血などである程度判別することができますし、さらに心臓MRI検査や心筋シンチグラムやPET検査が必要な場合もあります。
もう少し具体的に言うと、安静時の心電図に異常がない患者さんですと、心臓の収縮力に異常があったり構造に異常があったりしなければ、基本的には命に関わるような危険な不整脈ではないと言われています。 ただし血縁者に若くして心臓で突然亡くなられた患者さんがおられたり、不整脈で失神(意識がなくなった)した経験があったりするようならば、無症状でももう少し念入りに経過を見たり、入院して検査をしたりしたほうが良い場合があります。 おわかりかもしれませんが、今まで失神したことがなくても、最初の心室細動で亡くなられる患者さんもいるはずで、そういった患者さんは事前に察知することはできないというジレンマを我々不整脈医は常に抱えていることを告白します。 ただその頻度はとてもとても少ないということと、あとは不整脈医の嗅覚に頼る部分で、なかなかそれを体系的に説明するのは難しいところでもあります。 申し訳ないです、そこは経験と勘というとても科学的ではない部分なのです。 不安があるようでしたら、不整脈の専門医にご相談ください。

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。 もう13日ですので、随分遅い挨拶になってしまいましたが、年末休みに予定していた患者さんが休み明けに集中していたのが一山こえて、ようやく一息させていただき、ホームページの更新をしております。 旧年中は大変皆様にはお世話になりました。 今年もよろしくおねがいします。
いつも12月頃、インフルエンザが流行りますが、今年は暖冬ということもあってか、まだあまり患者さんお見かけしませんね。 どちらかと言うと、熱がでなくて消化器症状だけあるといった患者さんが時々いらっしゃいます。 しかしここ数日とても寒くなってきていますので、皆様風邪にご注意ください。

三好クリニック(内科)
〜青山・表参道〜