カルテと腱鞘炎

カルテと言うと、多くの方が診療録を意味する言葉だとお解かりになるのではないでしょうか。それぐらい一般的な言葉になっているような気がします。もともと英語のカード(card)と同じ意味を持つドイツ語のkarteに基づいた外来語です。 医学用語にドイツ語が多いということについては、また別の機会にお話してみようと思います。 今日はカルテについて少し話してみたいと思います。

それまでの時代あまり大きな変化がなかったと思われるカルテは、この10年ほどの間に日本では電子化という大きな進歩がありました。

私はどちらかと言うと、古い紙カルテのほうが好きです。 それは紙カルテのほうが効率が良いからです。

「紙カルテの時代」
ドクターは、机に横向きに座りながら患者さんのほうに体を向けて患者さんの顔や様子を見ながら、患者さんのお話を聞き、片手を机の上に載せた状態で、診察していたりすることが多かったように思います。 血圧をはかっていて、左手がふさがっていても、右手が空いていれば手元を見なくてもカルテがかけたので、話を聞きながらでもスムーズに記録ができていました。

「電子カルテの時代」
カルテに記載をするには両手が必要です。 なので体はコンピューターの方向を向けたままコンピューターの画面を見ながら、チラチラと患者さんの様子を見ながらの診察になります。 入力が不慣れな先生だと、手元とコンピューターの画面を行ったり来たりしているうちに、患者さんの顔を一つも見ないうちに、診察が終了してしまうこともあります。 カルテを書きながらの会話だと、患者さんの会話もコンピューターに向けて話しているような感じになっちゃいますしね。 やはりアイコンタクトが極端に少なくなってしまうのが、電子カルテの問題点だなと思います。 そのうち、医者はゴーグルみたいなディスプレーとか使いながら、患者の顔を見ながら、カルテを目だけで追っかけて見て、音声認識でカルテを入力するようになるかもしれませんね・・。
今のところそういった兆候はないですが。 でも10年も仕事をしていたらそういう時代になるかもしれませんね。

ただそんな未来の話は置いておいて、今のところ私の切実な問題は、電子化することでキータイピングが多くなり、腱鞘炎寸前になってしまっていることでしょうか? 一日2〜3万近いキータイピングをしているみたいなので、早くキーボードを使わないで良い時代になってほしいものです。 医者をやめなければならないだろうきっかけの一つは腱鞘炎ですね。 今でもマックだと、ある程度正確な音声入力ができるので使えなくもないのですが、医学英語と混在した文章だとどうしてもうまく入力できなかったり、患者の前で、独り言を言っているような状態になるのがちょっと恥ずかしいですかね。
三好クリニック(内科)
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