コレステロール
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版
最近、テレビなどでnon HDLというお話聞きませんか? 恥ずかしながら私全くテレビ見ないので、よく知らなかったのですが、何名かの患者さんから伺って、気になって少し最近の現状を調べてみました。
こういった話題は、本来もう少しきちんと医者側へも、内科学会や循環器学会で話しが有っても良いものですが、私の勉強不足なのか、今年の循環器学会でもほとんどそういった話題が無く、患者さんの治療に適応して本当に大丈夫なのか、まだ私自身迷っていますが、今年中には患者さんへの治療に順次反映させるべきだろうなと思っています。 (学会とかで、自分自身で一度話を聞いてからにしようと思っていたのですが、なぜかあまりそういう機会が無いみたいで)
LDLコレステロールは悪玉コレステロールと言われています。 血液中に流れるコレステロールは、そのほかに善玉コレステロールといわれるHDLコレステロールと、中性脂肪をたくさん含んだ、脂肪の微粒子(カイロミクロン)に含まれるコレステロールがあり。 中性脂肪の質量のうち5分の1のコレステロールが存在すると考えられています。 non HDLとは、この悪玉コレステロールと、中性脂肪と関連したコレステロールの総量なのですね。
ただこちらは名前としては目新しいですが、いままでも日常診療で医者は普通に計算しながらやっていた部分でした。 しかし2012年度のガイドラインと大きく異なる部分があります。 前半はnon HDLとはなにか、 後半には新しいガイドラインが今までとどう違うかを説明してみたいと思います。
患者さんの採血を食事を抜いて検査をするべきか、それとも食事を取った状態で普通に採血するべきか、医者が何を観察したいかによって異なります。循環器や腎臓を専門にする先生方はどちらかというと、普通に食事してもらった状態で採血した方が、腎機能の採血データや、心機能の採血データが安定して正確に評価できるようになります。 30年前は、糖尿病についても、空腹時血糖値で評価していたので、空腹で来てくださいとお願いしていたと思いますが、最近は一ヶ月の平均血糖値を示すHbA1cの値で判断することが多いです。 患者さんによっては診察の1-2日前だけ、プチダイエットをされてくるという患者さんもおられたので、どちらかというと、随時空腹時血糖値よりもHbA1cのほうがその患者さん本来の1ヶ月間の食生活の状況が評価できるわけです。 悪玉コレステロール(LDLコレステロール)値もあまり直前の食事に影響を受けにくい値です。
その一方で糖尿病や脂質異常症(コレステロール)の治療をドクターは、採血時に空腹できてほしいと言うでしょう。 それは、血糖値と中性脂肪の値が直前の食事に大きく影響を受けてしまい、評価が難しくなるからなのです。 循環器内科のドクターの多くは、中性脂肪自体をそれほど重要視していないのですが、高すぎる場合、干渉してうまく測定できず、悪玉コレステロールの測定が見かけ上低く測定されてしまうという問題点があるために、当院でも中性脂肪は検査の妥当性を知るために採血することにしています。
non HDLコレステロールとはそういった中性脂肪が高すぎて、悪玉コレステロールの測定値が低く評価されてしまう患者さんのリスクもきちんと評価するためにあります。 動脈硬化を引き起こす新たな分子が見つかった訳ではありません。
我々診療を実践している医師にとって、このガイドラインの変化というのは、正直苦痛でもあります。 なぜなら、今まで、「このぐらいだったら大丈夫ですよ」と患者さんにお伝えしていたのに、ある日突然、「実は新しいガイドラインだとちゃんと薬飲んだ方が良いみたいだったんですよ」と患者さんにお伝えしなくてはならなくなるわけで、それは医者側はじゃあ今まではなんだったんだということと、あと5年したらまた変わるかもしれないガイドラインを押しつけて良いのかという点を考慮する必要があります。 患者さんにしても、今まで良いって言われたのに、なぜ今になってという戸惑いがありますし、人によっては、もう先行き短いのだからあまり処方をいじられたくないという気分になることもあるでしょう。
ただ、時代が変われば、薬が新しくなり、新しい測定方法ができ、それからの経験やデータをまた治療法に還元するというのは、医療が科学であることを考えると大事なことなのだとも思います。 我々臨床医は、患者さんに最新のベストの治療を届ける義務が有るわけで、そのためにも、きちんとガイドラインに沿った治療を説明し、説得し、同意が得られれば治療介入するという手順を取る必要があります。
では具体的に何が違うかというと、一つは今まで重点を置かれていた、悪玉コレステロールが善玉コレステロールの2倍以下あるいは1.5倍以下という善玉・悪玉比という考え方が陰を潜め、比率ではなく、悪玉コレステロールの値だけ、あるいは善玉コレステロール以外のコレステロールを評価しようという方向になっています。 つまり、今まで悪玉コレステロールがとても高いけれども、善玉コレステロールがとても高くて治療を行わなくても良いだろうと言われていた患者さんが、今回のガイドラインでは治療介入した方が良いだろうということに変わります。 私の外来の患者さんでも何名か該当すると思います。
大きな動脈硬化による病状の悪化のリスクを、きちんと定量的に評価して、悪くなりそうな人とそうで無い人に対する、コレステロール治療の目標値を変えています。 つまり危なそうな人にはきちんと厳格に治療し、そうで無い人へはそれなりに治療するということです。 その評価方法は年齢や性別、喫煙、血圧、糖尿病や耐糖能異常などを元に計算する必要があり、 慶應大学の外来診療ではちょっと計算する暇無かったと思います。 当院では、先日カルテの設定をいじって比較的簡単に計算できるようにしました。 ですので十分臨床の現場で患者さんへ反映できると思います。
この計算が煩雑なために、患者さんもわかりにくいし、医者の方も大変すぎて、なかなかこのガイドラインが定着しない原因の一つになっていると思います。
いままでコレステロールが高くても、「まだ若いし治療介入はもう少し待ってみよう」などと、実は私の外来でもいろいろさじ加減を加えていました。 今回のガイドラインに当てはめて、今までの治療を振り返ってみると、結構それなりに今のガイドラインに沿った治療をしていたことがわかりました。 ただ今までの私の指導だと、HDLがとても高い人への対応が少し緩かったり、血圧や糖尿病患者さんへの対応無かったり、やはり新しいガイドラインに変わっても今まで通りというわけでは無いようです。 ただ、今までさじ加減でやっていたことが、ある程度論理立てて判断できるようになった点はありがたいです。
これから外来で少しずつ、患者さんに説明申し上げますので、よろしくお願い致します。
これに合わせて、ホームページの高コレステロール血症の項目も新しいガイドラインに沿って書き直してあります。
こういった話題は、本来もう少しきちんと医者側へも、内科学会や循環器学会で話しが有っても良いものですが、私の勉強不足なのか、今年の循環器学会でもほとんどそういった話題が無く、患者さんの治療に適応して本当に大丈夫なのか、まだ私自身迷っていますが、今年中には患者さんへの治療に順次反映させるべきだろうなと思っています。 (学会とかで、自分自身で一度話を聞いてからにしようと思っていたのですが、なぜかあまりそういう機会が無いみたいで)
LDLコレステロールは悪玉コレステロールと言われています。 血液中に流れるコレステロールは、そのほかに善玉コレステロールといわれるHDLコレステロールと、中性脂肪をたくさん含んだ、脂肪の微粒子(カイロミクロン)に含まれるコレステロールがあり。 中性脂肪の質量のうち5分の1のコレステロールが存在すると考えられています。 non HDLとは、この悪玉コレステロールと、中性脂肪と関連したコレステロールの総量なのですね。
ただこちらは名前としては目新しいですが、いままでも日常診療で医者は普通に計算しながらやっていた部分でした。 しかし2012年度のガイドラインと大きく異なる部分があります。 前半はnon HDLとはなにか、 後半には新しいガイドラインが今までとどう違うかを説明してみたいと思います。
なぜnon HDLなのか?
採血データーと直前の食事
患者さんの採血を食事を抜いて検査をするべきか、それとも食事を取った状態で普通に採血するべきか、医者が何を観察したいかによって異なります。循環器や腎臓を専門にする先生方はどちらかというと、普通に食事してもらった状態で採血した方が、腎機能の採血データや、心機能の採血データが安定して正確に評価できるようになります。 30年前は、糖尿病についても、空腹時血糖値で評価していたので、空腹で来てくださいとお願いしていたと思いますが、最近は一ヶ月の平均血糖値を示すHbA1cの値で判断することが多いです。 患者さんによっては診察の1-2日前だけ、プチダイエットをされてくるという患者さんもおられたので、どちらかというと、随時空腹時血糖値よりもHbA1cのほうがその患者さん本来の1ヶ月間の食生活の状況が評価できるわけです。 悪玉コレステロール(LDLコレステロール)値もあまり直前の食事に影響を受けにくい値です。
その一方で糖尿病や脂質異常症(コレステロール)の治療をドクターは、採血時に空腹できてほしいと言うでしょう。 それは、血糖値と中性脂肪の値が直前の食事に大きく影響を受けてしまい、評価が難しくなるからなのです。 循環器内科のドクターの多くは、中性脂肪自体をそれほど重要視していないのですが、高すぎる場合、干渉してうまく測定できず、悪玉コレステロールの測定が見かけ上低く測定されてしまうという問題点があるために、当院でも中性脂肪は検査の妥当性を知るために採血することにしています。
non HDLコレステロールとはそういった中性脂肪が高すぎて、悪玉コレステロールの測定値が低く評価されてしまう患者さんのリスクもきちんと評価するためにあります。 動脈硬化を引き起こす新たな分子が見つかった訳ではありません。
新しいガイドラインで何が違うのか?
ガイドライン変更への戸惑い
我々診療を実践している医師にとって、このガイドラインの変化というのは、正直苦痛でもあります。 なぜなら、今まで、「このぐらいだったら大丈夫ですよ」と患者さんにお伝えしていたのに、ある日突然、「実は新しいガイドラインだとちゃんと薬飲んだ方が良いみたいだったんですよ」と患者さんにお伝えしなくてはならなくなるわけで、それは医者側はじゃあ今まではなんだったんだということと、あと5年したらまた変わるかもしれないガイドラインを押しつけて良いのかという点を考慮する必要があります。 患者さんにしても、今まで良いって言われたのに、なぜ今になってという戸惑いがありますし、人によっては、もう先行き短いのだからあまり処方をいじられたくないという気分になることもあるでしょう。
ただ、時代が変われば、薬が新しくなり、新しい測定方法ができ、それからの経験やデータをまた治療法に還元するというのは、医療が科学であることを考えると大事なことなのだとも思います。 我々臨床医は、患者さんに最新のベストの治療を届ける義務が有るわけで、そのためにも、きちんとガイドラインに沿った治療を説明し、説得し、同意が得られれば治療介入するという手順を取る必要があります。
大きく変わった点1
では具体的に何が違うかというと、一つは今まで重点を置かれていた、悪玉コレステロールが善玉コレステロールの2倍以下あるいは1.5倍以下という善玉・悪玉比という考え方が陰を潜め、比率ではなく、悪玉コレステロールの値だけ、あるいは善玉コレステロール以外のコレステロールを評価しようという方向になっています。 つまり、今まで悪玉コレステロールがとても高いけれども、善玉コレステロールがとても高くて治療を行わなくても良いだろうと言われていた患者さんが、今回のガイドラインでは治療介入した方が良いだろうということに変わります。 私の外来の患者さんでも何名か該当すると思います。
大きく変わった点2
大きな動脈硬化による病状の悪化のリスクを、きちんと定量的に評価して、悪くなりそうな人とそうで無い人に対する、コレステロール治療の目標値を変えています。 つまり危なそうな人にはきちんと厳格に治療し、そうで無い人へはそれなりに治療するということです。 その評価方法は年齢や性別、喫煙、血圧、糖尿病や耐糖能異常などを元に計算する必要があり、 慶應大学の外来診療ではちょっと計算する暇無かったと思います。 当院では、先日カルテの設定をいじって比較的簡単に計算できるようにしました。 ですので十分臨床の現場で患者さんへ反映できると思います。
この計算が煩雑なために、患者さんもわかりにくいし、医者の方も大変すぎて、なかなかこのガイドラインが定着しない原因の一つになっていると思います。
大きく変わった点3
いままでコレステロールが高くても、「まだ若いし治療介入はもう少し待ってみよう」などと、実は私の外来でもいろいろさじ加減を加えていました。 今回のガイドラインに当てはめて、今までの治療を振り返ってみると、結構それなりに今のガイドラインに沿った治療をしていたことがわかりました。 ただ今までの私の指導だと、HDLがとても高い人への対応が少し緩かったり、血圧や糖尿病患者さんへの対応無かったり、やはり新しいガイドラインに変わっても今まで通りというわけでは無いようです。 ただ、今までさじ加減でやっていたことが、ある程度論理立てて判断できるようになった点はありがたいです。
これから外来で少しずつ、患者さんに説明申し上げますので、よろしくお願い致します。
これに合わせて、ホームページの高コレステロール血症の項目も新しいガイドラインに沿って書き直してあります。
患者さんはなぜコレステロールを下げたくないと思うのか−2
前回の続きです。
どういう理由か解らないのですが、時々「コレステロールの治療をするとしわしわになる」とおっしゃる方がおられます。 なぜそう思われるのかよくわからないので私の見当はずれなのかもしれませんが、コレステロールが細胞膜を作っているからという理由なのかも知れません。 ただ肌のつやを作っているのは皮膚の下の細胞とは関係のないタンパクの組織で、コラーゲンの線維とそこを埋めるリンパ液が皮膚のハリやみずみずしさを作っています。 なのでコレステロールが多くても少なくても皮膚のツヤは変わりません。 ただコレステロールと一緒に油を摂取していると、その余剰の脂分が皮膚に汗と一緒に分泌されて皮膚がツヤツヤになるかもしれませんが・・。 コレステロールを沢山とって動脈硬化が進んでくると、むしろ皮膚の血管の閉塞も進んで、老けてゆくスピードが速くなるのではないかなと思われます。 あと食事制限だけで頑張ろうとする方も、栄養が偏っていたりするのかもしれません。
コレステロール値が低いと、ガンになりやすいのではないかという考え方があります。 医者が下げろというコレステロールを下げるとガンになるのではたまらないわけで、こういう話は読者の興味をひき話題になります。 そのため一般の方がそういう内容の話を目にする機会も少なくないでしょう。 しかし、コレステロール値が高い患者さんにコレステロールの治療をしたらガンが増えたということを示した研究結果は実は一つもありません。 ほとんどの研究結果が治療によって総合的に見て死亡率が減少することをしめしていて、この点について疑問をはさむ方は、おそらく後で示す「陰謀説」を信じている方だけでしょう。
その一方で、コレステロールが低い患者さんの経過を見ていたら、ガンで死ぬ人が多かったという研究結果は結構たくさんあり、低コレステロールと癌が関係があることはわかっています。 しかしそれを示している研究は原因と結果を特定することができないものばかりです。 具体的にいうと、「癌だからコレステロールが低い」のか、 「コレステロールが低いから癌になる」のかを決めることが出来ないのです。 少し話が難しくなりますが、それが統計学で、その詳細をここで説明はいたしません。 ではどうするかというと、どちらが原因であったのか読者の判断に任せられるのです。 ですのでこれは私の私見ですが、臨床で多くの患者さんの治療を経験してきた医師で、きちんと統計学を学び、原典をきちんと読んだ医者であれば、癌が栄養状態を悪くして、その結果コレステロールが低くなっていると考えるでしょう。 もちろん逆である可能性はゼロではありませんが、それが間違っているであろうという間接的な証拠はきちんと記載されています。 なのでもしも私が自分の命をかけるとするならば、癌に恐怖してコレステロールの治療を諦めるより、コレステロールをきちんと下げるほうに命をかけます。
100歳以上の超高齢者の研究をして行くと、そういった方々のコレステロール値が比較的高かったという報告があります。 なので長生きしたければ、コレステロールを高くて良いのだということを時々メディアで拝見したことがあります。 もしかしたら本当にそうかもしれません。 ただ、私は100歳まで生きたいとはちょっと思えませんが・・。
論理的に考えて「100歳以上の高齢者のコレステロール値が高い」という観察結果から、 「コレステロールが高いほど長生きできる」という結果は導き出せません。 その理由は、その方々が50歳-60歳ぐらいの年齢の時に、本当に悪玉コレステロール値が高かったか記載されていないからです。 50-60歳の時の悪玉コレステロール値が高い方が長生きされていたら、表題の結論で間違っていないでしょう。 しかし、100歳になれば、若い頃に比べてほとんど動かなくなり、体重も増えて、悪玉コレステロール値は自然と高くなってくることが予想されます。 そしてもう一つ、100歳以上の方を皆さんご覧になられたことありますか? 私は医者をしていて、拝見したことがあるのは1人だけです。 普通は一生のうちにお会いできない方の方が多いのではないでしょうか? これは申し上げにくいことですが、それぐらい珍しく、医学的には異常な方々です。 その異常な方々の例を、普通の我々にあてはめるのは間違っています。 そして最後に、100歳を超えておられる方々はどんなに長生きされたとしても10年で寿命を迎えます。 つまり10年しか生きていけない方々のデータを、40歳や50歳の方々のデータに当てはめてはいけないとおもいます。
ネットサーフィンをしていると、時々「薬屋が儲かるようにデータを操作しているのではないか」という論調のもの拝見することがあります。 陰謀に立ち向かうヒーロイズムは物語としては面白く、多くの読者の注目を集めるでしょう。 事実データのねつ造等が問題になって科学論文が取り下げられる事もあります。 人を疑い始めると際限なく疑うことができます。 しかし全ての科学論文の結果を疑ってしまうと、迷信や信仰に頼るしかなく、それは医療ではなくなってしまいます。 私も研究を行い論文を書く仕事をしていましたが、科学論文を自分に都合のよい結論にするのは困難です。 論文として出版されるまでに半年から1年以上の期間をかけて、審判をしてくれる複数の中立の科学者と議論をする必要があります。 その際、きちんとデータを提示する必要があり、この段階で不自然なデータ操作やあいまいな個人的な憶測や推測は全て排除されます。 また研究は多くの研究者が集まって研究を行う事が多く、お互いが不正を監視し合うようになります。 また研究は再現性が重視され、複数のグループが追試験をしても同じ結果が出る事が重要で、再現性の少ないデータを発表する研究者は学会では無視される傾向にあります。 また明らかにおかしな結果を出してくるグループがあっても、見る人が見るときちんとおかしい事が解ります。 陰謀もあるのかもしれませんが、それを実行するのは困難で、特に数多くの独立した研究グループの研究がほとんど同じ結果を出しているコレステロール治療の分野では、薬屋の陰謀論は考えにくいと私は考えます。
むしろ陰謀を考えるなら、一般雑誌や本等で、特にレフリー(審判)がいない状況で出版された文章のほうが怪しいはずです。 より本が売れるように、雑誌が売れるように、読者が求めている結論や、読者に印象に残りやすい結果を憶測や推測で記載してもよいわけで、そこにはなんの歯止めもないからです。 患者さんの中には、そういった本やインターネットでの情報を信じ、論文等に記載されたデータを陰謀だと言って信じられない方もおられて、少々外来診療で険悪な雰囲気になる事もあります。
自分の身に当てはめてみると、同じぐらい疑わしい結論が2つあると、自分にとって都合の良い結論に飛びつきやすい心理傾向があります。 そういった判断の多くは「そんなことはありえないから」という形で心の中で処理されることが多い気がします。 自分が死ぬなんてありえない、今まで大丈夫だったのだからこれから悪くなるなんてありえない、 薬屋の陰謀なんてありえないというのも一つなのでしょうね。 そして人間は、自分の経験や知識をもとにして、どちらがよりありえないのかを判断して、どちらかを選び行動することになります。 私は、患者さんと接してきた色々な経験や、科学論文や先人の知恵などを総合的に判断して、やはりコレステロールの治療は必要だと判断します。 医者は科学者です。 科学論文の中に何か間違った情報があったり、専門家の判断に誤りがあっても、ある程度それを信じて行動しなければ、迷信や信仰だけが行動原理であった古の時代に逆戻りしてしまうでしょう。 なので、私はやはり現在の高脂血症学会のガイドラインをきちんと守って治療を行うようにしています。 逆に極端な話をすれば、陰謀説を信じるのも悪くはないでしょう。 ただ患者様にはそれに「自分の命」や「人生」を賭けているという覚悟があるかどうかが問題なのだとおもいます。
8、老化する
どういう理由か解らないのですが、時々「コレステロールの治療をするとしわしわになる」とおっしゃる方がおられます。 なぜそう思われるのかよくわからないので私の見当はずれなのかもしれませんが、コレステロールが細胞膜を作っているからという理由なのかも知れません。 ただ肌のつやを作っているのは皮膚の下の細胞とは関係のないタンパクの組織で、コラーゲンの線維とそこを埋めるリンパ液が皮膚のハリやみずみずしさを作っています。 なのでコレステロールが多くても少なくても皮膚のツヤは変わりません。 ただコレステロールと一緒に油を摂取していると、その余剰の脂分が皮膚に汗と一緒に分泌されて皮膚がツヤツヤになるかもしれませんが・・。 コレステロールを沢山とって動脈硬化が進んでくると、むしろ皮膚の血管の閉塞も進んで、老けてゆくスピードが速くなるのではないかなと思われます。 あと食事制限だけで頑張ろうとする方も、栄養が偏っていたりするのかもしれません。
9、ガンになる
コレステロール値が低いと、ガンになりやすいのではないかという考え方があります。 医者が下げろというコレステロールを下げるとガンになるのではたまらないわけで、こういう話は読者の興味をひき話題になります。 そのため一般の方がそういう内容の話を目にする機会も少なくないでしょう。 しかし、コレステロール値が高い患者さんにコレステロールの治療をしたらガンが増えたということを示した研究結果は実は一つもありません。 ほとんどの研究結果が治療によって総合的に見て死亡率が減少することをしめしていて、この点について疑問をはさむ方は、おそらく後で示す「陰謀説」を信じている方だけでしょう。
その一方で、コレステロールが低い患者さんの経過を見ていたら、ガンで死ぬ人が多かったという研究結果は結構たくさんあり、低コレステロールと癌が関係があることはわかっています。 しかしそれを示している研究は原因と結果を特定することができないものばかりです。 具体的にいうと、「癌だからコレステロールが低い」のか、 「コレステロールが低いから癌になる」のかを決めることが出来ないのです。 少し話が難しくなりますが、それが統計学で、その詳細をここで説明はいたしません。 ではどうするかというと、どちらが原因であったのか読者の判断に任せられるのです。 ですのでこれは私の私見ですが、臨床で多くの患者さんの治療を経験してきた医師で、きちんと統計学を学び、原典をきちんと読んだ医者であれば、癌が栄養状態を悪くして、その結果コレステロールが低くなっていると考えるでしょう。 もちろん逆である可能性はゼロではありませんが、それが間違っているであろうという間接的な証拠はきちんと記載されています。 なのでもしも私が自分の命をかけるとするならば、癌に恐怖してコレステロールの治療を諦めるより、コレステロールをきちんと下げるほうに命をかけます。
10、コレステロールが高いほど長生きできると聞いたから
100歳以上の超高齢者の研究をして行くと、そういった方々のコレステロール値が比較的高かったという報告があります。 なので長生きしたければ、コレステロールを高くて良いのだということを時々メディアで拝見したことがあります。 もしかしたら本当にそうかもしれません。 ただ、私は100歳まで生きたいとはちょっと思えませんが・・。
論理的に考えて「100歳以上の高齢者のコレステロール値が高い」という観察結果から、 「コレステロールが高いほど長生きできる」という結果は導き出せません。 その理由は、その方々が50歳-60歳ぐらいの年齢の時に、本当に悪玉コレステロール値が高かったか記載されていないからです。 50-60歳の時の悪玉コレステロール値が高い方が長生きされていたら、表題の結論で間違っていないでしょう。 しかし、100歳になれば、若い頃に比べてほとんど動かなくなり、体重も増えて、悪玉コレステロール値は自然と高くなってくることが予想されます。 そしてもう一つ、100歳以上の方を皆さんご覧になられたことありますか? 私は医者をしていて、拝見したことがあるのは1人だけです。 普通は一生のうちにお会いできない方の方が多いのではないでしょうか? これは申し上げにくいことですが、それぐらい珍しく、医学的には異常な方々です。 その異常な方々の例を、普通の我々にあてはめるのは間違っています。 そして最後に、100歳を超えておられる方々はどんなに長生きされたとしても10年で寿命を迎えます。 つまり10年しか生きていけない方々のデータを、40歳や50歳の方々のデータに当てはめてはいけないとおもいます。
11、薬屋の陰謀だから
ネットサーフィンをしていると、時々「薬屋が儲かるようにデータを操作しているのではないか」という論調のもの拝見することがあります。 陰謀に立ち向かうヒーロイズムは物語としては面白く、多くの読者の注目を集めるでしょう。 事実データのねつ造等が問題になって科学論文が取り下げられる事もあります。 人を疑い始めると際限なく疑うことができます。 しかし全ての科学論文の結果を疑ってしまうと、迷信や信仰に頼るしかなく、それは医療ではなくなってしまいます。 私も研究を行い論文を書く仕事をしていましたが、科学論文を自分に都合のよい結論にするのは困難です。 論文として出版されるまでに半年から1年以上の期間をかけて、審判をしてくれる複数の中立の科学者と議論をする必要があります。 その際、きちんとデータを提示する必要があり、この段階で不自然なデータ操作やあいまいな個人的な憶測や推測は全て排除されます。 また研究は多くの研究者が集まって研究を行う事が多く、お互いが不正を監視し合うようになります。 また研究は再現性が重視され、複数のグループが追試験をしても同じ結果が出る事が重要で、再現性の少ないデータを発表する研究者は学会では無視される傾向にあります。 また明らかにおかしな結果を出してくるグループがあっても、見る人が見るときちんとおかしい事が解ります。 陰謀もあるのかもしれませんが、それを実行するのは困難で、特に数多くの独立した研究グループの研究がほとんど同じ結果を出しているコレステロール治療の分野では、薬屋の陰謀論は考えにくいと私は考えます。
むしろ陰謀を考えるなら、一般雑誌や本等で、特にレフリー(審判)がいない状況で出版された文章のほうが怪しいはずです。 より本が売れるように、雑誌が売れるように、読者が求めている結論や、読者に印象に残りやすい結果を憶測や推測で記載してもよいわけで、そこにはなんの歯止めもないからです。 患者さんの中には、そういった本やインターネットでの情報を信じ、論文等に記載されたデータを陰謀だと言って信じられない方もおられて、少々外来診療で険悪な雰囲気になる事もあります。
自分の身に当てはめてみると、同じぐらい疑わしい結論が2つあると、自分にとって都合の良い結論に飛びつきやすい心理傾向があります。 そういった判断の多くは「そんなことはありえないから」という形で心の中で処理されることが多い気がします。 自分が死ぬなんてありえない、今まで大丈夫だったのだからこれから悪くなるなんてありえない、 薬屋の陰謀なんてありえないというのも一つなのでしょうね。 そして人間は、自分の経験や知識をもとにして、どちらがよりありえないのかを判断して、どちらかを選び行動することになります。 私は、患者さんと接してきた色々な経験や、科学論文や先人の知恵などを総合的に判断して、やはりコレステロールの治療は必要だと判断します。 医者は科学者です。 科学論文の中に何か間違った情報があったり、専門家の判断に誤りがあっても、ある程度それを信じて行動しなければ、迷信や信仰だけが行動原理であった古の時代に逆戻りしてしまうでしょう。 なので、私はやはり現在の高脂血症学会のガイドラインをきちんと守って治療を行うようにしています。 逆に極端な話をすれば、陰謀説を信じるのも悪くはないでしょう。 ただ患者様にはそれに「自分の命」や「人生」を賭けているという覚悟があるかどうかが問題なのだとおもいます。
患者さんはなぜコレステロールを下げたくないと思うのか−1
コレステロールの高い患者さんとお話ししていて感じるのは、一部の患者さんの中に強く治療に抵抗される患者さんがおられることです。 そういう方々のなぜ治療をされたくないかという理由を分類してみましょう。
おそらく、コレステロールが高いといけないことがわかっていても、今なにも体調が悪くないので、治療をされたくないという方が圧倒的に多いのではないでしょうか? これは医者の独断で要約すると、「将来のいつ頃に、どのような病気になって、どのぐらい不自由されるのか」ということを患者さんがきちんと想像できないのかなと思われます。
例えば、「将来心筋梗塞や脳梗塞で死ぬかもしれない」というような、漠然としたイメージではなく、「50歳で脳梗塞になり半身が動かなくなる。 左足が全く動かなくなりツッパリ、左手も動かなくなる。 杖をついてゆっくりと動ける程度で、階段の昇降は一人ではできなくなる。 言葉も、片言で、「ウー」とか「アー」としか言えなくなり、トイレにも一人で行けず、紙おむつが必要になる。 今まで勤めていた会社をやめなくてはならなくなり収入が激減、住宅ローンも10年残っていて、住み慣れた家を処分して、出ていかなくてはならなくなり・・・。 その状態が20年30年続くとしたらどうでしょうか?」 といった現実的なイメージを持てるかどうかも、治療をきちんと受ける動機になります。 実際にそういった患者さんが周囲におられたり、身内にいらっしゃると、よりリアルに想像出来るのでしょうね。 今はなにも不自由されておられないかもしれませんが、周りの方々より明らかに早く、脳梗塞や心筋梗塞で不自由な生活を強いられることになります。 10年20年後の自分のために、ぜひコレステロールは適正な値にコントロールしたほうがよろしいでしょう。
薬のような人工物を取るのは自然じゃないし、自然じゃないことは体に良くないだろうと思っておられる方多いのではないでしょうか? ただそういう方々の多くは根本的な事を見落としています。 それは食事です。 先進国での人間の生活は、人間以外の野生の動物と比べると大きく逸脱しています。 特に食事は異常で不自然です。 カロリーの高いもの、砂糖や卵、肉などを、何不自由なく食べて暮らせて、そして、下手をしたらほとんど外出することもなく生活することができるような環境。 これは野生ではあり得ない環境です。 自然な環境で生存している野生動物の悪玉コレステロールの値は 35-70 mg/dlと言います。 これは人間の赤ん坊の悪玉コレステロール値と同じぐらいです。 そしてこれは我々人間の悪玉コレステロールの目標値 140mg/dl以下よりかなり極端に低い値です。 もし本気で自然を追求するのでしたら、まずは食生活を見直べきでしょう。 だた本当に、35-70 mg/dlぐらいの値の患者さんがいらしたら、ほとんどの医者は「ちゃんと食事してますか? 何か病気なんじゃないですか?」と心配になってしまうぐらいの低い値です。 それぐらい野生の動物は過酷な生活をしているわけで、そこまでする必要はないのではないかなと思います。
「自然なほうが良い」と考えておられる方の多くは、自分なりの現状が「自然」で、その自然を変えたくないということなのではないかなと思われます。 薬のように今まで飲んだことがないものを飲みたくないという気持ちはわかりますが、皆さんが日常食べられている食事もそう大した変わりはないのではないかなと、私は個人的におもいます。 普通にみなさんが口にされている食品には、合成着色料・合成甘味料、いろいろなものが入っています。にわとりの卵ですら、黄身を鮮やかにするために親鳥の飼料に色素を加えている時代ですから・・・。 それなら安全性をしっかり検査された薬を内服するのもあまり変わらないのでは無いかなと思ったりします。
ご高齢の患者さんや、親しい人と死別してしまっているような患者さんの中には、もうあまり生きることに執着しておられない方もいらっしゃいます。 そういう患者さんのなかには、お薬を飲んでまで長く生きたくないと思っておられる患者さんもおられます。
この気持ちは解りますね。 そういう患者さんには、生活習慣の改善をしていただく事で対応する事があります。 しかし、無理をしても長続きしませんので、長く続ける事が出来る習慣をおすすめしています。 遺伝的に、体質的に高くなっておられる方もおられて、生活習慣だけではコントロール出来ない患者さんもいらっしゃいます。 その場合やはりお薬の内服をお勧めします。 しかしそういった患者さんの中でも、なかなか説明しても薬を飲む事を嫌がられる患者さんもいらっしゃいます。 そういう方々にはやはり薬を飲まないと若死する病気だとご自身の病気を理解していただく必要があります。 薬を飲まないと周囲の方より早く死ぬのだということを考えると、薬を飲んだほうが勝ちのような気がします。
コレステロールの薬の副作用として、肝機能障害と横紋筋融解症といって、筋肉がダメージを受ける事があります。 ただし、こういった副作用は最近の薬では珍しくなりつつあります。 特に治療薬の使用可能な上限ギリギリの量を使っている場合に見られやすく、そのような量の治療薬は、一般的な生活習慣病の患者さんではほとんど使いません。 時々患者さんの中には、「内服中に筋肉が痛くなったから飲むのをやめました。」 とおっしゃる方もいらっしゃいますが、よくお話を聞くと、前日にゴルフをしたとか、子供の運動会にでたとか、慣れない畑仕事をしたとか、「それは普通の筋肉痛なんじゃないかな・・・。」と思うようなことでやめてしまわれて、その後どんなに説得しても飲まないとおっしゃられる方もいらっしゃいます。 筋肉の副作用、横紋筋融解症はとても有名ではありますが、最近のお薬では少ない薬の量で良いコントロールを得られるので、ほとんど見られません。 やはりきちんと、主治医に相談して、薬の副作用かどうか採血を行ってからやめられた方が良いでしょう。 副作用かどうかあやふやな状態でやめてしまうと、もう一度お薬を始めるときもきっと恐ろしくなるでしょうし、やはり冷静にきちんと対応していた方が患者さんにとってよろしいかと思います。
そういった派手な副作用以外にも、怠くなる、やる気がなくなる、鬱の症状が強くなる、下痢になる、といった理由でお薬が飲めない患者さんもおられます。 その場合、コレステロールが高い事によるリスクを承知の上でお薬を中止する事もあります。 また薬の系統を変えるとそういった副作用が見られないこともありますので、きちんと主治医に相談されるのが良いでしょう。 時々患者さんの中で、主治医に気をつかって、薬をもらうけど、飲まずに捨てていたりする患者さんもいらっしゃるようです。 それはお金の無駄でもありますので、きちんと相談されることをお勧めします。 しかし、医者の中には、「だるいぐらいなんだ! 命のほうが大事だろう!」って怒り出したり医者もいますね・・。 そんな時はちょっとお医者さん変えてみたりする方が良いかもしれません。 お薬を飲んでもらうのは命令ではないです。 時には寿命が短くなることよりも副作用のほうが辛いという場合もありますので、そこのところをきちんと医者から説明をうけて、理解した上でお薬をやめるという選択肢もあります。
コレステロールの多い食生活や、食事全体の量を見直す事はとても重要です。 しかし、一時コレステロールを下げるために「それじゃあ続けられないんじゃないかな・・・」と思う様な極端な食事制限をされる方が時々おられます。 確かに一回は目標を達成出来ても、 それが続かないようならあまり意味が無いです。 また、採血の直前だけ、データーが少しでもよくなるようにと油分を取らないでいらっしゃったりする方もおられます。 コレステロール値は学校の試験の採点ではないので、今の患者さんの現状を知ることが重要です。 無理ない範囲での生活習慣の変化でコレステロール値が下がってくれるようなら、お薬は飲まなくても良いでしょうが、そのままの生活を一生続ける事が我慢できないのであれば、薬を飲んだほうがより健全なのではないかなと思います。
前回のコレステロールの役割でも話した様に、コレステロールは体に必要です。 なので「どんどん摂取して良いんですよね」という風に考えておられる方もおられます。 しかし、ほとんどの日本人にとって、コレステロールは不要なほど十分すぎるほどあるというのが現状です。 野生動物の悪玉コレステロールが35-70 mg/dlであっても、十分健康に生活している訳で、それだけあれば本当は十分、140mg/dl以上あるのは多すぎです。 どんな良薬も量が多すぎれば毒になります。 適切なコレステロール量を維持する事が大事なのです。
続きはまた次回
1、 今、特に不自由していないから
おそらく、コレステロールが高いといけないことがわかっていても、今なにも体調が悪くないので、治療をされたくないという方が圧倒的に多いのではないでしょうか? これは医者の独断で要約すると、「将来のいつ頃に、どのような病気になって、どのぐらい不自由されるのか」ということを患者さんがきちんと想像できないのかなと思われます。
例えば、「将来心筋梗塞や脳梗塞で死ぬかもしれない」というような、漠然としたイメージではなく、「50歳で脳梗塞になり半身が動かなくなる。 左足が全く動かなくなりツッパリ、左手も動かなくなる。 杖をついてゆっくりと動ける程度で、階段の昇降は一人ではできなくなる。 言葉も、片言で、「ウー」とか「アー」としか言えなくなり、トイレにも一人で行けず、紙おむつが必要になる。 今まで勤めていた会社をやめなくてはならなくなり収入が激減、住宅ローンも10年残っていて、住み慣れた家を処分して、出ていかなくてはならなくなり・・・。 その状態が20年30年続くとしたらどうでしょうか?」 といった現実的なイメージを持てるかどうかも、治療をきちんと受ける動機になります。 実際にそういった患者さんが周囲におられたり、身内にいらっしゃると、よりリアルに想像出来るのでしょうね。 今はなにも不自由されておられないかもしれませんが、周りの方々より明らかに早く、脳梗塞や心筋梗塞で不自由な生活を強いられることになります。 10年20年後の自分のために、ぜひコレステロールは適正な値にコントロールしたほうがよろしいでしょう。
2、自然のままでいいじゃないか
薬のような人工物を取るのは自然じゃないし、自然じゃないことは体に良くないだろうと思っておられる方多いのではないでしょうか? ただそういう方々の多くは根本的な事を見落としています。 それは食事です。 先進国での人間の生活は、人間以外の野生の動物と比べると大きく逸脱しています。 特に食事は異常で不自然です。 カロリーの高いもの、砂糖や卵、肉などを、何不自由なく食べて暮らせて、そして、下手をしたらほとんど外出することもなく生活することができるような環境。 これは野生ではあり得ない環境です。 自然な環境で生存している野生動物の悪玉コレステロールの値は 35-70 mg/dlと言います。 これは人間の赤ん坊の悪玉コレステロール値と同じぐらいです。 そしてこれは我々人間の悪玉コレステロールの目標値 140mg/dl以下よりかなり極端に低い値です。 もし本気で自然を追求するのでしたら、まずは食生活を見直べきでしょう。 だた本当に、35-70 mg/dlぐらいの値の患者さんがいらしたら、ほとんどの医者は「ちゃんと食事してますか? 何か病気なんじゃないですか?」と心配になってしまうぐらいの低い値です。 それぐらい野生の動物は過酷な生活をしているわけで、そこまでする必要はないのではないかなと思います。
「自然なほうが良い」と考えておられる方の多くは、自分なりの現状が「自然」で、その自然を変えたくないということなのではないかなと思われます。 薬のように今まで飲んだことがないものを飲みたくないという気持ちはわかりますが、皆さんが日常食べられている食事もそう大した変わりはないのではないかなと、私は個人的におもいます。 普通にみなさんが口にされている食品には、合成着色料・合成甘味料、いろいろなものが入っています。にわとりの卵ですら、黄身を鮮やかにするために親鳥の飼料に色素を加えている時代ですから・・・。 それなら安全性をしっかり検査された薬を内服するのもあまり変わらないのでは無いかなと思ったりします。
3、もうあまり生きることに執着していない
ご高齢の患者さんや、親しい人と死別してしまっているような患者さんの中には、もうあまり生きることに執着しておられない方もいらっしゃいます。 そういう患者さんのなかには、お薬を飲んでまで長く生きたくないと思っておられる患者さんもおられます。
4、飲むと負けたような気になる。 病院につながれているようで嫌
この気持ちは解りますね。 そういう患者さんには、生活習慣の改善をしていただく事で対応する事があります。 しかし、無理をしても長続きしませんので、長く続ける事が出来る習慣をおすすめしています。 遺伝的に、体質的に高くなっておられる方もおられて、生活習慣だけではコントロール出来ない患者さんもいらっしゃいます。 その場合やはりお薬の内服をお勧めします。 しかしそういった患者さんの中でも、なかなか説明しても薬を飲む事を嫌がられる患者さんもいらっしゃいます。 そういう方々にはやはり薬を飲まないと若死する病気だとご自身の病気を理解していただく必要があります。 薬を飲まないと周囲の方より早く死ぬのだということを考えると、薬を飲んだほうが勝ちのような気がします。
5、実際に飲むと、調子が悪くなるので飲まない
コレステロールの薬の副作用として、肝機能障害と横紋筋融解症といって、筋肉がダメージを受ける事があります。 ただし、こういった副作用は最近の薬では珍しくなりつつあります。 特に治療薬の使用可能な上限ギリギリの量を使っている場合に見られやすく、そのような量の治療薬は、一般的な生活習慣病の患者さんではほとんど使いません。 時々患者さんの中には、「内服中に筋肉が痛くなったから飲むのをやめました。」 とおっしゃる方もいらっしゃいますが、よくお話を聞くと、前日にゴルフをしたとか、子供の運動会にでたとか、慣れない畑仕事をしたとか、「それは普通の筋肉痛なんじゃないかな・・・。」と思うようなことでやめてしまわれて、その後どんなに説得しても飲まないとおっしゃられる方もいらっしゃいます。 筋肉の副作用、横紋筋融解症はとても有名ではありますが、最近のお薬では少ない薬の量で良いコントロールを得られるので、ほとんど見られません。 やはりきちんと、主治医に相談して、薬の副作用かどうか採血を行ってからやめられた方が良いでしょう。 副作用かどうかあやふやな状態でやめてしまうと、もう一度お薬を始めるときもきっと恐ろしくなるでしょうし、やはり冷静にきちんと対応していた方が患者さんにとってよろしいかと思います。
そういった派手な副作用以外にも、怠くなる、やる気がなくなる、鬱の症状が強くなる、下痢になる、といった理由でお薬が飲めない患者さんもおられます。 その場合、コレステロールが高い事によるリスクを承知の上でお薬を中止する事もあります。 また薬の系統を変えるとそういった副作用が見られないこともありますので、きちんと主治医に相談されるのが良いでしょう。 時々患者さんの中で、主治医に気をつかって、薬をもらうけど、飲まずに捨てていたりする患者さんもいらっしゃるようです。 それはお金の無駄でもありますので、きちんと相談されることをお勧めします。 しかし、医者の中には、「だるいぐらいなんだ! 命のほうが大事だろう!」って怒り出したり医者もいますね・・。 そんな時はちょっとお医者さん変えてみたりする方が良いかもしれません。 お薬を飲んでもらうのは命令ではないです。 時には寿命が短くなることよりも副作用のほうが辛いという場合もありますので、そこのところをきちんと医者から説明をうけて、理解した上でお薬をやめるという選択肢もあります。
6、なんとか食事療法だけでやりたい
コレステロールの多い食生活や、食事全体の量を見直す事はとても重要です。 しかし、一時コレステロールを下げるために「それじゃあ続けられないんじゃないかな・・・」と思う様な極端な食事制限をされる方が時々おられます。 確かに一回は目標を達成出来ても、 それが続かないようならあまり意味が無いです。 また、採血の直前だけ、データーが少しでもよくなるようにと油分を取らないでいらっしゃったりする方もおられます。 コレステロール値は学校の試験の採点ではないので、今の患者さんの現状を知ることが重要です。 無理ない範囲での生活習慣の変化でコレステロール値が下がってくれるようなら、お薬は飲まなくても良いでしょうが、そのままの生活を一生続ける事が我慢できないのであれば、薬を飲んだほうがより健全なのではないかなと思います。
7、コレステロールは体に必要なものなんでしょう
前回のコレステロールの役割でも話した様に、コレステロールは体に必要です。 なので「どんどん摂取して良いんですよね」という風に考えておられる方もおられます。 しかし、ほとんどの日本人にとって、コレステロールは不要なほど十分すぎるほどあるというのが現状です。 野生動物の悪玉コレステロールが35-70 mg/dlであっても、十分健康に生活している訳で、それだけあれば本当は十分、140mg/dl以上あるのは多すぎです。 どんな良薬も量が多すぎれば毒になります。 適切なコレステロール量を維持する事が大事なのです。
続きはまた次回
コレステロールは下げた方がよいのか? 下げない方がよいのか?2
コレステロールの役割
コレステロールは体を構成する重要な要素です。しかし多すぎるのが良くないのは確かです。
コレステロールは細胞の膜を構成する要素の一つです。
動物の細胞は細胞膜という膜に囲まれています。 コレステロールはその膜に一定量含まれています。 最も多く含まれる臓器は脳や神経です。 細胞膜とはちょうどシャボン玉を想像してもらうと良いでしょう。 ちょうどシャボン玉の表面の模様が少しずつ動いているように、細胞膜も少しずつ動いています。 コレステロールが細胞膜に含まれるとこの動き(流動性)が変化するようですが、あまり一定の見解はないようです。 コレステロール以外の分子も似た様な作用を持つ事から、コレステロールが絶対になくてはならないと言う訳では無いようです。
コレステロールはホルモンの原型になります。
コレステロールは性ホルモンやステロイドホルモン、ビタミンDの原料になります。 生殖器や副腎などで、コレステロールはホルモンの原料になります。 しかしこれらホルモンに必要なコレステロールの量はかなり少なく、コレステロールが増えたからといって、こう言ったホルモンの量が増えるわけではありません。
コレステロールは消化に必要です
脂肪の消化に重要な働きをしています。 コレステロールは胆汁酸といって胆嚢から分泌される消化液の原料にもなっています。 胆汁には胆汁酸とその原料になっているコレステロールが含まれています。 そして十二指腸に分泌されたコレステロールの90%は、もう一度小腸で再吸収されます。 こうして腸に出しては再吸収を繰り返しているコレステロールの量は、ほぼ血液中に含まれているコレステロールと同じ位だと言われています。 ですので下痢が続いたり、植物繊維を多く含む食事をすると、腸の中での循環の環が途切れて体外に排泄される量が多くなります。
コレステロールはどこから来るのか
コレステロールは肝臓で作られます。 全体のほぼ5割から7割が肝臓で作られると言いますので、食生活の注意だけでは血液中の悪玉コレステロールを下げる事は難しいですが、鶏卵、牛肉・豚肉等の動物性脂肪(レバーにも)に圧倒的に多く含まれているので、それらを取らない様にするだけである程度下がります。 これは私の経験ですが、毎日鶏卵1個を食べていた際に150-160位あった悪玉コレステロールが、鶏卵取るのをやめるだけで120近くまで下がったりしました。 ですので、食事制限はとても大事です。 しかし肝臓で作られるコレステロールも多く生活習慣の改善だけではコントロールが付かない患者さんも多いです。
悪玉と善玉の違い
血液中には悪玉コレステロール(LDLコレステロール)と、善玉コレステロール(HDLコレステロール)が流れています。 誤解を恐れず簡単に申し上げると、悪玉は肝臓から体の各部分(血管の壁など)へコレステロールを送り出すためのもので、善玉は体の各部分で不要になったコレステロールを肝臓に呼び戻すためのコレステロールだと思ってください。 コレステロールが高くて、最も問題になるのは、血管の壁等に過剰なコレステロールが蓄積してしまうことがきっかけになっておこる、動脈硬化、そして動脈が詰まってしまう現象です。 ですので体の各部分に余分なコレステロールを送らない、そして余分なコレステロールを肝臓に戻す、つまりそれを防ぐには悪玉を下げて、善玉を上げると良い訳です。
コレステロールの低い方の特徴
ここからは医者としての個人的な経験のお話です。 血液中のコレステロール濃度は、その方の肝臓の機能や栄養状態を示している事が多いです。 慢性の感染症でやせ細ってしまっている人や、癌や大手術等で体力を奪われている患者さんや、食事をきちんととれなくなってしまっている様な患者さんの採血のコレステロール値はかなり低いです。 また慢性的に下痢が続いている様な患者さんも低い方が多いです。 また菜食主義者や動物性脂肪をおもに魚類から取られるかたもコレステロールは低いです。 これは魚類や野菜に含まれるコレステロールと似た構造をした物質が含まれていて、これがコレステロールのふりをしてコレステロールの再吸収をブロックします。 そのため、魚や野菜を取る事でコレステロールの濃度が下がります。
コレステロールの高い方の特徴
コレステロールの高い方の特徴は、食事に豚肉や牛肉、そして、鶏卵等のコレステロールが多い食品を好んで食べる方や、脂ぎっている人(すいません俗っぽい表現で)が多い気がします。 若い方は珍しく年齢が40台以降の患者さんが多い気がします。 体重は肥満気味の方に多い気がしますが、痩せている方でも、悪玉コレステロールが異常に高い方がおられます。 特に家族にコレステロールが高い方にコレステロールが高いことが多く、こういった患者さんの中には、悪玉コレステロール(LDL)を壊す機構が極端に低下している方がおられる様です。 またどちらかというと、運動不足で便秘気味の患者さんにコレステロールが高いように思います。 特に90歳近い高齢者で、足腰が不自由になっておられてほとんど動かれたりする事が無い様な患者さんで、病院に来院できるぐらい栄養状態の良い方はコレステロールが高いように感じます。 運動量の低下とともに、恐らく、腸の蠕動運動が低下して便秘気味となり、コレステロールの小腸での再吸収の効率が良くなりすぎているのかもしれません。
コレステロールは下げた方がよいのか? 下げない方がよいのか?1
結論から言うと、私は、コレステロール治療の専門家ではないので、高脂血症学会の定めるガイドラインに従って治療する事にしています。 つまり適正な値にコントロールした方が良いと思います。下げないで放置するより、きちんと下げた方が良いだろうと考えています。
下げない方が良いだろうという意見は、日本の論文でいくつか見られる様です。 ただその根拠となるデータの解釈が間違っているようです。 マスコミの方々は読者が望むことを書く傾向にあります。 なので辛い食生活の制限を行っている患者さんにとってみて、「それをしなくてよい、好きなように暮らしてよい」と言われるのはとても魅力的で、それに飛びつきたくなる気持ちもわからなくはないです。 ただ、医者としてそれを申し上げるには、あまりにも無責任かなと思われます。 きちんとデーターの解釈が行われた研究論文は、いずれも悪玉コレステロールがきちんと下がっていた方が寿命が長くなることをしめしていて、これは大部分の医者の意見ではないかなと思います。
ではどうしてこんな混乱が起こったのでしょうか? 一番大きな原因は、10年ぐらい前まで、コレステロールの値は総コレステロールと呼ばれる値で判断していました。 この総コレステロールの中には、善玉コレステロール(HDLコレステロール)と悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が含まれています。 一部中性脂肪にも含まれています。 善玉コレステロールが高い方も、総コレステロールが高く表示されてしまうため、少し古い臨床研究のデーターだと、コレステロールが高い患者さんの中にも、例えば善玉コレステロールがとても高い方も含まれていて、そういった例が、データーを薄めてしまい。 きちんとした結果が出にくくなっていました。
もう一つは、コレステロールが高くてそれが問題になるのが10年とか20年先になって初めてその結果が出てくるため、なかなか治療行為とその結果が直感的に把握しにくいところにあります。 医者になるための教育で、我々医者は「自分の経験を信じすぎるな」ということを教わります。 一人の医師が診察している患者さんの数は限られています。 その少ない患者さんのなかでも、医者に親切心から良くなっていないのに良くなったとおっしゃられたり、まったく治療がうまく行かないと通院すらされなくなり医者が悪くなった事を知らなかったり、さらに薬を飲んだという安心感から症状が良くなった気がしてしまったり(偽薬効果と言います)・・・。 それらの間違った情報が経験として体験されるため、医者はあまり自分の経験を信じないように教育されるのです。 では何をよりどころに治療をするかというと、臨床の患者さんの治療体験を大量に集めた論文をよりどころにするのです。 そしてその莫大なデーターを読み解くには、実は専門的な統計学という考え方を学んでおく必要があるのです。 実際の論文は、データは正しいですが、そのデータから得られる教訓は、よい医学雑誌でなければ間違った解釈がされていたりすることもあります。 なので、きちんとした教訓を得るには、それぞれのドクターがきちんと統計学を学んでいる必要があるのですが、残念ながら、私の身の回りを見渡してみて統計学をしっかり理解している先生は4人に1人ぐらいではないかと思います。 なので医者によっても、間違った解釈をそのままうのみにしてしまう場合があり、そういった医者の言動がしばしば混乱を引き起こすことがあるのです。 しかしそういった間違いも、何人かの医者や科学者が集まって彼らが合意できる水準を満たしたものは、間違いも少なく、ある程度の水準を確保していると言えます。 それがガイドラインなのです。
次回はコレステロールがどういった物質なのかを書いてみましょう。
下げない方が良いだろうという意見は、日本の論文でいくつか見られる様です。 ただその根拠となるデータの解釈が間違っているようです。 マスコミの方々は読者が望むことを書く傾向にあります。 なので辛い食生活の制限を行っている患者さんにとってみて、「それをしなくてよい、好きなように暮らしてよい」と言われるのはとても魅力的で、それに飛びつきたくなる気持ちもわからなくはないです。 ただ、医者としてそれを申し上げるには、あまりにも無責任かなと思われます。 きちんとデーターの解釈が行われた研究論文は、いずれも悪玉コレステロールがきちんと下がっていた方が寿命が長くなることをしめしていて、これは大部分の医者の意見ではないかなと思います。
ではどうしてこんな混乱が起こったのでしょうか? 一番大きな原因は、10年ぐらい前まで、コレステロールの値は総コレステロールと呼ばれる値で判断していました。 この総コレステロールの中には、善玉コレステロール(HDLコレステロール)と悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が含まれています。 一部中性脂肪にも含まれています。 善玉コレステロールが高い方も、総コレステロールが高く表示されてしまうため、少し古い臨床研究のデーターだと、コレステロールが高い患者さんの中にも、例えば善玉コレステロールがとても高い方も含まれていて、そういった例が、データーを薄めてしまい。 きちんとした結果が出にくくなっていました。
もう一つは、コレステロールが高くてそれが問題になるのが10年とか20年先になって初めてその結果が出てくるため、なかなか治療行為とその結果が直感的に把握しにくいところにあります。 医者になるための教育で、我々医者は「自分の経験を信じすぎるな」ということを教わります。 一人の医師が診察している患者さんの数は限られています。 その少ない患者さんのなかでも、医者に親切心から良くなっていないのに良くなったとおっしゃられたり、まったく治療がうまく行かないと通院すらされなくなり医者が悪くなった事を知らなかったり、さらに薬を飲んだという安心感から症状が良くなった気がしてしまったり(偽薬効果と言います)・・・。 それらの間違った情報が経験として体験されるため、医者はあまり自分の経験を信じないように教育されるのです。 では何をよりどころに治療をするかというと、臨床の患者さんの治療体験を大量に集めた論文をよりどころにするのです。 そしてその莫大なデーターを読み解くには、実は専門的な統計学という考え方を学んでおく必要があるのです。 実際の論文は、データは正しいですが、そのデータから得られる教訓は、よい医学雑誌でなければ間違った解釈がされていたりすることもあります。 なので、きちんとした教訓を得るには、それぞれのドクターがきちんと統計学を学んでいる必要があるのですが、残念ながら、私の身の回りを見渡してみて統計学をしっかり理解している先生は4人に1人ぐらいではないかと思います。 なので医者によっても、間違った解釈をそのままうのみにしてしまう場合があり、そういった医者の言動がしばしば混乱を引き起こすことがあるのです。 しかしそういった間違いも、何人かの医者や科学者が集まって彼らが合意できる水準を満たしたものは、間違いも少なく、ある程度の水準を確保していると言えます。 それがガイドラインなのです。
次回はコレステロールがどういった物質なのかを書いてみましょう。