花粉症の季節

毎年、花粉の季節になると、鼻がむずがゆく、目がしょぼしょぼして、かきむしってしまう。 私は花粉症です。 私の場合、3月中旬から、4月の初め、桜が散るゴロまで、花粉に悩まされます。 多くの場合、2月の終わり頃から、5月連休前頃まで続く方が多い様です。 また秋頃にも同じ様に花粉症になられる方がおられたり、一年中、いろいろな抗原によって鼻の症状が出る方もおられるみたいです。 実は、医学教育の中で花粉症の治療法を系統立てて習う事はありません(不思議ですね)。 ほとんどの場合、先輩の見よう見まねであったり、その診察室にある薬が限られていてそれ以外出せないと言った制約から、一定の処方を出している場合が多い様です。 専門に研究をされておられる方もいらっしゃる様ですが、専門の外来は少ないと思います。 私の場合も、自分が花粉症でなければ、薬を真剣に探そうとは思いませんでした。 花粉症の薬は(正確にはアレルギー性鼻炎・アレルギー性角結膜炎と呼ぶらしいです)、大きく分けて、飲み薬と塗り薬(鼻や目に吹き付けるもの)になります。 私自身、今まで使っていた塗り薬系の薬はあまり効かなかった経験があって、あまり処方していなかったのですが、最近開業して、いろいろチャレンジしてみなくてはと思い、薬屋さんの言われるままに、何種類か試してみました。 今回驚いたのですが、結構最近の薬は効果がある様です。 飲み薬は、眠気の少ない薬が出ていますが、それでも長期間飲むと眠気が出て来てしまい。 昼間に少し寝てしまったりと、あまり良くなかったのですが。 直接塗る薬は、眠気が無いので、とても快適です。 もちろんこれも私の花粉症の程度が弱いからなのでしょうが・・・。 

鼻や目に塗る薬の程度の軽い物は、収斂剤といって、スーッとする成分が入っているだけの物がほとんどです。 しかしそれでは、ほとんど鼻炎をアレルギーを押さえる効果はありません。 最近の薬は、少量のステロイドが入っていて、それが鼻全体に行き渡る様に工夫されています。 一日一回の噴霧で一日、症状が出ない様です。 少量なので、全身への副作用も無いと考えられています。
大学に居る時には、あまり自分で使わなかったので、患者さんへもあまりご紹介していなかったですが、自分で使ってみて、少し認識を改めました。

内服の薬は、主にヒスタミンという血管拡張物質を押さえる作用のある薬が主体で、そのほかに、充血や発赤を起こすアラキドン酸という脂肪酸の代謝を抑制する薬が効果があると言います。 それでもなかなか、効果が出ない場合は、ステロイドが入った抗アレルギー薬を処方しますが、やはりいろいろな副作用が有りますので、どうしようもない場合に限って処方します。

ただ、薬に頼る前に、とにかく口や鼻、目の粘膜に花粉を入れない様に工夫する事が必要です。 素手で目をこすったりすると一時的に気持ちがよいですが、手に付いた花粉を目の中や鼻の中に押し込んでしまいますし、鼻が出ているような気がすると、一生懸命鼻をかむと、鼻の粘膜を高速の空気が通過してそれが鼻の粘膜を傷つけ、よけいに充血して鼻を塞ぐという、悪循環に陥る場合が多い様です。 むやみに鼻をかむ事は、むしろ逆効果の様です。 どうしても目に何か入って困った場合は、直接手でこするのでは無く、花粉の付いていないティッシュペーパー等を介して、目の周囲をこする方が良いでしょうね。 といってもそのうちだんだん、目がかゆくなって、こすっている部分が目に近づいて、結局目が真っ赤になるまでかきむしってますよね・・・。 
風邪が強い日は特に、目にたくさん花粉が付きます。 目を全体が覆うような。眼鏡をかける方もおられますが、老眼鏡の様な面積の少ない眼鏡であっても、目の周囲の気流の流れが変わり、目に取り付く花粉の量は少なくなる様で(私が思うに、目が乾燥する事からかゆみを感じるのではないかと思っているんですが・・・。 どうなんでしょうか?)、それだけでだいぶ楽になるという人もおられます。 
未だに根本的な解決法は有りませんが、最近いろいろな薬が出ていますので、4−5年前に飲んだ薬があまり効果がなかったとしても、また医者を変えて、花粉症に悩んでいる先生に、受診してみると親身になっていろいろ薬を試してくれるかもしれませんね。

三好クリニック(内科)
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