胸の痛み-4

8、胃炎・逆流性食道炎
胃は大量の塩酸を作り出しています。 胃は酸に強く出来ていますが、食道は酸に弱いため、胃で出来た酸が食道に逆流すると(逆流性食道炎)、胸が熱くなったり、不愉快な感じがあったり、重い痛みとして感じる事があります。  胃潰瘍等も、腹部の上の方の痛みのため、胸部の痛みと紛らわしい場合があります。 痙攣等も伴うと、差し込む様な感じとして感じられる事もあるかもしれません。 痛みの強さは食事のタイミングとの関連があったり、逆流性食道炎の場合、横になったときに症状が出やすいという事もあり、朝方や、横になった際に症状が悪くなる特徴が見られる場合があります。 胃腸の蠕動運動という食物を押し流そうとする周期的な運動に同期するため、数分の単位で周期的に痛みが強くなったり弱くなったりする傾向がある場合もあります。 診断には胃カメラを行ったりする場合もありますが、胃酸を押さえる薬剤を処方して、症状が改善するかどうかを見る事で、患者さんの症状が逆流性食道炎でないかを判別する事もあります。

9、心筋炎・心膜炎
ウイルスや結核等で心臓の筋肉や心臓の周りを包んでいる膜に炎症が起こる事があります。 心筋炎の胸部の痛みはあまり典型的な症状ではありませんが、心臓の周りを囲んでいる膜に炎症が波及すると痛みが出る事があります。 この痛みは個人差が多く、漠然とした胸全体の重い感じであったり、刺されるような鋭い痛みであったりします。 体の向きによって痛みが強くなったり弱くなったりすることが特徴的です。 例えば前屈みになると痛みが強くなったり、呼吸で胸を大きく広げると痛みが出たり等です。 通常風邪の様な症状も伴う事が多いです。 聴診で診断が付く場合もありますが、きちんとした診断をするためには、心電図やエコー検査、レントゲンや採血を行う必要があります。 

10、肋間神経痛
胸の表面の感覚を感じている神経は、肋間神経と言います。 丁度手を胸に当ててみて肋骨が触れると思いますが、その肋骨の間を神経が走っていて、胸の部分の感覚を脳に伝えるのです。 その神経が傷ついたりすると、その部分の胸の感覚神経が勝手に痛みを脳に伝えます。 これを肋間神経痛と言います。 神経痛の痛みの代表的なものは、肘を机の角でぶつけたりした時のあの手先まで広がるしびれを伴った痛み、あるいは、正座したりした際に、足先に感じるぴりぴりした痛みでしょうか。 しかしそれ以外にも、灼熱感を感じたり、チリチリする様な痛みを感じたり、障害程度の弱い神経痛は、比較的多様な痛みを生じます。 ただし、その痛みは、たいていは表面的な痛みで、痛みの場所が明確に決まっているため、患者さんは「ここが痛い」と指を指す事が出来ます。 これが心臓等の内蔵痛との大きな違いです。 しばしば、帯状疱疹ヘルペスの前駆症状や後遺症であったりする事もあります。 

続く
三好クリニック(内科)
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