三好クリニック 青山・表参道

内科・循環器・高血圧・不整脈

心房細動の原因

最近患者さんに心房細動ってなぜなるんですかと言われて少し困った事が有ります。
簡単に言えば「心臓の老化現象の一種」なのですが、そのときもそのように申し上げたところ、
「私は結構若いうちからおこっていて。 老化という事は無いと思うんですが・・」とおっしゃられたのです。 確かにもっともな意見です。

心房細動を起こしやすい要因として特定されている要因は2つ有ります。 

一つは年齢。 心房細動がおこる患者さんのほとんどが60歳以上の患者さんです。 しかし希に40歳とか、珍しいですが20歳で心房細動の方もおられます。 20歳で心房細動になられる方は、やはり何らかの遺伝子の異常がある場合が多いと考えてよいでしょう。 しかし遺伝子に異常があって心房細動になられる方は、むしろ珍しいです。 日常の診療をしていてほとんど無いと言ってよいでしょう。 そのように若くて心房細動を発症する人は何か他の因子があるとも考えられます。

二つ目は高血圧。 血圧が高い方は心房細動になりやすいです。 また血圧の治療を行うと、心房細動の新規の発症が押さえられたりします。 ですので、若い頃から血圧が高い方は、やはり心房細動になりやすいと考えた方が良いでしょう。 そのため心房細動の患者さんでは、血圧の治療も重要になってきます。


しかしこういった因子がなくとも若いうちから心房細動になられる方がおられます。 ここから先はあまり科学的に証明されていはいませんが、多くの医者が信じている、心房細動になりやすい方の特徴を挙げてみましょう。 これは賛否両論あるかもしれませんし、将来的に否定されてゆくかもしれませんが。 患者さんの心情としては知っておきたいものなのかもしれません。

1、ハードワーカー


特に若い頃から仕事に追われて、睡眠時間を削り、夜遅くまで仕事、宴席等を続けておられる方に、若い頃から心房細動になっておられる方が多い気がします。 その日常生活の何の因子が、心房細動を来しやすくしているかは明確では有りません。 ただ、ざっくりと考えて心房細動は心房筋の老化現象の一種と考えられていますので、睡眠を十分取らずに、無理な生活を続けておられる方が、速く老けるかたがおられますが、心臓の老化もはやめてしまうのかも知れません。

2、ストレス


ストレスの多い仕事をされておられる方に、心房細動は多い様です。 ストレスがかかると、人体はいろいろなホルモンを分泌してそれに耐えようとします。 中でも運動したり活動したりする際に必要とされる、アドレナリン(カテコラミン)という物質が分泌されます。 よく、怖い映画等を見たり、ときめいたりする時に、ドキドキしたり、手に汗握ったりする事が有りますが、そういった心拍数を上げたり、発汗を助長したりするホルモンです。 このホルモンは心拍数を上げるだけでなく、心房細動の引き金となる、肺静脈の電気的な不安定性さを増強し、それが元で心房細動を引き起こす事が有ると言われています。  患者さんの中には、運動したり、興奮したりすると必ず心房細動を起こす人がおられます。 これは心房細動の患者さん皆様が当てはまる訳ではなく、患者さん一人一人発作のきっかけは異なる様です。 また長期間の持続的はカテコラミン刺激は心臓の筋肉の肥大や、心臓の筋肉への障害を助長すると言われていて、そのため時々休むという事が必要なのかもしれません。 ハードワーカーが心房細動を来しやすいのもこれが理由なのかもしれません。

3、睡眠時無呼吸


体重が増えてのどの回りに肉がついて、睡眠時に息の通り道が塞がってしまう。あるいは、あごが小さい方でのどのスペースが元々小さい方が、睡眠時に同じ様に呼吸できなくなる事があり、睡眠時無呼吸症候群と呼ばれます。 睡眠時無呼吸症候群の方は、日中に寝てしまったり、高血圧を引き起こしたり、疲れやすくだるい等の症状が有名ですが、それだけでなく心房細動との関係があると言う研究結果を報告している先生方もおられます。 元々無酸素の状況は、体には大きなストレスになりますし、体重が増えて高血圧の方も多いですので、心房細動になってもおかしくはない様に思います。

4、自律神経の活動


自律神経とは、人間が意識して体を動かしたり、感じたりするといった神経とは別に、無意識に、自分の体や内蔵の状況をコントロールするために備わった神経です。 その中には、交感神経という運動や活動する際に活発に働く神経と、副交感神経といって、食事の後とか、運動直後とか、休んでいるときなどに活発になる、主に体を休めるために働く神経があります。 交感神経が分泌するホルモンはアドレナリン・副交感神経が分泌するホルモンはアセチルコリンという物質になります。 交感神経の働きは、人間の感情や環境、睡眠や食事などで大きく影響を受けます。 そして、アドレナリン、アセチルコリン双方とも、心房筋のイオンチャネルに直接作用して、心房細動を起こしやすくすると考えられています。 患者さんを拝見していると、そのどちらかが、明らかに心房細動を引き起こしているのではないかと思わせる患者さんがおられます。 全員ではありません。 あくまでその個人個人で異なります。 アドレナリンで誘発される人は、過度の運動・寝不足・カフェイン・ストレスなどで心房細動が誘発されますし。 アセチルコリンで誘発される人は、睡眠などの安静・強い痛み刺激・大食などで心房細動が誘発されやすくなります。 そのような方々はこれらをさけることである程度心房細動の発生を押さえることができるでしょうが、どうしても難しいときはそのような作用を打ち消す薬剤を選択することで対応できる場合があります。

5、アルコール


お酒を飲むと必ず、お酒が抜ける際に心房細動が誘発される方がおられます。 お酒の好きな方には残念な体質です。 お酒が分解されるときにできる、アルデヒドという物質。 これは二日酔いなどの原因にもなっていると言われていますが、これが心房のイオンチャネルにはたらいて心房細動を起こしやすくすることがあると言われています。 そのような場合はやはりお酒を控えることが重要です。

6、溢水・脱水


体液量が急激に増加したり減少したりするとことをこのように言います。 過激な塩分摂取と飲水による溢水・発汗や飲水制限による脱水は、心房の大きさを急激に変化させます。 心房筋はこのような機械的に引っ張られるなどの刺激で、電気的に不安定になり心房細動になることがあります。 ですので、水を飲み過ぎたり、塩分を取りすぎたり、あるいは水を飲むのを極端に我慢したりするのはあまり心房細動には良くないです。

この他にも、心房細動発作を起こしやすい要因は有るかも知れません。 ただ、心房細動は命に関わる病気では有りません。 症状がなければ心房細動になったからといって、その事で落ち込んだりする必要は有りません。 きちんと脳梗塞の予防をしていれば問題無いのです。