ノロウイルスに注意

最近はいわゆる流行性下痢症、ノロウイルスがはやっています。 三好クリニックでも、何人か抗原の検査をしてくださいとお願いされましたが、残念ながら今のところキットの導入を見合わせていて、ノロの確定診断は出来ません(来年は導入するかもしれませんが・・)。
その理由はいくつかあります。
まず一つは、検査が保険適応外である場合が多いです(対象は高齢者や低年齢のみ)。 保険適応外診療と保険診療を同じ日に行う場合、厚生労働省が禁止している混合診療という物にあたり、その当日の治療費全額が自己負担(自費扱い)・・・という事になりかねません。 検査はしましたが、お薬代も全額自費になるのでは患者様に取っては負担が大きすぎる様に思います。
次に検査には検便が行われる必要があります。 検便の検査は検尿と違い、患者さんの敷居も高く、そして検体をきちんと取るという行為自体も難しくなります。 クリニック内の検便検査に抵抗感があったり、共用のトイレで行った検便で本当に正確に診断できるのかどうかと言ったような問題があります。患者さんによっては、陰性にするためにきちんと便に接触させない方もおられるかもしれませんし・・・。
もう一つ治療する側にとって悩ましいのは、インフルエンザの迅速検査と違い、検査結果によって治療方針が全くかわらない事が有ります。 検査結果が解っても、治療の方針は全く普通の下痢と変わりがないので(ただ感染力が強いというだけで)、本当に必要な検査なのかという事が問題になります。 赤痢やコレラなどと違って、症状の持続は短く、健康な成人では致命的になる事が少ないという事が挙げられます。 あながち検査で解ってしまい、メディアでも大きく取り上げられるため、皆さんとてもナーバスになりますが、通常の消化器感染型の感冒とあまり変わりないように思います。個人的には、免疫を付けるためにも、軽めに感染していた方が良いのではないかなと思ったりもします(不謹慎で申し訳ない)。 ただし医療関係者や、食品関係者にとってノロの感染や2次感染は信用問題になりますので、やはりキチンと対応した方が良い様にも思います。 ただインフルエンザと異なり、何日就業を停止するべきなのかと言ったコンセンサスも明確でなく、各施設が独自にガイドラインを定めている程度です。 下痢が停止してから2日であったり3日であったり、統一されていません。
なので、三好クリニックでは、下痢がおさまってから48時間以上経過していれば、就業許可書を記載しますし、確定診断はしませんが、流行性下痢症として、消化器症状を緩和するための処方はいたします。 申し訳ないですが、検査自体が保険適応になるまで、三好クリニックではノロウイルスの確定診断は行わないつもりです。

三好クリニック(内科)
〜青山・表参道〜