胸の痛み-3

胸の痛みを起こす病気をさらに挙げてみます

4、解離性大動脈瘤:
体の中で最も大きな、心臓から出て胸部・腹部まで通る大動脈に亀裂が入り、大きくふくれあがったり、中の血液が外に漏れたりする病気です。 亀裂が入って急激に大動脈が大きくなる際に、今まで経験した事のないような強い痛み、非常に強い痛みを感じる事が多いです(30cmの竹定規を肩口から突っ込まれて内蔵をガリガリやられている様な感じと表現される方もおられます)。 また時々その痛みの位置が、時間とともに移動してゆくという事があるのも特徴です。 ただ症状は個人差があって軽い腰痛ぐらいの程度の方もおられます。 レントゲンで運良く見える場合もありますが、きちんとした診断を行うためには、造影のCT検査を行う必要があります。 元々血圧の高い方は要注意です。 放置していると致命的になる事もあります。

5、肺梗塞
静脈にできた血栓が、静脈血に乗って心臓に戻り、その後肺の動脈に詰まる事があります。 最も一般的なのは、足の静脈にできた血栓が飛ぶ事が多いです。 体重の重い方や、女性(元々性ホルモンが血栓を作りやすい傾向にあります)、後は長期間寝ておられて足を動かさなかったりする方、長期間の脱水の方に見られる事が多いですが、それ以外にも、血液の血栓を作るためのタンパク質の異常や自己免疫疾患などの一部で血栓ができやすくなる事があります。 エコノミークラス症候群としても有名です。 典型的な症状としては、胸の重苦しい感じとその後の持続的な息苦しいと言う症状です(動くと息苦しくなる)。 レントゲン写真や心電図、採血などではなかなか診断がつかない場合も多く、造影CT検査、肺シンチグラム、心臓超音波検査などで診断が付く場合があります。 

6、不整脈 心房細動
心房細動とは、心房という心臓の中の補助ポンプに当たる小さな部屋が、一分間に600回ほど電気的に興奮してしまう病気です。 心臓の老化現象の一つだと言われています。 元々心臓全体の3割ほどのポンプ機能を担うとされている心房筋の異常ですので、あまり症状が出ない方が多いです。 症状がある方ですと、ドキドキするとか、フワーっとするとか、そういった症状である事が多いですが、時々、胸が痛い、しくしくするとか、重苦しいとか、動くと胸が重いといった症状を訴える方もいらっしゃいます。 

7、不整脈 期外収縮
心室・あるいは心房が、本来のリズムのタイミングより早く電気的に収縮してしまうため、収縮がいびつになり、その際に胸の痛みとして感じられる方がいらっしゃいます。 症状の強い方は珍しいですが、症状が強いと、気持ちが悪くなり仕事が手に付かなくなってしまったりされます。 痛みというよりは、「ドキン」とするとか、心臓が裏返るようなん感じ、という風に症状を訴える方がいらっしゃいます。 症状があるときに心電図を取らなくては診断が付かず、24時間心電図検査を行ったり、時には携帯型の心電計を使って診断をさせていただく事もあります。 心房か心室かで、薬の選択や効き方に違いがあったり、原因となる病態も異なってきます。

続く
三好クリニック(内科)
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