自律神経と不整脈-1

自律神経という神経をご存知でしょうか? 一般の人はあまり知りませんよね。 私も患者さんに時々解説しながら、説明が十分でないだろうなーと思いつつやっています。 なので、ここで少し解説をしてみます。

人間の脳の活動、意識したり痛みを感じたり、体を動かしたりする。 自分の意志で動かす、あるいは感じる部分は、大脳でコントロールされています。 大脳とは脳の中で最も大きな部分を占めている領域です。 しかし意識的に動かす事が出来ない部分、特に内蔵と言った部分は、それよりももっと多くの情報を集約してそれに対して細かな調整が必要になります。 動物は、そんなすべての体の情報を一度にコントロールする事が出来ません。 なので、ほとんどの内蔵の動きは、意識に上る前に自律的に解決されます。 例えば、呼吸等はどうでしょうか? 皆さん、普通に生活していて、息を吸って、そのあと吐くという動作を意識せずに行っています。 こういった無意識の動作、調整を行っている部分が自律神経という部分になります。 自律神経は、動物の進化の過程で最も早く出来た神経系統と考えられています。 この神経系統の細かな調整の話は、また別の機会にご紹介します。 今回はそれがどう不整脈に関わるかという事に焦点をしぼってみましょう。

自律神経には大きく分けて、(1)体を休める神経、つまり副交感神経という神経系と、(2)攻撃したり戦ったりする際に高まる神経、交感神経の二つから出来ています。 それぞれがせめぎ合い、体の運動状態をコントロールしている訳です。 

この二つの神経は心臓にもたくさん分布していて、心拍数を上げたり下げたり、心臓の収縮力を強くしたり弱くしたりします。 例えば、寝ていれば皆さん心拍数は下がりますし、起きて運動したり、興奮するような事がおこったりするとどきどきして心拍数が上がります。 
そのほかに自律神経は心臓の電気信号を作っているイオンチャネルに働いて、不整脈を引き起こしたりする事が知られています。 心室性期外収縮・心房性期外収縮・心房細動・心室細動・QT延長症候群・ブルガダ症候群・房室ブロック・洞不全症候群といった不整脈がこの自律神経の働きで悪化したりします。
この「自律神経」は、規則正しい生活をしていると整っていますが、不規則な生活を行ったり、興奮、カフェインの過剰摂取、睡眠不足、発熱といった事で大きく変動し、異常となる事が有ります。 また気圧の急激な変動や気温の乱高下、湿度の大きな変化といった外界の環境の変化にたいしても敏感に反応し、異常が生じる場合が有ります。 そのため不整脈の発生頻度はこういった外界の変化の影響を受けやすい訳です。

自律神経

続きはまた後日
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