自律神経と不整脈-4

副交感神経と不整脈


自律神経の中で、休んだり食事をしたり、眠りにつくときに活発になる副交感神経は、内蔵全般に分布していて、その先端から「アセチルコリン」というホルモン(神経伝達物質)が分泌されています。 この副交感神経は心臓に分布しています。 副交感神経は、別名・迷走神経(めいそうしんけい)とも呼ばれています。 これはこの神経が臓器に分布する際に、少し不可解な走行をしている事や、内蔵の周囲をぐるぐる行く先がわからないような複雑な走行をする部分があるからそのような名前が付けられています。 あたかも迷走している様な神経というその配列や走行のパターンから呼ばれているわけです。副交感神経の心臓に対する効果は、大まかに言うと、心拍数を下げ、心臓の収縮力を低下させる方向に働きます。

迷走神経反射


内蔵などが強く引っ張られたり、血管周囲に強い疼痛があったりすると興奮します。 また顔面や眼球に多く分布していて、顔面が冷たい空気にさらされたり、冷水等で強力に冷やしたり、眼球をマッサージしたしした際に(眼球のマッサージは危険なのでやめてくださいね)、活発に興奮すると言われています。また息こらえや、咳等でも迷走神経反射が起こる事があります(ある種の不整脈を止めるのに使われます)。 その反応が強すぎると、心拍が減少したり、血圧が低下して脳貧血を起こしたりする事があります。 例えば胃カメラや大腸鏡、内蔵の手術の際や、採血時にとても強い痛みを感じた後など、副交感神経の過剰な反応・興奮がおこって、それによって気分が悪くなる。血圧が下がって脳貧血になるという事があります。 これを医者は迷走神経反射と呼びます。 

心臓と副交感神経


副交感神経から分泌されるアセチルコリンは、心臓の筋肉、特に、リズムをコントロールしている心臓の筋肉や、心房筋に作用します。 アセチルコリンは、自己の心拍が停止したり極端に遅くしてしまう事で、「洞停止」、「洞性徐脈」、という不整脈を引き起こしたり。 心房と心室の間の電気的な連絡が弱くなり、「房室ブロック」という病気になる事があります。 また、心房の筋肉の不応期と言って、興奮出来ない時間を極端に短くして、「心房細動」や「心房性不整脈」を起こしやすくしたりします。またそれ以外にも、アセチルコリンは、右心室流出路や弁輪部から出現する「心室性期外収縮」を増やしたり、「ブルガダ症候群」という疾患の心室性不整脈を起こしやすくするのでは無いかと言われています。
副交感神経は、交感神経の過剰な興奮を抑えるように働き、急激な血圧の上昇を抑えたり、心拍の上昇を抑えたりするのに重要です。 しかし過剰な興奮は、急激な血圧の低下を来して脳貧血を起こしたり、ショック状態になったりする場合もあります。 なのでやはり適度な興奮というのが必要となります。 交感神経と副交感神経は、互いに互いを抑制し合い、バランスを取るように動いていますので、どちらかが異常に過剰に反応すると、不整脈以外にも、いろいろな内蔵の症状を引き起こす事もあり、そうならないためにも、規則正しい生活やストレスとうまくつきあう方法を身につけておく必要があると思います。

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三好クリニック(内科)
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