三好クリニック 青山・表参道

内科・循環器・高血圧・不整脈

薬の副作用

副作用は全てのものにあります


病院を訪ねてくださる患者さんの多くは、どちらかというと薬の処方を希望して来院されていられる方が多い様です。 ただ薬に対する感覚は、「早く直るなら何でも良い」と言う方から、「少しでも知らない物を内服するのに抵抗がある」という方など、患者さんによって様々です。 実は、この2つの例は医者に取っては結構対応が難しいケースです。 前者は、薬の副作用について知らなすぎ、後者は副作用について恐がり過ぎなのです。 薬の副作用に付いては、全く知らなくても、知らずにただ怖がってしまうのも問題で、よく知り、そして知った上で内服していただく事が、安全に薬を飲んでいただくのに必要と思います。

あまり意識される事は少ないかもしれませんが、どんな薬も副作用があります。 同じ考え方で言えば、あらゆる口に含む食品や調味料、そして肌に直接接触するものに、副作用があるとも言えます。 
たとえば小麦を例に出してみましょう。小麦に対するアレルギーをお持ちの方は、口にされると喘息を起こしたり、アレルギーはなくとも、たくさん食べ続けてゆくと、肥満、糖尿病等になってしまいます。 これは本来望まれない作用、つまり副作用と言うわけです。 一方で小麦の中のでんぷんやミネラル、ビタミン等を摂取する事で、体を動かしたり活動したりするエネルギーを生み出す。これが主作用という事になります。 つまり、副作用というのは、薬を飲むからあると言うわけではなく、あらゆる口に含む物質に存在するという事です。 そして、厳密な意味で、薬と食品は同じではありませんが、薬には望ましい作用=「主作用」があるのと同時に、必ず望ましく無い作用「副作用」があります。 ですから医者の方は、副作用の出現頻度と重篤度と、主作用による利益を天秤にかけて、処方を行うこととなります。
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大きく分けて2種類の副作用があります


薬の副作用には大きく分けて、1、その本来の薬の成分の作用やそれから予想される副作用と 2、薬の本来の作用とは関係なく、患者さん側の要因で、例えばアレルギー反応などの過剰な反応によっておこる副作用があります。 後者は頻度も少ないですが、発生するかどうかあらかじめ予想出来ない点が大問題なのです。 薬を飲み始めた際、医者はいつもそばにいる事は出来ません。 通常副作用の始まりは患者さんがお一人のときに体験します。 なので副作用について患者さんがある程度の事を知っていただく必要があるのです。

薬の薬効から予想される副作用


例えば、血圧の薬が多すぎると、低血圧でふらふらしたり。 睡眠薬が強すぎると、朝起きられなかったり、午前中眠くて仕事にならなかったりするかもしれません。 薬によっては肝臓をいためたり、腎臓をいためたり、筋肉をいためたりする物があったり、咳が出やすくなったりする様な物もあります。 このように薬の効果や性質からある程度予想される副作用があります。 こういった副作用の特徴は、用量を増やすと強くなり、減らすと副作用が出にくくなる特徴があります。 こういった薬効からある程度予想する事が出来る副作用は、医師にとって予想がつけやすく、処方時にあらかじめ患者さんにお話している事が多いでしょう。 また慎重な医師であれば通常量の半分ほどの量からはじめて、副作用が出ないかどうか観察しながら増量する事でしょう。 そうする事で、患者さん自身が注意し、副作用がまだ軽症なうちに薬剤を自らの意志で中止する事が出来ます。 ですので、患者さんにとって、より切実な問題はそれ以外の薬剤の副作用の症状という事になります。

アレルギー反応によっておこる薬の副作用の特徴


アレルギー反応は、なんの前触れもなく突然おこる事があります。 例えば10年ぐらい安全に飲んでいた薬に急にアレルギーがおこったりする事もまれではありますがあります。 脅かす様で悪いのですが、今まで飲んでいた薬だから大丈夫だとは限らないのが怖いところです。 またアレルギー反応は、少量でも強い反応を引き起こします(用量に関係なく)。 そして一般的な薬剤であっても、特定の患者さんには強いアレルギー反応で後遺症を残したり致命的になる事があります。 いつどのような副作用が出るか、あらかじめ予想がつかないため、医者側も十分説明する事が出来ませんし、患者さんも副作用とは解らず不調があっても薬を飲み続けてしまう事になります。 ただ幸いな事にこういったタイプの副作用の頻度はそれほど高くありません。 しかし、患者さんには知っていてもらいたい、危険なアレルギー反応型の副作用があります。 ここではそれを説明します。

喘息・喉頭浮腫


薬を飲んだ直後から3-40分ぐらいの間におこる事が多いです。 突然あるいは徐々に、咳が立て続けに出たり、呼吸するときに、のどのところで笛の様な音が出るようになり、それがどんどん強くなってくるかもしれません。 周りから見ていても息が早く、唇が紫色になってきたり、首が顔が、浮腫んで赤く腫れ上がってきたりします。  こういった状況は喉頭浮腫とか喘息といった状態で、これが強ければ、すぐに対応しなければ気道が塞がり窒息する場合もあります。 新しい薬を飲んだ直後にこのような症状が出た場合、その薬は次は飲まない方が良いでしょう。 なぜならアレルギー反応の特徴として、一回目の発作より、以降の発作のほうが強い症状が出現する事が多いからです。 ご自身で2回3回と試す必要は無いと思います。 すぐ病院に連絡して相談されるか、のどの音がだんだん大きくなり、5-6分経っても息苦しさが収まらないようなら、救急車を呼んですぐに救急病院で処置をしてもらった方が良いでしょう。

全身の皮膚がただれてめくれる


薬を飲み始めると、発熱と全身に発疹が出現し始め、目の白い部分(結膜)や口の中(口腔粘膜)に強い発赤や充血、そしてタダレが出現する事があるかもしれません。 こういった症状を
スティーブンス・ジョンソン症候群と言います。 
さらに強い症状となると、全身の皮膚が水ぶくれの様になり、皮膚の薄皮一枚が浮き上がり、破れるとや薄皮がめくれ、透明な液体が出てきます。 こういった症状を
中毒性表皮壊死(Toxic Epidermal Necrosisの頭文字をとってTENと呼ぶ事もあります)と呼びます。 これらの頻度は低く、滅多にありませんが、皮膚や眼に後遺症を残したり、致命的になったりする事がありますので、直ぐに薬剤の中止と、入院していただきステロイドや免疫抑制剤等の点滴治療を行う事が必要があります。

薬局で渡される薬の説明書に書かれている副作用の意味


日本の副作用の調査方法は、科学的な根拠が無くても、医者が副作用だと言えば副作用として登録される事になります。 また10種類近い薬を飲んでいる人に、副作用らしい症状が出たときに、本当は一種類の薬が原因であるにもかかわらず、同時に飲んでいる10種類全部の薬に嫌疑がかけられます。 時には、医師が間違って患者さんの病状の悪化を副作用として報告し、それが副作用として登録されたりする事もあります。 結果的に、とても多くの無関係かもしれない副作用が列記され、収集が付かなくなるという事態がおこっています。 
この方法は製薬会社の隠蔽を避けるためにはとても良く、この情報を主に用いる医師は、たとえ多くの無意味とも思える情報があっても、その中から本当に重要な情報を取捨選択しながら処方致します。 なので本来の目的はきちんと果たしているのです。
しかし最近では、全ての副作用が列記された薬剤情報が患者さんに手渡されてしまうため、多くの情報に眼を奪われて怖くなり、処方された薬を飲まれないという方も時々いらっしゃいます。 危険を知る事は重要な事ですが、頻度の少ない危険に対する不安のために、本来薬から得られる利益を得る事が出来なくなるのは少々残念な事だと思います。 医者のほうは、その薬の投与によって得られる利益と、副作用の重症度と頻度を考えながら処方している事がほとんどですので、まあ信頼出来る医者が出した薬であれば、お飲みいただいた方が無難かもしれませんね。 ただ、ご心配であるようでした、きちんと処方された医師に相談された方がよろしいかと思います。 どうしても必要な薬でしたら、医者のほうも飲んでもらうためにきちんと時間をかけて説明するはずですので。