『めまいがするのですが・・』1
ふらっとする。ふわふわする。ぐらぐらして気持ち悪い。 いろいろ表現はあります。 こういう状態を「めまい」あるいは「立ちくらみ」と表現します。
日常生活で一番遭遇する機会の多いのは、「病み上がり」といって、2−3日病気で寝たきりだった患者さんが、少し良くなって起き上がってトイレへ歩いたりする際に、ふわふわする。 地に足がつかない感じがする・・。 ひどい場合、冷汗がでて目の前が暗くなってうずくまってしまうという様な症状がでる場合もあります。 これは長い間に寝ている事で、足腰の筋力が衰えたり、立ち上がったときに血圧を調整する機能が失われて、脳貧血を起こしたりする現象です。
めまいとは、自分の体の位置がうまく認識出来ない、固定出来ない、立ったり座ったりする事が出来ずに寝込んでしまう。 もう少し踏み入って言えば、自分の目から入ってくる体(主に頭)の位置の情報と、自分の体のほかのセンサーが感じている位置の情報が食い違う、それが原因で不安になり、その場から逃れたいという動物的な本能が働いて「吐き気」が出現する事もあります。 これがめまいとめまいに付随する症状のもとになる病態です。
患者様にとってはどの科に行ったら良いか迷うところかもしれません。 めまい科という科は普通ありませんし、いくつかの科にまたがった症候群ですので。 めまいを専門とする科は、大きく分けると耳鼻科(三半規管、前庭神経)・神経内科(小脳・脳幹・運動神経)・整形外科(筋力)・循環器内科(心臓・血管)と言ったところでしょうか。 私は循環器内科なので本来循環器のお話からするべきなのでしょうが、患者さんの立場になって症状の特徴から見てお話ししてみます。
まず区別する事は、その症状のでかたです。 立っているときだけでるのか? 座っているときや、寝ているときにもでるのか。 という事で分ける事が出来ます。
目から入ってくる情報は、頭の位置が固定されていれば通常大きくぶれる事はありません。 もしも寝ていて頭が固定されている状況でもめまいがあるならば、その病気の本体は耳鼻科領域、三半規管・前庭神経の異常でおこっている病気が考えられます。 同時に、前庭神経と脳神経の中で近い場所にある、聴覚神経、つまり聴力が落ちたり、強い耳鳴りが一方の耳から出現すると言った症状が加わってくるなら、それは三半規管だけでなく、神経内科の領域、脳幹の血液の流れの異常に関連した症状である場合があります。 頭をある角度にすると急にめまいが発生して、目をつぶっていても気持ちが悪い。 こういった症状は一時的なめまいですので、血管の病気では無く、主に三半規管内の耳石の異常によっておこっているめまいである事が多いです。
三半規管は、自分の頭がどちらの方向を向いているかという事を認識するのにとても重要な働きをしています。 しかしそれだけでなくて、目の動きととても密接に関連しています。 皆さん歩いているときに、どうして自分の視野がぶれないか考えた事はありますでしょうか? 歩きながらビデオカメラを撮影すると、撮影の時はきちんととれているつもりでも、後で見ると画面が大きく動いていて見るに耐えない映像になっていると行った経験は無いでしょうか。 目は、ビデオカメラより高度なテクニックで、網膜に写る映像を揺れないように眼球と頭の位置を調節しているのです。
人間の目がビデオカメラ程度の能力であれば、歩いたり走ったりしながら景色を見る事は出来ません。 網膜に写る像を安定化するためには、三半規管がとても重要な働きをしています。 理工系の知識のある方ですと、ジャイロ機能と言うと納得されるかもしれません。 三半規管は頭がどのように動いたかを、素早く感知して、視線の方向を一定に保とうと、眼球の筋肉を動かします。 この機能はほとんど自動的に行われるため、三半規管に異常がおこって変な信号を出し始めると、眼球が勝手に動き、網膜に映る像が動くため、周囲の世界が勝手に動いたと感じるようになります。 これが三半規管とその系統の脳神経の異常で生じる回転性のめまいという症状となります。
ちなみに三半規管の病気の場合専門は、耳鼻科となります。
続く
日常生活で一番遭遇する機会の多いのは、「病み上がり」といって、2−3日病気で寝たきりだった患者さんが、少し良くなって起き上がってトイレへ歩いたりする際に、ふわふわする。 地に足がつかない感じがする・・。 ひどい場合、冷汗がでて目の前が暗くなってうずくまってしまうという様な症状がでる場合もあります。 これは長い間に寝ている事で、足腰の筋力が衰えたり、立ち上がったときに血圧を調整する機能が失われて、脳貧血を起こしたりする現象です。
めまいとは、自分の体の位置がうまく認識出来ない、固定出来ない、立ったり座ったりする事が出来ずに寝込んでしまう。 もう少し踏み入って言えば、自分の目から入ってくる体(主に頭)の位置の情報と、自分の体のほかのセンサーが感じている位置の情報が食い違う、それが原因で不安になり、その場から逃れたいという動物的な本能が働いて「吐き気」が出現する事もあります。 これがめまいとめまいに付随する症状のもとになる病態です。
患者様にとってはどの科に行ったら良いか迷うところかもしれません。 めまい科という科は普通ありませんし、いくつかの科にまたがった症候群ですので。 めまいを専門とする科は、大きく分けると耳鼻科(三半規管、前庭神経)・神経内科(小脳・脳幹・運動神経)・整形外科(筋力)・循環器内科(心臓・血管)と言ったところでしょうか。 私は循環器内科なので本来循環器のお話からするべきなのでしょうが、患者さんの立場になって症状の特徴から見てお話ししてみます。
まず区別する事は、その症状のでかたです。 立っているときだけでるのか? 座っているときや、寝ているときにもでるのか。 という事で分ける事が出来ます。
「めまいが寝ているときにもおこる」
目から入ってくる情報は、頭の位置が固定されていれば通常大きくぶれる事はありません。 もしも寝ていて頭が固定されている状況でもめまいがあるならば、その病気の本体は耳鼻科領域、三半規管・前庭神経の異常でおこっている病気が考えられます。 同時に、前庭神経と脳神経の中で近い場所にある、聴覚神経、つまり聴力が落ちたり、強い耳鳴りが一方の耳から出現すると言った症状が加わってくるなら、それは三半規管だけでなく、神経内科の領域、脳幹の血液の流れの異常に関連した症状である場合があります。 頭をある角度にすると急にめまいが発生して、目をつぶっていても気持ちが悪い。 こういった症状は一時的なめまいですので、血管の病気では無く、主に三半規管内の耳石の異常によっておこっているめまいである事が多いです。
少し三半規管について掘り下げてみましょう
三半規管は、自分の頭がどちらの方向を向いているかという事を認識するのにとても重要な働きをしています。 しかしそれだけでなくて、目の動きととても密接に関連しています。 皆さん歩いているときに、どうして自分の視野がぶれないか考えた事はありますでしょうか? 歩きながらビデオカメラを撮影すると、撮影の時はきちんととれているつもりでも、後で見ると画面が大きく動いていて見るに耐えない映像になっていると行った経験は無いでしょうか。 目は、ビデオカメラより高度なテクニックで、網膜に写る映像を揺れないように眼球と頭の位置を調節しているのです。
人間の目がビデオカメラ程度の能力であれば、歩いたり走ったりしながら景色を見る事は出来ません。 網膜に写る像を安定化するためには、三半規管がとても重要な働きをしています。 理工系の知識のある方ですと、ジャイロ機能と言うと納得されるかもしれません。 三半規管は頭がどのように動いたかを、素早く感知して、視線の方向を一定に保とうと、眼球の筋肉を動かします。 この機能はほとんど自動的に行われるため、三半規管に異常がおこって変な信号を出し始めると、眼球が勝手に動き、網膜に映る像が動くため、周囲の世界が勝手に動いたと感じるようになります。 これが三半規管とその系統の脳神経の異常で生じる回転性のめまいという症状となります。
ちなみに三半規管の病気の場合専門は、耳鼻科となります。
続く