『めまいがするのですが・・』2
「立っているとき、歩いているときだけめまいがする」
立っている時だけめまいがしたり、歩いている時だけめまいがする方は、お尻から下の筋肉等の運動に関係する筋肉や骨格の異常である場合が多いでしょう。
前にジャイロ(三半規管)の話をしましたが、人間は体の位置や自分の体の状態を把握するためにそれ以外にもいろいろな器官が付いています。 日常生活であまり意識する事はありませんが、目を閉じていても、関節がどの程度曲がっているかとか、足首がどちらを向いているという事を人は感じています。 この感覚は深部知覚といって、主に腱や筋肉の中に埋め込まれたセンサーを使っています。 歩いているときに路面が左や右に傾いていても、足首の角度がどのようになっているかを瞬時に判断して、自分の体の方向を立て直そうとします。 つまり、人間は大きく分けて、目から入る情報と、三半規管から入る情報と、深部知覚から入ってくる情報をあつめて、自分自身の体の位置を、周囲の状況を判断しているわけです。
「筋力の衰えや病気によって弱る深部知覚」
この深部知覚は、高齢になったり、糖尿病で少しづつ減弱します。逆に運動などの練習によってある程度鍛える事もできます。また筋肉が衰えてくると、体の位置がきちんと保てていない事があります。 主観的には頭では正確に筋肉を動かしているつもりなので、周囲の景色が動いたように感じる事もあります。 そういった理由から運動不足気味で足腰の筋肉が弱い方は、歩行時のめまいを感じやすいでしょう。 こういった症状を自覚するのは、階段を上ったりする様な足腰の筋肉を必要とする動作ではないでしょうか? 平地での歩行では足をある程度の高さまであげる腿上げという動作はほとんど行いません。 腿を上げると、反対側の一本の足とお尻の筋肉を使って体をまっすぐ立たせようとしますが、筋力が低下すると、それが出来ず、左右にぶれ、長い直線の階段などでは、景色が左右に揺れる様な、めまいの症状がでる場合があります。 日頃から、歩いたり、階段を上がったりする運動が必要でしょう。 こういった足腰に問題がある場合のめまいは、じっとしているときや、座っていて足やお尻の筋肉が使われていないときにはおこりません。 座っていればめまいが起こらないなら、足腰の運動器に問題があると思った方がよろしいでしょうね。
こういってしまうと、ただの運動不足なのでは無いかと思われがちですが、珍しいですが小脳の病気や、筋肉や神経の病気、糖尿病等でも似た様な症状になる事があります。 きちんと医者に相談して、適切な検査を受けられた上で、運動などをされる事をお勧めします。
続く