『次回いつ来院されますか?』

「次回いつ来院されますか?」 診察の時、実は一番気を使うのはこの話題だったりします。
客観的に見てどのぐらいの診察の間隔(インターバル)がよいのでしょうか? 色々な保険診療の決まりごとを考えると、厚生労働省が考えている慢性疾患(高血圧など)の診察の間隔は2週間ぐらいを想定しているのじゃないかなと思われる節があります。 
15年ぐらい前までは保険診療で処方できる最大日数は30日でしたので、患者さんは1ヶ月に1回は通院いただくことが必要でした。 その制限も今はなくなり、現状で私の外来を通院してくださる患者さんの平均通院インターバルは2.8ヶ月弱です。 もちろん2週間に一回通院してくださる患者さんもおられますが、片手の指で数えるぐらいだと思います。
「次回いつ頃ご予約入れましょうか?」とお聞きするとき、例えば「そろそろ血圧も落ち着いてきましたし、お薬2ヶ月とか3ヶ月とか長めに出せますがどうしますか?」と伺うと、患者さんによっては「通院が大変なので助かります!!」とおっしゃる患者さんと、「ちょっと不安なので1ヶ月に一回見てもらえますか?」とおっしゃる患者さんがおられます。 ときには、見放されたんじゃないかと思われる患者さんもいらして・・・。 一応そういう方はカルテにメモを残しておくのですが、時々忘れることがあって、次に来院されたときにも同じように、「3ヶ月ぐらいでも大丈夫ですよ」とお話してしまうと、「会いたくないんかい!」と思われる患者さんもおられるようで・・。 なのでその辺の話題は結構注意が必要だったりします。 あと患者さんによっては、「先の予定がわからないので、来院直前に連絡を入れさせてください」とおっしゃられるかたもおられます。 
おそらくインターバルが長いことと、短いことにはそれぞれメリットとデメリットがあって、直感的に理解していただけるように例えると、車の運転や自転車などのスピード感覚と似ていると思います。 インターバルが長い患者さんは高速でスピードを出している車、短い患者さんは低速でゆっくり走っている車と似ています(車の嫌いな方には申し訳ない例えですが)。

1、診察頻度の高い患者さん


  • 患者さんにとって不利な点は、通院のため社会生活を犠牲にする必要があること、年間を通しての診察の代金がかかること。 あとご希望の予約日程が取りにくくなります。  特に遠方からの通院の患者さんはやはり通院頻度が少なくなります。 また次回の予約を忘れにくいです。
  • 患者さんにとって利点としては、丁寧に診てもらえる。 安心感があるというところでしょうか? それと一回に支払う金額が少なく、金銭的な負担感が少なくなることでしょうか?
  • 医者側から見たデメリットとして、1日診察患者数が増えて外来が混雑する、カルテの記載が長大になりすぎて1~2年前の事を見渡すのが難しくことがあります。 直近の1-2ヶ月のことに集中してしまい、1年〜2年単位で注意が必要な点を見落としがちになります。
  • 反対に医者側から見たメリットは、患者さんの前回の病状をカルテを見ないでも思い出すことができ、診療の連続性が確保できる。 また、大きな異常ではないけれど、少し気になることがあったときに、診察の回数が多いと、対応が早くなり、結果として早く適切な処置ができるようになり、病勢の変化に気付きやすいです。 特に多くの薬を内服している患者さんですと、ちょっとした体調不良によって、薬の悪い面が出ることがあり、きめ細かな対応が必要になる事があります。 
  • 例えば、エンジンや車輪に不調のある車をスピードを出して運転すると危険なように、ご病気の程度によって、例えば、多くの薬を内服している患者さんや採血のデータに異常のある患者さんなどは、診察のインターバルは1ヶ月とかで拝見していた方が無難と思います。 少々車体がゆがんでいても、ゆっくり走る分には問題なくても、高速を出すと妙に振動が出たり壊れたり、コントロールを失ってガードレールにぶつかったり・・・、します。 また診察していると、必要な検査やチェックをうっかり忘れることがあります。 そういったうっかり忘れも、診察頻度が多いと、素早くやり直しが可能になります。

2、診察頻度の低い、インターバルの長い患者さん


  • この場合、診察頻度の低い患者さんの反対になります。 ただ、三好クリニックではほとんどの患者さんの通院インターバルが2ヶ月から3ヶ月ですので、多くの方がこれにあたります。 そういった患者さんのデメリットをなくすため、幾つか注意していることがあります。
  • カルテを見ないと、以前どういうお話をしたか覚えていません。 言い訳がましくなりますが、患者さんにとってお医者さんは1人なので、以前の医者側がしたお話をきちんと覚えておられると思うのですが、医者側は似た病状の患者さんを数多く拝見していて、1ヶ月以上前のお話は、他の患者さんと混同してしまいます。 ですので、クリニックの外で、「あの時はどうもありがとうございました。 おかげで楽になりました。」とお礼を言われても、残念ながらあまり覚えていないことのほうが多いです。 診察の始まる前の早朝と昼の休憩時間の間に、予約患者さんのカルテの古い記載までさかのぼってじっくり見直し、予習しておく必要があります。 そのため、「今日近くまで来たのでやってきました」と来院される患者さんに対して、以前の病状を思い出す時間が不十分になり、診察の連続性が保たれない傾向があります。 大事な情報を見落としたり、必要な検査をやり忘れたりすることがあります。 そういうことが少なくなるように、次回診察時のメモ書きを残していくのですが、極端に忙しい時間帯にいらっしゃると、そういった次回メモを残す時間もなくなり、結局診察のクオリティーが下がる結果に繋がります。できればご予約していらして頂く方がありがたいです。 
  • また診察頻度が低いと、病気などの異常に対して後手後手になる傾向があり、病気の勢いに負けてしまうことがあります。 なので、あらかじめどういうことが起こるのか予想して、先手を打っておかなくてはなりません。 先手を打つということは、患者さんが不調に気づく前に、病状の変化の兆候を知る必要があり、そのためには心電図や採血などのデータを常に参考にする必要があります。 それはちょうどレーサーやパイロット達が計器類のデーターを常に確認しながら高速で車や飛行機を運転するのに似ています。 あらかじめ2手3手先を読んで、様子を見たりせず検査を進めて行くことが必要になります。 そのためどうしても検査が多くなりがちになります。
  • 診察頻度が低いと、次回の診察を忘れてしまわれる患者さんが多いです。 それを防ぐために、患者さんの多くはスケジュール帳をお持ちくださることが多いですが、皆様そんなに几帳面な方ばかりとは限りません。 三好クリニックでは、ご希望があれば、予約前日にメールにて来院を促すメールを自動で発信するサービスをしています。 特に土曜日しか来院することができないような患者さんですと、一度忘れると次回2週間以上先になりますので、このサービスをご利用頂くことが多いように思います。 受付、あるいは三好に直接ご相談ください。

三好クリニック(内科)
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