採血は空腹で取るのが良いのか、食事をしてきてよいのか?

一般的に、採血をされる際、空腹で来てくださいと言われる場合が多いですが、 三好クリニックでの採血項目は直前の食事で影響の無い物が多く、 「30分前に腹一杯焼き肉を食べて来た」と行った事さえなければ、食事は普通にして来てくださって結構です。


空腹にして採血していただく場合は、いくつか拝見したい採血項目がある場合に限ります。


GUM06_CL07022
空腹時の血液の中の糖の濃度(血糖値)を測定する必要がある場合に空腹で採血を御願いしています。 正常な患者さんですと食事の後2時間空けて採血すれば、空腹時の血糖値が見られます。 前日や前々日だけ断食のようにされて血糖値を下げてこられる患者さんがおられるので、三好クリニックではヘモグロビンA1cといって、採血前一ヶ月の平均血糖値を見る物や、グリコアルブミンといって2週間程度の血糖値の平均値を見る指標を使って拝見する事が多く、血糖値を直接測定する事はありません。 患者さんの希望があった際や、特殊な状況でお願いする場合があります。 同様に血糖を下げるホルモン・インスリンの量も食事の後で大きく変動するために、測定するために空腹で来院していただく事があります。 その場合、きちんと指示しますのでご安心ください。
中性脂肪は、直前に取った食事に大きく影響を受けます。 血糖値と異なり、食事の後4-6時間ぐらいで最も吸収が強く高くなります。 昔読んだ、臨床検査の教科書では正確な測定をするためには17時間絶食後と書いてあったように思います。 朝9時に採血するとして、前日の夕方4時には食事を終えておかなくてはならないわけです。 なので基準値より少し高い方が多いようです。 都会で生活される方の夕食は結構遅いですからね。 また中性脂肪がとても高い患者さんでは、前日の夕食を出来るだけあっさりした物にしてくださいと指示する事になります。  

逆に普通に食事してきてくださった方が良いなと思う場合は。


糖尿病の境界領域の方やステロイド等を内服されておられる患者さんで、食後にのみ過血糖になる方がおられます。 そのような方の場合、わざと、食後に来てもらう場合があります。
一般的に食事をしないでくださいと申し上げると、飲水もされない方がおられます。 採血前に水分等の摂取が少ない場合、血液の実質成分が濃縮され次の様な項目が上昇してきます。
1、尿酸値 2、尿素窒素・クレアチニン 3、ヘモグロビン(赤血球の量) 
逆に、心臓のポンプ機能を示すBNPと言った値は低下します。 こういった状況を脱水と言いますが、慣れてくると、この値をみて、今日は水分量が少ないとか多いとかがわかったりします。 でも値が大きく揺れて、患者様自身が心配される事が時々あります。 そういった場合、普通に食事をしてきていただくか、水分は普通に飲んでいてもらった方が良いでしょうね。

食後に上がりそうで、実はあまり影響がない項目


私も意外なのですが、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)は、あまり直前の食事の影響を受けません。 なので『健康診断で悪玉コレステロールが高いけど、昨日脂っこいもの食べたからなー。 本当は大丈夫のはず』と思っておられる患者さんは比較的多いようです。 以前総コレステロール値で測定していた際にはそういった事もおこりましたが、最近は悪玉コレステロールを直接測定するようになってきています。 そうするとあまり直前の食事の影響は受けないので、高い方はやはり高いと思っていた方がよろしいようです。

採血で気分が悪くなる方や、倒れた経験のある方


採血の後に気分が悪くなって、倒れてしまった経験がある方多いのではないでしょうか? 実は私も子供の頃にあります。 採血時に極度に緊張したり、痛みが強かったりすると起こる現象で、迷走神経反射とも言いますが、そういった刺激で心拍数が下がって血圧が下がる事が原因の一つです。 一般的にですが、空腹や水分を取っていなかったりしておこる場合が多いようです。 そのような方は、やはり採血の日にはきちんと、食事をされたり、水分を取って来院される事をお勧めします。

三好クリニック(内科)
〜青山・表参道〜