血圧を120mmHg以下にするべき?

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11月中旬ごろに、2−3名の患者さんから、「高血圧の治療基準がまた下がるのですか?」とお話しを聞かれたことがありました。 どうやら今年の11月に米国心臓病学会での講演の内容の速報をテレビでやっていたようで、その内容を受けてのことのようです。 
この報告はSPRINT試験という名前で、すでに著名な学会誌に論文が同時に掲載されています。 原文を読んで思ったのは、すぐに日本の高血圧治療のガイドラインが変わるというわけではないなということでした。 おそらくこれを導入するためには、コレステロールの治療ガイドラインが変わらないと導入できません。 このホームページは患者さん向けのページなので、詳しいことはお話ししませんが、この治療に当てはまる方は、心臓病になる可能性がかなり高い患者さんだけに当てはまるものです。 大部分の患者さんは今まで通り、血圧上が140以下、下が90以下に、あるいは糖尿病や心臓病を持っている患者さんですと上が130以下で下が80以下にするというのが重要のようです。
ただこの試験結果を元に、次のガイドライン改訂では、高い心臓病のリスクを持った患者さんはにかぎっては、血圧を120以下にしたほうがよいというように変わってくるだろうと思います。
もう少し詳しく書いてみましょう
この試験は、元々心臓病のリスクを濃厚に持っている患者さん(糖尿病は除外してます)を集めて、その人たちに血圧140を目標にするか120を目標にするかという試験を1.5万人ぐらいの患者さんを集めて試験しています。 おそらく今までの試験ではあまりリスクが高くない患者さんを対象にするとあまり厳格な降圧治療のメリットが見えにくかったのだと思います。 
結論からいうと、120以下にしたほうが死亡率が少なくて済む(年間0.5%程度)というものです。 この死亡率の減少を重要とみるか、それとも、20mmHg低下させるために使った利用資材(具体的には薬と患者さんの内服の努力)とが釣り合うかという点が悩ましいところですが、 リスクの高い患者さんに限って言えば、下げたほうが少しだけ死亡率が良くなるということは確からしいと思われます。 ただ10年間で15%の確率で心臓病になる可能性があると予測される患者さんは、外来で診察していてもかなりリスクが高い患者さんです。 そういった患者さんは今でもかなり血圧を下げていることが多いです。 なのであまり臨床の現場で大きな混乱はないでしょう。  その一方で75歳以上の患者さんを全てハイリスクとしているようですので、75歳以上の患者さんは皆120以下にした方が良いというのは、結構混乱するでしょうね・・。 あとこの血圧が診察時の血圧なのか? 自宅での血圧なのか、あまり論文やサプリメントを読んでもきちんと書いていないのがちょっと気になります。 
三好クリニック(内科)
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