三好クリニック 青山・表参道

内科・循環器・高血圧・不整脈

睡眠について2

今月も集団健康診断があったため、だいぶ忙しかったです。 そのため前回の記事から既に1ヶ月以上たってますね。 申し訳ないです。

今回は眠るためのお話で、前回の体温の調整という事をもう少し掘り下げてみようと思います。



患者さんの診察をしていると、「私はいつも体温が低いので・・・」といった話しをうかがうことがあります。 一般の方々の思い浮かべる体温は、脇の下で測定する、「腋窩体温」です。 この温度は着込んでいる服の量や外気温や運動によって左右されます。 腋窩体温は測定しやすいという利点がありますが、体の中心の内蔵の温度を示してはいません。 内蔵の温度は「深部体温」と言います。 動物は効率よく生存するために、厳格にこの深部体温を37度から38度に維持しています。  私は低体温でという方も深部体温は37度から38度ですので安心してください。
無意識に深部体温の維持は行われています。 体温を上げるために、筋肉を動かした際の余熱を使います。 その他に、消化の際に使うエネルギーの余熱もあるでしょう。反対に体温を下げるためには、主に皮膚や肺で、汗などの表面の水分が気化して生じる気化熱を利用します。 身近な例でいえば、 風呂上がりに体がうっすら水にぬれているときに扇風機の風をあびるととてもひんやり冷たいやつです。  こういった事を、殆ど無意識に行っている訳で、それは眠る時にも同じです。

寝ている時は、手足の筋肉から発生する熱量をほとんど使わず、内蔵や全身の細胞が生命活動に必要なエネルギーの最低限の熱量(基礎代謝量)だけを使って深部体温を維持する必要があります。 そのエネルギーの標準的な発生量は75~100ワット程度です。 大きな部屋の中にぽつんと100ワットの電球があってもそれほど暖かいとは思いませんが、それを厚い布団にくるんでしまうと、どんどん熱が蓄積されて、中の温度は触れないぐらい熱くなります。  なので寝ている間はこの100ワットのエネルギーを、内蔵に貯めたり不要な熱を手足から放熱したりして、なんとかやりくりして深部体温を37度から38度に維持します。 寝ている時は熱を作る方が難しく、冷やす方が簡単なのです。 
もしかしたら眠る前に人間は無意識に、「この100ワット程度の熱で、この先朝まで深部体温を37〜38度に維持出来るか」をザックリと判断しているのでは無いかとおもいます。 大丈夫そうなら、「体温オッケー」という事で気温を無視して眠りに付く事ができ、オッケーでないと無視出来なくて眠れないのでは無いでしょうか?

では具体的にどうしたら、深部体温を維持しやすく出来るでしょう。 


睡眠時の体温調整は主に、布団による保温と、手足からの放熱を無意識に行っています。 具体的に言えば寒ければ布団を巻き付け、頭を布団の中にいれ、丸まり。 また熱ければ、布団をはだけ、手足を外に出して体温を下げて調整する。 それを妨げないようにする事が大事でしょう。
布団に入るときにひやっとするので、電気カーペットや電気毛布を入れて寝られる方もおられますが、寝ている間に、熱がこもって体が布団から出ていたりして、放熱のために寝返りが多くなりぐっすり寝られなかったり、顔や首筋の布団がはだけてしまい、自分の体から出る湿度が、口の近くから大きくはなれてしまうため、のどが痛くなったりされる事が多いでしょう。結果的にあまり良い居眠りにはならないでしょう。 人間は無意識に体温を37度に維持していますから、自分の体で布団を暖めるのが最も良い事になります。 それで寒いのでしたら、大きめの布団や厚めの布団が必要です。 布団があたたまるまでの間がつらいというのであれば、湯たんぽ等も良いでしょう。 湯たんぽが手元に無いのであれば、風呂に入って体を温めておくと、体が湯たんぽの様な役割をして良いでしょう。 
布団を2枚重ねる方や、ベットに毛布やシーツを巻き込んで寝られる方もおられますが、寝ている間にうまい事布団をたぐり寄せたりはねのけたりするのに、やはり適切な厚みのもの1枚の方がコントロールしやすいかもしれません。 またマットレスに上掛け布団を巻き込んだまま眠ると足下が完全に固定されていると、熱かったときに、足を出したりして体温の調整が出来ず、寝苦しかったりするかもしれません。 とにかく、布団の外にだした手や足は、体が冷えすぎてくると、自動的に血管が収縮して深部体温を下げすぎない様に調整しますし、それでは調整しきれないぐらい冷えるようなら、無意識のうにに寝返りをうったり、布団をたぐり寄せて手足を布団の中に入れます。 冷えるからといって靴下を履いたり、手袋をして寝られる方もおられますが、あまり良い習慣とは思えません。 

眠るためにはどうすれば良いでしょう?


眠るきっかけは結構大事です。 周囲の環境が眠った後に深部体温をうまく調整できそうにない状態にあると眠れません。 寝ている時に熱を作るのは難しいので、体全体に十分な熱量が確保されている(手足が十分暖まっている。 ある程度満腹になって消化による体温の上昇がある。 体の中心部分の外気温が37度付近である)ことが望ましく。 そして暖まりすぎればいつでも手足を布団から出して放熱して体温調整が出来る状態が良いのではないかとおもいます。 医学的な根拠が有るかどうかわかりませんが、以前、どこかのテレビ番組で、眠りに入る瞬間少し体温が下がるとか、膝から下の足の温度が下降傾向にある時に眠りに入るといった事を言っていたのを聞いた事があります。 平たく言うと暖まって少し汗ばむ位の体温が、少し冷え始めた時に、眠りに付きやすいという事なのでしょうかね。 おそらくそれは体が、これなら寝ても大丈夫と思う温度環境なのだと思います。
医者がこんな事を言うくらいですので、眠るための学問はあまり進んでいないのですね・・。  

次は部屋が明るい方が良いか暗い方が良いかという事について考えてみましょうか