花粉症の不思議

花粉症って不思議ですね。 高校生の頃に花粉症に悩まされて、医者になったら、花粉症の直し方を教えてくれるのかなと淡い期待を抱いていましたが、私の時代は、授業では教えてくれなかったです。 今の医学教育ではあるのでしょうかね? 花粉症の授業。 今回は医者になっても思い悩む、花粉症の不思議をちょっと話して見たいと思います。 

きっと、涙をだらだら流して、鼻水が止まらないとおっしゃっている患者さんに比べて、私の花粉症はとても弱い物だと思います。 でも、中学生や高校生の頃は辛かったなー・・と思います。 痒さの解らない周囲の人間は、「掻くな、よけいに痒くなるから」と言う理不尽なアドバイスをするだけですし・・。 結局痒くて掻いちゃうんですよね。 私の場合,大学生になってから少なくなった様な気がします。 その頃ちょうど関西から関東に来た頃だったので、花粉が関西と関東で違うのかとか、年々花粉の抗原が変わっているのかとか、年齢や、体調のせいとか、生活習慣の違い、ディーゼルエンジンの粉塵が少なくなっているのだとか・・。 実は寄生虫に感染していて、花粉に対するアレルギーが収まったのだとか、いろいろ考えられる事はあるのですが、今でも完全に収まった訳ではないので、いろいろ自分なりにいろいろ考える訳です。 今日はそんな、医者である私が感じる花粉症の不思議を告白してみます。 何か皆さんに参考になればと思います。 あくまで医学的な根拠は全くなく、個人の独断ですので、あまりみなさまにとって良い話ではないかもしれません。
花粉症.001
1、鼻の通りがとても良くなった直後が怖い、花粉症

例えば鼻をかんで、鼻がすっきりした後。 とても周囲の香りや匂いを敏感に感じる時がありますね。 鼻の奥まで空気を吸い込んで、すっきりする。 でも、たいていその後猛烈な鼻水・くしゃみが出てくる事が多い気がします。 皆さんはどうですか? 
僕は極力鼻をかまない様にしています。 鼻の穴の中はラジエターの様な構造になっていて、粘膜が折り畳まれてその中を空気が通るようになっています。 臭いの神経が分布している部分は、鼻の奥の空間の上の方に集まっています。 なので勢い込んで吸い込まなければ上の方まで空気が上がってきませんし、そうすると臭いはわかりません。 逆に言うと臭いがわかるぐらい吸い上げるということは、いつもはあまり空気が通らない敏感な場所へ空気や花粉が通るわけで、なんかそういうところに空気を通す動作が悪いのかなと思ったりもします。 水みたいな鼻がでてきて、それを吸い上げる動作もやはり空気の流れに勢いがついて、その敏感な部分に花粉を運んでしまうのかなと思い、できるだけ吸い上げないようにしたほうが良いように思います。 

花粉症.002

2、朝寝坊して、布団に長い間はいっていると、辛い花粉症

日曜日の朝とか、目が覚めた後に、布団の中にいるのはとても気持ちがよいですよね。 暖かくて・・。 でも花粉症の季節のときには、 ゆっくり布団の中に入っていると、いつも強烈な鼻水に見舞われる気がします。 寝ているときには大丈夫なのに、起きてそのまま布団に入っていると、なぜ鼻水が出るんでしょうか?
もしかしたら眠っている時と、起きている時の自律神経の状態で鼻が出やすいことが決まっているのかもしれませんね。 なので活動している時に、花粉が舞い上がっている床の近くに鼻があるのが良くないような気がします。

3、鼻水が鼻の穴からでていると思っても、実は出てない

鼻の穴の中の感覚はとても敏感です。 鼻の穴から鼻水が出ていると思って、皆さん鼻をかみますが、出ていると思ったときに、鏡で観察したことありますか? 実は垂れているようで、鼻のしたに手を当てて確認してみても、出てないってことないですか? 人間の感覚は鼻のあなのどこまでを穴の中だと感じているんでしょうね。 それが解れば不用意に鼻をすする事も無い訳で。 鼻をすすりあげると、一緒に花粉が鼻の敏感な所に運び込まれてしまうので。 できるだけ差し支えない限り鼻をすすり上げないのが良いのかなと思います。ちょっと汚くですいません・・。 できればマスクしてたほうが良いですね。

4、一度鼻をかんでしまうと、どんどん出てくる花粉症

一度でも鼻をかんでしまうと、何となくそれが刺激になってどんどん鼻水が出てくる様な気がしませんか? 一度かんだら負けだなと思うのですが、なかなか我慢出来ない。 鼻水が出てるかもしれない・・。そう思うと、どうしてもね。
鼻をかむという動作で、本当に鼻の中の粘膜に付いている水のような鼻を全部出せているだろうかと考えると、ちょっと無理のような気がします。 鼻の出口のほんのちょっとの部分だけではないでしょうか・・。 その一方で、すごい勢いで息を吸い込んで吐き出すので、吸った花粉がそのまま鼻の敏感な所にいってしまったり。 また微妙鼻をかむという呼吸が顔面を充血させたり、鼻の粘膜に細かな傷をつけたり、粘液で覆われていて、直接花粉が鼻の粘膜に触れないようになっている粘液を吹き飛ばしてしまうため、せっかくカバーしている防壁が取れて、鼻粘膜の敏感な所に直接花粉がついてしまうような気がします。 なので鼻が通らないからといって鼻をかむのではなく、水っぽいのが出てきたら、片方ずつ鼻を塞いで、あまり強く勢い込めてかまないで、鼻の穴の入り口部分の水滴をティッシュで拭うぐらいのつもりで、鼻をかむ必要があるのかなと思います。 でも水みたいになったらもうだめですよね。 その時は、少し仮眠をとったり、あるいはもう鼻の穴にティッシュを突っ込んで、上からマスクをしておくしかないのかもしれません。 まあ負け戦ですね。 かなり見栄えは良くないでしょう。 間違って、人前でマスクを外さないようにしてくださいね。

5、冷たいと出ないけれど、暖かくなってくると出始める、花粉症

外にでて冷たいからっ風にふかれているときには、特に出て来ない鼻水も、一旦部屋にはいって、鼻や顔の表面温度が上がってくると、鼻水出て来ませんか? やっぱり表面温度って大事なのでしょうかね?

6、埃っぽいところを掃除したら、その後強くなる花粉症

コンピューターの裏側とか、何か物を動かしたりすると舞い上がる埃、恐らくその中に花粉がたくさん入っているのでしょうが、その後しばらくくしゃみが続く事有りますよね。 埃の中には花粉がいっぱい入ってます。 部屋の中でも花粉症に悩まれる方はよければ、静電気で埃を捕まえるモップがあります。 意外についているのが、部屋の壁(垂直の面なども)に、花粉や埃はくっついています。 掃除機だと花粉を飛び散らせると思って掃除できないのでしたら、静電モップを使うのが良いでしょう。 とにかく、室内の花粉の数を減らすのが大事です。

7、雨降ったら良くなるはずなのに、全然おかまい無しに辛い花粉症

 雨が降ったから大丈夫という方がいますが、そんなことない気がします。風が強ければ、雨が降ろうがどうしようが、花粉の脅威から逃れることはできないような気がします。

8、花粉症の薬やっぱり眠くなる薬が効いている気がする

医者になって、いろいろな人に花粉症の薬を出してみると。 眠気が少ない薬はどうしても花粉症を抑える効果が弱く、眠気の強い薬は花粉症を抑える効果が強い気がします。 そんなことはないとおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが・・・。眠くなく、花粉症をきっちり抑える薬ってあまりないのではないかなと・・。 むしろ眠くなることで、花粉に鈍感にしているだけなのではないかなと思ったりすることもあります。 強い花粉症の薬はしばしば粘液の分泌を抑え、そのため鼻の中が乾燥します。 乾燥すると、もしかしたら花粉が鼻の粘膜にくっつきにくくなるのかもしれませんが、その乾燥を嫌がる患者さんもおられます。 どうしても辛いようならやはりきちんとマスクをして、必要最低限の量の花粉症の薬を飲んでもらうしかないのかなと思います。

9、食後にひどくなる花粉症

花粉症のブログなどを見ていると時々、食事をしないと良くなるという記述をしている方がおられます。 
あついラーメンを食べたあとに、皆さん鼻水ませんか? あるいは食事をした後、良く回りの人を観察すると、鼻かんでる人多くないですか? 実は食事をすると、迷走神経反射といって、お腹を動かす神経が活発に活動を開始するのですが、同時に気管の粘液の分泌量が増えたり(食後の咳や痰の増加)、また鼻も同様に分泌物が多く分泌されると思います(食後に鼻をかむ)。 ラーメンは分泌物だけでなく、水蒸気が鼻のなかで結露して生じたものだろうなと思いますが、それ以外にもカレーなどの刺激物を食べた後とかにはたいていの場合、鼻水の分泌量も増えます。 花粉症の時期だけ、外出される朝・昼の食事を軽くしたり、間食をやめたり、スパイスの効いた刺激物を取らないようにしたり、あるいは食べないで出かけたりすると、少しそういった鼻水が出る最初のステップがなくなり、「鼻をかむ」という悪魔の階段第一歩を踏み出さなくて済むような気がします。 ただしその分ちゃんと夕食はとってくださいね。 食べ盛りの若い人たちはあまり真似しないほうが良いかもしれませんね。 もうおじさんの私は、それほど食べなくても、生きていける体になってしまっているようです。

三好クリニック(内科)
〜青山・表参道〜