心房細動という病気-1

先日、外来患者さんと話していて、心房細動の説明になった際に、「心房細動ってなぜ起こるんですか」と言う事を聞かれて、一瞬困ってしまいました。 心房細動が起こる理由、そのメカニズムについては、2000年少し前ぐらいから研究が精力的に研究が行われ始めたと言ってよいでしょう。 しかし患者さんは普通、そのメカニズムについて聞いている場合と、動物が生きていく上でなぜそのような不整脈が必要なのかという点など、『なぜ』という意味にはいろいろな意味があるわけです。 少し考えて、「一種の老化現象なのだ」と説明をして何となくなっとくしてもらいましたが・・・。 本当にその患者さんが聞きたかった事なのかなと、そのあともしばらく考えていました。 何だか患者さんの質問を煙に巻いてしまった様で、申し訳ない事をしたんじゃないかって少し反省しました。
その時一瞬、考えたのは、自分の中に有る心房細動の知識を思い返していたのでした。 結構長大な話しだったので、何から話せば良いんだろうか? 本当にこんな事を聞いているのだろうかって思ったのでした。

実は、心房細動ほどこの15年間ほどの間に治療法が大きく変化した病気は無いでしょう。 昔から心房細動をお持ちの患者様から見ると、医者の言う事が随分かわってきているので、変だなと思われているのではないでしょうか? 医者の中でも、この変化にあまり付いてこられない方が多いのではないでしょうか?
心房細動は元々高齢者に多い病気であった事、そして馬等、大きな心臓を持つ動物に比較的低年齢で心房細動が生じる事から、心臓が子供から大人になって大きくなっていく過程で発生しやすくなる、そして年齢と共に血圧が高くなり、左心室の手前の心房に圧力の負担がかかる様になると出現するものだと考えられています。 こういった事もあり、心房細動は老化現象の一つと考えられているわけです。 
心房細動の詳しい解説は
こちらに任せるとして。 
心房細動の患者さんで、私が外来で拝見していて、ザックリと、約1割ぐらいの患者さんは全く無症状で、「え、今心房細動なんですか?」とおっしゃられる方がいます。 そして約8割ぐらいの患者さんが「そういえば、階段を上ったり、重いものを持って歩いたりすると少し息があがる」「何だか脈が乱れてますね・・、でもあまり気にしないと気になりません」とおっしゃる方がいらっしゃる様です。 そしてあとの1割ぐらいの患者さんが「動くと胸が痛い」「これが出ると一日何も出来なくなる、なんとか止めてくれ」「つらくてつらくて、夜も眠れない」といった非常に強い症状が出る患者さんがおられます。 症状のある患者さんと無い患者さんの違いはあまり明確では無いですが、私の印象では、胸板の薄い患者さんは「ドキドキする」動悸症状が強く、高血圧があったり少し肥満気味の方は、「息が苦しい」「動くと胸が痛い」とおっしゃられる方が多い様な気がします。 これはもちろん私のお会いした患者様のお話ですので、不整脈に関わる医者全員がそのような印象を持っているわけでは無いと思います。 
しかし、この一割の症状が強い患者様に対して、以前は手を打つ事ができなかったのですが、最近はカテーテルアブレーションという心臓内での血管内治療を行う事で症状が全く出なくなったり、今まで効かなかった薬物がカテーテルアブレーションをする事で効果が出てくる場合があります。 カテーテルアブレーションは、病気の期間が長くなり、左心房が大きくなりすぎた患者さんや、80歳以上の高齢の患者様、そして5年以上慢性的に持続した心房細動をお持ちの患者様ですと、なかなか治療効果が望めない事もあり、症状が非常に強いという例外を除いて、カテーテルアブレーションをお勧めする事はあまりメリットが無いと思われます。 だたこれも施設によって、かなりばらつきがありますので、一度御相談頂くのが良いと思います。 
私のクリニックは入院施設を持ち合わせておりませんので、カテーテルアブレーションをご希望の患者様には関東で心房細動の治療で有名な施設をご紹介致します。
三好クリニック(内科)
〜青山・表参道〜