三好クリニック 青山・表参道

内科・循環器・高血圧・不整脈

薬は飲んでください

開院してから1ヶ月経ちました。 今のところ一日5人から10人ぐらいの患者さんがいらっしゃっています。 今のところ慶應で拝見していた患者さんとその御家族の方が多い様子です。 そのためか、患者さんが最も多い時間帯は11時から13時と、16時から17時、それと19時付近が多い様に思います。 予約を取らずにふらっといらっしゃる方もおられるので、その際には少しだけお待たせしてしまう事が有ります。 しばらくやってみて思った事は、患者さんの血圧が慶應で測定していた時より、少し高めである事です。 血圧計?と思っていたのですが、おそらく、慶應での診察と違って、待機時間が短いために落ち着く暇無く測定するためのような気がしています。 これは予想外でした。 
最近、新規の患者さんを診察していて、ちょっと感動した事が有ったので一つ。 私のよく存じ上げていた方であったのと、比較的この領域の知識が豊富にある方だったので、私も少し油断していたところも有ったのですが、このような事が有りました。 
「今日も血圧高いですね・・・、先月お出しした血圧の薬、全然効いていないみたいですね。 少し増量しておきますね。」
「わかりました。 所で・・・、診察の前には薬を2〜3日やめておいた方が良いのですよね」
「・・・、え?」
「いや、薬の効果を判定しなくてはならないですよね」

ここまできてふと思いました。 この患者さん理系の方で、薬を飲まれるとそれで治ってしまわれると思ったのだなと・・・。 普通「風邪」等で処方する薬は、飲み終わって風邪が治ったら飲まなくてよくなります。 しかし血圧の薬は薬で血圧を下げて、血圧を下げる事で将来おこる動脈硬化等の合併症を予防する物で、薬を飲むとたちまち治ってしまう物ではないのです。 むしろそういう薬はほとんど有りません。 ちょっと脱線しますが、最近、ある種の血圧の薬でそういったある程度飲み続けるとメモリー効果といって、中止した後も血圧が低い状況が続くのではないかと言われている薬剤も有りますが、その程度もそれほど強い物では無いと予想されます。
ここで医者と患者さんとの常識のずれが有る訳です。 患者さんにとって薬とは病気を直してしまい、その後薬をのまなくても病気が治り、体は元通りになっているものという認識があります。 風邪の時にお出しする薬がそれですね。 しかしそれも正確には治しているのでは無く、風邪の時に出る不快な症状を押さえる。風邪が治りやすい様に体のコンディションを整えて、患者様の体が病原体を自分で排除するのをひたすら待つという事しかしていないのです。 薬は体の自己修復作業を手助けしているだけなので、薬をやめられる訳です。 しかし血圧や不整脈の薬は病気の原因はそのままで、血圧を強制的に下げたり、不整脈を強制的に止める。あるいは血液を強制的にさらさらにしているわけで、薬をやめてしまうと、元通りになってしまいます。 しかしそれらのお薬は、やはり飲めば血圧が低い人と同じぐらいの寿命が約束されたり、不整脈によって生じる不快な症状を押さえる事が出来るので飲んで頂きます。 それと同時に私の診察室では、出来るだけやはりその血圧を上げている原因、例えば塩分摂取量を減らしたり、体重を減らしたりする事をお話しています。 これらは病気の原因ですから、それらが良くなれば、薬を減量する事が出来ますし、さらにうまく行けば薬を中止する事が出来ます。 ただし、これは結構容易な事では無いと申し上げておきます。 ダイエットが大変なのと同じで、毎日の努力になりますし、効果が出てくるのに時間がかかります。 
薬で病気が治ってしまう物は薬の中でも例外中の例外で、そのほとんどは継続してお飲みいただく事になります。 なのでまずは薬を毎日飲んでください。