循環器学会@大阪に出席してきました。
今日は大阪まで循環器学会参加するため、出張してきました。 先々週の内科学会に引き続いて今回は循環器学会、 場所は大阪の中之島の国際会議場でした。 私が大阪に住んでいたのはもう30年近く前ですので、今では別の街のようになってします。 昔はもっとごみごみしていて、それもまたなんだかよかったのですが・・。 今は再開発でとても綺麗な街になっています。 今回もあまり長時間の滞在できず、3時間ほど、学会場で不整脈のセッションを聞いてきました。 内科学会と違って、循環器学会のセッションは30ほどの会場で、会議が同時進行していくので、他分野に興味があっても全部を網羅的に見ることは難しいのが残念です。 去年は血圧のセッションを見に行きましたが、今年は基本に立ち戻って不整脈のセッションを聞いてきました。
遺伝性不整脈の最新の話題やいろいろな不整脈の話題に混じって、一つ、心臓サルコイドーシスという心臓の難病で発生する不整脈の話があり、感慨深く聞いていました。 それは、私が研修医になって1年目、まだ自分の進路を決める前、初めて病棟で受け持った患者さんの中に心臓のサルコイドーシスの患者さんがいらっしゃったからでした。
サルコイドーシスというのは原因不明の病気で、身体中のあらゆる組織が結核の病巣ににた肉芽という繊維の塊に置き換わっていってしまう病気です。 急激に進行する方もいらっしゃいますし、発症後もほとんど変化ない患者さんもいらっしゃいます。 患者さんの多くは、肺や眼、そして皮膚にそういう病変ができるのですが、たまに心臓にそういうものができて、本来心臓の筋肉である場所が、繊維に置き換わっていってしまう病気です。 これだけ医学が進歩しているのに、この病気は未だに原因がわからず、治療はなかなかに難渋します。 しかしかなり珍しい病気です。 心臓での病気の活動性がその方の寿命を決める大きな要素になるので、病気の活動期にはステロイドの内服薬を使って病気の勢いを止めてあげることが必要になります。 しかしステロイドは体のあらゆる活動を止めるだけの治療法なので、その結果いろいろな副作用が起こります。 例を挙げると、感染症に弱くなったり、骨がもろくなり、本来あまり骨折しないような太い骨が簡単に骨折してしまったり、全身の皮膚が弱くなり皮下出血しやすくなったり、糖尿病になってしまったり、顔がパンパンにむくんでしまったりします。 と言われてもちょっと実感わかないかもしれませんが、しかし医者にとってステロイドを使うのはかなり勇気がいるものなのです。 今日の話だと、維持量といって病気を抑え込むために必要な最低限のステロイドの量が10mgと結構多いのだということを聞いて、ちょっとびっくりしました。 10mgのステロイドを常時飲み続けるのは患者さんへの負担が大きく、そのフレッシュマンの時に受け持っていた患者さんの顔を思い出していました。
私の受け持った患者さんも心臓サルコイドーシスで、多彩な不整脈が出て、病気のコントロールに難渋して、結局ステロイドを使い退院されましたが、ほぼ3ヶ月入院されておられました。 私とほとんど年も変わらない患者さんでしたが、その後も入退院を繰り返していたと伺っています。 ステロイドを使いましたが、それが良かったのか、悪かったのか、今でもよくわかりません。 病気の理不尽さ、治療が正しかったのかどうかの迷い、患者さんのその後の人生を決めてしまう恐ろしさ、そして治療の決断をせまられる重圧、そういったものが入り混じった、とてもほろ苦い医者になりたての時の記憶です。 でもおそらくその出会いがなければ、きっと私は不整脈医にならなかったと思います。
遺伝性不整脈の最新の話題やいろいろな不整脈の話題に混じって、一つ、心臓サルコイドーシスという心臓の難病で発生する不整脈の話があり、感慨深く聞いていました。 それは、私が研修医になって1年目、まだ自分の進路を決める前、初めて病棟で受け持った患者さんの中に心臓のサルコイドーシスの患者さんがいらっしゃったからでした。
サルコイドーシスというのは原因不明の病気で、身体中のあらゆる組織が結核の病巣ににた肉芽という繊維の塊に置き換わっていってしまう病気です。 急激に進行する方もいらっしゃいますし、発症後もほとんど変化ない患者さんもいらっしゃいます。 患者さんの多くは、肺や眼、そして皮膚にそういう病変ができるのですが、たまに心臓にそういうものができて、本来心臓の筋肉である場所が、繊維に置き換わっていってしまう病気です。 これだけ医学が進歩しているのに、この病気は未だに原因がわからず、治療はなかなかに難渋します。 しかしかなり珍しい病気です。 心臓での病気の活動性がその方の寿命を決める大きな要素になるので、病気の活動期にはステロイドの内服薬を使って病気の勢いを止めてあげることが必要になります。 しかしステロイドは体のあらゆる活動を止めるだけの治療法なので、その結果いろいろな副作用が起こります。 例を挙げると、感染症に弱くなったり、骨がもろくなり、本来あまり骨折しないような太い骨が簡単に骨折してしまったり、全身の皮膚が弱くなり皮下出血しやすくなったり、糖尿病になってしまったり、顔がパンパンにむくんでしまったりします。 と言われてもちょっと実感わかないかもしれませんが、しかし医者にとってステロイドを使うのはかなり勇気がいるものなのです。 今日の話だと、維持量といって病気を抑え込むために必要な最低限のステロイドの量が10mgと結構多いのだということを聞いて、ちょっとびっくりしました。 10mgのステロイドを常時飲み続けるのは患者さんへの負担が大きく、そのフレッシュマンの時に受け持っていた患者さんの顔を思い出していました。
私の受け持った患者さんも心臓サルコイドーシスで、多彩な不整脈が出て、病気のコントロールに難渋して、結局ステロイドを使い退院されましたが、ほぼ3ヶ月入院されておられました。 私とほとんど年も変わらない患者さんでしたが、その後も入退院を繰り返していたと伺っています。 ステロイドを使いましたが、それが良かったのか、悪かったのか、今でもよくわかりません。 病気の理不尽さ、治療が正しかったのかどうかの迷い、患者さんのその後の人生を決めてしまう恐ろしさ、そして治療の決断をせまられる重圧、そういったものが入り混じった、とてもほろ苦い医者になりたての時の記憶です。 でもおそらくその出会いがなければ、きっと私は不整脈医にならなかったと思います。