お酒と不整脈
最近、不整脈の患者さんからお酒を飲んでよいかと尋ねられました。おめでたい席が多いですからね。
私自身お酒は嫌いではないので、お酒をのみたい気持ちは解ります。 元々、命に関わらない不整脈の場合、それはお酒をのんでもドキドキするだけで、それがご本人が嫌かどうかという問題になります。 つまり、お酒を取るか動悸を避けるかと言った問題になりますね。 お酒をのむ事でどんな事が起こりうるかという事を書いてみましょう。
1、『お酒は絶対だめ!』という心臓病があります。 これは、異型狭心症といって、心臓の筋肉を栄養している血管が痙攣して血が心臓の筋肉に行き渡らなくなる病気です。 この病気は年齢とは関係なく起こります。 喫煙やストレスでも起こりますが、アルコールを飲むと必ず起こるという患者さんがいます。 『アルコール誘発性冠攣縮狭心症』と病名は付くでしょうね。 たいていの場合、アルコール飲酒後よりアルコールが抜けてくる朝方に多い様に思います。 その原因は私はあまり良く理解出来ていませんが、アルコールに関連した病態の多くは、アルコールが代謝されて血液中からアルコールが無くなるときに多い気がします。 たとえは悪いですが、二日酔いとかそうですよね。 また後で述べる心房細動等も抜け際に悪くなる様なケースが多いです。 この異型狭心症のケースの場合、特にアルコールで誘発される場合、いくら薬で押さえていても、アルコールを飲む事は危険です。 異型狭心症時に、房室ブロックという様な脈が遅くなる不整脈が起こったり、心室細動という心臓の痙攣が起こって心臓が止まってしまう事が希にあります。そのような患者さんにはアルコールは禁止になります。
2、心房細動という不整脈が起こりやすくなる事があります。 お酒をのんでいるうちは大丈夫でも、お酒が抜けるときに、心房細動という不整脈が起こりやすくなる方が結構いらっしゃいます。 アルコールが分解されて、アルデヒドという分子に変換されてゆくのですが、このアルデヒドはいわゆる二日酔いの原因とも言われていますね。 アルデヒド分子は、心臓のイオンチャネルにも作用があると言われていて、そのために心房細動が起こりやすくなる場合があると言います。 患者さんの中にも、お酒を飲んだ翌日に必ず発作があるのですという方をしばしばお見かけします。 心房細動自体は命に関わる不整脈ではありませんが、心房細動によって生じる脳梗塞や、心房細動が直ってご自身の脈が始まるまでの間が5秒から10秒近く心拍が停止する様な方もおられます。 そのようなリスクのある方は、やはりお飲みにならない方が良いでしょうね。
3、私の患者さんで、薬がよく効いて全く不整脈が出ない患者さんが、不整脈が出ていて、気がついたらビール瓶が5L近く一人で飲んでいたという方がおられました。 ビールやアルコールには利尿作用がありますので、飲んだ余分な水分は尿に出て行ってしまったり、アルコール腸粘膜を刺激して下痢傾向になりますので、どんどん便として排泄されていきます。 そういう場合、お酒の中の水分で体液を交換しているのと同じ様な現象が起こるわけです。 薬剤が体外へ尿と一緒に出てしまった。 そのため薬剤の血液中の濃度が一時的に下がって発作が起こったのだと思います。 その不整脈が命に関わる不整脈であった場合、大変問題だったと思います。 ですので、不整脈で内服をされておられる方で、我を忘れる様な酒癖の悪い方では、お酒は厳禁と思います。 そういう方に限ってなかなかやめてくださらないのですが・・・。
4、お酒の飲み過ぎで肝機能が低下してくる場合があります。 不整脈の薬や血液をさらさらにするワーファリン等の薬剤は肝臓で代謝されるため、肝機能に大きな影響を及ぼすお酒はあまり好ましくありません。 特に長期間の飲酒の摂取歴のため肝機能が荒廃している様な方は禁酒していただく必要があります。 あるいは、そういった不整脈の治療自体を断念する必要がある場合があります。
5、お酒は血管を開きます。 そのため一時的に血圧が低下し、その血圧を維持しようとして心拍数が上がります。 顔が赤くなっているのは血管が開いているためと思うと理解しやすいでしょうか。 そのため、洞性頻脈で元々心悸亢進気味(ドキドキしやすいかた)の方は飲むと症状が強くなりやすいと思います。 また心臓のポンプ機能が悪くて、利尿剤等を飲んで心臓への負担を減らしている様な方ですと、アルコール摂取で血圧の変動が大きくなったりしがちです。 あまりお飲みにならない方が宜しいかと思います。
お酒は、人と人との付き合いを円滑にしますし、お酒を楽しみに日頃仕事をされておられる方もおられます。 決して悪い物ではありませんが、特にある特定のご病気をお持ちの方や、過剰な飲酒は不整脈以外でも大きな傷跡を残します。 飲酒は適量が大事です。
私自身お酒は嫌いではないので、お酒をのみたい気持ちは解ります。 元々、命に関わらない不整脈の場合、それはお酒をのんでもドキドキするだけで、それがご本人が嫌かどうかという問題になります。 つまり、お酒を取るか動悸を避けるかと言った問題になりますね。 お酒をのむ事でどんな事が起こりうるかという事を書いてみましょう。
1、『お酒は絶対だめ!』という心臓病があります。 これは、異型狭心症といって、心臓の筋肉を栄養している血管が痙攣して血が心臓の筋肉に行き渡らなくなる病気です。 この病気は年齢とは関係なく起こります。 喫煙やストレスでも起こりますが、アルコールを飲むと必ず起こるという患者さんがいます。 『アルコール誘発性冠攣縮狭心症』と病名は付くでしょうね。 たいていの場合、アルコール飲酒後よりアルコールが抜けてくる朝方に多い様に思います。 その原因は私はあまり良く理解出来ていませんが、アルコールに関連した病態の多くは、アルコールが代謝されて血液中からアルコールが無くなるときに多い気がします。 たとえは悪いですが、二日酔いとかそうですよね。 また後で述べる心房細動等も抜け際に悪くなる様なケースが多いです。 この異型狭心症のケースの場合、特にアルコールで誘発される場合、いくら薬で押さえていても、アルコールを飲む事は危険です。 異型狭心症時に、房室ブロックという様な脈が遅くなる不整脈が起こったり、心室細動という心臓の痙攣が起こって心臓が止まってしまう事が希にあります。そのような患者さんにはアルコールは禁止になります。
2、心房細動という不整脈が起こりやすくなる事があります。 お酒をのんでいるうちは大丈夫でも、お酒が抜けるときに、心房細動という不整脈が起こりやすくなる方が結構いらっしゃいます。 アルコールが分解されて、アルデヒドという分子に変換されてゆくのですが、このアルデヒドはいわゆる二日酔いの原因とも言われていますね。 アルデヒド分子は、心臓のイオンチャネルにも作用があると言われていて、そのために心房細動が起こりやすくなる場合があると言います。 患者さんの中にも、お酒を飲んだ翌日に必ず発作があるのですという方をしばしばお見かけします。 心房細動自体は命に関わる不整脈ではありませんが、心房細動によって生じる脳梗塞や、心房細動が直ってご自身の脈が始まるまでの間が5秒から10秒近く心拍が停止する様な方もおられます。 そのようなリスクのある方は、やはりお飲みにならない方が良いでしょうね。
3、私の患者さんで、薬がよく効いて全く不整脈が出ない患者さんが、不整脈が出ていて、気がついたらビール瓶が5L近く一人で飲んでいたという方がおられました。 ビールやアルコールには利尿作用がありますので、飲んだ余分な水分は尿に出て行ってしまったり、アルコール腸粘膜を刺激して下痢傾向になりますので、どんどん便として排泄されていきます。 そういう場合、お酒の中の水分で体液を交換しているのと同じ様な現象が起こるわけです。 薬剤が体外へ尿と一緒に出てしまった。 そのため薬剤の血液中の濃度が一時的に下がって発作が起こったのだと思います。 その不整脈が命に関わる不整脈であった場合、大変問題だったと思います。 ですので、不整脈で内服をされておられる方で、我を忘れる様な酒癖の悪い方では、お酒は厳禁と思います。 そういう方に限ってなかなかやめてくださらないのですが・・・。
4、お酒の飲み過ぎで肝機能が低下してくる場合があります。 不整脈の薬や血液をさらさらにするワーファリン等の薬剤は肝臓で代謝されるため、肝機能に大きな影響を及ぼすお酒はあまり好ましくありません。 特に長期間の飲酒の摂取歴のため肝機能が荒廃している様な方は禁酒していただく必要があります。 あるいは、そういった不整脈の治療自体を断念する必要がある場合があります。
5、お酒は血管を開きます。 そのため一時的に血圧が低下し、その血圧を維持しようとして心拍数が上がります。 顔が赤くなっているのは血管が開いているためと思うと理解しやすいでしょうか。 そのため、洞性頻脈で元々心悸亢進気味(ドキドキしやすいかた)の方は飲むと症状が強くなりやすいと思います。 また心臓のポンプ機能が悪くて、利尿剤等を飲んで心臓への負担を減らしている様な方ですと、アルコール摂取で血圧の変動が大きくなったりしがちです。 あまりお飲みにならない方が宜しいかと思います。
お酒は、人と人との付き合いを円滑にしますし、お酒を楽しみに日頃仕事をされておられる方もおられます。 決して悪い物ではありませんが、特にある特定のご病気をお持ちの方や、過剰な飲酒は不整脈以外でも大きな傷跡を残します。 飲酒は適量が大事です。